君が生きた世界を守ろう
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
この世に産み落とされてから与えられたのは、名前と必要最低限の生活だった
私が6つの頃、学校から帰れば両親は惨殺されていた
元々ネグレクト気味だった2人の死に涙なんてものは流れなかったが、血の海に沈む凄惨な光景は未だに脳裏に焼き付いている
まだ幼い事もあり、親戚に引き取られることになったがこのご時世、あまりいいようには思われなかった
駆け落ち同然で結婚した私の両親は、母親サイドの親戚の類からは絶縁を言い渡されていて、父親の両親は絶命していたのもあって、色んなとこを転々と盥回しにされた
親に愛された記憶なんてものはなかった
頭を撫でられる感覚も、抱き締められるぬくもりも、私は知らなかった
冷たく私を呼ぶ2人の声は、早々に忘れてしまった
色んな親戚の元を転々とした結果引越し、転校も多く、友達と呼べるような人間は居なかった
高校に入学すると同時にバイトを始めて、迷惑を掛けないように必死に貯金をし、進学費用を貯めた
卒業してから、看護師の専門学校に通い、卒業と共に就職、家も出た
その頃には成人していた為、保護者が必要な場面もほぼ無く、比較的良くしてくれた家族が必要な時は保護者として名前を貸してくれた
母譲りのこの顔の造形は、世間一般的に評価すれば万人受けする可愛いタイプだった様で、にこにこと笑って愛想良くしていればそれなりに可愛がってもらえた
そんなだから勘違いした野郎が寄ってくる事もあったけど、人を見る目はこの人生の中で随分鍛えられた為すげなく躱していた
父譲りの地頭の良さのおかげで、勉学はさして苦労すること無く就職まで漕ぎ着けた
まぁ、ちょっとだけ特殊な能力も相俟ってであるが
看護師を選んだのは職が安定していて、比較的早く免許が取れるから、それだけに過ぎない
そうして振り返ってみると、私は何も持っていなかった
愛してくれる両親も、何でも話せる友人も、安心して帰ることの出来る居場所も、何も
今私の手の中に残っているのは、あの冷たい2人に与えられたこの命と名前くらいなものだった
空っぽだ
きっと私が明日消えたって、職場の人が迷惑するくらいでほんの些細なこと
数日は私の話題が上がるだろうけど、暫くすればまたいつも通り地球は回っていく
そんな、ちっぽけな存在何だと気が付いて
死んでしまいたいくらい辛い何かは無いんだけど、生きていく意味も見い出せないそんな毎日が息苦しくて
そんな感情を押し殺すように、私を守る鎧の笑顔を貼り付けた
気付いたんだ
最初から持っていなければ失う悲しみを覚えることは無い
そもそも、感情なんてそれ程持ち合わせてもいない
死んで誰かに迷惑掛けるくらいなら、生きるために仕事して、息をして、眠って、食べて
なんの面白味もない、変わり映えのしない、平坦で平穏な毎日を無為に過ごせばいい
来世に、ほんの少しだけ期待して
睡魔に誘われるがまま、夢の中へと身を投じた
(人並みの幸せなんて、随分昔に諦めた)
私が6つの頃、学校から帰れば両親は惨殺されていた
元々ネグレクト気味だった2人の死に涙なんてものは流れなかったが、血の海に沈む凄惨な光景は未だに脳裏に焼き付いている
まだ幼い事もあり、親戚に引き取られることになったがこのご時世、あまりいいようには思われなかった
駆け落ち同然で結婚した私の両親は、母親サイドの親戚の類からは絶縁を言い渡されていて、父親の両親は絶命していたのもあって、色んなとこを転々と盥回しにされた
親に愛された記憶なんてものはなかった
頭を撫でられる感覚も、抱き締められるぬくもりも、私は知らなかった
冷たく私を呼ぶ2人の声は、早々に忘れてしまった
色んな親戚の元を転々とした結果引越し、転校も多く、友達と呼べるような人間は居なかった
高校に入学すると同時にバイトを始めて、迷惑を掛けないように必死に貯金をし、進学費用を貯めた
卒業してから、看護師の専門学校に通い、卒業と共に就職、家も出た
その頃には成人していた為、保護者が必要な場面もほぼ無く、比較的良くしてくれた家族が必要な時は保護者として名前を貸してくれた
母譲りのこの顔の造形は、世間一般的に評価すれば万人受けする可愛いタイプだった様で、にこにこと笑って愛想良くしていればそれなりに可愛がってもらえた
そんなだから勘違いした野郎が寄ってくる事もあったけど、人を見る目はこの人生の中で随分鍛えられた為すげなく躱していた
父譲りの地頭の良さのおかげで、勉学はさして苦労すること無く就職まで漕ぎ着けた
まぁ、ちょっとだけ特殊な能力も相俟ってであるが
看護師を選んだのは職が安定していて、比較的早く免許が取れるから、それだけに過ぎない
そうして振り返ってみると、私は何も持っていなかった
愛してくれる両親も、何でも話せる友人も、安心して帰ることの出来る居場所も、何も
今私の手の中に残っているのは、あの冷たい2人に与えられたこの命と名前くらいなものだった
空っぽだ
きっと私が明日消えたって、職場の人が迷惑するくらいでほんの些細なこと
数日は私の話題が上がるだろうけど、暫くすればまたいつも通り地球は回っていく
そんな、ちっぽけな存在何だと気が付いて
死んでしまいたいくらい辛い何かは無いんだけど、生きていく意味も見い出せないそんな毎日が息苦しくて
そんな感情を押し殺すように、私を守る鎧の笑顔を貼り付けた
気付いたんだ
最初から持っていなければ失う悲しみを覚えることは無い
そもそも、感情なんてそれ程持ち合わせてもいない
死んで誰かに迷惑掛けるくらいなら、生きるために仕事して、息をして、眠って、食べて
なんの面白味もない、変わり映えのしない、平坦で平穏な毎日を無為に過ごせばいい
来世に、ほんの少しだけ期待して
睡魔に誘われるがまま、夢の中へと身を投じた
(人並みの幸せなんて、随分昔に諦めた)
1/20ページ