手を伸ばしかけて躊躇って
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『さてさて、期末テストが近付いてきましたが…』
ある日の放課後
部活を終えたその時間帯に部室へとやって来た琉梨と唯歌
そして、入ってきて上記のような言葉を発した琉梨に視線が集まる
その言葉に反応を示した黄色を視界に入れ、取り敢えず全体を見渡す
『自信無い人は…』
「あんまり自信はないかなー…」
『唯歌、そんなに悪くないじゃん』
「いや、今回の範囲がね?ちょっと置いてかれ気味で…」
『あの人教え方悪いからねー、仕方ない
まぁ、唯歌のことはそんな心配してないのよ、うち
問題は…』
琉梨の視線につられるように、段々と黄色へと視線が集まる
本人はその視線から必死に目を逸らしていた
『わんこはねー…、どうすんの?』
「…教えて欲しいッス」
『ちゃんとノート取ってんの?』
「えーと…」
『取ってるはずないよねー、睡眠学習してるみたいだし?』
「黄瀬!」
「ちょ、タンマ!先輩、落ち着いて!」
「落ち着いてられるか!お前は主力だろうが!」
「痛っ!ちょ、先輩痛いッス!」
笠松に足蹴にされている黄瀬を横目に琉梨は全体を見渡す
少々ざわついたこの部室の中で、早川がいっそ清々しく自信ない宣言をしていた
ある意味予想通りだ、と琉梨は失笑を洩らした
『わんこ、勉強会するよ』
「琉梨っち…!」
『多分琉帆も一緒だけど
あ、唯歌も来る?』
「いいの?琉梨ちゃん、自分の勉強もあるのに…」
『んー…、今までもなんとかしてきたし何とかなるんじゃ無い?』
肩を竦めて言う
その返答に、黄瀬は更に肩を縮める事となる
中学時代からお世話になっていた身としては肩身が狭いのだろう
「じゃあ、俺達も参加させてもらおうかな
人数は増えることになるが、先生役も増えるだろう」
そう助言を出したのは小堀
その横で森山は、女子と勉強会…!と喜んでいた
ブレない
その森山には一切触れず、琉梨は小堀と向き直る
『先輩方受験生なのに…、いいんですか?』
「…気にすんな
過去の復習にもなるし、この馬鹿も見張っておかねぇとな」
「酷いッス!」
『…そう言う事なら、お願いします』
お礼と共に僅かに頭を下げる
琉梨は教えてもらう立場では無いため、不思議な状況ではあるが
そんな中響く携帯の着信音
飾り気の無い固定音であるため、男子のモノかと思われたが…
『…琉帆?』
音源は琉梨の携帯
ポケットから取り出した携帯を手に取り、不思議そうに首を傾げている
家に帰れば嫌でも顔を合わすのに、今わざわざ電話掛けてくる意味とは
嫌な予感がしながらも受信を押す
『はい、何?』
《琉梨ーっ!!》
スピーカーにしていないにも関わらず部室内に響く琉帆の声
琉梨は完全に耳から携帯を離し、苛立った表情を浮かべた
『切るよ』
《ごめん!琉梨ヘルプ!》
『やだ』
《まだ何も言ってない》
『峰くんでしょ』
《さすが琉梨!》
『やだってば
敵校の主力のヘルプとか、もっとやだ』
《そんなこと言わずにお願い!青峰君、琉梨達居ないから勉強して無くて
もう成績落ちに落ちまくってんの!》
『知らんがな』
《琉梨達が教えなきゃしなかったじゃん!》
『そっちで処理して、じゃあ』
それだけ言って通話を切る
部室内には無機質な音だけが響いた
琉梨は呆れたように溜息を吐き、ポケットへと携帯を戻す
その際に再度着信を知らせていたが、相手だけ確認し、そのまま終了ボタンを押し、そして長押しした
「琉帆っち、ッスよね?」
『うん』
「思いっきり会話漏れてたけど…」
『耳が痛い』
「さっき着信…」
『用件は分かっているので』
「青峰って、あの青峰だよね?」
『はい、最強に馬鹿なんです』
「ここで勉強会するなら、ついでに教えてやりゃいいんじゃねえの?」
『…簡単に言いますけどね、キャプテン
あの馬鹿に教えるのが、一体どれほど重労働か…!』
黄瀬、唯歌、森山、小堀、笠松、の順にそれぞれ突っ込む
最後の笠松の言葉に反応した琉梨が、言葉を少し荒げる
「琉梨っち、落ち着いて…!」
『お前もだよ、馬鹿!毎回毎回、うち等がどれだけ苦労したと…!』
「いや、もう、ホントすんません!」
『3馬鹿相手にするこっちの身にもなってみなさいよ!』
