大学生のキャラたちがゆっくりと青春する物語(TNS)
多分これが、アオハルって奴みたいです
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11月
言わば今日は学祭というもので
『…なんでウチは拉致られてるんスかね、部長』
「使えるものは使わないと勿体ないだろう?」
『つまり?』
「客寄せ、行ってこい?ウチのサークルじゃお前の容姿は上の方だからな」
「てな訳で梨乃ちゃんお着替えだよー!」
『うわ、出た』
「人をオバケみたいに言わない!ほらほら行くよー」
現状を説明しよう、拉致である
すまんすまん、ちゃんと説明をするよ
今日は基本天文サークルの方に顔出す予定で、向かってる途中でテニサーの友人に拉致られた次第である
ほぼ出し物の打ち合わせ参加してなかったんですけど
取り敢えず先程説明された内容は、コスプレスタンプラリー
サークルメンバーがあるテーマに沿ったコスプレをしてスタンプを持ち歩く
学祭参加者にスタンプラリーカードを配り全て集めた参加者にはまぁ、軽い商品が出る、と言ったものらしい
「梨乃ちゃんはねー、取っておきのレアキャラだから天文サークル篭ってていいよ!」
『つまりスタンプを集めさせない寸法か』
「その案は部長だけどねー」
『ホントそう言うとこ狡賢いよな、あの人』
「聞こえてるぞー」
『聞こえるように言ってるんですよー』
「はい、アリス出来上がりー!」
そう、テーマは不思議の国のアリス
トランプ兵なんかはぞろぞろいるが、アリスとマッドハッターだけは1人ずつしか配役して無いらしい
そして目の前のこの友人はハートの女王である
なるほど、確かに女王
「可愛いよ!」
『うわー…』
「アリスはそんな嫌そうな顔しない!」
『やるって言ってないんですけど』
「ここまでしたんだから諦めろ」
『いや、強制でしたやん』
まぁ、いいけどさ天文サークルに籠るから
この年でこの格好ってちょっとあれじゃね?イタくね?大丈夫?
にこにこ、と目の前の友人は全力で楽しんでいるようであるが
「…ふむ、上出来だな
行っていいぞ」
『……うわー、今イラッてした、殴らなかったウチを誰か褒めて』
「ごめんな…、山国が…」
『田岡さん、…似合ってますね』
「そこにはあんまり触れないで欲しいな…」
白兎の格好をした田岡さんはこのサークルの副部長
この傍若無人な部長のストッパーを頑張ってる苦労人である
ちなみに部長である山国さんは眠りネズミである、サボる気しかないな、この男
溜め息を吐いて、まぁ、何を言っても折れない人なので諦める
今日は祭り、浮かれた格好の人達なんてゴロゴロいるからそこまで浮かないだろう
楽しそうに手を振って送り出してくるこの男の手をへし折ってやりたい
スタンプカード数枚とスタンプをポケットに突っ込んで校内を歩き目的地を目指す
籠ると宣言した天文サークルの拠点である
天文サークルはらしくプラネタリウムの上映
院生の先輩方が嬉々として作っていた、楽しいなら何よりである
ちなみにキャラ担当一覧なるものを渡されたがこれは必要なのだろうか?
と言うかディーダムの双子は不思議の国じゃ無くて鏡の国の方である、まぁどうでもいいけど
「あれ、梨乃じゃん
どーしたの、そのカッコ」
『凜果
テニサーに巻き込まれた、隣は彼氏さん?初めまして』
「あー、あのお祭りサークルじゃそうもなる
てか、梨乃お初だっけ?伊織」
『あんたから話は聞いてるけど会うのは初だよ』
「初めまして、いつも凜がお世話になっているようで」
『あー、はい、お世話してます』
「おい、そこはこちらこそ、だろうよ」
『生憎とあんたにお世話された記憶はない』
「うむ、否定しない」
「ふふ、仲良いね」
『「そこそこ」』
ハモった、これじゃ仲良いって言ってるようなもんじゃないか
別にいいんだけどさ
2人にテニサーのスタンプラリーについて一応話し、カードを渡す
レアキャラであるアリスのスタンプ付きで
後もう1人のレアキャラはマッドハッターだが、やってるのが倉橋だからなぁ
あいつ目立ちたがり屋だし、もしかしたらポンポンスタンプ押してるかも
だから部長はウチを籠らそうとしてんだろうけど
とことんブラックである
取り敢えず2人と別れて天文サークルの元へ
こっちは色々手伝った為、完成したのもちゃんと見たい
元々プラネタリウムとかは好きな方だ
『おはよーございまーす
準備の方はどーです?順調ー?』
「……おぉ、姫がアリスになってる」
