第14章 戸惑い
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そしてーー…
ナマエのバイトが終わる時刻となった
着替えて帰ろうとした時、不意に店長に呼び止められる
「ナマエちゃん、これ取引先の人からもらったんだけど、たくさんあるから持って帰ってよ」
「あっ、いちごじゃないですか!」
「ナマエちゃん、いちご好きでしょ?遠慮しなくていいから」
「ありがとうございます!」
意気揚々とした帰り道…
かなり沢山貰ったので、1人じゃ食べきれないと思ったナマエは、自然と万事屋に足が向いていた
(銀さん、これでケーキとか作ってくれないかな~…って、何か今日はずっと銀さんの事ばっかり考えちゃってるな…)
そうこうしてるうちに万事屋に到着する
階段を上り、勢いよく玄関の戸を開ける
「こんにちわ~」
「は~い、どちら様ですか…?」
奥から出てきたのは新八だ
「あれ?ナマエさんじゃないですか!どうぞ、上がってください」
「お邪魔しま〜す!」
いつのもの様に部屋に通されると、神楽と定春が出迎えてくれた
「ナマエ!遊びに来てくれたアルか?」
「うん!それと、バイト先でいちご貰ったから、みんなで食べようと思って――…」
そう言いつつ、ナマエはいちごが入った袋を掲げた
「いいんですか?」
「ひゃっほーい!早く食べたいアル!」
そんな2人をよそに、やっぱり気にかかるのは銀時の事…
ナマエは無意識にあたりを見回していた
「新八くん、あの――…」
「あっ、銀さんですか?銀さんなら午後からちょっと吉原の方に行ってまして…」
「そうなんだ…」
「最近何かと呼び出されることが多いらしくて…僕らはまだ詳しい事は良く分からないんですけど、何か起こってるみたいなんですよ」
「そ、そっか」
「たぶんそろそろ帰って来ると思うんですけど――じゃあ、僕、いちご洗ってきますね」
「うん、お願いします」
そう言いながら、ナマエは吉原について、思考を広げるーーそれは必然的に月詠と繋がる事を意味する
(吉原か…確か吉原炎上の時や蜘蛛の件も全部銀さんが解決したって、前に新八くんから聞いたっけ…
やっぱり、吉原のみなさんは銀さんの事を頼りにしてるんだろうなぁ…なんてったって吉原の救世主様だもんね…
日輪さんに晴太くん、そしてきっと月詠さんも……)
「ナマエ、どうかしたアルか?」
「い、いや、何でもないよ」
そこに洗ったいちごを持って新八が戻って来た
「はい、いちご持ってきましたよ!せっかくなんで先にいただきますか」
「うん、2人とも食べて食べて!」
「いただきま~す」
そう言うと、神楽は両手でいちごを掴んで食べ始めた
「ちょっと神楽ちゃん!1人で全部食べちゃダメだよ!そんなたくさん食べたらお腹壊しちゃうよ?」
「大丈夫アル!私の胃袋は宇宙ネ!」
「どっかで聞いたことあるようなセリフだな…」
そんな中ナマエがふと呟く
「銀さんと月詠さんって、お似合いだよね…」
「「……えっ⁉︎」」
新八と神楽が顔を見合わせ目を丸くする
一方ナマエは遠くを見据え、その表情はどことなく憂いを帯びて見えた
「ど、どうしたんですか、急に⁉︎」
「いきなり何を言い出だすアルか⁉︎」
「…え?何かふと思ったと言うか…前から何となく感じてたと言うか…2人もそう思わない?」
「えっ、ぼ、僕らは――」
「何を言ってるネ!銀ちゃんは――…」
「あっ、ちょ、神楽ちゃん!」
新八は慌てて神楽の口を塞ぐ
塞がれた神楽は、モゴモゴと息苦しそうにしている
「そんな事ないと思いますよ!その…至ってい普通だと思いますよ!そう、普通ですよ、あの2人は!」
銀時の本心に何となく気付いている新八は、どうにか誤魔化すのに必死だったが…一方の神楽はと言うと、新八の手を跳ね除け――…
「ん~ん~!プファッッ!いきなり何するネ⁉︎」
「何するって、神楽ちゃんが余計な事を言おうとしたから――」
「何が余計ネ?あっ、そう言えば銀ちゃんとツッキーはちちくり合った仲アル」
神楽が得意げに口にする始末…
見かねた新八がまたもやフォローを入れる
「神楽ちゃん!そんな言い方したら、ナマエさんが勘違いしちゃうでしょ⁉︎ナマエさん違いますよ?アレは事故と言いますか――…」
「やっぱりお似合いだな…銀んさんと月詠さん…」
「ナマエさん…」
「そんな事ないネ!銀ちゃん、何かにつけてもナマエの事気にしてるアル!」
「それは銀さんが単に優しいからで――」
ナマエが言いかけた時、玄関が開く音がして、話し声が徐々に近づいてくる
「だからよォ――…」
「いや、それはわっちが――…」
「戻ったぞ~」
「すまぬ、ちょっと邪魔するぞ」
「あっ、銀さんお帰りなさい。月詠さんも一緒ですか?」
「…あれ?ナマエちゃんも来てたの?」
「お、お邪魔してます…」
渦中の人物の登場に、ナマエは気まずさを隠し切れず、思わず顔を背ける
「わ、私そろそろ帰るね!そう言えば、この後用事があったんだった」
「え?せっかく銀さん帰って来たのに、もう帰っちゃうの…?」
「すみません、銀さん!あつ、いちご、持ってきたんで食べてください。よかった月詠さんも!そ、それじゃあーー…」
「えっ、ちょ、ナマエちゃんんっ⁉︎」
銀時が呼び止めるが、それから逃げるようにナマエは万事屋を後にした