大学生のキャラたちがゆっくりと青春する物語(TNS)
多分これが、アオハルって奴みたいです
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
3月
大学というのはつくづく休みが多い
こんな休むことに慣れたら、将来働くのが嫌になりそうだ
先月に引き続き春休み真っ只中、今日は不二くんとお出かけ予定です
と言うのも今日は14日、つまりホワイトデー
正直数日前から落ち着かなかったのは絶対誰にも言わない
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴る
今日来客予定なんてあったかな…?営業だったら居留守使おう
そんな事を思いながらインターホンを見ればそこに映るのはよく知る人物で
『え、不二くん?』
「や」
『まだ待ち合わせ時間よりだいぶ早いけど…?』
「でも準備出来てるでしょ?」
『…まぁ、出来てますけども』
「ちょっと用事があるから、上げてもらってもいい?」
という事で取り敢えず部屋に通す
確かに今回は、と言うか、今回も不二くんが家まで迎えに来てくれる手筈になってはいたけども
待ち合わせ時間をフライングして部屋にやってくるなんて今までになくてちょっと戸惑う
いやまぁ仰る通り準備はとっくに出来てますけども
『どうしたの?』
「お返し、先に渡しとこうかと思って」
『嵩張るの?』
「そう言う訳では無いけど、デート前にハッキリさせておきたくて」
その言葉にどきり、と心臓が嫌な音を立てる
確かにゆっくりでいいと待ってくれてはいるけど、ある程度踏み込まなければこのぬるま湯のような関係はズルズルと続いていく事だろう
それは自分がよく分かっている為、口を噤む
そんなあからさまに緊張した様子のウチに、不二くんは相も変わらずいつもの笑みを乗せて、ウチの頬を啄く
「分かりやすいなぁ」
『そんな事言うの不二くんか、ウチの母さんくらいだよ』
「そう?こんなに分かりやすいのに」
ふにふに、と軽く頬を摘みながら言うので、その手を掴んで離す
距離感近めなのはウチもですけど、ちょっと待ってもらってもいいですか
にこにこ、と笑う彼は小さな紙袋を掲げる
両手を差し出すと静かに置かれるそれ
見上げると、開けて、と穏やかに紡がれた為紙袋から包みを取り出す
それなりの重量のあるそれを手の上に置き、リボンを解く
包みの中には、可愛らしい瓶に入ったカラフルなキャンディたち
「意味は…、女の子の方が詳しいよね」
『…まぁ』
「そう言う意味で受け取ってくれたら嬉しいな」
『…っ、』
「好きだよ、僕の彼女になってくれないかな?」
何か言おうと口を開いた矢先、紡がれた穏やかな声に言葉を飲み込む
何を言うか決まっていなかった言葉は胃の中に消えて、分かっていた筈のその言葉になんて返せばいいのか分からなくて頭が真っ白になる
そんな様子のウチを見て、やっぱり穏やかに微笑んで待ってくれているのが分かって
『…、すき』
「うん」
『ウチも、彼女になりたい』
「ありがとう」
『色々面倒だと、思うけど…』
「ふふ、そんなとこも可愛くて好きだよ」
ふわり、と柔らかく髪を撫でられて、気付いた時には腕の中
強ばった体を優しく包む腕や香りに、少しだけ肩の力が抜けた気がした
ぬくもりに包まれて、漸くじわじわと実感が湧いて
緩んでしまいそうになる口を引き締めて、やんわりと腰に手を回す
あぁ、多分これが愛おしいという事何だろう
多分、これが人を好きになると言う事なんだろう
慣れない初めてのこの感覚は少しむず痒くて、でもやっぱり嬉しくて
今まで人を好きになれなかったウチは、これからも人を好きになる事は無いのかもしれないと少しだけ怖かったけど
「じゃあ、改めましてデートに行こうか?」
『ん、ちょっと鞄取ってくる』
貰ったお返しを持って部屋に行く
と、紙袋の中にまだ何か残っているのに気付いて取り出すと、パワーストーンの付いたシンプルなデザインの、綺麗なキーホルダー
青いこの石はサファイヤか、ラピスラズリ
9月の誕生石だろう
不二くんってお姉ちゃん居たっけ…?