『姫ではないけど、テニサーに巻き込まれて
月葉は幸せそうね』
「満足の出来である」
『珍しく起きてるもんね』
「琴にも驚かれた、うちそんな寝てない」
「いや、つーちゃんは寝てるよ…」
『お疲れさん、琴音』
「姫ちゃん似合ってるね」
『あんた等なんでそこだけ統一すんの』
天文サークルのメンバー月葉と琴音
天体オタクの月葉は夜こそ我の時間と言わんばかりに朝昼は睡魔に侵されており、そんな月葉の面倒を甲斐甲斐しくみてる幼なじみの琴音
性格正反対の癖して、呼び方だけは一緒なんだからちょっと意味がわかんない
そして、なんで姫なのかも分かんない
そーいや、ウチ受け付け当番初っ端何だけど、この格好ですんの?嫌なんだけど
「おー、錦可愛いじゃん」
「テニサーの方?アリスかな?」
『松田さん、清水さん…
そーなんです、これで受け付け嫌なんで何か上着貸してください』
「話の脈絡が無い!写真撮っていいなら貸し出そう」
『…しょうがないですね』
「松田、変態臭いよ?」
『もっと言ってください』
と、取り敢えず松田さんから上着を強奪したので受け付けブースに腰掛ける
ここにスタンプラリー参加者来たらもれなく押さなくちゃいけないパターンだよね、これ
まぁ、ウチはテニサーの方には献身的でない為コンプリートされても構わないけども
そういやさっき美都希から連絡きてたな…
見るの嫌なんだけど気付かなかったフリしてていいかな
いや、そうしたら押し掛けてくるか…
アイツ完全に陽キャで友達多いくせに何で何かとウチに絡んでくるかね…
「姫ちゃん、携帯鳴ってるよ…?」
『あー、気付いたかぁ』
「え、無視してたの?何かごめん?」
『いーよ、ありがと』
恐らく美都希だろう
ポケットから携帯を出すと、案の定
返信が無いから電話にした訳か、ホントコイツ強心臓
要件はテニス部の出し物一緒に行こう、というもの
なるほど、ウチはテニス部に知り合い多いからお近付きのチャンスを狙ってると言う訳だな
コイツホント強か
澪理はー…、何かこの文化祭の前ゴタゴタして凹んでたからなぁ
取り敢えず文化祭には来たようだけど、テニス部行くんだろうか
行かないかなぁ、一応確認して行かないようなら面倒だけど美都希とテニス部行くか
ギャルソンやってる奴らを視界に収めておかんとな
「…姫」
『ん?どうした月葉』
「記念に一枚」
『おぉう、マイペースだな相変わらず』
その流れもう終わったぞ?松田さんがやったからな?
まぁ、せっかくなので月葉と琴音と3人で写真を撮ってもらう(もちろん清水さんに)
そんなこんなしてると澪理からは行かないと返信があった為、美都希に当番が終わる時間を伝えそれから合流する流れとなった
アイツ、結構引き摺ってんな、大丈夫か?
と、そろそろ時間になるためそれぞれが持ち場につく
チラホラとやってきたお客さんを室内に案内しつつ、時折スタンプを押しつつ
上映が開始されたらやってきたお客さんに次回上映時間について説明、予約札を渡す(優先的に中に入れる)
中から聞こえてくる声が自分でなんだかむず痒い(解説音声頼まれた)
ウチの天文サークルのプラネタリウムは毎年らしいけど例年評判が中々いいらしい
その為客入りも結構良くって意外と忙しい
パタパタと忙しなく動いていると時間はあっという間に過ぎる
交代の時間となり、引き継ぎをしているとやってくる美都希
早いな、おい
「あ、ちょっとアリス何上着てんの!」
『うわー…』
「毎回嫌そうな顔するの止めてくれない?そろそろ傷付くよ!」
『大丈夫、お前がその程度でへこたれない事はとっくに知ってる』
「何か嫌なんだけど、それ!」
ハートの女王と並んで歩くのか、目立ちそう…
こっちこそ嫌なんだけど
まぁ、やってきたものはしょうがない
次の当番である琴音に引き継ぎだけ終わらせて混雑が予想されるテニス部へ
あの跡部主催だから、そりゃもう凄いことになってる
あんなの大学になかったよ、学祭レベルの事じゃないよ
ホント頭おかしいんじゃない、あの御曹司
「ねぇねぇ、アリス!」
『うん?て言うか何でその呼び名?』
「女王と呼んでいいのよ!
じゃなくて、アリス最近どうなの?」
『何が』
「何が、って不二君だよ!アプローチされてるんでしょ?」
『……何なのお前、怖い』
「え、酷い!
で?で?付き合ってんの?どうなの?」
やだ、ホント怖いよコイツ
情報通で恋バナ好きで、出歯亀なのは知ってたけどまさかそこまで把握してるとは
え、もしかしてそんな分かりやすいの?
