標的14 Death or Piece(不幸か平和か)
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あれよあれよと着替えさせられ、グローブとヘッドギアをつけ、リングへと祭り上げられた綱吉であった。
「ゆくぞ、沢田ツナ!! 加減などせんからな!!」
リングの上で、装備を身につけた了平がそう叫んだ。
洗練されたファイティングポーズで迎える了平に対し、綱吉の構えは素人同然だ。
本来ならこの時点で了平の側が空気を読んで加減してやるべきだが、ゴングが鳴ったと同時に、了平の容赦ない右ストレートが綱吉の顎に叩き込まれたのだった。
成す術なくマットに倒れ込む綱吉。
それに追い打ちをかけるように、「油断するな、沢田!!」と了平の叱責が飛んだ。
通常の綱吉では、あの拳を捌くのは気を張り詰めていても無理だろう。
しかし、死ぬ気状態にするべくリボーンが拳銃を取り出したのを視界の端に収めた綱吉は、両手で額をガードして拒否したのだった。
彼の表情を観察して推察してみると、どうやら綱吉は死ぬ気状態になって了平をボロボロに負かすことで、妹の京子に嫌われることを恐れているらしい。
心証から評価すると、京子はその程度で幻滅するような精神の持ち主ではないと思う。
すると、リボーンは照準を変え、なんと了平に死ぬ気弾を撃ったのだった。
相変わらず彼の行動力には驚かされるが、確かに興味がある。
普段から死ぬ気で生きているような男が、実際に死ぬ気状態になったらどうなるのか。
弾丸を受け、うつ伏せにマットに倒れた了平を部室内の全員が注視する。
すぐに背中が隆起し、中から額に炎を灯した了平が現れた。
ところが、そのまま綱吉を瞬殺するかと思いきや、次に彼が取った行動は、マットに座り込んだ綱吉に手を差し伸べるというものだった。
「どーした、沢田。立てんのか?」
その言動に、綱吉も私も、そしてリボーンも目を丸くした。
間違いなく死ぬ気状態になっているのに、普段の様子とまるで変化がない。
以前死ぬ気になった京子は静粛としていたそうだが、それとはまた異なる現象だ。
――もしかして、普段から死ぬ気の人間は、死ぬ気弾を撃っても効果がないのか?
「笹川了平、大した奴だな」
聞こえてきたリボーンの呟きは、私と同じ結論に至った証左だった。
そして、その後のリボーンの行動も早かった。
綱吉が気を緩めた一瞬の隙に、彼に死ぬ気弾を撃ち込んだのだ。
「死ぬ気で、ボクシング部入部を断る!!!」
了平に勝つ、ではなく、『入部を断る』なのか。
綱吉の宣言に舌を巻いているうちに、スパーリングが再開した。
「入部しろ、沢田!!」
「嫌だ!!!」
了平のストレートを、綱吉は僅かにかがむことで回避した。
先ほどまで避けられなかった攻撃に目と身体がついていっている――死ぬ気状態によって、潜在能力が開花した証だ。
「“極限ストレート”をかわすとは! ますます気に入ったぞ!!」
了平は嬉しそうに吠えると、一気に間合いを詰めてから次々とパンチを繰り出した。
「なおのこと入れ、沢田!!」
「絶対! 断る!!」
了平の怒涛のラッシュをすべて躱し、攻撃の隙に放った綱吉の拳が了平の頬に見事に決まった。
死ぬ気のパワーで殴られた了平の身体はロープを軽々と飛び越え、部室の窓ガラスを割って床に倒れ込んだ。
勝負が決したところで、綱吉の死ぬ気状態は終了した。
我に返った綱吉は、リングの上で顔を青くして震えている。
本当に、死ぬ気の綱吉は私ですら遠慮することを悉くやってのけるから面白い。
慌てて駆け寄った京子に支えられて、了平はガラスの破片を散らしながら身体を起こした――こちらも額の炎は既に消えている。
ぶつかる寸前で受け身を取ったようで、大きな怪我はなさそうだが、ガラスで切ったのか額から血を流している。
「お前のボクシングセンスはプラチナムだ!! 必ず迎えに行くからな!」
「もーお兄ちゃん、嬉しそうな顔してー!」
二人のリアクションに、綱吉どころか、観客も唖然とした。
血塗れの姿で喜ぶ了平と、兄が吹っ飛ばされて喜ぶ京子。
