場所を近くのカフェに移す
しばらく2人の間を沈黙が流れるーー
銀時は、
ナマエが話し出すのを待っているようにも見えた
そしてゆっくり
ナマエが口を開いた
「銀さん……私、真選組で働くことにしたんです」
「なんでまた急に?もしかして奴ら強引に――」
「い、いえ、お願いはされましたけど、決めたのは自分です。近藤さんや土方さんには日頃お世話になってるんで、私が力になれるならって思ったのもあるんですけど……」
「
ナマエちゃん……」
「それに私、強くなりたいんです」
ナマエは真っ直ぐ銀時を見据えて言った
「まだ土方さんには言ってないんですけど、剣術も教えてもらいたいなって思ってます」
ナマエのいきなりの発言に、銀時は慌てて言い返す
「いやいやいや、百歩譲って真選組で働くのはいいとしてだよ?何でまた剣術っ⁉︎
ナマエちゃんには、んなもん必要ねーだろ⁉︎」
そう言う銀時に対し、
ナマエが真剣な眼差しを向ける
「ダメなんです!私、強くなりたいんです!」
「何でそんなに強さにこだわんの?いざとなれば銀さんが守って――」
「私、守られるばかりじゃ嫌なんです!みんなと同じ視点に立ちたい……」
「
ナマエ……?」
「それに……銀さんは他に守るべき人がいるじゃないですか……」
「……え?」
「あっ、いや、何でもないです!」
言葉を誤魔化す様に微笑む
ナマエに、銀時はどこか違和感を感じた
「まぁ、しばらくは新しい仕事を覚えるので、いっぱいいっぱいになりそうですけどね……」
「そ、そっか……」
「そう言えば、銀さんさっきはどうしてあそこに……?」
「えっ、そ、その~……ほ、ほら、来週夏祭りあんじゃん、毎年恒例の。それによォ、一緒に行かないかなぁ~って思って――」
「お祭りですか?」
「も、もちろん新八と神楽もいんだけどよォ……どう?」
銀時は、
ナマエの反応を伺いつつ問いかける
「……行きたいです!仕事が休みかは分からないですけど……また聞いてみますね」
そう言った
ナマエがまたやるせなく微笑むーー
銀時は若干の隔たりを感じながらも、
ナマエを祭りに誘うことができ、安堵の表情を浮かべる
「まぁ、俺の話はそんだけだから」
「じゃあ、私行きますね……」
「おぉ、またーー」
銀時が
ナマエの去り行く後ろ姿を見送る
そしてしばらくその場に留まり、天を仰ぎ見た
つづく