目をキラッキラさせて問い掛けてくるコイツを手で押し返しながら適当にスルーする
まぁ、そうだね、傍から見たらそうなるんだろうね
付き合ってる人が居るならまだしも、断る必要なんて無さそうな相手だしね、うん分かる
「ねぇ、アリスってばー!」
『うるさいよ』
「教えてくれたら黙るから!」
『教えても静かにならない事を私は知っている』
「え、もしかして付き合ってないの!?なんで!?」
『ほらー、静かにならないじゃん』
なんでなんで攻撃が始まった
幼稚園児か、コイツは
またしてもそれを適当にあしらっていると、分かりやすく不満顔
口を膨らませている美都希の頬を指で突いて凹ます
「…梨乃ちゃん、逃げてちゃ不二君に失礼だよ」
『…ん、分かってるよ』
「怖いの?」
『…そうなのかもねぇ』
基本的我が道をゆくこの友人は、引き際だけは弁えている
本気でこっちが怒る前に、笑い話で済む程度でちゃんと身を引く
それが出来るからこのあざとさで女子からハブられることなく陽キャとしてカースト上位を維持してきてるのだろう
背の低いコイツは少し下から心配そうにこちらを見上げる
一応こいつなりに応援してくれてる事は分かってるので頭を撫でておく
「梨乃ちゃん」
『うん?』
「何でそんな逃げ腰なのかは知らないけど、逃げてるだけじゃ駄目だからね」
『うん』
「でも、しんどかったら私の胸を貸してあげよう!」
『はは、要らない』
「酷い!」
何て話してると辿り着くテニス部の出し物
普通に喫茶店、な筈なんだけどこれは最早レストラン
しかも高級なやつ
ホント跡部は頭おかしいと思う
先程までの空気が無かったかのように隣ではしゃぐ美都希
こいつの切り替えの早さだけは尊敬する
「ん?梨乃ちゃん、やのうてアリスのご来店か?
お茶会するには役者が足らんのじゃなか?」
『うわー…、褒めたくないけど様になってんね、仁王』
「こっちのセリフ完全に無視されたぜよ」
『いちいちお前に取り合ってたら日が暮れるからな
2人、入れる?』
「チケットあるかのぅ?」
『ん、これ?』
「OKじゃ、ご案内するぜよ」
『もうちょいそれらしく振る舞いなさいよ、アンタ』
不二君から招待券なるものを貰っていた為すんなり入れた
だからさ、もうほんと色々突っ込みたいんだけど
でも突っ込んだら負けな気もするんだ、何に負けるか知らんけどさ
中はもう女ばっか
いや、うん、確かに見目いいもんね、アイツら
それは分かるけど見事に女ばっか
世の中ってホント不公平だよなぁ…
「知ってたけどアリスホントにテニス部と仲いいんだね…」
『まぁ、仁王とはコマ被ることも多いし
文系に進んでる人達とはそこまで絡みないよ』
「文系の方はホント高嶺の花状態だよ?跡部君は取り囲まれてるけどなんて言うかあれはアイドル」
『…お前ミーハーなのにそう言うのは冷静だよな』
「迷惑になるような事はしないから!」
『ウチは迷惑掛けられてる記憶しか無いけど』
「それはほら、私とアリスの仲じゃん!」
『親しき仲にも礼儀あり』
「弁えてるよ!」
『それであれかぁ…』
ニコニコといい笑顔の美都希に溜め息
まぁ、本気で嫌ならウチもキレるしそこまでした事無いということは、コイツなりに弁えてるって事なんだろ
何て話してると注文を取りに来たのは幸村くん
うむ、物凄い様になっている
「いらっしゃい、アリス?」
『アンタもか』
「ふふ、冗談だよ
ご注文はお決まりですか?」
『ん、ウチはこのセットで美都希は?』
「あ、あたしはこれで!」
「畏まりました、少々お待ちください」
恭しく立ち去る姿はやっぱり様になっている
見た目がいいとこう言うのもホント様になるよなぁ
横を通りかかった白石が「アリスが居る!写真撮ってえぇ?って錦ちゃん!」とまたウチに気付かず写真を撮られ(ウチも白石のギャルソン姿を収めてやった、めっちゃポーズ決めてきた)
柳くんはいつものあの細目を僅かに開いて「ふむ、錦もそういった格好をするのだな」と驚きを表現して(いや、貴方に言われたくない)
再びやってきた仁王が記念に、とツーショットを自撮りして(お前は女子か)
注文した品は偉そうに跡部が持ってきた(お前は奉仕される側の人間だろう、携帯を構えるとコイツも決めポーズバッチリだった)
お見送りには不二くんと手塚が来てくれたので、このツーショットも写真に収めておいた(手塚はやっぱり大学生に見えなかった)
