標的14 Death or Piece(不幸か平和か)
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《視点:宮野アゲハ 場所:並盛町通学路》
九月三日。
始業式の朝。
「はーあ、始業式からねぼーだよ」
気だるげに学校へ向かう綱吉の隣を、同じ速度で通学する。
このペースのままでは遅刻は確定だが、彼は別段急ごうとも間に合わせようともしていない。
欠伸交じりにぼやく姿は、新学期への期待や不安といった爽やかさは微塵も感じられない。
そうして横顔を観察していると、訝しげな表情で睨まれた。
「ていうか、なんでアゲハまでオレと一緒に遅刻してるんだよ」
「なんでって……、今更ね、いつも一緒に登校してるじゃない」
「アゲハは寝坊してないだろ。オレを待たずに先に行ってれば、アゲハまで遅刻せずに済んだんじゃないか?」
「大丈夫よ」
私の場合、たとえ予鈴一分前に家を出たとしても充分間に合うのだから。
「大丈夫なわけないだろ」
「やってみなきゃ分かんねーだろ?」
二人で登校していたはずの通学路に、リボーンの声が割り込んだ。
声のした方を見ると、私達のすぐ横の塀の上に座って拳銃を構えていた。
綱吉は自分に銃口が向けられていることにぎょっと目を剥き、「ちょっ、タンマ!!」と叫んだが、抵抗空しく死ぬ気弾が命中した。
「うおおおお!!! 死ぬ気で登校するー!!!」
叫びながら土埃を上げて路上を疾走し、先の曲がり角ですぐに見えなくなった。
あのスピードならば遅刻は免れるだろう。
その代わりに、始業式からパンツ一枚で登校する羽目になってしまったが、ちゃんと採算は取れているだろうか。
念のために制服の予備を預かっていて良かった、学校で合流したら渡そう。
さて、綱吉が間に合うのに、私が遅刻するなんてことになっては格好がつかない。
宣言通り一分以内に到着するべく、両足に力を込めた。
「ちょっと待て」
「……何よ」
いざ動こうとした瞬間、リボーンに呼び止められた。
既に拳銃は仕舞っているが、心なしか表情が硬い気がする。
「おい。まさか“雷光”で行く気か?」
「そんなわけないでしょう。あんなものを住宅地で使ったら大騒ぎになるわ」
なるほど、それを危惧しているのか。
“雷光”とは、九条雅也が考案した“九条流軍装篇”という武術の一つである。
簡単に説明すると超音速で移動できる技なのだが、動線の周囲は衝撃波によりまるで戦車が蹂躙したかのように荒廃し退廃してしまうのだ。
逆にわざとこの衝撃波を増幅させた技もあり、昔ひとつのファミリーの拠点を跡形もなく破壊した記録もある。
リボーンが慌てるのも無理はないが、今でもそんな技を平気で乱用する危険な奴と思われているのか、私は。
「もっと、静かにやるわよ」
だから、私が今回使用するのは、九条流移動術其の二“霜林”の方だ。
これは“雷光”とは真逆で、瞬間移動のように音もなく一瞬で目的地に移動する技である。
縮地に似ているが、こちらは(使用者によっては)空中も移動できる利点がある。
ただし目視できる範囲しか一度に移動できないため、学校まで行くには何度か連続して使用しなければならないのが難点だ。
綱吉のように普通に走っても間に合うが、地上では誤って通行人を負傷させる恐れがある。
上空を見上げて障害物がないことを確認してから、跳躍した。
九月三日。
始業式の朝。
「はーあ、始業式からねぼーだよ」
気だるげに学校へ向かう綱吉の隣を、同じ速度で通学する。
このペースのままでは遅刻は確定だが、彼は別段急ごうとも間に合わせようともしていない。
欠伸交じりにぼやく姿は、新学期への期待や不安といった爽やかさは微塵も感じられない。
そうして横顔を観察していると、訝しげな表情で睨まれた。
「ていうか、なんでアゲハまでオレと一緒に遅刻してるんだよ」
「なんでって……、今更ね、いつも一緒に登校してるじゃない」
「アゲハは寝坊してないだろ。オレを待たずに先に行ってれば、アゲハまで遅刻せずに済んだんじゃないか?」
「大丈夫よ」
私の場合、たとえ予鈴一分前に家を出たとしても充分間に合うのだから。
「大丈夫なわけないだろ」
「やってみなきゃ分かんねーだろ?」
二人で登校していたはずの通学路に、リボーンの声が割り込んだ。
声のした方を見ると、私達のすぐ横の塀の上に座って拳銃を構えていた。
綱吉は自分に銃口が向けられていることにぎょっと目を剥き、「ちょっ、タンマ!!」と叫んだが、抵抗空しく死ぬ気弾が命中した。
「うおおおお!!! 死ぬ気で登校するー!!!」
叫びながら土埃を上げて路上を疾走し、先の曲がり角ですぐに見えなくなった。
あのスピードならば遅刻は免れるだろう。
その代わりに、始業式からパンツ一枚で登校する羽目になってしまったが、ちゃんと採算は取れているだろうか。
念のために制服の予備を預かっていて良かった、学校で合流したら渡そう。
さて、綱吉が間に合うのに、私が遅刻するなんてことになっては格好がつかない。
宣言通り一分以内に到着するべく、両足に力を込めた。
「ちょっと待て」
「……何よ」
いざ動こうとした瞬間、リボーンに呼び止められた。
既に拳銃は仕舞っているが、心なしか表情が硬い気がする。
「おい。まさか“雷光”で行く気か?」
「そんなわけないでしょう。あんなものを住宅地で使ったら大騒ぎになるわ」
なるほど、それを危惧しているのか。
“雷光”とは、九条雅也が考案した“九条流軍装篇”という武術の一つである。
簡単に説明すると超音速で移動できる技なのだが、動線の周囲は衝撃波によりまるで戦車が蹂躙したかのように荒廃し退廃してしまうのだ。
逆にわざとこの衝撃波を増幅させた技もあり、昔ひとつのファミリーの拠点を跡形もなく破壊した記録もある。
リボーンが慌てるのも無理はないが、今でもそんな技を平気で乱用する危険な奴と思われているのか、私は。
「もっと、静かにやるわよ」
だから、私が今回使用するのは、九条流移動術其の二“霜林”の方だ。
これは“雷光”とは真逆で、瞬間移動のように音もなく一瞬で目的地に移動する技である。
縮地に似ているが、こちらは(使用者によっては)空中も移動できる利点がある。
ただし目視できる範囲しか一度に移動できないため、学校まで行くには何度か連続して使用しなければならないのが難点だ。
綱吉のように普通に走っても間に合うが、地上では誤って通行人を負傷させる恐れがある。
上空を見上げて障害物がないことを確認してから、跳躍した。