手を伸ばしかけて躊躇って
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side.K
暫くして泣き止んで
恥ずかしいのか何なのか、目を合わせようとしない
むしろ、離れようとしない
曰く、顔を見られたくない
「…そういや、帰るつもりでここまで来たんだろ?
何で帰らなかったんだ?」
『駅に着いた頃、琉帆から連絡あって
今日家に帰らないらしいって分かったら、気が抜けて
帰る理由も見つからなくなって』
「ここに来た、と」
『はい』
なるほどな
一応家に帰ろうとはしていた訳だ
海常の最寄り駅までは来たものの、そこでやる気がなくなって公園にきた
まぁ、そんな気がしたからこの公園に来たわけだが
「そろそろ離れねぇか?」
『やです』
「いろいろ問題あると思うが」
『別に襲ってる風には見えないと思いますが』
「おそっ…!」
『甘やかしたんだから、気が済むまで甘やかしてください』
「そうは言ってもお前…」
まぁ、思い切り泣いた後に電車に乗って帰るとかしたくないのは分かる
普通に大泣きしましたって顔で電車になんか乗れない
けど、ここは一応外だ
この時間の公園はほとんど人は居ないけれど、誰かが通ることだってあり得る
「分かった
顔見せ無くていいから、俺ん家行くぞ」
『大胆ですね』
「おまっ…!」
『すみません、ふざけました』
「…ったく」
俯いたままの茶月を立ち上がらせて、そのまま背中を押して歩く
自転車を止めてあるとこまで行くと、先に跨がり乗るように促す
僅かに揺れて増える重み
振り向いたりしたら切れそうなので、乗ったかどうか声だけで確認し走り出す
『…ふふ』
「どうした?」
『いえ、先輩は随分安全運転だな、と思いまして』
「後ろに人乗ってんだから当たり前だろ」
『まぁ、そうですけど
そう言えば、先輩今日お母さんは?』
「仕事で泊まり、さっき連絡来てた」
『先輩のお母さんも忙しい人ですねぇ
お父さんは単身赴任でしたっけ?弟さんは?』
「ばあちゃん家」
『じゃあ、先輩って大体いつも1人なんですか?』
「まぁ、今時共働きなんて珍しくもないだろ」
『確かに』
くすくす、と言う小さな笑い声が聞こえる
後ろを振り返って居ないため、顔は見えないが、少しずついつものペースを取り戻しかけているという事だろう
トン
と背中に軽い衝撃
首だけでこっそりと振り返ってみると、茶月が背中に額を押しつけていた
「…どーした」
『何か…、先輩の匂いって落ち着くなー、と思いまして』
………危うくハンドル操作をミスる所だった
それに気付いたらしい茶月の笑い声と、小さな振動
『ふふ、動揺しすぎ』
「うるせー…」
背中から離れる気は無いのだろう
ぬくもりと振動が直に伝わってきて、妙にくすぐったい
『先輩』
「…何だ」
『掬い上げてくれて、ありがとうございました』
「…おう」
礼を言われるようなことは何もしていない
コイツが吐き出す想いを、ただ聞いていただけ
でもそれで、茶月が救われたと言うのなら
俺が来た意味があったと言う事なのだろう
これくらいのことならいくらでもするから、勝手に1人で抱えないで欲しい
*****
「ん、着替え」
『おぉ、まさかうちが男の子の服を着ることになろうとは』
「お前以外は着てんのかよ」
『琉帆は割と男物買いますよ?』
「あぁ…」
帰宅して取り敢えず茶月を浴室に押し込む
冬場じゃねぇし、シャワーくらいは浴びたいだろう
そこは茶月も同意したため、現在着替えになりそうなものを見繕ったとこだ
「タオルはそこ
ドライヤーはここにあっから、好きに使え」
『何から何まで、お世話になります』
「まぁ、俺が連れてきたわけだしな」
『先輩って、そう言う時だけは男らしいですよね』
「はぁ?」
『無自覚…
では、シャワーお借りします』
そう言って脱衣所に引っ込んでいった