周りの女子共の視線が痛かったことは気付かなかったフリをしておこう
「…この短時間でめっちゃ目の保養ができたよ、流石アリス」
『何が流石なのかよく分からん』
「とにかくありがと、アリス!」
『お前は本当自由だな』
満足!とでも言うかのような笑顔で走り去る女王
お前今一応ドレスなんだから気を付けろよ、転けるぞ
さて、澪理と合流しようと携帯を取り出すと
「あ、良かった、まだ居たんだね」
『?不二くん?どうしたん?』
「うん、ちょっと忘れ物」
『忘れ物?』
おっと、このパターン身に覚えがあるぞ
こういう時の忘れ物が物理的なものじゃないのは分かっている
ウチが勘づいたことに気付いた不二くんはいい笑顔だ
いや、いつもこの人はいい笑顔だけども
「仁王とツーショット撮ったんでしょ?僕とも撮ろうよ」
『…別にいいけど』
「ふふ、良かった」
この前は少し様子が違ったから、嫌われちゃったかと思ったよ
ポツリ、と小さく零れた言葉は周りの喧騒のせいで聞こえなかったフリをする
横に並んで写真をパシャリ
ウチより自撮りに慣れてる男が多すぎる
「ありがとう」
『こちらこそ』
「よく似合ってるね」
『…あんまり嬉しくないかな』
「どうして?可愛いのに」
『可愛いより綺麗になりたいから、かな
じゃ、澪理待たせてるからまたね』
バイバイ、と手を振って背を向ける
別に可愛いにも綺麗にもこだわりは無い
女よりも綺麗なこの人に可愛いと言われるのか少し悔しかっただけ、それだけの事
そのまま不二くんと別れて澪理を待たせてる場所まで向かう
と、そこには澪理ともう1人
ウチ同様に浮かれた格好をした、よく知る顔
『何してんの、倉橋
ナンパ?』
「ナンパじゃねぇし!珍しく1人で居るから声掛けただけだって」
『てか、アンタ澪理の事知ってたんだ?』
「よく迎えに来てるじゃん」
『…この女好きめ』
「聞こえが悪い!俺はフェミニストなだけ!」
『はいはい、どっちでもいいよ』
「俺は良くない」
『と言うか、恐ろしく似合わないねその格好』
「お前は似合いすぎな!」
『やっぱ元の素材かな』
「俺だってそこそこいいわ!」
と、取り敢えず一頻りこの浮かれたナンパ野郎をからかって澪理に向き直る
この人見知りコミュ障が初対面の1対1で普通に話せてたのはこいつのコミュ力が高いのか、それに気が回らないほど凹んでるのか
ウチのこの格好にもいつもより食い付きが悪いし、やっぱまだ引き摺っている様だ
コイツはバレてないとでも思っているんだろうけど、分かりやすいからそんな事有り得ないんだけども
『よぉ、待たせたな』
『何かこのアリス男前なんですけど
梨乃アリスの格好似合ってるね、クオリティ高い…』
『追い剥ぎにあって』
『追い剥ぎて』
『だって拉致られてこの格好にされたんだ、追い剥ぎに違いない』
「それはお前が話し合いほぼ参加しなかったからだろ」
『何倉橋、お前まだ居たの?』
「居たよ!見えてただろ!」
『私、興味あるものしか視界に入れないから…』
「ストレートに興味無いって言うな」
『倉橋の中に私の興味を引く部分あるの?』
「心底不思議そうな顔すんな…」
こんなウチ等のくだらないやり取りに笑えるくらいの余力はあるようだ
うむ、凹みMAX期は取り敢えず脱していると見ていいだろう
普段そんな絡まない倉橋だけど、今日はよくやったと褒めてつかわそう
心の中でだけだがな
そんなこんなで倉橋と別れ(置き去りにしたとも言う)、2人でブラブラと文化祭を見て回る
演劇部のオリジナルコメディタッチの演劇を見たり、展示物を見て回ったりと、気の向くまま
さっきからしつこく鳴る携帯は美都希からの打ち上げの誘いだろうが無視させてもらう
普段ならいつもの4人でするけど、澪理はこの調子なら来ないだろうし、あの2人は目立ちたがり屋な跡部の打ち上げに参加する事になるだろう、強制で
だったらウチはいいかな
テニサーの方はそこまで交流持ってないし
基本的にそう言う場は得意でもないし
そんな気分でも、ないし
いつもより随分とテンションの低い幼馴染みを横目で見る
立ち直るにはもう暫くかかるんだろうなぁ
ウチの話も聞いて欲しくない、ことも無いんだけど
分かりやすいアプローチ
それなりの年齢になって気付かない方がよっぽど可笑しい
自分の気持ちが分からない
恋愛なんてずっとしてこなかったし、人を好きになった経験もほぼ無い
この曖昧な関係に名前を付けたくない
終わりが来るのは、淋しいから
