そう……
ナマエは、あの時俺をかばって死んだんだ……いや、俺が殺しちまったようなもんだな。
それはどう足掻いても消えない過去──
もし、高杉の言うことが本当だとしたら……今ここにいる
ナマエは、本当にあん時の
ナマエなのか……?
にわかには、信じ難い……
ナマエに初めて会った時にも、そんなことは一切感じなかった。
もちろん、あの日の出来事を忘れたわけじゃねェが……でも、無意識の内に思い起こさないように、心に蓋をしちまってたとしたら──そのせいで気づかなかったということか……? いや、それはあり得ねぇ……
そう思いながら、再び葉桜を仰ぎ見る。
「……ん?」
ポタリと顔に滴が落ちてきた。
「雨か……」
ナマエは今頃
土方の傍にでも居んのか……? まぁ、当然だよな……
結局
ナマエを守ったのは土方で、俺はまた守られちまっただけだ。
雨は次第に激しさを増す。それは、すべてを受け流しているかの様だった。しかし、俺には消えないシミを全身に付けられているかのように感じた。
「痛ェ……」
切られた傷から、血が滴り落ちていた。
それでも銀時はその場から動こうとせず、雨に打たれながら、たたずんでいた。
つづく