そこで漸く俺は、詰めていた息を吐き出すことに成功する
母さん以外の女がこの家に存在した事など無い
これは結構、戸惑う
チラリ、と時計を確認する
1時間以上はあの公園に居たのか…、まぁ、そんなものか
「…着替えっか」
落ち着かないこの気持ちは見ないふりして
砂まみれになってしまったこの服を着替えることとしよう
*****
『ご馳走様でした』
「…ホントにあの量で足りるのかよ」
『えぇ、まぁ』
浴室から出てきた茶月は開口一番
『ご飯にしましょう、私作ります』
と言い放った
いや、まぁ、飯は確かにまだではあったのだが
そのまま台所に立とうとした茶月を押しとどめ、簡単に俺が作った晩飯を今終えたところ
『さて…
この後どうしましょうかねぇ…』
何となしに紡がれた言葉に変に緊張する
これが男友達ならば、泊まって行けと簡単に言えるのだが
今目の前に居るのは、男でも無ければ友達でも無い
…ましてや彼女である訳でも無い
ただの部活仲間という関係
先輩と後輩
キャプテンとマネージャー
普通は送っていくのが正解だろう
茶月が神奈川在住ならば迷うこと無くそうした
しかしコイツは東京都民
家に帰るには電車に乗らねばならない
時間的にまだ電車はある
けれど、本当にこのまま茶月を家に帰していいものなのか
その判断は、出来ないで居る
『…ふふ、何考えてるか手に取るように分かるんですけど』
「…うっせ」
『まぁ、確かに
このシチュエーションは健全な男子高校生には、美味しいものですもんねぇ』
「…じ、ぶんで言うな」
『森山さんなら泣いて喜びますよ?』
「…否定しない」
『まぁ、ヘタレですから手は出さないでしょうけどねぇ』
「…っ、だから」
『冗談でも言ってないと、先輩変に意識してしまうでしょう?』
そう言って目の前に座る少女は笑う
俺よりも2つ下の、まだ守られるべき存在が
困ったように、小さく笑った
『私としては先輩を信用してますので、このまま泊まった所で何も問題は無いと思ってますが』
「問題あってたまるか」
『ふふ、ですねぇ
先輩、こういう所もしっかりしてますからねぇ
相手が森山さんなら、私家に来る前に帰りますね』
そう言いながら笑う茶月に、肩の力が抜ける
…相変わらず、マイペース貫いてんなコイツ
『さて、以上を踏まえてどうします?
私には決定権はありませんし、決めて貰ってもいいですか?』
そう言って、俺よりずっと大人な顔をして笑った
女の方が精神面での成長は早いと言うが、こうまで違うのか
…コイツが、人一倍早いのか
「…茶月」
『はい』
「…母さんの部屋で構わないか?」
『お母さんは気にされる方では無いですか?』
「あぁ」
『なら、私は何処ででも』
茶月にしては珍しく、弱った一面を隠そうとしなかった
俺の匂いが落ち着くと言った
今、落ち着いて見えるのも、その要因があるからなのかもしれない
普段見る食事量も少なかったが、今日は更に少なかった
まだ、精神が安定していないのは目に見えている
こんな状態で、家に1人になんかしてしまったら
また抱え込んで、泣き出すことだろう
泣くことは悪いことでは無い
1人で解決することが悪いことでも無い
けど、今回の場合は不正解だろう
『…やっぱり、先輩って人のことよく見てるんですね』
「…あ?」
『帰れって言われたら、私また泣いちゃうところでした』
そう言ってまた、泣きそうな顔で、笑った
あぁ、コイツは
女が見せるそう言った顔に、男がどれほど弱いか、分かっているのだろうか
男がどれほど守りたいと思うか、分かっているのだろうか
普段笑っている女が急にそんな顔をしたら
男がどれほど意識するか、分かっているのだろうか
知っているだろう、茶月
男は馬鹿で単純な、くだらない生き物だと言うことを
他の奴が知らない顔を見せてくれたときの高揚感や、独占欲
お前なら簡単に、想像出来るだろうが