素直な君と50の嘘
(知らない知らないと、何度自分に言い聞かせたろう)
言わば今日は学祭というもので
『…なんでウチは拉致られてるんスかね、部長』
「使えるものは使わないと勿体ないだろう?」
『つまり?』
「客寄せ、行ってこい?ウチのサークルじゃお前の容姿は上の方だからな」
「てな訳で梨乃ちゃんお着替えだよー!」
『うわ、出た』
「人をオバケみたいに言わない!ほらほら行くよー」
現状を説明しよう、拉致である
すまんすまん、ちゃんと説明をするよ
今日は基本天文サークルの方に顔出す予定で、向かってる途中でテニサーの友人に拉致られた次第である
ほぼ出し物の打ち合わせ参加してなかったんですけど
取り敢えず先程説明された内容は、コスプレスタンプラリー
サークルメンバーがあるテーマに沿ったコスプレをしてスタンプを持ち歩く
学祭参加者にスタンプラリーカードを配り全て集めた参加者にはまぁ、軽い商品が出る、と言ったものらしい
「梨乃ちゃんはねー、取っておきのレアキャラだから天文サークル篭ってていいよ!」
『つまりスタンプを集めさせない寸法か』
「その案は部長だけどねー」
『ホントそう言うとこ狡賢いよな、あの人』
「聞こえてるぞー」
『聞こえるように言ってるんですよー』
「はい、アリス出来上がりー!」
そう、テーマは不思議の国のアリス
トランプ兵なんかはぞろぞろいるが、アリスとマッドハッターだけは1人ずつしか配役して無いらしい
そして目の前のこの友人はハートの女王である
なるほど、確かに女王
「可愛いよ!」
『うわー…』
「アリスはそんな嫌そうな顔しない!」
『やるって言ってないんですけど』
「ここまでしたんだから諦めろ」
『いや、強制でしたやん』
まぁ、いいけどさ天文サークルに籠るから
この年でこの格好ってちょっとあれじゃね?イタくね?大丈夫?
にこにこ、と目の前の友人は全力で楽しんでいるようであるが
「…ふむ、上出来だな
行っていいぞ」
『……うわー、今イラッてした、殴らなかったウチを誰か褒めて』
「ごめんな…、山国が…」
『田岡さん、…似合ってますね』
「そこにはあんまり触れないで欲しいな…」
白兎の格好をした田岡さんはこのサークルの副部長
この傍若無人な部長のストッパーを頑張ってる苦労人である
ちなみに部長である山国さんは眠りネズミである、サボる気しかないな、この男
溜め息を吐いて、まぁ、何を言っても折れない人なので諦める
今日は祭り、浮かれた格好の人達なんてゴロゴロいるからそこまで浮かないだろう
楽しそうに手を振って送り出してくるこの男の手をへし折ってやりたい
スタンプカード数枚とスタンプをポケットに突っ込んで校内を歩き目的地を目指す
籠ると宣言した天文サークルの拠点である
天文サークルはらしくプラネタリウムの上映
院生の先輩方が嬉々として作っていた、楽しいなら何よりである
ちなみにキャラ担当一覧なるものを渡されたがこれは必要なのだろうか?
と言うかディーダムの双子は不思議の国じゃ無くて鏡の国の方である、まぁどうでもいいけど
「あれ、梨乃じゃん
どーしたの、そのカッコ」
『凜果
テニサーに巻き込まれた、隣は彼氏さん?初めまして』
「あー、あのお祭りサークルじゃそうもなる
てか、梨乃お初だっけ?伊織」
『あんたから話は聞いてるけど会うのは初だよ』
「初めまして、いつも凜がお世話になっているようで」
『あー、はい、お世話してます』
「おい、そこはこちらこそ、だろうよ」
『生憎とあんたにお世話された記憶はない』
「うむ、否定しない」
「ふふ、仲良いね」
『「そこそこ」』
ハモった、これじゃ仲良いって言ってるようなもんじゃないか
別にいいんだけどさ
2人にテニサーのスタンプラリーについて一応話し、カードを渡す
レアキャラであるアリスのスタンプ付きで
後もう1人のレアキャラはマッドハッターだが、やってるのが倉橋だからなぁ
あいつ目立ちたがり屋だし、もしかしたらポンポンスタンプ押してるかも
だから部長はウチを籠らそうとしてんだろうけど
とことんブラックである
取り敢えず2人と別れて天文サークルの元へ
こっちは色々手伝った為、完成したのもちゃんと見たい
元々プラネタリウムとかは好きな方だ
『おはよーございまーす
準備の方はどーです?順調ー?』
「……おぉ、姫がアリスになってる」
『姫ではないけど、テニサーに巻き込まれて
月葉は幸せそうね』
