第9章 それぞれの憂鬱
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一方万事屋では――…
時刻は午前8時…新八だけが起きていて、いつものソファーに座っていた
銀時と神楽はまだ寝ている
昨日の事があって、銀さんがへこんでいないか少し気にかかる
ナマエさんを送っていった後、しばらくして帰ってきた銀さんは、シャワーを浴びてから寝たようだ
特に変わった様子もなかったが…まぁ、さすがに自分が気になっている…と思われる相手が、あんなことしているのを目の前で見せつけられたら、さすがの銀さんも落ち込んでるんじゃないのかなぁ…
とにかく、神楽ちゃん起こして作戦会議しなくちゃ‼︎
新八は、神楽が寝ている押入れの戸をピシャリと開けた
「神楽ちゃ~ん!ねぇ、起きてよ神楽ちゃ~ん‼︎」
そう言いつつ体を揺さぶると、寝癖頭の神楽が目をこすりながら大きなあくびを1つ
「新八ィ~何アルか?寝不足は美容の大敵アルよ。もう少し寝かせろよ~このダメガネが!」
「…もう起きてもいい時間だよ…それより銀さん、昨日の事へこんでないかなぁ?」
「昨日?あ~あれアルか?まぁ、男は過去を引きずる生物らしいアル。それにSは打たれ弱いって沖田も言ってたネ。銀ちゃんもきっと打ちのめされたアルよ」
「じゃあさ、少しでも元気出してもらう為に、僕らもできる限りのことをしてあげよーよ」
「うん、そーアルな!」
2人で話していると、後ろの方から声が聞こえてきた
「お前らそこで何してんだ?」
振り返ると、そこには眠そうにあくびをしながら頭をカシカシと掻いている銀時が立っていた
「ぎ、銀さん⁉︎お、おはようございます」
「銀ちゃん、おはよー」
「新八ィ~、今日はお前が朝飯当番だろ?早く用意しろよ~」
そう言って、銀時は洗面所に向かった
「よしっ、作戦実行と行きますか!」
顔を見合わせ、新八と神楽はコクリとうなずき合う
顔を洗って戻ってきた銀時が食卓を見ると、自分の前には宇治金時丼とケーキとパフェにいちご牛乳
新八と神楽の前には質素な卵かけご飯が置かれていた
「……ッ⁉︎」
「銀さん、どーかしました?」
「えっ、何にこれ⁉︎何で俺だけこんなに沢山⁉︎何この特別扱い⁉︎…ハッ‼︎もしかしてお前ら……」
ヤバいっ‼︎
僕らが昨日のことで、気を遣っているのがバレた…⁉︎
「今日って、俺の誕生日か…?」
そんな新八の焦りとは裏腹に、銀時は全く気付く気配がない様子だ
「アンタ、自分の誕生日も覚えてないんですか…?」
「それ食べて、嫌な事なんて全部忘れるアル!長い人生ネ、生きてりゃいいこともあるネ!」
「と、とにかく食べてくださいよ!」
「…?まぁ、遠慮なくいただくけどよォ」
そう言うと銀時は、ガツガツ食べ始めた
あ、あれ…?なんか思ってたより、銀さん元気な感じ?
僕らが心配する程じゃなかったのかな?
そんな新八をよそに、神楽が思わぬ事を話始める
「もともとナマエは、銀ちゃんには高値の花だったネ。目の前であんなチュー見せつけられたら諦めるしかないアル」
うんうんとうなずきながら神楽はさらに続ける
「でもナマエの相手が、あんなドSヤローだったとは…そこだけは納得いかないアル!きっとナマエ、アイツに騙されてるネ!銀ちゃん、ナマエを救い出せるのは銀ちゃんしかいないアル!」
そう言ったかと思うと、再びご飯をガツガツ食べ始めた
(えっ…えェェェ~‼︎
ちょっとこの子、何かとんでもない事言いだしちゃたんですけどォォ〜⁉︎
そんなあからさまに言ったら、何かこっちまで気まずいんですけどォ~‼︎)
新八の悲痛な叫びが脳内でこだまする
「か、神楽ちゃん⁉︎」
「ん?新八、何アルか?」
「何じゃねーよ‼︎どーしてくれんだよ、この空気ィ⁉︎ぎ、銀さん、あのですね――」
バツの悪そうにしている新八をよそに、銀時はカシカシと頭を掻きながら、めんどくさそーにしている
「何かおかしいと思ったらそんなことかよ」
「すいません…でも、昨日はナマエさんの反応からして、単なる事故みたいにも見えましたけど…銀さんはどう思います?」
…し、しまった‼︎銀さんに話をふってしまった‼︎…と、質問を投げかけた後に新八はハッとした表情を浮かべる
「あっ、いや~その…」
「どーって、別にどーもねェだろ?大体ナマエも大人なんだし、他人が口挟む事じゃねーだろ?つーかお前ら、銀さんがへこんでるとでも思ったわけ?」
「えっ…ま、まぁ…」
「男は繊細な生物だって、マミーかま言ってたアル」
「おいおい、俺を誰だと思ってんの?そんな事で一々へこむわけねェだろ?中二じゃあるまいし…大人にとっちゃ~あんなの日常茶飯事だっつーの!」
銀時はそう言うと、そのまま食事を続けた