標的18 貴方と私の決定的な差異
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あの綱吉が、寝ている最中にリボーンから銃を奪い、部屋に侵入した強盗を一撃で射殺。
そんな荒唐無稽な話が事実であるはずがなく、例のごとくリボーンの仕込みである。
ちなみに、死体役はボンゴレの特殊工作員で、わざわざリボーンがこの日のために手配したそうだ。
ドッキリにかけるその情熱は何処から来るのだろう。
他にも色々と準備しているらしいのだが、これも例のごとく具体的な内容は聞かされていない。
私は綱吉が不審に思わないよう自然な演技をしてほしいとだけ指示されたのだが、そちらは早速難航している。
ところが、ここで光明が訪れた。
「ツーナさん! 見て下さい!」
ハルの明るい声とともに、階段を上がってくる足音が聞こえた。
綱吉は大きく肩を震わせ、私はこっそりと安堵した。
ハルの素直で明け透けな言動は、私の拙い演技力をカバーしてくれるだろう。
そんな思惑で部屋へ迎え入れようとしたのだが、彼女の姿が見えた途端に言葉を失った。
大きな船の模型が、ハルの胴体に突き刺さっている。
しかも、頭や首に小さな提灯がいくつもぶら下がっており、何のモチーフか知らないがお祭りのような派手さがある。
ある意味で綱吉相手よりも反応に困り、リボーンを盗み見ると、コスプレ仲間を見つけたというように微笑していた。
確かに彼も似たようなコスプレをしたことがあったが、正直初めて彼のコスプレ姿を見た時よりも精神的ショックが大きい。
ハルは模型が壁にぶつからないよう器用に身体を操って室内に踏み入ると、自分の格好を見せびらかすように両手を広げた。
「文化祭の演劇で、ハル屋形船やることになったんです!」
自信満々な顔をしているハルには悪いが、彼女の自宅から沢田家まで、その常軌を逸した出で立ちでやってきたのかと思うと、掛ける言葉が見つからない。
綱吉はというと、ハルの格好を気に留める余裕はないのか、この世の終わりのような表情で虚空を眺めている。
ハルは誰の反応もないことに首を傾げ、続いてベッドの上の死体に目を留めた。
「あ、ツナさん達も劇の練習ですか? すごーい! リアルな死にっぷりですー!」
「違うよ。オ……オレが本当に殺しちゃったんだ」
「はひっ!?」
ふらついたハルの身体がドアにぶつかり、屋形船が大破した。
そして彼女は、屋形船の残骸が派手に散らばった床の上にへたり込んだのだった。
私にとっては、ある意味で殺人よりも衝撃的な瞬間を目撃してしまった気分である。
これが求められている『自然な演技』だとすれば、私には到底真似できない。
さらに彼らに追い打ちをかけるように、玄関の方から獄寺と山本の声がした。
二人の声がだんだん近づいてくるにつれて、綱吉とハルの狼狽が増してゆく。
最終的に何を思ったのか、彼らは頭を抱えて床にしゃがみ込んだ。
「よおツナ!」
「お邪魔します、十代目!」
山本と獄寺は笑顔で現れたが、部屋の様子を見て当惑した表情に変わった。
恐らく綱吉達は誤魔化すか隠れるかしたかったのだろうが、姿が丸見えな上に、肝心の死体はベッドに放置したままだ。
綱吉は観念したのか、泣きながら身体を起こした。
「オレの人生は終わったんだー! もー自首するしかないー!!?」
「ツナさんが刑務所から出るまでハル待ってますー!! 手紙いっぱい出しますー!!!」
獄寺と山本は呆気にとられた声を出し、説明を求めるように私を見た。
求められても困る。
そんな荒唐無稽な話が事実であるはずがなく、例のごとくリボーンの仕込みである。
ちなみに、死体役はボンゴレの特殊工作員で、わざわざリボーンがこの日のために手配したそうだ。
ドッキリにかけるその情熱は何処から来るのだろう。
他にも色々と準備しているらしいのだが、これも例のごとく具体的な内容は聞かされていない。
私は綱吉が不審に思わないよう自然な演技をしてほしいとだけ指示されたのだが、そちらは早速難航している。
ところが、ここで光明が訪れた。
「ツーナさん! 見て下さい!」
ハルの明るい声とともに、階段を上がってくる足音が聞こえた。
綱吉は大きく肩を震わせ、私はこっそりと安堵した。
ハルの素直で明け透けな言動は、私の拙い演技力をカバーしてくれるだろう。
そんな思惑で部屋へ迎え入れようとしたのだが、彼女の姿が見えた途端に言葉を失った。
大きな船の模型が、ハルの胴体に突き刺さっている。
しかも、頭や首に小さな提灯がいくつもぶら下がっており、何のモチーフか知らないがお祭りのような派手さがある。
ある意味で綱吉相手よりも反応に困り、リボーンを盗み見ると、コスプレ仲間を見つけたというように微笑していた。
確かに彼も似たようなコスプレをしたことがあったが、正直初めて彼のコスプレ姿を見た時よりも精神的ショックが大きい。
ハルは模型が壁にぶつからないよう器用に身体を操って室内に踏み入ると、自分の格好を見せびらかすように両手を広げた。
「文化祭の演劇で、ハル屋形船やることになったんです!」
自信満々な顔をしているハルには悪いが、彼女の自宅から沢田家まで、その常軌を逸した出で立ちでやってきたのかと思うと、掛ける言葉が見つからない。
綱吉はというと、ハルの格好を気に留める余裕はないのか、この世の終わりのような表情で虚空を眺めている。
ハルは誰の反応もないことに首を傾げ、続いてベッドの上の死体に目を留めた。
「あ、ツナさん達も劇の練習ですか? すごーい! リアルな死にっぷりですー!」
「違うよ。オ……オレが本当に殺しちゃったんだ」
「はひっ!?」
ふらついたハルの身体がドアにぶつかり、屋形船が大破した。
そして彼女は、屋形船の残骸が派手に散らばった床の上にへたり込んだのだった。
私にとっては、ある意味で殺人よりも衝撃的な瞬間を目撃してしまった気分である。
これが求められている『自然な演技』だとすれば、私には到底真似できない。
さらに彼らに追い打ちをかけるように、玄関の方から獄寺と山本の声がした。
二人の声がだんだん近づいてくるにつれて、綱吉とハルの狼狽が増してゆく。
最終的に何を思ったのか、彼らは頭を抱えて床にしゃがみ込んだ。
「よおツナ!」
「お邪魔します、十代目!」
山本と獄寺は笑顔で現れたが、部屋の様子を見て当惑した表情に変わった。
恐らく綱吉達は誤魔化すか隠れるかしたかったのだろうが、姿が丸見えな上に、肝心の死体はベッドに放置したままだ。
綱吉は観念したのか、泣きながら身体を起こした。
「オレの人生は終わったんだー! もー自首するしかないー!!?」
「ツナさんが刑務所から出るまでハル待ってますー!! 手紙いっぱい出しますー!!!」
獄寺と山本は呆気にとられた声を出し、説明を求めるように私を見た。
求められても困る。