標的17 それは誰の所為ですか
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昼休憩中に沢田家の人達と合流し、私達は揃ってママン特製の弁当を囲むことになった。
さり気なくビアンキ作の重箱から離れた場所を位置取り、地面に敷かれたビニールシートの上に座る。
ようやく優雅で楽しいランチタイムが始まるかと思いきや、私達のシートの周りは優雅とは程遠い刺々しい空気が流れているのだった。
至るところから耳に飛び込んでくるのは、主に綱吉の悪評だ。
応援に来ていたハルは周囲を威嚇しているのに対し、ママンは「ツナ、有名人みたいね」と相変わらず呑気な感想を漏らした。
「そういえば、アゲハちゃんもすごい人気だったわね! 借り物競争見てたわよ!」
ママンが嬉しそうに語る借り物競争の様子は、都合により割愛する。
ただ、あの競技の全容を笑顔で語れるのは、天然なママンか盲目な信者くらいであるとだけコメントしておく。
それこそ綱吉に言い訳のしようがないレベルの波乱となったが、例の総大将の騒ぎで印象が上書きされたことと、本人がそれどころではないほど動揺しているお陰で今のところ叱責は免れている。
「ツナ、顔色が悪いわね。まだ体調良くないの?」
「周りの視線が痛いのに、いつも通りでいられるわけないだろ」
「視線……? 確かに、いつもと毛色は違うけど、そこまで気になるかしら」
思わず素直な意見を零すと、綱吉は私の方を見て何かを悟ったような顔をした。
台詞をつけるなら、『こいつは日常的に注目を集めているから気にならないんだろうな』という目だ。
異議をぶつけてやりたいところだが、今は綱吉とは別にもう一人、頗る顔色の悪い者の方が気になっている。
それが、シートの隅で微動だにしない私の部下、彼我野絢芽である。
何しろ、先ほどママンから渡されたおにぎりを両手に持ち「主様と食事、主様と食事……」と呪詛のように呟いているのだ。
私との食事は不敬と言っていたが、二度目の私からの誘いを“命令”と受け取ってしまったらしく、彼女は震えながら私について来たのだった。
来たら来たで今にも腹を切りそうなほど動揺している彼女に対して、その手の内のおにぎりが私の作品であることは決して伝えられない。
あまりに空気が重すぎて、『沢田がB組の女子生徒を捕虜にしている』というあらぬ噂が立っているほどだ。
しかし幸いにもそんな風評は綱吉の耳に入っていないらしく、ただ絢芽を案じる目線を投げながら私に質問した。
「あの娘 、お前が連れてきたのか?」
「リハビリにちょうどいいと思ったんだけど、まだ荷が重すぎたようね」
ビアンキが近くの群衆に自作のチョコレートを差し出すのを視界の端に収めつつ、自分のおにぎりに口をつける。
「リハビリ?」と綱吉が首を傾げた直後、ばたばたと断続的に何かが倒れる音がした――先ほどビアンキのチョコレートを食べた者達が次々と崩れ落ちているのだ。
ようやく異変に気づいた綱吉が、弁当を放り出して犯人を糾弾する。
「学校でポイズンクッキングするなよ!」
「死なない程度よ」
「アゲハも見てないで止めろよ!!」
「邪魔な視線がなくなって良かったじゃない」
「お前は悪魔か!!」
何故か私に追及の矛先が向いた時、別方向からの拡声器の声が水を差した。
≪A組の総大将が今度は毒もったぞ≫
「おいコラー!!!」
老人の姿に扮したリボーンが群衆に向けて言い放った途端、綱吉への視線が一層強くなった。
なるほど、こうして『綱吉が主犯』という噂が広まったのか。
一人納得していると、タイミング良く棒倒しの審議の結果を知らせるアナウンスが入った。
≪各代表の話し合いにより、今年の棒倒しはA組対B・C合同チームとします!≫
「良かったわね、シンプルになって」
敵が一つにまとまれば、人数の差はあれ戦略がより立てやすくなる。