「琉梨ちゃん、キャラ崩壊してるよ…」
珍しく声を荒げる琉梨
黄瀬が宥めに入るが、火に油状態で怒りを助長するだけであった
その為、怒りがある程度落ち着くまで見守ることにしたようである
しばらくして琉梨が大きく深呼吸をし、自身を落ち着けるための動作に入ったのを確認して笠松が声を掛ける
「…なんか、悪かった」
『ホントですよ…
どれだけうち等の勉強時間を削れば気が済むんだってレベルなんですよ、全く
今や先生役になるあの2人がいないって言うのに…』
「琉梨っち、責任感強いしお姉ちゃんだから面倒見いいから…」
『元凶が言うな』
「すんません」
「まぁまぁ…、一応断ったんだし、ね?」
『甘いね、唯歌
家を知られている以上、押しかけてくる可能性が一番高いんだよ
峰くんは未だに我が家にやって来ては居座っている強者だからな』
「え、ずるい、俺も行きたいッス!」
『却下』
「なんで!」
『何となく』
「何スか、それ!」
行きたい行きたい、と騒ぐ黄瀬を放置し、大きな溜息を吐く
ぽんぽん、と肩を叩く唯歌に力ない笑みを返す
なんとかするしか無い、と諦めた様に肩を竦めて、黄瀬と向き直る
『わんこ』
「はい」
『テスト期間中はうちに通いなさい』
「お願いします!」
『赤点取ったら殺す』
「琉梨ちゃん、目がマジ…」
そうして赤点対策のため、勉強会(琉梨に取っては恒例)の開催が決定した
*****
そして週末
全員で集まってする勉強会の日
黄瀬の案内で、琉梨の家にバスケ部レギュラーとマネージャーが集合していた
因みに琉帆は本日不在である
『さて、わんこ
テスト範囲くらいは把握してるよな?』
「はいッス!」
『よろしい、じゃあ基礎の確認から行くよ
まずはこれ、解いてみなさい』
そう言って渡されたのは手書きのプリント
どうやら琉梨のお手製らしい
それを疑問に思った様子もなく当たり前の様に受け取って取りかかる黄瀬
「茶月、お前こんなモノまで作ってるのか?」
『何が分からないのか分かってないお馬鹿さんですからね』
呆れたように溜息を吐いて、琉梨もテキストを開く
問題を解く様子をしばらく呆然と見ていたが、その手が止まる様子はない
その様にメンバーは僅かにざわつき始める
「琉梨ちゃんって、もしかしてかなり頭いい…?」
「桁違いッスよ!中学の時も万年一位だった赤司っちと張り合えるレベルだったんスから!」
『お前は解いてろ』
代表して疑問を述べたのは森山
それの答えたのは琉梨ではなく黄瀬
何故か自慢げに話す黄瀬を黙らせ、琉梨は僅かに気まずそう
「琉梨ちゃんって、学業推薦で海常来たんだっけ」
『うん、まぁ…』
「え、なに琉梨ちゃんのそのスペック…
これ以上モテ要素増やしてどうするつもりなの」
『五月蠅いです』
呆然とした様子で呟く森山を真顔で切り捨て、問題を解く手を再開させる
間に唯歌に教えながらも、順調にページは埋まっていた
「出来たッス!」
『うん、見せて
…一応付け焼き刃でもちょっとは勉強してきたんだね、偉い偉い』
「犬扱い…」
しばらくして、黄瀬が問題を解き終わり、それを受け取った琉梨が採点をする
勉強した痕跡が見られるその解答であったため、琉梨に少し満足げな様子が見られる
偉い偉い、といいながら黄瀬の頭を撫でる
黄瀬はふて腐れた様子を見せながらも、大人しくその手を受け入れていた
森山が羨ましそうにその様子を見ていたことは割愛させていただく
『ん、じゃあこの辺の問題を中心にやってこうか
わんこ、問題集は?』
「持ってきたッス!」
『よろしい、貸して』
黄瀬から問題集を受け取り、問題番号に丸を付けていく
迷い無い手に、琉梨がどれほど勉強しているか、と言うのが見て取れる
『ん、じゃあこの印あるとこ解いていって
少しは考えなさいよ』
「りょーかいッス!」
「なんつーか、個人塾の先生みたいだな!」
その2人のやり取りに早川が口を開く
的を射たその発言に周りは納得、と頷いた
自覚が無かったらしい琉梨だけはそうか?とでも言わんばかりに首を傾げていたが
中学時代からこの少人数での勉強会を行っていたため、こう言った状況が当たり前だったようだ
そうやって問題を解き、分からない問題を周りに聞いたり、と有意義な勉強会は続き
