最高にくだらない物語
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再び始まった奇妙な生活
悪循環だな、なんて事は分かりきっていても、一度知ってしまった蜜の味は甘すぎて
このままではいけない、そんなこと当たり前すぎて、正論過ぎて
その正論が今は煩わしくて、考えたくなくて
あぁ、逃げることを知ると人間は随分と弱くなってしまうモノなんだなぁ
そんな事を考えて自嘲する、ホント情けないな自分
情けなくて仕方ないのに、このぬるま湯に浸っていたいなんてどうしようもない
何を考えているのだろうか、花宮くんは
そこまでの利用価値が私にあるとも思えないのだけれど
あれかな、無料で働く住み込みの家政婦的な感じなのかな
それでもいい、あそこから逃げ出せるのならば何だって
あの、息が詰まってしまう、あの空間から逃げ出せるというのならば
世間一般的に批判されるであろう事でも
『部活?』
「あぁ、雑用くらい出来るだろ」
『…させる為に勉強させたんでしょ?』
「よく分かってるじゃねぇか」
『ジャージ持ってないよ』
「俺の着ればいいだろ」
…貸してくれるんだ
自分の物他人に触られるの嫌がるタイプかと思ってたけど、それくらいなら平気なのかな
ベタベタ自分に触られるのは絶対嫌がりそうだけど
あの優等生の顔貼り付けてやんわり逃げるクセに、きっと内心毒吐きまくってるんだろうなぁ…
うわぁ、想像出来る
「おい」
『何も考えておりません』
「そう言うって事は何か失礼なこと考えてたんだろ」
『そんなことはございません』
「白々しい」
この人ホント絶妙なタイミングで話しかけてくるから、心読まれてそうで怖いんだけど
そんな分かりやすいタイプでも無かったはず何だけどな
そんなことを考えながら投げて渡されたジャージを手に持つ
これは着替えてから行くべきなの?学校で着替える感じ?運動部のシステムって分からないんだよねぇ…
水分とかは…、買えばいいか
ノートとか筆記用具は持って行った方がいいのかもな、私が今までやっていたことを考えると
この人全然説明してくれないからこっちがいろいろ考えて察さないといけないから頭使うんだよなぁ
『ねぇ』
「あ?」
『ジャージって着替えてから行くべきなの?夏休み中に学校行ったこと無い』
「基本は制服で登校だろ」
『制服なんて持ってきてないよ』
「基本は、っつてんだろ
部活の時は別にジャージでいい」
『なら最初からそう言ってよ、回りくどい』
「言うようになったな」
『感謝はしてる、けど過度な遠慮は鬱陶しいタイプだとみたので』
「分かったような口きいてんじゃねぇよ」
『それはごめん』
頭を小突かれた為、そこは素直に謝っておいた
随分力の篭ってないそれに、多少の遠慮と気遣いを感じて、らしくないなぁ、なんてぼんやり思う
まぁ、私の置かれている今の環境を知った上で暴力、という手段は選びにくいのは分かるけど、普通の人なら
この人は普通とは掛け離れた人だから、人並みの気遣いが出来ることに、少なからず驚いた自分がいる
なんて失礼なこと考えていたら多分また心を見抜かれかねないので、そそくさと借りたジャージを持って着替えに出る
出る瞬間にジト目を頂いたので、きっと私の考えなんてものはバレているのだろうけど
*****
花宮くんに連れられてやって来た体育館で、物珍しそうな視線を受ける
まぁ、そりゃそうだよね
花宮くんが特定の誰かと話しているような事なんてなかったし、そもそも交流なんてモノは目に見える形で無かったから
イキナリよくも知らない人間が現れた、と思われたって仕方ないし、事実である
その視線に一緒に晒されているはずの花宮くんは、何食わぬ顔をして私の前を歩いている
凄い度胸だよな、この人
視線に晒されることになれているからなのかな、私はこんなモノになれたくなんかないけれど
「おい」
「んー、花宮今日は遅かったね、って、え?」
「うわ、マジで連れてきた」
「もう手駒にしたのか?」
「うるせぇ、説明しとけ」
ぽいっ、という感じに投げられて、ちょっとぽかん、です
でもまぁ彼等も正直現状を飲み込めていないようなのでお互い様なのかもしれないけれど
『えっと…、お世話になります』
取り敢えず挨拶だけでもしておこうか、と向き直ればこちらもこちらで物珍しそうな顔で私を見ていた
うーん、分かりやすい
当たり前の様に私を連れてきてくれたので、仲間内では話が纏まっているのかと思っていたけど…