そのくせに
『先輩?』
「…あぁ、悪い
んじゃそろそろ寝るか、流石に疲れたろ」
『まぁ、少し
じゃあ、もう少しお世話になります』
「こうなりゃ最後まで付き合うわ」
『どうも』
お互い、段々と会話がなくなる
茶月は単に眠いだけかもしれない
少なくとも、俺よりは意識していないだろう
「その突き当たりが母さんの部屋
あんま使ってねぇから、少し埃っぽいかもしんねぇけど」
『大丈夫です』
「ここが俺の部屋
何かあったら声掛けろ」
『はい、ありがとうございます』
そう言って、奥の部屋へと足を進める
それを確認して、自室のドアノブに手を掛けた
『先輩』
「あ?」
『それ、ガラ悪いです
お休みなさい』
「…あぁ」
ぺこり、と頭を下げて部屋に入る
それを見送って、俺も自室に足を踏み入れた
そのまま扉を背に、ズルズルと座り込む
あぁ、クソ
「…認めさせんじゃ、ねぇよ」
分かっていた、気付いていた
ホントはずっと前から
何故、必要以上に気に掛けるのか
グルグルと思考がループする
今日の一連の行動だって、お節介に過ぎない
結果、救われたみたいだが、突き放される可能性も無かった訳じゃ無い
なんで、いつも頭の片隅にアイツが存在したのか、とか
なんで、泣いて欲しくないと思うのか、とか
他の奴じゃ無くて、俺が助けたいと思ったのか、とか
ホントはずっと、知っていた
目を逸らし続けていた
気付かないフリをしていた
あぁ、でも
認めざるを得ない
俺の中に、茶月琉梨と言う存在が、根付いてしまったから
守りたいと、思ったから
あぁ、認めよう
俺はアイツが、茶月が好きだ
その一夜に駆け巡れ
(次から次へと、溢れてくるものだから)
暫くして泣き止んで
恥ずかしいのか何なのか、目を合わせようとしない
むしろ、離れようとしない
曰く、顔を見られたくない
「…そういや、帰るつもりでここまで来たんだろ?
何で帰らなかったんだ?」
『駅に着いた頃、琉帆から連絡あって
今日家に帰らないらしいって分かったら、気が抜けて
帰る理由も見つからなくなって』
「ここに来た、と」
『はい』
なるほどな
一応家に帰ろうとはしていた訳だ
海常の最寄り駅までは来たものの、そこでやる気がなくなって公園にきた
まぁ、そんな気がしたからこの公園に来たわけだが
「そろそろ離れねぇか?」
『やです』
「いろいろ問題あると思うが」
『別に襲ってる風には見えないと思いますが』
「おそっ…!」
『甘やかしたんだから、気が済むまで甘やかしてください』
「そうは言ってもお前…」
まぁ、思い切り泣いた後に電車に乗って帰るとかしたくないのは分かる
普通に大泣きしましたって顔で電車になんか乗れない
けど、ここは一応外だ
この時間の公園はほとんど人は居ないけれど、誰かが通ることだってあり得る
「分かった
顔見せ無くていいから、俺ん家行くぞ」
『大胆ですね』
「おまっ…!」
『すみません、ふざけました』
「…ったく」
俯いたままの茶月を立ち上がらせて、そのまま背中を押して歩く
自転車を止めてあるとこまで行くと、先に跨がり乗るように促す
僅かに揺れて増える重み
振り向いたりしたら切れそうなので、乗ったかどうか声だけで確認し走り出す
『…ふふ』
「どうした?」
『いえ、先輩は随分安全運転だな、と思いまして』
「後ろに人乗ってんだから当たり前だろ」
『まぁ、そうですけど
そう言えば、先輩今日お母さんは?』
「仕事で泊まり、さっき連絡来てた」
『先輩のお母さんも忙しい人ですねぇ
お父さんは単身赴任でしたっけ?弟さんは?』
「ばあちゃん家」
『じゃあ、先輩って大体いつも1人なんですか?』
「まぁ、今時共働きなんて珍しくもないだろ」
『確かに』
くすくす、と言う小さな笑い声が聞こえる
後ろを振り返って居ないため、顔は見えないが、少しずついつものペースを取り戻しかけているという事だろう