今回のテストで最高点を出した者が多数居たとか、居ないとか
みんなそろってテスト勉強
(学生の本分を疎かにはさせません)
ある日の放課後
部活を終えたその時間帯に部室へとやって来た琉梨と唯歌
そして、入ってきて上記のような言葉を発した琉梨に視線が集まる
その言葉に反応を示した黄色を視界に入れ、取り敢えず全体を見渡す
『自信無い人は…』
「あんまり自信はないかなー…」
『唯歌、そんなに悪くないじゃん』
「いや、今回の範囲がね?ちょっと置いてかれ気味で…」
『あの人教え方悪いからねー、仕方ない
まぁ、唯歌のことはそんな心配してないのよ、うち
問題は…』
琉梨の視線につられるように、段々と黄色へと視線が集まる
本人はその視線から必死に目を逸らしていた
『わんこはねー…、どうすんの?』
「…教えて欲しいッス」
『ちゃんとノート取ってんの?』
「えーと…」
『取ってるはずないよねー、睡眠学習してるみたいだし?』
「黄瀬!」
「ちょ、タンマ!先輩、落ち着いて!」
「落ち着いてられるか!お前は主力だろうが!」
「痛っ!ちょ、先輩痛いッス!」
笠松に足蹴にされている黄瀬を横目に琉梨は全体を見渡す
少々ざわついたこの部室の中で、早川がいっそ清々しく自信ない宣言をしていた
ある意味予想通りだ、と琉梨は失笑を洩らした
『わんこ、勉強会するよ』
「琉梨っち…!」
『多分琉帆も一緒だけど
あ、唯歌も来る?』
「いいの?琉梨ちゃん、自分の勉強もあるのに…」
『んー…、今までもなんとかしてきたし何とかなるんじゃ無い?』
肩を竦めて言う
その返答に、黄瀬は更に肩を縮める事となる
中学時代からお世話になっていた身としては肩身が狭いのだろう
「じゃあ、俺達も参加させてもらおうかな
人数は増えることになるが、先生役も増えるだろう」
そう助言を出したのは小堀
その横で森山は、女子と勉強会…!と喜んでいた
ブレない
その森山には一切触れず、琉梨は小堀と向き直る
『先輩方受験生なのに…、いいんですか?』
「…気にすんな
過去の復習にもなるし、この馬鹿も見張っておかねぇとな」
「酷いッス!」
『…そう言う事なら、お願いします』
お礼と共に僅かに頭を下げる
琉梨は教えてもらう立場では無いため、不思議な状況ではあるが
そんな中響く携帯の着信音
飾り気の無い固定音であるため、男子のモノかと思われたが…
『…琉帆?』
音源は琉梨の携帯
ポケットから取り出した携帯を手に取り、不思議そうに首を傾げている
家に帰れば嫌でも顔を合わすのに、今わざわざ電話掛けてくる意味とは
嫌な予感がしながらも受信を押す
『はい、何?』
《琉梨ーっ!!》
スピーカーにしていないにも関わらず部室内に響く琉帆の声
琉梨は完全に耳から携帯を離し、苛立った表情を浮かべた
『切るよ』
《ごめん!琉梨ヘルプ!》
『やだ』
《まだ何も言ってない》
『峰くんでしょ』
《さすが琉梨!》
『やだってば
敵校の主力のヘルプとか、もっとやだ』
《そんなこと言わずにお願い!青峰君、琉梨達居ないから勉強して無くて
もう成績落ちに落ちまくってんの!》
『知らんがな』
《琉梨達が教えなきゃしなかったじゃん!》
『そっちで処理して、じゃあ』
それだけ言って通話を切る
部室内には無機質な音だけが響いた
琉梨は呆れたように溜息を吐き、ポケットへと携帯を戻す
その際に再度着信を知らせていたが、相手だけ確認し、そのまま終了ボタンを押し、そして長押しした
「琉帆っち、ッスよね?」
『うん』
「思いっきり会話漏れてたけど…」
『耳が痛い』
「さっき着信…」
『用件は分かっているので』
「青峰って、あの青峰だよね?」
『はい、最強に馬鹿なんです』
「ここで勉強会するなら、ついでに教えてやりゃいいんじゃねえの?」
『…簡単に言いますけどね、キャプテン
あの馬鹿に教えるのが、一体どれほど重労働か…!』
黄瀬、唯歌、森山、小堀、笠松、の順にそれぞれ突っ込む
最後の笠松の言葉に反応した琉梨が、言葉を少し荒げる
「琉梨っち、落ち着いて…!」
『お前もだよ、馬鹿!毎回毎回、うち等がどれだけ苦労したと…!』
「いや、もう、ホントすんません!」
『3馬鹿相手にするこっちの身にもなってみなさいよ!』
「琉梨ちゃん、キャラ崩壊してるよ…」
珍しく声を荒げる琉梨
