最高にくだらない物語
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花宮くんの家に避難して数日
痛みに鈍感なこの体は、傷が癒えずともそれなりに動けるようになってきていて
ただ、ぱっくりざっくり切れた足裏だけは気を抜けば傷が開いて再出血しそうなので注意を払ってはいるのだが
……数日と言えど、さすがにこの現状はどうなのだろうか、と訴えかけてくる自分がいるのは確かで
いや今更とか突っ込まないで、さすがの私も多少錯乱してたと見逃していただきたい
足裏が治らないことには外にも出られない
つまり家にも帰れない
あの家から脱出出来ない体では、既に壊れ掛かっている心が完全に壊れてしまうのは目に見えていて怖い
花宮くんが何にも言わないのをいいことに、居座る私は、随分肝が据わっているのだろう
…いやでも、ほんとどうしよう
「おい」
『なんでしょう』
「余計なこと考えるな」
『…必要なことだと思うのですが』
フン、と鼻を鳴らした花宮くんがそっぽを向く
まぁ、怪我が治らないことにはこの家を離れることが出来ないのは事実な為今はなるべく安静にして、傷が治るのを待つことしか出来ない
なんと言うか…、ほんと察しのいい人だな、何も言ってないし顔にも出てないと思うのに
ダラダラ、と何もせずに無為に過ぎていく時間が、どうにも心地よくて
逃げ出してしまったことを、少しだけ後悔している
もう元の生活に戻れないのでは無いのか、そんな不安が纏わりついて
『いたっ…』
「余計な事考えんなつってんだろ」
『する事ないと思考が引っ張られるもんなんです』
「はっ」
…鼻で笑われた
ほんとこの人この歪んだ本性をよくあそこまで徹底的に隠すことができるよな…
ストレスじゃないのかな、ある意味マゾなんじゃ…
そんな失礼な事を考えていたのがバレたのか、思い切りデコピンを食らった、痛い
『ねぇ、何か仕事ちょうだい』
「家事やってんだろ」
『そんなんすぐ終わっちゃうじゃん』
そう、この家にタダで住み着く訳にもいかない為家事は言われるでもなく買ってでた
買い物にはまだ行けないのでそれは依頼して
家の中くらいなら、気を付けてさえいれば歩き回ることは可能になってからだけど
けどそんなのは1日掛かってするものでは無い
家の造りには慣れないがやっている事はいつもと同じなので、そんな手間取ったりするものでもなくて
なんてただをこねていたら花宮くんはふとリビングから出て行くと、数分も経たない内に数枚のDVDと数冊の本を持って帰ってきた
『バスケのルールブック?』
渡された本を見ると、全部バスケのルールブックで
暇潰しに読んでみれば、という事なのだろうか
そんな事を思っていたらテレビをつけた花宮くんがDVDをセットし、映像が流れ出す
どうやら試合の様子を撮ったものらしい
ルールは授業で習った程度でほぼほぼ無知だけども
「何か気付いたことあったら言え」
『えー…?』
そんな事を言われたって…
そう思ってもまぁ珍しく私の暇潰しに付き合ってくれる様なので大人しく見ておく
あ、これ一応霧崎の試合なんだ
それはちゃんと見ておかないとかも
『…バスケの試合って初めて観たけど、何かボードゲームみたい』
「ボードゲーム?」
『頭脳戦って言うの?相手チームはそうでも無いけど霧崎はなんて言うかどんどん逃げ道塞いでるみたいな…
詰将棋って言うんだっけ?又はチェスみたいな
王手、チェックメイト、って言われてもおかしくないような試合の終わり方だなぁって』
試合を観終わって一番最初に思った事はそれだった
相手が次どう動くか分かっているかのような、そんな動き
それを相手には悟らせない、時として抜け道も残しておいて
全ては掌の上、みたいな試合展開
何にも知らない私みたいな人間でもそう思うのだから、意外とバスケって言うのは頭を使うスポーツなのかもしれない
いや、スポーツって基本的頭使うんだろうけど
「へぇ?」
『え、何か間違ってた?』
「いいや?その試合は瀬良が言ってた事で間違いねぇよ
そういう試合展開にした」
『した、って事は花宮くんがゲームメイク?ってのをしてんの?』
「…お前マジで知らねぇのか?俺は主将兼監督もしてんだよ」
『…それは凄いね?』
それがどれだけ凄い事なのか、という事は本当の意味では分かってないのだけど
そんな私の思考等お見通しとでも言うかのようにまた花宮くんは鼻で笑う
…こんなに鼻で笑うと言う所作が似合う人ってなかなか居ないよな
不名誉だと思うけど、いやこの人にとってはある意味名誉か
「おい」
『何も言ってません』
エスパーかな?何も言ってないよ?ほんと顔にも出ないタイプよ?
