標的18 貴方と私の決定的な差異
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《視点:宮野アゲハ 場所:沢田家綱吉の自室》
とある日曜日、自室で書類を纏めていると、耳を劈くような銃声が隣室から轟いた。
沢田家で物騒な騒音がするのはもはや日常風景になりつつあるのだが、その後に続いた綱吉の絶叫はいつもと様相が異なるように聞こえた。
綱吉の部屋を覗いてみると、室内は変わり果てた惨状になっていた。
机やタンスの引き出しはすべて開け放され、床一面に綱吉の私物が散乱している。
確かに綱吉は片付けが苦手ではあるが、ここまで乱雑な散らかし方はしない――これは明らかに第三者に荒らされた痕跡だ。
次にベッドに目をやると、パジャマ姿の綱吉と、彼に覆い被さるようにうつ伏せに倒れた男がいた。
綱吉は青ざめた顔をしているものの外傷はなく、一方で男の背中には大きな血の染みが広がっている。
「あっ、アゲハ! どうしよう、起きたらドロボーがいて、しかもいきなり血を流して倒れて――……」
私の存在に気づいた綱吉は、助けを求めるようにそう言った。
ただ、そんな彼の右手には、見覚えのある拳銃が握られている。
今の状況を第三者が目撃したら、部屋に侵入した強盗を綱吉が拳銃で撃ち殺したと解釈されるだろう。
私が口を開く前に、リボーンが綱吉に歩み寄った。
「とーとーやったな。お前の自己防衛本能が殺しの才能を目覚めさせたんだぞ」
「な!? 何わけわかんないこと言ってんだよ! 見ろ! ドロボーが何者かに銃で……」
その時、綱吉の手の中でかちゃりと拳銃が音を立てた。
そこでようやく自分が拳銃を持っていることに気がついたようだ。
「その銃でツナが撃ったんだぞ」
「オレー!!!?」
「覚えてねーのか? 寝ながらオレの銃を奪って撃ったじゃねーか」
「うそー!!!」
取り乱す綱吉に対し、殺し屋の反応は至って冷静だ。
「やっとマフィアっぽくなってきたな」
「少し見直したわ。これで一人前ね。殺しのお祝いに赤飯つくったげる」
リボーンだけでなく、騒ぎを聞きつけて現れたビアンキもまともに取り合おうとしない。
彼らにとって、知人が人一人殺した程度のことは特段関心を抱く事件ではないのだ。
「ど、どうしよう……アゲハ……」
最後の頼みとばかりに、涙で濡れた目が縋るように私へ向けられた。
ただ残念ながら、私も綱吉の動揺に寄り添えるような感情を持ち合わせていない。
それでも、少しでも心の負担が軽くなるように、思い浮かんだ言葉を口にした。
「大丈夫よ。死体はすぐに始末させるわ」
「何怖いこと言ってんの!?」
綱吉の不安を解消するはずが、余計に顔色を悪くさせる結果になった。
柄にもないことをすべきではなかった。
とはいえ、少なくともお祝いと称してポイズンクッキングを披露しようとしているビアンキよりは建設的な意見だと思うのだが。
「どぉぉしよーっ! 人をあやめちゃったよー!!」
やはり演技するのは難しそうだ、リボーンにそう目配せした。
とある日曜日、自室で書類を纏めていると、耳を劈くような銃声が隣室から轟いた。
沢田家で物騒な騒音がするのはもはや日常風景になりつつあるのだが、その後に続いた綱吉の絶叫はいつもと様相が異なるように聞こえた。
綱吉の部屋を覗いてみると、室内は変わり果てた惨状になっていた。
机やタンスの引き出しはすべて開け放され、床一面に綱吉の私物が散乱している。
確かに綱吉は片付けが苦手ではあるが、ここまで乱雑な散らかし方はしない――これは明らかに第三者に荒らされた痕跡だ。
次にベッドに目をやると、パジャマ姿の綱吉と、彼に覆い被さるようにうつ伏せに倒れた男がいた。
綱吉は青ざめた顔をしているものの外傷はなく、一方で男の背中には大きな血の染みが広がっている。
「あっ、アゲハ! どうしよう、起きたらドロボーがいて、しかもいきなり血を流して倒れて――……」
私の存在に気づいた綱吉は、助けを求めるようにそう言った。
ただ、そんな彼の右手には、見覚えのある拳銃が握られている。
今の状況を第三者が目撃したら、部屋に侵入した強盗を綱吉が拳銃で撃ち殺したと解釈されるだろう。
私が口を開く前に、リボーンが綱吉に歩み寄った。
「とーとーやったな。お前の自己防衛本能が殺しの才能を目覚めさせたんだぞ」
「な!? 何わけわかんないこと言ってんだよ! 見ろ! ドロボーが何者かに銃で……」
その時、綱吉の手の中でかちゃりと拳銃が音を立てた。
そこでようやく自分が拳銃を持っていることに気がついたようだ。
「その銃でツナが撃ったんだぞ」
「オレー!!!?」
「覚えてねーのか? 寝ながらオレの銃を奪って撃ったじゃねーか」
「うそー!!!」
取り乱す綱吉に対し、殺し屋の反応は至って冷静だ。
「やっとマフィアっぽくなってきたな」
「少し見直したわ。これで一人前ね。殺しのお祝いに赤飯つくったげる」
リボーンだけでなく、騒ぎを聞きつけて現れたビアンキもまともに取り合おうとしない。
彼らにとって、知人が人一人殺した程度のことは特段関心を抱く事件ではないのだ。
「ど、どうしよう……アゲハ……」
最後の頼みとばかりに、涙で濡れた目が縋るように私へ向けられた。
ただ残念ながら、私も綱吉の動揺に寄り添えるような感情を持ち合わせていない。
それでも、少しでも心の負担が軽くなるように、思い浮かんだ言葉を口にした。
「大丈夫よ。死体はすぐに始末させるわ」
「何怖いこと言ってんの!?」
綱吉の不安を解消するはずが、余計に顔色を悪くさせる結果になった。
柄にもないことをすべきではなかった。
とはいえ、少なくともお祝いと称してポイズンクッキングを披露しようとしているビアンキよりは建設的な意見だと思うのだが。
「どぉぉしよーっ! 人をあやめちゃったよー!!」
やはり演技するのは難しそうだ、リボーンにそう目配せした。