黄瀬が宥めに入るが、火に油状態で怒りを助長するだけであった
その為、怒りがある程度落ち着くまで見守ることにしたようである
しばらくして琉梨が大きく深呼吸をし、自身を落ち着けるための動作に入ったのを確認して笠松が声を掛ける
「…なんか、悪かった」
『ホントですよ…
どれだけうち等の勉強時間を削れば気が済むんだってレベルなんですよ、全く
今や先生役になるあの2人がいないって言うのに…』
「琉梨っち、責任感強いしお姉ちゃんだから面倒見いいから…」
『元凶が言うな』
「すんません」
「まぁまぁ…、一応断ったんだし、ね?」
『甘いね、唯歌
家を知られている以上、押しかけてくる可能性が一番高いんだよ
峰くんは未だに我が家にやって来ては居座っている強者だからな』
「え、ずるい、俺も行きたいッス!」
『却下』
「なんで!」
『何となく』
「何スか、それ!」
行きたい行きたい、と騒ぐ黄瀬を放置し、大きな溜息を吐く
ぽんぽん、と肩を叩く唯歌に力ない笑みを返す
なんとかするしか無い、と諦めた様に肩を竦めて、黄瀬と向き直る
『わんこ』
「はい」
『テスト期間中はうちに通いなさい』
「お願いします!」
『赤点取ったら殺す』
「琉梨ちゃん、目がマジ…」
そうして赤点対策のため、勉強会(琉梨に取っては恒例)の開催が決定した
*****
そして週末
全員で集まってする勉強会の日
黄瀬の案内で、琉梨の家にバスケ部レギュラーとマネージャーが集合していた
因みに琉帆は本日不在である
『さて、わんこ
テスト範囲くらいは把握してるよな?』
「はいッス!」
『よろしい、じゃあ基礎の確認から行くよ
まずはこれ、解いてみなさい』
そう言って渡されたのは手書きのプリント
どうやら琉梨のお手製らしい
それを疑問に思った様子もなく当たり前の様に受け取って取りかかる黄瀬
「茶月、お前こんなモノまで作ってるのか?」
『何が分からないのか分かってないお馬鹿さんですからね』
呆れたように溜息を吐いて、琉梨もテキストを開く
問題を解く様子をしばらく呆然と見ていたが、その手が止まる様子はない
その様にメンバーは僅かにざわつき始める
「琉梨ちゃんって、もしかしてかなり頭いい…?」
「桁違いッスよ!中学の時も万年一位だった赤司っちと張り合えるレベルだったんスから!」
『お前は解いてろ』
代表して疑問を述べたのは森山
それの答えたのは琉梨ではなく黄瀬
何故か自慢げに話す黄瀬を黙らせ、琉梨は僅かに気まずそう
「琉梨ちゃんって、学業推薦で海常来たんだっけ」
『うん、まぁ…』
「え、なに琉梨ちゃんのそのスペック…
これ以上モテ要素増やしてどうするつもりなの」
『五月蠅いです』
呆然とした様子で呟く森山を真顔で切り捨て、問題を解く手を再開させる
間に唯歌に教えながらも、順調にページは埋まっていた
「出来たッス!」
『うん、見せて
…一応付け焼き刃でもちょっとは勉強してきたんだね、偉い偉い』
「犬扱い…」
しばらくして、黄瀬が問題を解き終わり、それを受け取った琉梨が採点をする
勉強した痕跡が見られるその解答であったため、琉梨に少し満足げな様子が見られる
偉い偉い、といいながら黄瀬の頭を撫でる
黄瀬はふて腐れた様子を見せながらも、大人しくその手を受け入れていた
森山が羨ましそうにその様子を見ていたことは割愛させていただく
『ん、じゃあこの辺の問題を中心にやってこうか
わんこ、問題集は?』
「持ってきたッス!」
『よろしい、貸して』
黄瀬から問題集を受け取り、問題番号に丸を付けていく
迷い無い手に、琉梨がどれほど勉強しているか、と言うのが見て取れる
『ん、じゃあこの印あるとこ解いていって
少しは考えなさいよ』
「りょーかいッス!」
「なんつーか、個人塾の先生みたいだな!」
その2人のやり取りに早川が口を開く
的を射たその発言に周りは納得、と頷いた
自覚が無かったらしい琉梨だけはそうか?とでも言わんばかりに首を傾げていたが
中学時代からこの少人数での勉強会を行っていたため、こう言った状況が当たり前だったようだ
そうやって問題を解き、分からない問題を周りに聞いたり、と有意義な勉強会は続き
今回のテストで最高点を出した者が多数居たとか、居ないとか
みんなそろってテスト勉強
(学生の本分を疎かにはさせません)