そんな分かりやすいのかな、私
「にしてもよく気づけたな?バスケはほぼ初見だろ?」
『知らないから余計そう言う所が目に付いたのかも
あとこの人途中から足庇ってる
霧崎のこの目が見えてない人と接触した後からだよね、ラフプレーって奴?』
「…へぇ?」
『人間観察は得意なんです』
「それで?何か説教でもするか?」
『え、私がそんなタイプに見えます?このカメラアングルならもしかしたら映るかも知れないから気を付けた方がいいですよ?』
「ふはっ、説教してんじゃねぇか」
『説教じゃないです、アドバイス』
大体君が下衆なのは知ってるし、そもそも私がそんなラフプレーに嫌悪を示すような人間ならこんなもの観せない
ましてや花宮くんが毛嫌いするタイプの人間を匿うなんてそんな事するはずが無い
それくらい、私にだって分かるんだから
『それでこれを私に観せてどうするつもり?怪我でも治ったら部活の雑用でもさせる気?』
「よく分かったじゃねぇか
後はこれ」
『ノート』
「これは俺が纏めた奴
参考にでもしてデータを纏めてろ、丁度いい暇潰しだろ」
『……わぁ、楽しそう』
主将も監督もやってデータ纏めまでする時間が無いのだろうか
いや、この人は人に任せて後から修正、なんて二度手間は嫌いそうだからしないだろうし、恐らくその位の仕事なら自分でやってのける
情報の分析、では無くて集めてある情報を纏めるだけの簡単お仕事
それくらいなら任せてもいいだろう、とある意味認められたが故のお仕事
『確かに没入出来そうな仕事かも』
「分かりやすいものを期待してるからな」
『心にも無いことを』
大体のことを人並み以上、若しくは完璧にこなせてしまうこの人が他人に期待なんてすることは無いだろう
精々自分の足を引っ張らない程度の仕事が出来たらそれで及第点
与えた仕事をきちんとこなせばそれなりに使える奴、と言う評価になりそうな人だ
まぁ、それでも仕事を任されたのなら裏切らないレベルのモノには仕上げようと思う
『纏め方は自由?』
「見やすければな」
『期限は?』
「お前の怪我が治るまでに」
『あらま』
それはそれは、あまり時間は無いようですねぇ
まぁ一日中家の中に居てやらなければいけない事なんてモノは殆ど無いのだし、何とかなるか、多分
借り受けたノートをパラパラと捲ってみる
走り書きになっているところもあれば、綺麗に纏められている部分もあり、整理が追いついていない、というのはもしかしたら有り得る事だったのかもしれない、なんて思い直す
『ルールブックと、この試合のDVDは借りても?』
「その為に持ってきたんだろ」
『勉強します』
「いい心がけだな」
見下すように鼻で笑うこの人は、何故私を此処に置いていてくれるのだろうか
学校での避難場所の提供はしているが、あの場所は別に私の所有地ではない
つまり、私に恩を感じる必要は無い
そもそも恩を感じるような人では無いか
誰かから施しを受けるのは嫌いそうだし、勝手に誰かが彼のためを思って起こした行動だって、理に適っていれば受け入れるがそうで無ければ逆に鬱陶しく思うタイプ、だと思う
だったら多分
『まぁ、どうでもいいけど』
「?何か言ったか?」
『独り言』
私の何を見て、知って、利用価値があると判断したのかは知らないけど
一時的と言えど居場所を与えられる内は知らないフリして利用されておこう
それすらも気付かれているかもしれないけど
なんなりと、どうぞ
(腹の探り合い、にすらなっていないなんて知ってるよ)
痛みに鈍感なこの体は、傷が癒えずともそれなりに動けるようになってきていて
ただ、ぱっくりざっくり切れた足裏だけは気を抜けば傷が開いて再出血しそうなので注意を払ってはいるのだが
……数日と言えど、さすがにこの現状はどうなのだろうか、と訴えかけてくる自分がいるのは確かで
いや今更とか突っ込まないで、さすがの私も多少錯乱してたと見逃していただきたい
足裏が治らないことには外にも出られない
つまり家にも帰れない