よく考えたら、あの花宮くんが態々相談する、なんて事は正直有り得ないな
何て失礼なことを考えていたら、目が合った
だから何で分かるの、距離あるじゃん今
『申し訳ないけど、名前教えてもらえると助かります
私の名前は知ってます?』
「あー、一応」
「花宮が次の手駒にしようとしていた子だしね」
『手駒…』
「おい、原!」
『花宮くんらしい表現方法だね、実際その程度に思ってるだろうし別に気にしないよ』
聞く人が聞いたらそこそこひどい会話ではあるけれど、それはその通り、と思うところがあるので別に気にならない
第一今私は花宮くんに迷惑を掛けている立場であるため、使い道がある、と思われている分には助かると言えば助かる
助かる、は何か違うか
まぁ、そう言った理由で別に手駒と言われた所で傷付きはしないので気にしないで欲しい
『で、君が原くん?』
「そ、原一哉ー、よろしくねん」
『どうも、で私の名前は知ってる?』
「知ってる知ってる
瀬良ちゃんでしょ?瀬良碧羽」
『そう』
それなりに噂されていることは知っていたので、一応聞いてみたが知っているようなので自己紹介は省かせてもらおうかな
この人達も騒がれている人達なのは知っているけど、正直周りに興味がなかったので知らないのが事実
申し訳ないけど、名前くらいは教えてもらいたい
一応顔は見たことあったし、花宮くんのあの態度で同学年である事は分かったので敬語は遣わなかった
花宮くんとの初対面は、ちょっと警戒していたのがあったので敬語だったのだけれど
それぞれ名前を名乗ってもらって(一人は寝ていたので山崎くんの代弁だったけど)、私が来ることを知っていたのか確認する
と、やっぱり急に連れてきたらしく、そもそも私と交流があった事すら知らなかったらしい
まぁ、旧校舎だけでひっそりと関わってただけなのでそれは別に驚きもしないけれど
「むしろ瀬良ちゃんは自分が何で此処に呼ばれたか知ってんの?」
『説明はされてない』
「自由な奴だなー、アイツ」
『まぁ、それはそうなんだろうけど
でも何となく理由はわかってるから、別に大丈夫』
「分かってんだ?」
『雑用くらいなら出来ると思うから、その辺りの説明してもらえると助かる』
淡々とそう伝えると、驚いたような、感心したような、そして納得したような瞳を向けられる
驚くのは分かるけど、感心するのはよく分からない
そう言う事なら、と古橋くんが説明役を買って出てくれたので大人しく後に続く
ぴくりとも表情の変わらない彼は、淡々と物品の場所やメニューについての説明をする
それを大人しく聞いて、時々メモして、と繰り返していればあらかた説明が終わったのか無感情な視線が頭上から降る
『?何か?』
「どうやって花宮に近付いたんだ?」
『どっちかというと向こうからでしたが』
「珍しいこともあるんだな」
『そうなんですね』
何か緊張して敬語になった
さっきまで結構フランクに話してたと思うのに
教えてもらっている立場、と言うのが余計拍車を掛けているような気もする
何の感情も読み取れない目は少々恐怖を感じる
けれどじっとその目を見返していると、興味をなくしたように視線を逸らされた
「まぁ、花宮が連れてきて花宮が決めたことなら文句は言わないが
迷惑掛けるようなことはしないでもらいたい」
『…そのつもりではいますが、不慣れな事なので手間取ることもあると思うので、その辺りは容赦してもらいたいです』
「大した期待はしていない」
『ならよかったです』
あの花宮くんが連れてきた子だから、って過大評価されたらこっちだって困る
別に時間を持て余してる私を、雑用係くらいしてろ、って花宮くんが勝手にほっぽり出しただけに過ぎないから
それくらいしか出来ないって事も、私だって分かっているし
役に立ってやろう、なんて息巻いているつもりもない、迷惑掛けるつもりもないけれど
実際問題、私自身彼から説明された訳では無いので全て推測でしかない
彼の考えなんて分からないし、お互いについて話した訳でもない
ただ、彼が偽善で助けるような人で無いということは、何となく分かっているので考えを汲もうと思考をめぐらしているだけ
私の事を手駒だと思ってくれてる位でちょうどいい
可哀想な奴だとか同情されている方が惨めになって、情けなくなるだけだから
彼の意図を私なんかが正確に汲み取れるとは思っていないけども、使えると思われている内位は多少なりとも役に立っていればいい
私に安息を与えてくれた、それに対するお礼はその程度のことしか出来ないから