トン
と背中に軽い衝撃
首だけでこっそりと振り返ってみると、茶月が背中に額を押しつけていた
「…どーした」
『何か…、先輩の匂いって落ち着くなー、と思いまして』
………危うくハンドル操作をミスる所だった
それに気付いたらしい茶月の笑い声と、小さな振動
『ふふ、動揺しすぎ』
「うるせー…」
背中から離れる気は無いのだろう
ぬくもりと振動が直に伝わってきて、妙にくすぐったい
『先輩』
「…何だ」
『掬い上げてくれて、ありがとうございました』
「…おう」
礼を言われるようなことは何もしていない
コイツが吐き出す想いを、ただ聞いていただけ
でもそれで、茶月が救われたと言うのなら
俺が来た意味があったと言う事なのだろう
これくらいのことならいくらでもするから、勝手に1人で抱えないで欲しい
*****
「ん、着替え」
『おぉ、まさかうちが男の子の服を着ることになろうとは』
「お前以外は着てんのかよ」
『琉帆は割と男物買いますよ?』
「あぁ…」
帰宅して取り敢えず茶月を浴室に押し込む
冬場じゃねぇし、シャワーくらいは浴びたいだろう
そこは茶月も同意したため、現在着替えになりそうなものを見繕ったとこだ
「タオルはそこ
ドライヤーはここにあっから、好きに使え」
『何から何まで、お世話になります』
「まぁ、俺が連れてきたわけだしな」
『先輩って、そう言う時だけは男らしいですよね』
「はぁ?」
『無自覚…
では、シャワーお借りします』
そう言って脱衣所に引っ込んでいった
そこで漸く俺は、詰めていた息を吐き出すことに成功する
母さん以外の女がこの家に存在した事など無い
これは結構、戸惑う
チラリ、と時計を確認する
1時間以上はあの公園に居たのか…、まぁ、そんなものか
「…着替えっか」
落ち着かないこの気持ちは見ないふりして
砂まみれになってしまったこの服を着替えることとしよう
*****
『ご馳走様でした』
「…ホントにあの量で足りるのかよ」
『えぇ、まぁ』
浴室から出てきた茶月は開口一番
『ご飯にしましょう、私作ります』
と言い放った
いや、まぁ、飯は確かにまだではあったのだが
そのまま台所に立とうとした茶月を押しとどめ、簡単に俺が作った晩飯を今終えたところ
『さて…
この後どうしましょうかねぇ…』
何となしに紡がれた言葉に変に緊張する
これが男友達ならば、泊まって行けと簡単に言えるのだが
今目の前に居るのは、男でも無ければ友達でも無い
…ましてや彼女である訳でも無い
ただの部活仲間という関係
先輩と後輩
キャプテンとマネージャー
普通は送っていくのが正解だろう
茶月が神奈川在住ならば迷うこと無くそうした
しかしコイツは東京都民
家に帰るには電車に乗らねばならない
時間的にまだ電車はある
けれど、本当にこのまま茶月を家に帰していいものなのか
その判断は、出来ないで居る
『…ふふ、何考えてるか手に取るように分かるんですけど』
「…うっせ」
『まぁ、確かに
このシチュエーションは健全な男子高校生には、美味しいものですもんねぇ』
「…じ、ぶんで言うな」
『森山さんなら泣いて喜びますよ?』
「…否定しない」
『まぁ、ヘタレですから手は出さないでしょうけどねぇ』
「…っ、だから」
『冗談でも言ってないと、先輩変に意識してしまうでしょう?』
そう言って目の前に座る少女は笑う
俺よりも2つ下の、まだ守られるべき存在が
困ったように、小さく笑った
『私としては先輩を信用してますので、このまま泊まった所で何も問題は無いと思ってますが』
「問題あってたまるか」
『ふふ、ですねぇ
先輩、こういう所もしっかりしてますからねぇ
相手が森山さんなら、私家に来る前に帰りますね』
そう言いながら笑う茶月に、肩の力が抜ける
…相変わらず、マイペース貫いてんなコイツ
『さて、以上を踏まえてどうします?