あの家から脱出出来ない体では、既に壊れ掛かっている心が完全に壊れてしまうのは目に見えていて怖い
花宮くんが何にも言わないのをいいことに、居座る私は、随分肝が据わっているのだろう
…いやでも、ほんとどうしよう
「おい」
『なんでしょう』
「余計なこと考えるな」
『…必要なことだと思うのですが』
フン、と鼻を鳴らした花宮くんがそっぽを向く
まぁ、怪我が治らないことにはこの家を離れることが出来ないのは事実な為今はなるべく安静にして、傷が治るのを待つことしか出来ない
なんと言うか…、ほんと察しのいい人だな、何も言ってないし顔にも出てないと思うのに
ダラダラ、と何もせずに無為に過ぎていく時間が、どうにも心地よくて
逃げ出してしまったことを、少しだけ後悔している
もう元の生活に戻れないのでは無いのか、そんな不安が纏わりついて
『いたっ…』
「余計な事考えんなつってんだろ」
『する事ないと思考が引っ張られるもんなんです』
「はっ」
…鼻で笑われた
ほんとこの人この歪んだ本性をよくあそこまで徹底的に隠すことができるよな…
ストレスじゃないのかな、ある意味マゾなんじゃ…
そんな失礼な事を考えていたのがバレたのか、思い切りデコピンを食らった、痛い
『ねぇ、何か仕事ちょうだい』
「家事やってんだろ」
『そんなんすぐ終わっちゃうじゃん』
そう、この家にタダで住み着く訳にもいかない為家事は言われるでもなく買ってでた
買い物にはまだ行けないのでそれは依頼して
家の中くらいなら、気を付けてさえいれば歩き回ることは可能になってからだけど
けどそんなのは1日掛かってするものでは無い
家の造りには慣れないがやっている事はいつもと同じなので、そんな手間取ったりするものでもなくて
なんてただをこねていたら花宮くんはふとリビングから出て行くと、数分も経たない内に数枚のDVDと数冊の本を持って帰ってきた
『バスケのルールブック?』
渡された本を見ると、全部バスケのルールブックで
暇潰しに読んでみれば、という事なのだろうか
そんな事を思っていたらテレビをつけた花宮くんがDVDをセットし、映像が流れ出す
どうやら試合の様子を撮ったものらしい
ルールは授業で習った程度でほぼほぼ無知だけども
「何か気付いたことあったら言え」
『えー…?』
そんな事を言われたって…
そう思ってもまぁ珍しく私の暇潰しに付き合ってくれる様なので大人しく見ておく
あ、これ一応霧崎の試合なんだ
それはちゃんと見ておかないとかも
『…バスケの試合って初めて観たけど、何かボードゲームみたい』
「ボードゲーム?」
『頭脳戦って言うの?相手チームはそうでも無いけど霧崎はなんて言うかどんどん逃げ道塞いでるみたいな…
詰将棋って言うんだっけ?又はチェスみたいな
王手、チェックメイト、って言われてもおかしくないような試合の終わり方だなぁって』
試合を観終わって一番最初に思った事はそれだった
相手が次どう動くか分かっているかのような、そんな動き
それを相手には悟らせない、時として抜け道も残しておいて
全ては掌の上、みたいな試合展開
何にも知らない私みたいな人間でもそう思うのだから、意外とバスケって言うのは頭を使うスポーツなのかもしれない
いや、スポーツって基本的頭使うんだろうけど
「へぇ?」
『え、何か間違ってた?』
「いいや?その試合は瀬良が言ってた事で間違いねぇよ
そういう試合展開にした」
『した、って事は花宮くんがゲームメイク?ってのをしてんの?』
「…お前マジで知らねぇのか?俺は主将兼監督もしてんだよ」
『…それは凄いね?』
それがどれだけ凄い事なのか、という事は本当の意味では分かってないのだけど
そんな私の思考等お見通しとでも言うかのようにまた花宮くんは鼻で笑う
…こんなに鼻で笑うと言う所作が似合う人ってなかなか居ないよな
不名誉だと思うけど、いやこの人にとってはある意味名誉か
「おい」
『何も言ってません』
エスパーかな?何も言ってないよ?ほんと顔にも出ないタイプよ?
