「総悟なんて嫌い…」
うつむきながらそう言う
ナマエを見て、総悟はハッとした
(あっ……また度が過ぎちまったな……)
総悟は揺らすのを止めて
ナマエの隣に座り、クシャリと髪を撫でた
「…悪かった」
「本気で怖かったのに…総悟のバカ!ドS!ドSバカ‼︎」
「
ナマエ~男って生き物は、好きな奴ほどいじめたくなるもんでさァ」
「え…?」
ナマエの表情が一変した
「今、好きって言った?」
「…へ?」
「もう一回言って!」
「もう一回って…何を?」
「好きって言ってよ!」
「お前なァ、そんなもんは普通、強制して言わせるもんじゃねーだろ?」
「だって、なかなか言ってくれないじゃん…」
シュンと肩を落とす
ナマエに、総悟が語り始める
「いつでも言ってたら、価値がなくなるってもんでさァ」
「でも…いいじゃん、たまには言ってよ!」
「嫌でィ!」
「言ってよ!」
「嫌でさァ!」
「言ってってば!」
「…ったく」
ラチがあかないと思った総悟は、いきなり
ナマエに口付ける
「んんっ…っ…」
それは次第に角度を変えながら深くなっていく
そして唇を離した総悟が、ニヤリと笑みを浮かべる
「うるさい口を黙らせるには、これが一番でさァ」
「ち、ちょっと、いきなり何すんの⁉︎こんな公衆の面前で‼︎///」
みるみる
ナマエの顔が赤くなっていく
「公衆の面前って…ここは一応個室だろィ?」
「イヤイヤ、外には変わりないから!」
「それに観覧車に乗ったカップルは大概中でエロい事してるもんでさァ」
「…それ何情報?」
「確か、万事屋の旦那が言ってたような…」
「銀さんはただれた恋愛しかしてなさそうだから、参考にしちゃダメだよ!」
「…にしてもお前、さっきまでのビビリはどうしたんでィ?」
「あっ…」
気付くと観覧車は頂上まで来ていた
「ち、頂上だよ…さっきまで忘れてたから大丈夫だったのに、また意識したら怖くなってきたじゃん!」
再び表情の固くなる
ナマエに対し、総悟はやさしく
ナマエの手を握るに
「これなら少しは安心だろ?」
「総悟…」
「なんならさっきみたいに、状況がぶっ飛ぶくらいのキスしてやってもいいけどねィ?」
「こ、これで十分です」
「
ナマエ――」
「ん?」
「俺が好きなのは、お前だけでさァ…」
「ーーッ‼︎」
総悟が少し赤らめた顔を、
ナマエから背ける
「やっぱもう一回!」
「は?もう言わねーやィ!」
「いいじゃん!2回も3回も変わんないって!減るもんじゃあるまいし」
「
ナマエ、テメェ次同じ事言ってみろィ…今度は屯所内でキスすっからな!」
「えぇっ⁉︎」
「
ナマエが恥ずかしそうにするのは、堪んねぇでさァ…それに、他の奴らに対して俺の女って知らしめることもできまさァ」
ニヤリと笑みを浮かべながら話す総悟に、
ナマエはただ謝るしかなかった
「わがまま言って、すいませんでしたァァ~!一回言ってもらえただけで十分です」
「分かればいいでァ」
好きな奴ほどいじめたくなるなんざ……
はっきり言って、中二レベルの恋愛でさァ
でも、
ナマエの嫌がる顔も…もちろん嬉しそうに笑う顔も…全部俺だけのもの
そんなこんな恋心――…
the END