近藤達から詳しい話を聞いた銀時ら万事屋メンバーは、困惑した表情を浮かべていた。
「そうだったんですね……月詠さんが言ってた件もこれで繋がりましたね」
「そんなの知ってたら
ナマエを1人になんてしなかったアルよ! ねぇ、銀ちゃん?」
「あ? あぁ……」
神楽の問いかけにも銀時の反応は薄く、何か考え事をしているような感じだ。
「土方さん、
ナマエのスマホには確かGPS機能付いてやせんでしたかァ?」
「あぁ……だが電話も繋がらねーし、足取りを辿ろうにも全く標示しなくてな……」
「トシ、その様子だとスマホは奴等に見つかって破壊された可能性が高いな……」
「それじゃどうやって
ナマエさんを探せば……」
近藤や土方が苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべる。
打つ手はもうないのか……そう思った時、押し黙っていた銀時が、ようやく口を開いた。
「んなもん、しらみ潰しに探すしかねーだろ?」
「そ、そうですよね!」
「
ナマエなら大丈夫アルよ! 絶対私たちが見つけ出して見せるネ!」
「こっちも何か新たな情報を掴み次第連絡するからよろしく頼むよ、万事屋」
「んじゃ、とりあえず今日は解散っつーことで」
そう言うと銀時はおもむろに立ち上がり、屯所を後にした。しかし、外に出たところで、銀時はふと足を止める。
「ん? 銀さんどうかしましたか?」
「あ〜、銀さんちょっと野暮用思い出したわ。悪ィけど、お前ら先帰っててくんない?」
「野暮用って……こんな時に、一体何ですか?」
「まぁ……色々? とりあえずちょっくら行ってくるわ」
「え、ちょっと銀さん⁉︎」
新八の呼び掛けを後目に、ヒラヒラと手を振りながら、銀時は万事屋とは反対方向へと歩いて行ってしまう。
そしてしばらく歩いたところで、さっき万斉から受け取った紙切れを取り出した。
それを見ていると、後方から思わぬ人物が声をかけてきた。
「どこに行くつもりだ……?」
銀時が振り返ると、そこに立っていたのは土方だ。
「あ、あれ~? 鬼の副長さん自ら見送りですかァ? 大変ですねェ」
「誰がてめーの見送りなんざするかよ⁉︎ ふざけんな!」
「あれ? 違うの?」
「んなこたァどーでもいい……とっとと質問に答えやがれ! どこに行きやがるってきいてんだよ⁉︎」
「ち、ちょっと厠へ?」
ヘラッと笑いながら誤魔化す銀時に、土方が鬼の形相で詰め寄る。
「お前……何か隠してねーか? 本当は
ナマエの居場所、知ってんじゃねーのか?」
「…………」
「まさか1人で乗り込むつもりか? 今や鬼兵隊サイドにはあの夜兔族がついてるって噂だ……そんなところに1人で行ったって、無駄死にしに行くようなもんだろ?」
そんな土方の問いかけに、銀時は静かに答えた。
「……だがよォ、それでも守りてェもんがそこにあらァ行くしかねーだろ?」
「万事屋、お前……」
「つーか土方くんも1人で何してんの? 他の連中はどーした?」
「そ、それは……いくら警察とは言え、知人1人の為にそう何人も人員を費やせねーのが現実……所詮俺らは幕府の犬でしかねーってことよ…だがなァ……」
そう言うと土方は、煙草の煙を吐き出し、さらに続ける。
「てめーの大切なもん1つも守れねーで、どうして江戸の町を守れるかっつーんだよ⁉︎ だから、俺ァ1人でだろーが
ナマエを助けに行く……」
話を黙って聞いていた銀時は、ふいにカシカシと頭を掻きだした。
「ふ〜ん。つまりあれだ! 土方くんは
ナマエの事が好きってこと?」
「は、はァ⁉︎ 何でそーなんだよ⁉︎」
「いや、だってよォ……大切なもんってそーゆーことなんじゃねーの?」
「そーゆーてめーも、
ナマエに惚れてんだろ⁉︎」
「あ……バレてた?」
ヘラっと言ってのける銀時に、土方はため息混じりに続ける。
「まぁ、今はてめーと言い争ってる暇はねェ……
ナマエを早く見つけることが先決だ」
「それはこっちの台詞だ、コノヤロー! とりあえず今は、一次休戦っつーことで」
「行くか……奴等のところへ──」
銀時と土方の2人は一路、
ナマエがいるであろう高杉ら鬼兵隊のアジトへと向かった。
つづく