発想が割りと女子なんだよなぁ
お姉ちゃんがいる男の子って女の扱いを幼い内から本能的に叩き込まれるから、結構優しくて女の気持ちが分かる人が多いと言うのがウチの統計だ
不二くんはだいぶそれに当て嵌る
なんて余談を考えながら部屋を出ると、不二くんが手遊びに車の鍵を使っているところだった
お待たせ、と声を発そうとして、それに付いている物に思わず目が行く
紫の石が付いたそのキーホルダーは、先程目にした物に酷似していて
先程の事を鑑みてみると、あれは恐らくアメジスト
…この人、この前我が家に来た時に気付いたんだな
「準備出来た?」
『出来た、けど』
「けど?」
『ホント、君はスマートな人間だね』
「?ありがとう
あぁ、もしかして気付いた?」
『その言葉はそっくりそのままお返しします』
「あんないじらしくて可愛い事してくれたら、それ以上の事したくなるでしょ?」
『…もう忘れて欲しい』
「やーだ」
悪戯っぽく笑う彼に頭を抱えたくなる
いや、別に悪いことをしてる訳じゃないけど
楽しそうな彼の傍らで不貞腐れるという図はなんと言うか、情けない
これを、気付いてくれてありがとう、と素直に言える可愛らしさはどこに行けば手に入りますか
そう、遡ること1ヶ月
バレンタインに送るチョコと一緒に、土台としてマグカップを使った
あからさまなデザインでは無く、男の人でも使えそうなシンプルなタイプ
そこまでなら別になんとも思わない
ただ、そのマグカップは実はペアで、その片割れは今我が家にあると言うことを除けば、だけど
「この前使ってたでしょ?」
『…よく見てるね』
「好きな人の事だからね」
『ねぇ、その素直さってどうやったら身に付くの?』
「うーん、元々の性格かな」
『元来のものなのね…』
「でも僕は、素直じゃなくて意地っ張りで、でも一生懸命な梨乃ちゃんが好きなので何も問題ないよ」
『………もう、止めよう?』
「こうやって照れるとこも可愛いよね」
『ホントやめてください、お願いします』
この男怖いです
自分の顔面偏差値分かっててやってるよね、絶対
世の中勝ち組だからって怖いもの無しって感じだよね、恐ろしいよ
なんて思いながらもまんまとその魔の手に掛かったのは自分である為、何とも言えないのが現実である
「ほら、そろそろ出掛けるよ」
『…ん』
「怒んないでよ」
『怒ってはないよ、なんか悔しいだけ』
「ふふ、梨乃ちゃんはこうやって僕に甘やかされてたらいいんだよ
甘えるの苦手な不器用さんなのはよく知ってるからね」
ふわり、と柔らかく微笑む
そうか、この人は知っているんだった
ウチが今までずっと隠してきた、黙っていた、弱いとこを
今更取り繕ったって、周りから見る“みんなのお姉ちゃん”像は彼には通用しないんだ
弱くたって、出来ないことがあったって、いいんだ
そう思った瞬間全てに合点がいった
納得した、腑に落ちた、そう思えた
今まで自分の中でふわふわと曖昧だった恋愛というものの定義がしっかりと確立した気がした
漸く恋愛とはそういうものなんだ、と飲み込めた気がした
未知だったものが、理解出来た気がした
全て気がした、と曖昧な事を言っているが、自分の中ではバラバラだった点が一直線に繋がった感覚なのだ
目からウロコ、とでも言おうか
新発見であるはずなのに、それはそういう物なのだとあっさりと納得出来たあの感覚に似ている
意地っ張りと見栄っ張りが邪魔をしてずっと隠してきた、自分の中の弱い部分
それを知って、受け入れて、好きになってくれて、漸く同じラインに立つのだ
それから漸くスタートだ