そんな分かりやすいのかな、私
「にしてもよく気づけたな?バスケはほぼ初見だろ?」
『知らないから余計そう言う所が目に付いたのかも
あとこの人途中から足庇ってる
霧崎のこの目が見えてない人と接触した後からだよね、ラフプレーって奴?』
「…へぇ?」
『人間観察は得意なんです』
「それで?何か説教でもするか?」
『え、私がそんなタイプに見えます?このカメラアングルならもしかしたら映るかも知れないから気を付けた方がいいですよ?』
「ふはっ、説教してんじゃねぇか」
『説教じゃないです、アドバイス』
大体君が下衆なのは知ってるし、そもそも私がそんなラフプレーに嫌悪を示すような人間ならこんなもの観せない
ましてや花宮くんが毛嫌いするタイプの人間を匿うなんてそんな事するはずが無い
それくらい、私にだって分かるんだから
『それでこれを私に観せてどうするつもり?怪我でも治ったら部活の雑用でもさせる気?』
「よく分かったじゃねぇか
後はこれ」
『ノート』
「これは俺が纏めた奴
参考にでもしてデータを纏めてろ、丁度いい暇潰しだろ」
『……わぁ、楽しそう』
主将も監督もやってデータ纏めまでする時間が無いのだろうか
いや、この人は人に任せて後から修正、なんて二度手間は嫌いそうだからしないだろうし、恐らくその位の仕事なら自分でやってのける
情報の分析、では無くて集めてある情報を纏めるだけの簡単お仕事
それくらいなら任せてもいいだろう、とある意味認められたが故のお仕事
『確かに没入出来そうな仕事かも』
「分かりやすいものを期待してるからな」
『心にも無いことを』
大体のことを人並み以上、若しくは完璧にこなせてしまうこの人が他人に期待なんてすることは無いだろう
精々自分の足を引っ張らない程度の仕事が出来たらそれで及第点
与えた仕事をきちんとこなせばそれなりに使える奴、と言う評価になりそうな人だ
まぁ、それでも仕事を任されたのなら裏切らないレベルのモノには仕上げようと思う
『纏め方は自由?』
「見やすければな」
『期限は?』
「お前の怪我が治るまでに」
『あらま』
それはそれは、あまり時間は無いようですねぇ
まぁ一日中家の中に居てやらなければいけない事なんてモノは殆ど無いのだし、何とかなるか、多分
借り受けたノートをパラパラと捲ってみる
走り書きになっているところもあれば、綺麗に纏められている部分もあり、整理が追いついていない、というのはもしかしたら有り得る事だったのかもしれない、なんて思い直す
『ルールブックと、この試合のDVDは借りても?』
「その為に持ってきたんだろ」
『勉強します』
「いい心がけだな」
見下すように鼻で笑うこの人は、何故私を此処に置いていてくれるのだろうか
学校での避難場所の提供はしているが、あの場所は別に私の所有地ではない
つまり、私に恩を感じる必要は無い
そもそも恩を感じるような人では無いか
誰かから施しを受けるのは嫌いそうだし、勝手に誰かが彼のためを思って起こした行動だって、理に適っていれば受け入れるがそうで無ければ逆に鬱陶しく思うタイプ、だと思う
だったら多分
『まぁ、どうでもいいけど』
「?何か言ったか?」
『独り言』
私の何を見て、知って、利用価値があると判断したのかは知らないけど
一時的と言えど居場所を与えられる内は知らないフリして利用されておこう
それすらも気付かれているかもしれないけど
なんなりと、どうぞ
(腹の探り合い、にすらなっていないなんて知ってるよ)