「満足の出来である」
『珍しく起きてるもんね』
「琴にも驚かれた、うちそんな寝てない」
「いや、つーちゃんは寝てるよ…」
『お疲れさん、琴音』
「姫ちゃん似合ってるね」
『あんた等なんでそこだけ統一すんの』
天文サークルのメンバー月葉と琴音
天体オタクの月葉は夜こそ我の時間と言わんばかりに朝昼は睡魔に侵されており、そんな月葉の面倒を甲斐甲斐しくみてる幼なじみの琴音
性格正反対の癖して、呼び方だけは一緒なんだからちょっと意味がわかんない
そして、なんで姫なのかも分かんない
そーいや、ウチ受け付け当番初っ端何だけど、この格好ですんの?嫌なんだけど
「おー、錦可愛いじゃん」
「テニサーの方?アリスかな?」
『松田さん、清水さん…
そーなんです、これで受け付け嫌なんで何か上着貸してください』
「話の脈絡が無い!写真撮っていいなら貸し出そう」
『…しょうがないですね』
「松田、変態臭いよ?」
『もっと言ってください』
と、取り敢えず松田さんから上着を強奪したので受け付けブースに腰掛ける
ここにスタンプラリー参加者来たらもれなく押さなくちゃいけないパターンだよね、これ
まぁ、ウチはテニサーの方には献身的でない為コンプリートされても構わないけども
そういやさっき美都希から連絡きてたな…
見るの嫌なんだけど気付かなかったフリしてていいかな
いや、そうしたら押し掛けてくるか…
アイツ完全に陽キャで友達多いくせに何で何かとウチに絡んでくるかね…
「姫ちゃん、携帯鳴ってるよ…?」
『あー、気付いたかぁ』
「え、無視してたの?何かごめん?」
『いーよ、ありがと』
恐らく美都希だろう
ポケットから携帯を出すと、案の定
返信が無いから電話にした訳か、ホントコイツ強心臓
要件はテニス部の出し物一緒に行こう、というもの
なるほど、ウチはテニス部に知り合い多いからお近付きのチャンスを狙ってると言う訳だな
コイツホント強か
澪理はー…、何かこの文化祭の前ゴタゴタして凹んでたからなぁ
取り敢えず文化祭には来たようだけど、テニス部行くんだろうか
行かないかなぁ、一応確認して行かないようなら面倒だけど美都希とテニス部行くか
ギャルソンやってる奴らを視界に収めておかんとな
「…姫」
『ん?どうした月葉』
「記念に一枚」
『おぉう、マイペースだな相変わらず』
その流れもう終わったぞ?松田さんがやったからな?
まぁ、せっかくなので月葉と琴音と3人で写真を撮ってもらう(もちろん清水さんに)
そんなこんなしてると澪理からは行かないと返信があった為、美都希に当番が終わる時間を伝えそれから合流する流れとなった
アイツ、結構引き摺ってんな、大丈夫か?
と、そろそろ時間になるためそれぞれが持ち場につく
チラホラとやってきたお客さんを室内に案内しつつ、時折スタンプを押しつつ
上映が開始されたらやってきたお客さんに次回上映時間について説明、予約札を渡す(優先的に中に入れる)
中から聞こえてくる声が自分でなんだかむず痒い(解説音声頼まれた)
ウチの天文サークルのプラネタリウムは毎年らしいけど例年評判が中々いいらしい
その為客入りも結構良くって意外と忙しい
パタパタと忙しなく動いていると時間はあっという間に過ぎる
交代の時間となり、引き継ぎをしているとやってくる美都希
早いな、おい
「あ、ちょっとアリス何上着てんの!」
『うわー…』
「毎回嫌そうな顔するの止めてくれない?そろそろ傷付くよ!」
『大丈夫、お前がその程度でへこたれない事はとっくに知ってる』
「何か嫌なんだけど、それ!」
ハートの女王と並んで歩くのか、目立ちそう…
こっちこそ嫌なんだけど
まぁ、やってきたものはしょうがない
次の当番である琴音に引き継ぎだけ終わらせて混雑が予想されるテニス部へ
あの跡部主催だから、そりゃもう凄いことになってる
あんなの大学になかったよ、学祭レベルの事じゃないよ
ホント頭おかしいんじゃない、あの御曹司
「ねぇねぇ、アリス!」
『うん?て言うか何でその呼び名?』
「女王と呼んでいいのよ!
じゃなくて、アリス最近どうなの?」
『何が』
「何が、って不二君だよ!アプローチされてるんでしょ?」
『……何なのお前、怖い』
「え、酷い!
で?で?付き合ってんの?どうなの?」
やだ、ホント怖いよコイツ
情報通で恋バナ好きで、出歯亀なのは知ってたけどまさかそこまで把握してるとは
え、もしかしてそんな分かりやすいの?
