吉原からの帰り道――
銀時は
ナマエの事を思い浮かべていた。
そして、つい数時間前の自分の行動を思い返した。
(もしも……
ナマエにちゃんと想いを伝えていたら……もしかしたらーー)
柄にもなくため息を漏らす。
(でも、今更“タラレバ”の話をしても仕方ねぇがなァ……
だが、あんな曖昧な態度じゃなァ……そりゃあーゆー解釈もされるっつーのな……
そろそろ、腹ァくくって自分の気持ち、伝えた方がいいのか……でもーー)
そんな思考を巡らせながら、銀時はカシカシ頭を掻いた。
(今、フラれたらどうしようなんて思うなんざ、柄にもねぇ……俺ァいつから、こんなヘタレになっちまったんだァ⁉︎ 月詠にはあんな偉そうに言っておきながら……全くどーしよーもねぇや……)
銀時が足取り重く、万事屋へと帰る頃ーー
とある場所でも――
ここは宇宙船の船内ーー
物思いにふけっているかの様に、窓際に高杉がたたずむ。
真っ暗闇の宇宙から向かうは地球……
「晋助様~これから江戸に向かうって……急にどうしたんッスか?」
また子が話しかけた。しかし、高杉は振り向きもせずに答える。
「ちょっと、忘れ物を取りに……な」
「忘れ物……?」
「置いてきた……の間違いじゃないでござるか?」
後方から万斉が現れる。その問いかけに、些か疑問を浮かべた、また子が問いかける。
「一体何なんッスか? その晋助様の“忘れ物”って……?」
「まぁ、江戸に着く頃には分かるでござるよ」
「その口振りだと、大方居処は掴んでいるのか、アイツの……?」
「大体は……と言ったところでござるよ。にしても、どうして今ごろになってこんな行動をとるのか……理解に苦しむでござるな」
その言葉を聞いて、高杉はクククっと笑みを浮かべる
「……たまにはいいだろ? それに、次に壊すのはーー」
再び高杉が窓外に目を向けるーー
不穏な時が訪れようとしていることに、間違いはなさそうだ。
つづく