7月8日
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しかし、その後付き合うというわけでもなく──何事もなかったかのように、いつもと変わらない日々を過ごしていた。
総悟は、どういうつもりで私にキスしたのか──その事だけが、心のどこかに引っかかったままだった。
そんなある日──
「はぁ……」
「どうしたの?ため息なんかついちゃって……」
休み時間。
ため息混じりに机に伏している私の元にやって来たのは、クラスメイトのお妙だ。
「あっ、お妙ちゃん? ううん、何でもないよ……」
「そう? 最近なんか元気ない感じだけど……あ、もしかして恋煩いとか? そう言えば、例の硬派な彼とはどうなったの?」
「硬派な彼って……?」
「この前話してたじゃない? 告白されたって──」
「あ、あ~、特に何も……返事もまだしてなくて──」
お妙の問いかけに、やるせなく答える。
さっき出てきた硬派な彼とは、同じくクラスメイトの土方くんの事だ。実は最近、告白されたのだ。
土方くんとは特に接点があったわけではない。だから、告白された時は正直驚いた。でも、真剣な告白に若干心が揺らいだのは事実だ。
土方くん、返事は急がないとは言ってくれたけど……さすがにそろそろ返事をしなければならない。実はその事を悩んでいたのだ。
「そう……何かあるなら、1人で抱え込まないでちゃんと話してね?」
「うん、ありがとう」
そう言いながら、私は不意に視線を向ける。
その先にいるのはあの2人──
「チャイナ~」
「何だヨ、サド!」
まただ……
最近やたら総悟と神楽ちゃんが一緒にいる姿が目につく。2人は付き合っていると言う噂も耳にするし……
そんな2人を横目に見ながら、私はまたため息をついた。やっぱりあの時のキスは、単なる出来心だったのかな…? でも、いつまでも曖昧な気持ちのままなのも嫌だ。やっぱりちゃんと総悟に自分の気持ちを──
そう思い立った私は、いつの間にか総悟の姿を追っていた。
そして総悟を見つけ、声をかけようと近付いたその時、総悟の目線の先に誰かいることに気付いた。
あれは誰だろう……? 私は思わず校舎の影に身をひそめる様にその場にしゃがみ込み、様子を伺う。
そこで目にした人物は、神楽だった。
2人の会話も聞こえてくる。
「こんなところに呼び出して、一体何アルか?」
「いいから黙って聞けよ!」
いつにもなく真剣な総悟の表情に、神楽も押し黙る。
「チャイナ……俺ァ、お前の事が好きだ……俺と付き合いやがれィ!」
「き、急に何を言い出すネ! 冗談はやめるアル!」
「冗談なんかじゃねェよ…俺は本気でお前の事が好きでさァ……お前はどうなんでィ?」
「わ、私は──」
私は思わず耳を塞ぐ。嫌だ……! その先には聞きたくない──と。でも、神楽の答えが否応なしに聞こえてくる。
「私も同じアル……総悟が好きネ」
「神楽……」
2人の影が徐々に重なっていく。
やめて、もう……見たくないと、そう思った時だった。