目をキラッキラさせて問い掛けてくるコイツを手で押し返しながら適当にスルーする
まぁ、そうだね、傍から見たらそうなるんだろうね
付き合ってる人が居るならまだしも、断る必要なんて無さそうな相手だしね、うん分かる
「ねぇ、アリスってばー!」
『うるさいよ』
「教えてくれたら黙るから!」
『教えても静かにならない事を私は知っている』
「え、もしかして付き合ってないの!?なんで!?」
『ほらー、静かにならないじゃん』
なんでなんで攻撃が始まった
幼稚園児か、コイツは
またしてもそれを適当にあしらっていると、分かりやすく不満顔
口を膨らませている美都希の頬を指で突いて凹ます
「…梨乃ちゃん、逃げてちゃ不二君に失礼だよ」
『…ん、分かってるよ』
「怖いの?」
『…そうなのかもねぇ』
基本的我が道をゆくこの友人は、引き際だけは弁えている
本気でこっちが怒る前に、笑い話で済む程度でちゃんと身を引く
それが出来るからこのあざとさで女子からハブられることなく陽キャとしてカースト上位を維持してきてるのだろう
背の低いコイツは少し下から心配そうにこちらを見上げる
一応こいつなりに応援してくれてる事は分かってるので頭を撫でておく
「梨乃ちゃん」
『うん?』
「何でそんな逃げ腰なのかは知らないけど、逃げてるだけじゃ駄目だからね」
『うん』
「でも、しんどかったら私の胸を貸してあげよう!」
『はは、要らない』
「酷い!」
何て話してると辿り着くテニス部の出し物
普通に喫茶店、な筈なんだけどこれは最早レストラン
しかも高級なやつ
ホント跡部は頭おかしいと思う
先程までの空気が無かったかのように隣ではしゃぐ美都希
こいつの切り替えの早さだけは尊敬する
「ん?梨乃ちゃん、やのうてアリスのご来店か?
お茶会するには役者が足らんのじゃなか?」
『うわー…、褒めたくないけど様になってんね、仁王』
「こっちのセリフ完全に無視されたぜよ」
『いちいちお前に取り合ってたら日が暮れるからな
2人、入れる?』
「チケットあるかのぅ?」
『ん、これ?』
「OKじゃ、ご案内するぜよ」
『もうちょいそれらしく振る舞いなさいよ、アンタ』
不二君から招待券なるものを貰っていた為すんなり入れた
だからさ、もうほんと色々突っ込みたいんだけど
でも突っ込んだら負けな気もするんだ、何に負けるか知らんけどさ
中はもう女ばっか
いや、うん、確かに見目いいもんね、アイツら
それは分かるけど見事に女ばっか
世の中ってホント不公平だよなぁ…
「知ってたけどアリスホントにテニス部と仲いいんだね…」
『まぁ、仁王とはコマ被ることも多いし
文系に進んでる人達とはそこまで絡みないよ』
「文系の方はホント高嶺の花状態だよ?跡部君は取り囲まれてるけどなんて言うかあれはアイドル」
『…お前ミーハーなのにそう言うのは冷静だよな』
「迷惑になるような事はしないから!」
『ウチは迷惑掛けられてる記憶しか無いけど』
「それはほら、私とアリスの仲じゃん!」
『親しき仲にも礼儀あり』
「弁えてるよ!」
『それであれかぁ…』
ニコニコといい笑顔の美都希に溜め息
まぁ、本気で嫌ならウチもキレるしそこまでした事無いということは、コイツなりに弁えてるって事なんだろ
何て話してると注文を取りに来たのは幸村くん
うむ、物凄い様になっている
「いらっしゃい、アリス?」
『アンタもか』
「ふふ、冗談だよ
ご注文はお決まりですか?」
『ん、ウチはこのセットで美都希は?』
「あ、あたしはこれで!」
「畏まりました、少々お待ちください」
恭しく立ち去る姿はやっぱり様になっている
見た目がいいとこう言うのもホント様になるよなぁ
横を通りかかった白石が「アリスが居る!写真撮ってえぇ?って錦ちゃん!」とまたウチに気付かず写真を撮られ(ウチも白石のギャルソン姿を収めてやった、めっちゃポーズ決めてきた)
柳くんはいつものあの細目を僅かに開いて「ふむ、錦もそういった格好をするのだな」と驚きを表現して(いや、貴方に言われたくない)
再びやってきた仁王が記念に、とツーショットを自撮りして(お前は女子か)
注文した品は偉そうに跡部が持ってきた(お前は奉仕される側の人間だろう、携帯を構えるとコイツも決めポーズバッチリだった)
お見送りには不二くんと手塚が来てくれたので、このツーショットも写真に収めておいた(手塚はやっぱり大学生に見えなかった)
周りの女子共の視線が痛かったことは気付かなかったフリをしておこう
