第10章 前振り
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ここはスナックすまいる
今夜、お妙を指名したのは近藤ではなく――…
「土方さん、あなたが1人で来るなんて珍しいですね。また厄介な話ならお断りですよ」
「い、いや、そんなんじゃねーが…あのだな~…」
「何ですか?」
「ちょっと付き合ってほしいんだが…」
「えっ⁉︎こ、困ります!上司と部下で私を取り合うだなんて…」
「いや、違うつーの!そーゆー付き合うじゃねーし!」
「じゃあ、何ですか…?」
「実は――…」
そう言いつつ、土方は少し照れ臭そうな表情を浮かべた
数日後――…
かぶき町を、2人並んで歩く土方とお妙の姿があった
「まさか、土方さんがプレゼントを一緒に選んでほしいだなんて――」
「俺ァ、女が何欲しいだとかその辺には疎くてな…やっぱり女に聞いた方が早ェだろ?」
「鬼の副長さんでも、そーゆー可愛いらしい面をお持ちなんですね」
「う、うっせーよ!」
クスッと微笑むお妙の傍らで、土方が赤ら顔を隠す様にうつむく
そう…土方はナマエへのホワイトデーのお返し選びをお妙にお願いしたのだ
しばらくして、不意にお妙が立ち止まる
「あっ、これなんてどうですか?」
そう言ってお妙はとある店を指さした
「髪飾りか…」
「行ってみましょう」
お妙に連れられ土方も店内に入る
ずらりと並ぶ商品を見ながら“どれも同じに見えるな”…と思っていた矢先ーー一際綺麗で目を引くものがあった
「これにすっかな…」
土方はその髪飾りを手に取りレジに向かう
その途中、ふとお妙に話しかける
「お前にも買ってやるよ。今日付き合わせちまった礼だ」
お妙は一瞬目を見開くが、素早く切り返した
「土方さん、私はこんな安物なんていりませんよ。買ってくれるなら、もっと高いブランド物にしてくれませんか?」
「お前なァ…」
「冗談ですよ!お礼なんていりませんよ。それよりあのゴリラ…なんとかしてくれません?」
そう言うお妙が指差す方向を見ると、電柱の陰に近藤の姿があった
「トシ~…俺ァ、お前とお妙さんがそーゆー関係だったなんて全っ然知らなかったぞォ~俺ァお前はてっきりナマエちゃんの事が好きだとばっかり思ってたのによォ~」
「お~い、近藤さ~ん。アンタの言ってる事何にも当たっちゃいねーぞ?」
「なんだよ、トシなんてトシなんて……大っ嫌いだ‼︎バーカバーカ‼︎」
そう言って、近藤は泣きながら走り去って行った…笑
「あ~ぁ…めんどくせーなァ…」
「やっぱり土方さんも――」
「…あ?」
「いや、何でも…喜んでもらえるといいですね」
お妙はニコリと微笑んだ