様々な段階を踏んで、その過程で抱く特別な感情を、鈍感なこの頭は、やっと恋愛感情だと気付くのだ
自己否定の塊のような人間のクセして、承認欲求が人一倍強くって
そんでもって意地っ張りで見栄っ張りな、面倒臭いこの性格が、感情を理解したクセにそれを受け入れられなかった時のリスクばかり考えて
色々面倒臭い屁理屈ばっかり並べ立てて、自ら動こうとしないズルい人間
そうやってまた、自分を否定する悪循環
だから、恋愛なんて自分に向いてないのだと目を逸らし続けていた
でも、それでいいのだと
確実に、完全に理解は、して無いだろうけど
ウチもこんな面倒臭い持論が全て罷り通るなど思っても居ないし通す気も無いけど
否定し続けた自分をやっと許せた気がした
「梨乃ちゃん?」
『不二くんもまた面倒臭いのを捕まえたね
もっと性格も見た目もいい子なんて居るだろうに』
「まだそんな事言うの?」
『そう思ってるって事は伝えといた方がいいかと思って』
「つまり?」
『面倒臭いと思っても、もううんざりだと思っても、ウチ一度好きになった物は余っ程の事がない限り嫌いにならないから
覚悟しといた方がいいよ』
「それはなんと言うかまぁ…、随分熱烈な口説き文句だね
望むところ、だよ」
あぁ、もうホントどうしようもない
さっきまで未知である感情を持て余していたくせに
今はそれさえも少し楽しみ、だなんて
自分が自分でなくなる感覚なんて、何よりも許し難いことだったのに
それを良しとしてしまう恋愛とは恐ろしいものだ
そんな事を思いながら、差し出された手を取ったのだ
君と話がしたいんだ
(この先もずっと、分かり合えるよう語り合おう)
大学というのはつくづく休みが多い
こんな休むことに慣れたら、将来働くのが嫌になりそうだ
先月に引き続き春休み真っ只中、今日は不二くんとお出かけ予定です
と言うのも今日は14日、つまりホワイトデー
正直数日前から落ち着かなかったのは絶対誰にも言わない
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴る
今日来客予定なんてあったかな…?営業だったら居留守使おう
そんな事を思いながらインターホンを見ればそこに映るのはよく知る人物で
『え、不二くん?』
「や」
『まだ待ち合わせ時間よりだいぶ早いけど…?』
「でも準備出来てるでしょ?」
『…まぁ、出来てますけども』
「ちょっと用事があるから、上げてもらってもいい?」
という事で取り敢えず部屋に通す
確かに今回は、と言うか、今回も不二くんが家まで迎えに来てくれる手筈になってはいたけども
待ち合わせ時間をフライングして部屋にやってくるなんて今までになくてちょっと戸惑う
いやまぁ仰る通り準備はとっくに出来てますけども
『どうしたの?』
「お返し、先に渡しとこうかと思って」
『嵩張るの?』
「そう言う訳では無いけど、デート前にハッキリさせておきたくて」
その言葉にどきり、と心臓が嫌な音を立てる
確かにゆっくりでいいと待ってくれてはいるけど、ある程度踏み込まなければこのぬるま湯のような関係はズルズルと続いていく事だろう
それは自分がよく分かっている為、口を噤む
そんなあからさまに緊張した様子のウチに、不二くんは相も変わらずいつもの笑みを乗せて、ウチの頬を啄く
「分かりやすいなぁ」
『そんな事言うの不二くんか、ウチの母さんくらいだよ』
「そう?こんなに分かりやすいのに」
ふにふに、と軽く頬を摘みながら言うので、その手を掴んで離す
距離感近めなのはウチもですけど、ちょっと待ってもらってもいいですか