私には決定権はありませんし、決めて貰ってもいいですか?』
そう言って、俺よりずっと大人な顔をして笑った
女の方が精神面での成長は早いと言うが、こうまで違うのか
…コイツが、人一倍早いのか
「…茶月」
『はい』
「…母さんの部屋で構わないか?」
『お母さんは気にされる方では無いですか?』
「あぁ」
『なら、私は何処ででも』
茶月にしては珍しく、弱った一面を隠そうとしなかった
俺の匂いが落ち着くと言った
今、落ち着いて見えるのも、その要因があるからなのかもしれない
普段見る食事量も少なかったが、今日は更に少なかった
まだ、精神が安定していないのは目に見えている
こんな状態で、家に1人になんかしてしまったら
また抱え込んで、泣き出すことだろう
泣くことは悪いことでは無い
1人で解決することが悪いことでも無い
けど、今回の場合は不正解だろう
『…やっぱり、先輩って人のことよく見てるんですね』
「…あ?」
『帰れって言われたら、私また泣いちゃうところでした』
そう言ってまた、泣きそうな顔で、笑った
あぁ、コイツは
女が見せるそう言った顔に、男がどれほど弱いか、分かっているのだろうか
男がどれほど守りたいと思うか、分かっているのだろうか
普段笑っている女が急にそんな顔をしたら
男がどれほど意識するか、分かっているのだろうか
知っているだろう、茶月
男は馬鹿で単純な、くだらない生き物だと言うことを
他の奴が知らない顔を見せてくれたときの高揚感や、独占欲
お前なら簡単に、想像出来るだろうが
そのくせに
『先輩?』
「…あぁ、悪い
んじゃそろそろ寝るか、流石に疲れたろ」
『まぁ、少し
じゃあ、もう少しお世話になります』
「こうなりゃ最後まで付き合うわ」
『どうも』
お互い、段々と会話がなくなる
茶月は単に眠いだけかもしれない
少なくとも、俺よりは意識していないだろう
「その突き当たりが母さんの部屋
あんま使ってねぇから、少し埃っぽいかもしんねぇけど」
『大丈夫です』
「ここが俺の部屋
何かあったら声掛けろ」
『はい、ありがとうございます』
そう言って、奥の部屋へと足を進める
それを確認して、自室のドアノブに手を掛けた
『先輩』
「あ?」
『それ、ガラ悪いです
お休みなさい』
「…あぁ」
ぺこり、と頭を下げて部屋に入る
それを見送って、俺も自室に足を踏み入れた
そのまま扉を背に、ズルズルと座り込む
あぁ、クソ
「…認めさせんじゃ、ねぇよ」
分かっていた、気付いていた
ホントはずっと前から
何故、必要以上に気に掛けるのか
グルグルと思考がループする
今日の一連の行動だって、お節介に過ぎない
結果、救われたみたいだが、突き放される可能性も無かった訳じゃ無い
なんで、いつも頭の片隅にアイツが存在したのか、とか
なんで、泣いて欲しくないと思うのか、とか
他の奴じゃ無くて、俺が助けたいと思ったのか、とか
ホントはずっと、知っていた
目を逸らし続けていた
気付かないフリをしていた
あぁ、でも
認めざるを得ない
俺の中に、茶月琉梨と言う存在が、根付いてしまったから
守りたいと、思ったから
あぁ、認めよう
俺はアイツが、茶月が好きだ
その一夜に駆け巡れ
(次から次へと、溢れてくるものだから)