ブーゲンビリア
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「木手、これこないだのタオル。助かった。ありがとう」
「こちらこそうちの甲斐くんがすみませんでしたね」
「そうね、あれは甲斐がしにありえん」
「夢村さんはあの後大丈夫だったの?」
「あー、うん。友達が髪巻き直してくれた」
「そう。なら良かったけど」
週明け、私より少し後に教室に入ってきた木手が荷物をある程度整理したタイミングで私は彼に話しかけた。
変声期が終わり安定した低音。見た目に反して優しく落ち着いた話し方にも少し胸が高鳴る。
うん、やはり声が良い。
どうも私は声フェチだったみたい。
朝練後なのか、まだ少し熱を帯びている彼の身体から香るのはやはり先日私が買ったデオドラントウォーターと同じ香りのようだ。
「ていうか木手、めっちゃいい匂いするんだけど」
「そう?朝練してきたから制汗剤は使ったけど」
「それかも。何使ってるの?」
「これですね」
人からもらったやつなんですけどね
そう言って彼がバッグから取り出して見せてくれたのは例のデオドラントウォーター。
あぁ、やっぱり!!私も同じの持ってるよ。
と言いかけたその刹那。木手の持っているデオドラントウォーターのボトルのキャップが本体の色と違うことに気がついた。
私は帰宅部だしテレビもあまり見ないから最近まで知らなかったのだけど、特に運動部員の間ではデオドラントウォーターのキャップ交換が流行っているらしい。使い切ると願いが叶うとか。
それもその、男女間で。
そこから自ずと導かれる答え、木手には意中の相手がいる。
つまりはそういうことなのだ。
「あぁそのシリーズ、いい匂いだよね」
なんて笑いながらわざとらしく言う私。
先日偶然ながらも木手と同じ匂いを見つけてしまい、同じものを買ってしまったくせに。
とにかくありがとうございました。全国大会、頑張ってね。
キャップのことには触れないようにし、再度お礼を言った私は自分の席へと戻る。
(木手ってそういうことするタイプだったんだな…意外だった。)
2回目の会話らしい会話は、私の新しい恋のはじまりの予感に終わりを告げさせるには十分な破壊力を持っていた。
そして思っていたよりショックを受けている自分にもびっくりした。私はこの数日でどうやらかなりこじらせていたらしい。
意中の相手がいる人間をわざわざ振り向かせようとする趣味はないし、そもそも彼のことをまだそこまで知らない(だって数日前までただのクラスメイトとしか見ていなかったのだから)。
昔流行ったポップソングよろしく、君と君の好きな人が百年続きますよう なんて大それたものではないけれど、木手が交換したキャップに願ったそれが叶うといいねと小さく祈るのだった。
その後、木手のデオドラントウォーターのキャップの交換相手が甲斐裕次郎であることを知るのだが(テニス部の全国優勝の願掛けだったらしい)、それは少しの安堵と恋のはじまりの予感の復活と、そして甲斐裕次郎への更なる憎悪を募らせる結果となった。
(甲斐裕次郎、しにふらー!!)
「こちらこそうちの甲斐くんがすみませんでしたね」
「そうね、あれは甲斐がしにありえん」
「夢村さんはあの後大丈夫だったの?」
「あー、うん。友達が髪巻き直してくれた」
「そう。なら良かったけど」
週明け、私より少し後に教室に入ってきた木手が荷物をある程度整理したタイミングで私は彼に話しかけた。
変声期が終わり安定した低音。見た目に反して優しく落ち着いた話し方にも少し胸が高鳴る。
うん、やはり声が良い。
どうも私は声フェチだったみたい。
朝練後なのか、まだ少し熱を帯びている彼の身体から香るのはやはり先日私が買ったデオドラントウォーターと同じ香りのようだ。
「ていうか木手、めっちゃいい匂いするんだけど」
「そう?朝練してきたから制汗剤は使ったけど」
「それかも。何使ってるの?」
「これですね」
人からもらったやつなんですけどね
そう言って彼がバッグから取り出して見せてくれたのは例のデオドラントウォーター。
あぁ、やっぱり!!私も同じの持ってるよ。
と言いかけたその刹那。木手の持っているデオドラントウォーターのボトルのキャップが本体の色と違うことに気がついた。
私は帰宅部だしテレビもあまり見ないから最近まで知らなかったのだけど、特に運動部員の間ではデオドラントウォーターのキャップ交換が流行っているらしい。使い切ると願いが叶うとか。
それもその、男女間で。
そこから自ずと導かれる答え、木手には意中の相手がいる。
つまりはそういうことなのだ。
「あぁそのシリーズ、いい匂いだよね」
なんて笑いながらわざとらしく言う私。
先日偶然ながらも木手と同じ匂いを見つけてしまい、同じものを買ってしまったくせに。
とにかくありがとうございました。全国大会、頑張ってね。
キャップのことには触れないようにし、再度お礼を言った私は自分の席へと戻る。
(木手ってそういうことするタイプだったんだな…意外だった。)
2回目の会話らしい会話は、私の新しい恋のはじまりの予感に終わりを告げさせるには十分な破壊力を持っていた。
そして思っていたよりショックを受けている自分にもびっくりした。私はこの数日でどうやらかなりこじらせていたらしい。
意中の相手がいる人間をわざわざ振り向かせようとする趣味はないし、そもそも彼のことをまだそこまで知らない(だって数日前までただのクラスメイトとしか見ていなかったのだから)。
昔流行ったポップソングよろしく、君と君の好きな人が百年続きますよう なんて大それたものではないけれど、木手が交換したキャップに願ったそれが叶うといいねと小さく祈るのだった。
その後、木手のデオドラントウォーターのキャップの交換相手が甲斐裕次郎であることを知るのだが(テニス部の全国優勝の願掛けだったらしい)、それは少しの安堵と恋のはじまりの予感の復活と、そして甲斐裕次郎への更なる憎悪を募らせる結果となった。
(甲斐裕次郎、しにふらー!!)
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