そういう意味を込めて言ったのだが、あちこちで沸き起こった歓声にかき消されて聞こえなかったのか、綱吉は一層顔色を悪くさせた。
さり気なくビアンキ作の重箱から離れた場所を位置取り、地面に敷かれたビニールシートの上に座る。
ようやく優雅で楽しいランチタイムが始まるかと思いきや、私達のシートの周りは優雅とは程遠い刺々しい空気が流れているのだった。
至るところから耳に飛び込んでくるのは、主に綱吉の悪評だ。
応援に来ていたハルは周囲を威嚇しているのに対し、ママンは「ツナ、有名人みたいね」と相変わらず呑気な感想を漏らした。
「そういえば、アゲハちゃんもすごい人気だったわね! 借り物競争見てたわよ!」
ママンが嬉しそうに語る借り物競争の様子は、都合により割愛する。
ただ、あの競技の全容を笑顔で語れるのは、天然なママンか盲目な信者くらいであるとだけコメントしておく。
それこそ綱吉に言い訳のしようがないレベルの波乱となったが、例の総大将の騒ぎで印象が上書きされたことと、本人がそれどころではないほど動揺しているお陰で今のところ叱責は免れている。
「ツナ、顔色が悪いわね。まだ体調良くないの?」
「周りの視線が痛いのに、いつも通りでいられるわけないだろ」
「視線……? 確かに、いつもと毛色は違うけど、そこまで気になるかしら」
思わず素直な意見を零すと、綱吉は私の方を見て何かを悟ったような顔をした。
台詞をつけるなら、『こいつは日常的に注目を集めているから気にならないんだろうな』という目だ。
異議をぶつけてやりたいところだが、今は綱吉とは別にもう一人、頗る顔色の悪い者の方が気になっている。
それが、シートの隅で微動だにしない私の部下、彼我野絢芽である。
何しろ、先ほどママンから渡されたおにぎりを両手に持ち「主様と食事、主様と食事……」と呪詛のように呟いているのだ。
私との食事は不敬と言っていたが、二度目の私からの誘いを“命令”と受け取ってしまったらしく、彼女は震えながら私について来たのだった。
来たら来たで今にも腹を切りそうなほど動揺している彼女に対して、その手の内のおにぎりが私の作品であることは決して伝えられない。
あまりに空気が重すぎて、『沢田がB組の女子生徒を捕虜にしている』というあらぬ噂が立っているほどだ。
しかし幸いにもそんな風評は綱吉の耳に入っていないらしく、ただ絢芽を案じる目線を投げながら私に質問した。
「あの
「リハビリにちょうどいいと思ったんだけど、まだ荷が重すぎたようね」
ビアンキが近くの群衆に自作のチョコレートを差し出すのを視界の端に収めつつ、自分のおにぎりに口をつける。
「リハビリ?」と綱吉が首を傾げた直後、ばたばたと断続的に何かが倒れる音がした――先ほどビアンキのチョコレートを食べた者達が次々と崩れ落ちているのだ。
ようやく異変に気づいた綱吉が、弁当を放り出して犯人を糾弾する。
「学校でポイズンクッキングするなよ!」
「死なない程度よ」
「アゲハも見てないで止めろよ!!」
「邪魔な視線がなくなって良かったじゃない」
「お前は悪魔か!!」
何故か私に追及の矛先が向いた時、別方向からの拡声器の声が水を差した。
≪A組の総大将が今度は毒もったぞ≫
「おいコラー!!!」
老人の姿に扮したリボーンが群衆に向けて言い放った途端、綱吉への視線が一層強くなった。
なるほど、こうして『綱吉が主犯』という噂が広まったのか。
一人納得していると、タイミング良く棒倒しの審議の結果を知らせるアナウンスが入った。
≪各代表の話し合いにより、今年の棒倒しはA組対B・C合同チームとします!≫
「良かったわね、シンプルになって」
敵が一つにまとまれば、人数の差はあれ戦略がより立てやすくなる。
そういう意味を込めて言ったのだが、あちこちで沸き起こった歓声にかき消されて聞こえなかったのか、綱吉は一層顔色を悪くさせた。