天然兄妹は、やはり常人には理解しがたい思考で動いているようだ。
ちなみに、リボーンは了平のポテンシャルを気に入ったらしく、その後ファミリーにスカウトしていた。
「ゆくぞ、沢田ツナ!! 加減などせんからな!!」
リングの上で、装備を身につけた了平がそう叫んだ。
洗練されたファイティングポーズで迎える了平に対し、綱吉の構えは素人同然だ。
本来ならこの時点で了平の側が空気を読んで加減してやるべきだが、ゴングが鳴ったと同時に、了平の容赦ない右ストレートが綱吉の顎に叩き込まれたのだった。
成す術なくマットに倒れ込む綱吉。
それに追い打ちをかけるように、「油断するな、沢田!!」と了平の叱責が飛んだ。
通常の綱吉では、あの拳を捌くのは気を張り詰めていても無理だろう。
しかし、死ぬ気状態にするべくリボーンが拳銃を取り出したのを視界の端に収めた綱吉は、両手で額をガードして拒否したのだった。
彼の表情を観察して推察してみると、どうやら綱吉は死ぬ気状態になって了平をボロボロに負かすことで、妹の京子に嫌われることを恐れているらしい。
心証から評価すると、京子はその程度で幻滅するような精神の持ち主ではないと思う。
すると、リボーンは照準を変え、なんと了平に死ぬ気弾を撃ったのだった。
相変わらず彼の行動力には驚かされるが、確かに興味がある。
普段から死ぬ気で生きているような男が、実際に死ぬ気状態になったらどうなるのか。
弾丸を受け、うつ伏せにマットに倒れた了平を部室内の全員が注視する。
すぐに背中が隆起し、中から額に炎を灯した了平が現れた。
ところが、そのまま綱吉を瞬殺するかと思いきや、次に彼が取った行動は、マットに座り込んだ綱吉に手を差し伸べるというものだった。
「どーした、沢田。立てんのか?」
その言動に、綱吉も私も、そしてリボーンも目を丸くした。
間違いなく死ぬ気状態になっているのに、普段の様子とまるで変化がない。
以前死ぬ気になった京子は静粛としていたそうだが、それとはまた異なる現象だ。
――もしかして、普段から死ぬ気の人間は、死ぬ気弾を撃っても効果がないのか?
「笹川了平、大した奴だな」
聞こえてきたリボーンの呟きは、私と同じ結論に至った証左だった。
そして、その後のリボーンの行動も早かった。
綱吉が気を緩めた一瞬の隙に、彼に死ぬ気弾を撃ち込んだのだ。
「死ぬ気で、ボクシング部入部を断る!!!」
了平に勝つ、ではなく、『入部を断る』なのか。
綱吉の宣言に舌を巻いているうちに、スパーリングが再開した。
「入部しろ、沢田!!」
「嫌だ!!!」
了平のストレートを、綱吉は僅かにかがむことで回避した。
先ほどまで避けられなかった攻撃に目と身体がついていっている――死ぬ気状態によって、潜在能力が開花した証だ。
「“極限ストレート”をかわすとは! ますます気に入ったぞ!!」
了平は嬉しそうに吠えると、一気に間合いを詰めてから次々とパンチを繰り出した。
「なおのこと入れ、沢田!!」
「絶対! 断る!!」
了平の怒涛のラッシュをすべて躱し、攻撃の隙に放った綱吉の拳が了平の頬に見事に決まった。
死ぬ気のパワーで殴られた了平の身体はロープを軽々と飛び越え、部室の窓ガラスを割って床に倒れ込んだ。
勝負が決したところで、綱吉の死ぬ気状態は終了した。
我に返った綱吉は、リングの上で顔を青くして震えている。
本当に、死ぬ気の綱吉は私ですら遠慮することを悉くやってのけるから面白い。
慌てて駆け寄った京子に支えられて、了平はガラスの破片を散らしながら身体を起こした――こちらも額の炎は既に消えている。
ぶつかる寸前で受け身を取ったようで、大きな怪我はなさそうだが、ガラスで切ったのか額から血を流している。
「お前のボクシングセンスはプラチナムだ!! 必ず迎えに行くからな!」
「もーお兄ちゃん、嬉しそうな顔してー!」
二人のリアクションに、綱吉どころか、観客も唖然とした。
血塗れの姿で喜ぶ了平と、兄が吹っ飛ばされて喜ぶ京子。
天然兄妹は、やはり常人には理解しがたい思考で動いているようだ。
ちなみに、リボーンは了平のポテンシャルを気に入ったらしく、その後ファミリーにスカウトしていた。