にこにこ、と笑う彼は小さな紙袋を掲げる
両手を差し出すと静かに置かれるそれ
見上げると、開けて、と穏やかに紡がれた為紙袋から包みを取り出す
それなりの重量のあるそれを手の上に置き、リボンを解く
包みの中には、可愛らしい瓶に入ったカラフルなキャンディたち
「意味は…、女の子の方が詳しいよね」
『…まぁ』
「そう言う意味で受け取ってくれたら嬉しいな」
『…っ、』
「好きだよ、僕の彼女になってくれないかな?」
何か言おうと口を開いた矢先、紡がれた穏やかな声に言葉を飲み込む
何を言うか決まっていなかった言葉は胃の中に消えて、分かっていた筈のその言葉になんて返せばいいのか分からなくて頭が真っ白になる
そんな様子のウチを見て、やっぱり穏やかに微笑んで待ってくれているのが分かって
『…、すき』
「うん」
『ウチも、彼女になりたい』
「ありがとう」
『色々面倒だと、思うけど…』
「ふふ、そんなとこも可愛くて好きだよ」
ふわり、と柔らかく髪を撫でられて、気付いた時には腕の中
強ばった体を優しく包む腕や香りに、少しだけ肩の力が抜けた気がした
ぬくもりに包まれて、漸くじわじわと実感が湧いて
緩んでしまいそうになる口を引き締めて、やんわりと腰に手を回す
あぁ、多分これが愛おしいという事何だろう
多分、これが人を好きになると言う事なんだろう
慣れない初めてのこの感覚は少しむず痒くて、でもやっぱり嬉しくて
今まで人を好きになれなかったウチは、これからも人を好きになる事は無いのかもしれないと少しだけ怖かったけど
「じゃあ、改めましてデートに行こうか?」
『ん、ちょっと鞄取ってくる』
貰ったお返しを持って部屋に行く
と、紙袋の中にまだ何か残っているのに気付いて取り出すと、パワーストーンの付いたシンプルなデザインの、綺麗なキーホルダー
青いこの石はサファイヤか、ラピスラズリ
9月の誕生石だろう
不二くんってお姉ちゃん居たっけ…?
発想が割りと女子なんだよなぁ
お姉ちゃんがいる男の子って女の扱いを幼い内から本能的に叩き込まれるから、結構優しくて女の気持ちが分かる人が多いと言うのがウチの統計だ
不二くんはだいぶそれに当て嵌る
なんて余談を考えながら部屋を出ると、不二くんが手遊びに車の鍵を使っているところだった
お待たせ、と声を発そうとして、それに付いている物に思わず目が行く
紫の石が付いたそのキーホルダーは、先程目にした物に酷似していて
先程の事を鑑みてみると、あれは恐らくアメジスト
…この人、この前我が家に来た時に気付いたんだな
「準備出来た?」
『出来た、けど』
「けど?」
『ホント、君はスマートな人間だね』
「?ありがとう
あぁ、もしかして気付いた?」
『その言葉はそっくりそのままお返しします』
「あんないじらしくて可愛い事してくれたら、それ以上の事したくなるでしょ?」
『…もう忘れて欲しい』
「やーだ」
悪戯っぽく笑う彼に頭を抱えたくなる
いや、別に悪いことをしてる訳じゃないけど
楽しそうな彼の傍らで不貞腐れるという図はなんと言うか、情けない
これを、気付いてくれてありがとう、と素直に言える可愛らしさはどこに行けば手に入りますか
そう、遡ること1ヶ月
バレンタインに送るチョコと一緒に、土台としてマグカップを使った
あからさまなデザインでは無く、男の人でも使えそうなシンプルなタイプ
そこまでなら別になんとも思わない
ただ、そのマグカップは実はペアで、その片割れは今我が家にあると言うことを除けば、だけど
「この前使ってたでしょ?」
『…よく見てるね』
「好きな人の事だからね」
