第17章 金魚すくい
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
週末──
今日は夏祭り。
ナマエと万事屋の3人は、昼過ぎからスナックお登勢を訪れていた。
「これでよしっと。なかなか似合ってるじゃないかィ」
「本当ですか? ありがとうございます!」
仕上げの合図と言わんばかりに、お登勢が締めた帯をパンっと叩く。
ナマエは、振り向きながら笑顔をむけている。
そこに、同じく先に着付けてもらった神楽もやって来た。
「ナマエも終わったアルか? おぉ〜、すっごくかわいいアル!」
「ありがとう、神楽ちゃん! 神楽ちゃんも浴衣似、合ってるよ」
「当たり前ネ!」
「何言ッテルンダヨ! ソウ言ウノヲ、馬子ニモ衣装ッテ言ウンダヨ!」
「うるさいアル!」
「2人ともやめないかィ」
そうこうしてると、新八と銀時もやって来た。
「準備できましたか?」
「はい! お待たせしてすみません……どうですか?」
「すごく似合ってますよ! ねぇ、銀さん?」
「え? そ、そうだな……」
照れ隠しなのか……ナマエを横目で見ながら、銀時はうつ向きがちにカシカシと頭を掻いた。
「ほ、本当ですか……?」
「銀ちゃん、あたしはどうネ?」
「あ? お前は馬子にも衣装な」
「さっきからそればっかりアル! なんでみんな素直に可愛いって言えないネ!」
「うっせーなァ、さっさと行くぞ」
そんないつものやり取りを見て、ナマエは安堵の表情を浮かべた。
実はあの日以来、銀時と会うのは久しぶりだった。次に会う時はどんな顔をしたらいいか──あれこれ考えていたが、拉致があかないと思い勢いで来てしまったものの……案外銀時の対応は依然とあまり変わらない様に思えた。
だか、夏祭りに行くにあたり、少し引っ掛かることもあった。
それは、土方に夏祭りの事を話した時の事──
「夏祭り?」
「はい、銀さんたちに誘われて、その日お休みをいただきたいんですけど……」
「…………」
ナマエの申し出に、土方が少し渋い表情を浮かべる。そこへ近藤が現れた。
「たまにはいいんじゃないのか、トシ?」
「だが近藤さん、前にも祭りで一騒動あっただろ? 確か騒動を起こしたのは平賀源外……しかし、裏で糸を引いていたのは──」
「騒動……?」
「あ……い、いや──」
ナマエが不思議そうに首を傾げる傍で、土方が悟られまいと慌てて口をつむぐ。
「あっ、さてはトシ〜、ナマエちゃんが万事屋と一緒に行くってのが気に入らないとか?」
近藤はニヤリと笑みを浮かべながら土方に視線を送る。
「そ、そんなわけねーだろ⁉︎」
「まぁ、俺たちは警備を強いられてるから一緒には行けないが、現場にはいるから、何かあれば直ぐに駆けつけられるしな……折角だし、行ってきたらいいよ!」
「本当ですか⁉︎ ありがとうございます」
「それに……万事屋がついてれば大丈夫だろ……なぁ、トシ?」
「…………」
土方が“万事屋”の言葉に、怪訝そうな表情を浮かべる。そして、チッ……と、舌打ちをしながらタバコを吹かす。
そんな2人のやり取りを聞いていたナマエが、不意に問いかける。
「あの~何かあったんですか?」
「ん? どうして?」
「いや、単なる夏祭りなのに、真選組が警備しなきゃならないなんて……」
「まぁ、念には念をってね! あーゆー浮かれた集いが一番狙われやすいんだよ」
「そうなんですね……」
「ナマエ……些細な事でも何かあったらすぐに連絡しろよ?」
「分かりました」
夏祭りに行けることに対して、密かに笑みを浮かべる。
そんなナマエを横目で見ながら、土方はどこか胸騒ぎを覚えていた。