「…この短時間でめっちゃ目の保養ができたよ、流石アリス」
『何が流石なのかよく分からん』
「とにかくありがと、アリス!」
『お前は本当自由だな』
満足!とでも言うかのような笑顔で走り去る女王
お前今一応ドレスなんだから気を付けろよ、転けるぞ
さて、澪理と合流しようと携帯を取り出すと
「あ、良かった、まだ居たんだね」
『?不二くん?どうしたん?』
「うん、ちょっと忘れ物」
『忘れ物?』
おっと、このパターン身に覚えがあるぞ
こういう時の忘れ物が物理的なものじゃないのは分かっている
ウチが勘づいたことに気付いた不二くんはいい笑顔だ
いや、いつもこの人はいい笑顔だけども
「仁王とツーショット撮ったんでしょ?僕とも撮ろうよ」
『…別にいいけど』
「ふふ、良かった」
この前は少し様子が違ったから、嫌われちゃったかと思ったよ
ポツリ、と小さく零れた言葉は周りの喧騒のせいで聞こえなかったフリをする
横に並んで写真をパシャリ
ウチより自撮りに慣れてる男が多すぎる
「ありがとう」
『こちらこそ』
「よく似合ってるね」
『…あんまり嬉しくないかな』
「どうして?可愛いのに」
『可愛いより綺麗になりたいから、かな
じゃ、澪理待たせてるからまたね』
バイバイ、と手を振って背を向ける
別に可愛いにも綺麗にもこだわりは無い
女よりも綺麗なこの人に可愛いと言われるのか少し悔しかっただけ、それだけの事
そのまま不二くんと別れて澪理を待たせてる場所まで向かう
と、そこには澪理ともう1人
ウチ同様に浮かれた格好をした、よく知る顔
『何してんの、倉橋
ナンパ?』
「ナンパじゃねぇし!珍しく1人で居るから声掛けただけだって」
『てか、アンタ澪理の事知ってたんだ?』
「よく迎えに来てるじゃん」
『…この女好きめ』
「聞こえが悪い!俺はフェミニストなだけ!」
『はいはい、どっちでもいいよ』
「俺は良くない」
『と言うか、恐ろしく似合わないねその格好』
「お前は似合いすぎな!」
『やっぱ元の素材かな』
「俺だってそこそこいいわ!」
と、取り敢えず一頻りこの浮かれたナンパ野郎をからかって澪理に向き直る
この人見知りコミュ障が初対面の1対1で普通に話せてたのはこいつのコミュ力が高いのか、それに気が回らないほど凹んでるのか
ウチのこの格好にもいつもより食い付きが悪いし、やっぱまだ引き摺っている様だ
コイツはバレてないとでも思っているんだろうけど、分かりやすいからそんな事有り得ないんだけども
『よぉ、待たせたな』
『何かこのアリス男前なんですけど
梨乃アリスの格好似合ってるね、クオリティ高い…』
『追い剥ぎにあって』
『追い剥ぎて』
『だって拉致られてこの格好にされたんだ、追い剥ぎに違いない』
「それはお前が話し合いほぼ参加しなかったからだろ」
『何倉橋、お前まだ居たの?』
「居たよ!見えてただろ!」
『私、興味あるものしか視界に入れないから…』
「ストレートに興味無いって言うな」
『倉橋の中に私の興味を引く部分あるの?』
「心底不思議そうな顔すんな…」
こんなウチ等のくだらないやり取りに笑えるくらいの余力はあるようだ
うむ、凹みMAX期は取り敢えず脱していると見ていいだろう
普段そんな絡まない倉橋だけど、今日はよくやったと褒めてつかわそう
心の中でだけだがな
そんなこんなで倉橋と別れ(置き去りにしたとも言う)、2人でブラブラと文化祭を見て回る
演劇部のオリジナルコメディタッチの演劇を見たり、展示物を見て回ったりと、気の向くまま
さっきからしつこく鳴る携帯は美都希からの打ち上げの誘いだろうが無視させてもらう
普段ならいつもの4人でするけど、澪理はこの調子なら来ないだろうし、あの2人は目立ちたがり屋な跡部の打ち上げに参加する事になるだろう、強制で
だったらウチはいいかな
テニサーの方はそこまで交流持ってないし
基本的にそう言う場は得意でもないし
そんな気分でも、ないし
いつもより随分とテンションの低い幼馴染みを横目で見る
立ち直るにはもう暫くかかるんだろうなぁ
ウチの話も聞いて欲しくない、ことも無いんだけど
分かりやすいアプローチ
それなりの年齢になって気付かない方がよっぽど可笑しい
自分の気持ちが分からない
恋愛なんてずっとしてこなかったし、人を好きになった経験もほぼ無い
この曖昧な関係に名前を付けたくない
終わりが来るのは、淋しいから
素直な君と50の嘘
(知らない知らないと、何度自分に言い聞かせたろう)