『ねぇ、その素直さってどうやったら身に付くの?』
「うーん、元々の性格かな」
『元来のものなのね…』
「でも僕は、素直じゃなくて意地っ張りで、でも一生懸命な梨乃ちゃんが好きなので何も問題ないよ」
『………もう、止めよう?』
「こうやって照れるとこも可愛いよね」
『ホントやめてください、お願いします』
この男怖いです
自分の顔面偏差値分かっててやってるよね、絶対
世の中勝ち組だからって怖いもの無しって感じだよね、恐ろしいよ
なんて思いながらもまんまとその魔の手に掛かったのは自分である為、何とも言えないのが現実である
「ほら、そろそろ出掛けるよ」
『…ん』
「怒んないでよ」
『怒ってはないよ、なんか悔しいだけ』
「ふふ、梨乃ちゃんはこうやって僕に甘やかされてたらいいんだよ
甘えるの苦手な不器用さんなのはよく知ってるからね」
ふわり、と柔らかく微笑む
そうか、この人は知っているんだった
ウチが今までずっと隠してきた、黙っていた、弱いとこを
今更取り繕ったって、周りから見る“みんなのお姉ちゃん”像は彼には通用しないんだ
弱くたって、出来ないことがあったって、いいんだ
そう思った瞬間全てに合点がいった
納得した、腑に落ちた、そう思えた
今まで自分の中でふわふわと曖昧だった恋愛というものの定義がしっかりと確立した気がした
漸く恋愛とはそういうものなんだ、と飲み込めた気がした
未知だったものが、理解出来た気がした
全て気がした、と曖昧な事を言っているが、自分の中ではバラバラだった点が一直線に繋がった感覚なのだ
目からウロコ、とでも言おうか
新発見であるはずなのに、それはそういう物なのだとあっさりと納得出来たあの感覚に似ている
意地っ張りと見栄っ張りが邪魔をしてずっと隠してきた、自分の中の弱い部分
それを知って、受け入れて、好きになってくれて、漸く同じラインに立つのだ
それから漸くスタートだ
様々な段階を踏んで、その過程で抱く特別な感情を、鈍感なこの頭は、やっと恋愛感情だと気付くのだ
自己否定の塊のような人間のクセして、承認欲求が人一倍強くって
そんでもって意地っ張りで見栄っ張りな、面倒臭いこの性格が、感情を理解したクセにそれを受け入れられなかった時のリスクばかり考えて
色々面倒臭い屁理屈ばっかり並べ立てて、自ら動こうとしないズルい人間
そうやってまた、自分を否定する悪循環
だから、恋愛なんて自分に向いてないのだと目を逸らし続けていた
でも、それでいいのだと
確実に、完全に理解は、して無いだろうけど
ウチもこんな面倒臭い持論が全て罷り通るなど思っても居ないし通す気も無いけど
否定し続けた自分をやっと許せた気がした
「梨乃ちゃん?」
『不二くんもまた面倒臭いのを捕まえたね
もっと性格も見た目もいい子なんて居るだろうに』
「まだそんな事言うの?」
『そう思ってるって事は伝えといた方がいいかと思って』
「つまり?」
『面倒臭いと思っても、もううんざりだと思っても、ウチ一度好きになった物は余っ程の事がない限り嫌いにならないから
覚悟しといた方がいいよ』
「それはなんと言うかまぁ…、随分熱烈な口説き文句だね
望むところ、だよ」
あぁ、もうホントどうしようもない
さっきまで未知である感情を持て余していたくせに
今はそれさえも少し楽しみ、だなんて
自分が自分でなくなる感覚なんて、何よりも許し難いことだったのに
それを良しとしてしまう恋愛とは恐ろしいものだ
そんな事を思いながら、差し出された手を取ったのだ
君と話がしたいんだ
(この先もずっと、分かり合えるよう語り合おう)