君の味を覚えた心臓
(安息を心地良さを知ってしまえば、あの地獄には戻れない)
悪循環だな、なんて事は分かりきっていても、一度知ってしまった蜜の味は甘すぎて
このままではいけない、そんなこと当たり前すぎて、正論過ぎて
その正論が今は煩わしくて、考えたくなくて
あぁ、逃げることを知ると人間は随分と弱くなってしまうモノなんだなぁ
そんな事を考えて自嘲する、ホント情けないな自分
情けなくて仕方ないのに、このぬるま湯に浸っていたいなんてどうしようもない
何を考えているのだろうか、花宮くんは
そこまでの利用価値が私にあるとも思えないのだけれど
あれかな、無料で働く住み込みの家政婦的な感じなのかな
それでもいい、あそこから逃げ出せるのならば何だって
あの、息が詰まってしまう、あの空間から逃げ出せるというのならば
世間一般的に批判されるであろう事でも
『部活?』
「あぁ、雑用くらい出来るだろ」
『…させる為に勉強させたんでしょ?』
「よく分かってるじゃねぇか」
『ジャージ持ってないよ』
「俺の着ればいいだろ」
…貸してくれるんだ
自分の物他人に触られるの嫌がるタイプかと思ってたけど、それくらいなら平気なのかな
ベタベタ自分に触られるのは絶対嫌がりそうだけど
あの優等生の顔貼り付けてやんわり逃げるクセに、きっと内心毒吐きまくってるんだろうなぁ…
うわぁ、想像出来る
「おい」
『何も考えておりません』
「そう言うって事は何か失礼なこと考えてたんだろ」
『そんなことはございません』
「白々しい」
この人ホント絶妙なタイミングで話しかけてくるから、心読まれてそうで怖いんだけど
そんな分かりやすいタイプでも無かったはず何だけどな
そんなことを考えながら投げて渡されたジャージを手に持つ
これは着替えてから行くべきなの?学校で着替える感じ?運動部のシステムって分からないんだよねぇ…
水分とかは…、買えばいいか
ノートとか筆記用具は持って行った方がいいのかもな、私が今までやっていたことを考えると
この人全然説明してくれないからこっちがいろいろ考えて察さないといけないから頭使うんだよなぁ
『ねぇ』
「あ?」
『ジャージって着替えてから行くべきなの?夏休み中に学校行ったこと無い』
「基本は制服で登校だろ」
『制服なんて持ってきてないよ』
「基本は、っつてんだろ
部活の時は別にジャージでいい」
『なら最初からそう言ってよ、回りくどい』
「言うようになったな」
『感謝はしてる、けど過度な遠慮は鬱陶しいタイプだとみたので』
「分かったような口きいてんじゃねぇよ」
『それはごめん』
頭を小突かれた為、そこは素直に謝っておいた
随分力の篭ってないそれに、多少の遠慮と気遣いを感じて、らしくないなぁ、なんてぼんやり思う
まぁ、私の置かれている今の環境を知った上で暴力、という手段は選びにくいのは分かるけど、普通の人なら
この人は普通とは掛け離れた人だから、人並みの気遣いが出来ることに、少なからず驚いた自分がいる
なんて失礼なこと考えていたら多分また心を見抜かれかねないので、そそくさと借りたジャージを持って着替えに出る
出る瞬間にジト目を頂いたので、きっと私の考えなんてものはバレているのだろうけど
*****
花宮くんに連れられてやって来た体育館で、物珍しそうな視線を受ける
まぁ、そりゃそうだよね
花宮くんが特定の誰かと話しているような事なんてなかったし、そもそも交流なんてモノは目に見える形で無かったから
イキナリよくも知らない人間が現れた、と思われたって仕方ないし、事実である
その視線に一緒に晒されているはずの花宮くんは、何食わぬ顔をして私の前を歩いている
凄い度胸だよな、この人
視線に晒されることになれているからなのかな、私はこんなモノになれたくなんかないけれど
「おい」
「んー、花宮今日は遅かったね、って、え?」
「うわ、マジで連れてきた」
「もう手駒にしたのか?」
「うるせぇ、説明しとけ」
ぽいっ、という感じに投げられて、ちょっとぽかん、です
でもまぁ彼等も正直現状を飲み込めていないようなのでお互い様なのかもしれないけれど
『えっと…、お世話になります』
取り敢えず挨拶だけでもしておこうか、と向き直ればこちらもこちらで物珍しそうな顔で私を見ていた
うーん、分かりやすい
当たり前の様に私を連れてきてくれたので、仲間内では話が纏まっているのかと思っていたけど…
よく考えたら、あの花宮くんが態々相談する、なんて事は正直有り得ないな
何て失礼なことを考えていたら、目が合った
だから何で分かるの、距離あるじゃん今
『申し訳ないけど、名前教えてもらえると助かります
私の名前は知ってます?』
「あー、一応」
「花宮が次の手駒にしようとしていた子だしね」
『手駒…』
「おい、原!」
『花宮くんらしい表現方法だね、実際その程度に思ってるだろうし別に気にしないよ』
聞く人が聞いたらそこそこひどい会話ではあるけれど、それはその通り、と思うところがあるので別に気にならない
第一今私は花宮くんに迷惑を掛けている立場であるため、使い道がある、と思われている分には助かると言えば助かる
助かる、は何か違うか
まぁ、そう言った理由で別に手駒と言われた所で傷付きはしないので気にしないで欲しい
『で、君が原くん?』
「そ、原一哉ー、よろしくねん」
『どうも、で私の名前は知ってる?』
「知ってる知ってる
瀬良ちゃんでしょ?瀬良碧羽」
『そう』
それなりに噂されていることは知っていたので、一応聞いてみたが知っているようなので自己紹介は省かせてもらおうかな
この人達も騒がれている人達なのは知っているけど、正直周りに興味がなかったので知らないのが事実
申し訳ないけど、名前くらいは教えてもらいたい
一応顔は見たことあったし、花宮くんのあの態度で同学年である事は分かったので敬語は遣わなかった
花宮くんとの初対面は、ちょっと警戒していたのがあったので敬語だったのだけれど
それぞれ名前を名乗ってもらって(一人は寝ていたので山崎くんの代弁だったけど)、私が来ることを知っていたのか確認する
と、やっぱり急に連れてきたらしく、そもそも私と交流があった事すら知らなかったらしい
まぁ、旧校舎だけでひっそりと関わってただけなのでそれは別に驚きもしないけれど
「むしろ瀬良ちゃんは自分が何で此処に呼ばれたか知ってんの?」
『説明はされてない』
「自由な奴だなー、アイツ」
『まぁ、それはそうなんだろうけど
でも何となく理由はわかってるから、別に大丈夫』
「分かってんだ?」
『雑用くらいなら出来ると思うから、その辺りの説明してもらえると助かる』
淡々とそう伝えると、驚いたような、感心したような、そして納得したような瞳を向けられる
驚くのは分かるけど、感心するのはよく分からない
そう言う事なら、と古橋くんが説明役を買って出てくれたので大人しく後に続く
ぴくりとも表情の変わらない彼は、淡々と物品の場所やメニューについての説明をする
それを大人しく聞いて、時々メモして、と繰り返していればあらかた説明が終わったのか無感情な視線が頭上から降る
『?何か?』
「どうやって花宮に近付いたんだ?」
『どっちかというと向こうからでしたが』
「珍しいこともあるんだな」
『そうなんですね』
何か緊張して敬語になった
さっきまで結構フランクに話してたと思うのに
教えてもらっている立場、と言うのが余計拍車を掛けているような気もする
何の感情も読み取れない目は少々恐怖を感じる
けれどじっとその目を見返していると、興味をなくしたように視線を逸らされた
「まぁ、花宮が連れてきて花宮が決めたことなら文句は言わないが
迷惑掛けるようなことはしないでもらいたい」
『…そのつもりではいますが、不慣れな事なので手間取ることもあると思うので、その辺りは容赦してもらいたいです』
「大した期待はしていない」
『ならよかったです』
あの花宮くんが連れてきた子だから、って過大評価されたらこっちだって困る
別に時間を持て余してる私を、雑用係くらいしてろ、って花宮くんが勝手にほっぽり出しただけに過ぎないから
それくらいしか出来ないって事も、私だって分かっているし
役に立ってやろう、なんて息巻いているつもりもない、迷惑掛けるつもりもないけれど
実際問題、私自身彼から説明された訳では無いので全て推測でしかない
彼の考えなんて分からないし、お互いについて話した訳でもない
ただ、彼が偽善で助けるような人で無いということは、何となく分かっているので考えを汲もうと思考をめぐらしているだけ
私の事を手駒だと思ってくれてる位でちょうどいい
可哀想な奴だとか同情されている方が惨めになって、情けなくなるだけだから
彼の意図を私なんかが正確に汲み取れるとは思っていないけども、使えると思われている内位は多少なりとも役に立っていればいい
私に安息を与えてくれた、それに対するお礼はその程度のことしか出来ないから
君の味を覚えた心臓
(安息を心地良さを知ってしまえば、あの地獄には戻れない)