つまりは、きっと
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「夢子!待っていたぜ!!」
人生でも1番長い公的な長期休みであろう大学の夏休みを使って、初めての海外旅行に出た。
イタリアに降り立った私を待っていたのは、真夏のひまわりのようなブロンドヘアの、イタリアの夏の太陽(は外に出ていないから実際はまだちゃんと拝んだことはないけれど)のような笑顔の恋人だった。
「ディーノさん!」
「あぁ、会いたかった。やっとイタリアに来てくれたな、嬉しいぜ」
扱い慣れないキャリーケースを引きながら駆け寄る私を抱き止め、ディーノさんは挨拶代わりのキスを私の頬と額に落とす。アプローチされてる頃からスキンシップは多かったが、文化の違いからかこれは未だに照れくさくて慣れない。時差ボケはないか?腹は減ってないか?痛いところはないか?と私の身を案じてくれている。私の身体はずっと抱きしめられたままだ。
「毒蠍、悪かったな。夢子に同行してもらって」
「良いわよ。ちょうど実家にも用事があったし」
「おかげで安心してして待ってられた。ホント助かったぜ」
「跳ね馬はともかく、妹のような夢子の愛の為だもの。道中おしゃべりできて楽しかったわ」
「うん、私もビアンキさんと一緒で心強かったし楽しかったです」
「えぇ。今度またハル達も呼んで集まりましょうね」
ビアンキさんはそう言って私の頭を軽く撫で、じゃあ と言って踵を返す。
途中まで送って行くぜ、というディーノさんに対し、二人の愛を邪魔する気はないわと後ろ手を振りながらビアンキさんは駅のある方向へと向かって行く。
「よし、じゃあ俺たちも移動すっか」
車を待たせてあるんだ、とディーノさんは私のキャリーケースを後ろで控えていた部下の人に託し、彼は私の手を取って歩き出す。私たちはイタリアと日本の遠距離恋愛である上に元々彼が多忙であること(それでもディーノさんはかなりの頻度で来日してたけど)、私の大学の試験もあってしばらく会えていなかった。彼の方針で毎日のように連絡は取り合ってはいたけれど、彼と会うのは数ヶ月ぶりだ。しっかりと握られた手のひらに直接伝わる彼の体温に嬉しくなる。
「移動中は眠れたか?」
「うん、ぐっすり。ディーノさんがいい席用意してくれたおかげだよ」
「あぁ、愛おしい彼女の初めての渡航だからな。窮屈な思いはさせられねーよ」
「ふふっ、ありがとう」
「邸までは大体車で2時間くらいだと思う。途中、連れて行きてぇトラットリアがあるんだ。そこで今日は夕食にして、あとゆっくりしよう」
車の後部座席に乗り込んだ後も隣に座ったディーノさんは握った手を離してくれない。眠かったら着くまで寝てくれて構わないからな!と言いつつも、いかにこの日も待っていたかだとか、これから行くトラットリアのジェラートがとにかく絶品だとか、明日はあそこに行こうと思ってる…ディーノさんのおしゃべりは止まらない。チラリと前の方を見るとバックミラー越しに困り顔の、でも嬉しそうな顔をした運転中のロマーリオさんと目が合った。
「ボス、嬢ちゃんは長旅だったんだぞ。弾丸おしゃべりも程々にしろよ」
「あぁそうだった。ごめんな、夢子。今日から数週間、毎日ずっと一緒にいられると思ったら嬉しくてな」
「ううん、私も嬉しくて舞い上っちゃってるから…」
「あっ、そうだ。一応ゲストルームは用意させてるけどさ、夢子、俺と同じ部屋でいいよな?」
「え、あぁ、うん…大丈夫、です…」
「ハハッ可愛いな。夜が楽しみだぜ」
「おいおい、車内でイチャつくのも程々にしてくれよボス」
「うるせーな、数ヶ月振りの逢瀬なんだ。これくらいいいだろ」
そう言ってディーノさんは私を抱き寄せて軽いキスをした。人前でのキスはやはり照れ臭いけど、再会の嬉しさが勝って口元が思わず緩んでしまうのだった。
***
それから数日が経った。
キャバッローネ邸に着いてからの私たちは、ドライブがてらディーノさんが守るキャバッローネの領地を案内してもらったり、観光や買い物に出かけた。そして、夜は大好きな恋人の体温を感じながら眠りにつく。そんな毎日を送っていた。好きな人と朝から晩まで一緒にいられるというのはこんなにも幸せなものなのかと思い知った。
だけど一つ問題がある。
ディーノさんが、一向に私を抱く素振りを見せないのだ。
今までの私たちの関係は遠距離恋愛であることもあってかプラトニックなものだった。
私がイタリアに来てからの数日、確実にスキンシップは増えている。距離はいつも以上に近いし、しょっちゅうキスをされるし、夜は腕枕か抱きしめられながら眠る。ベッドの中で、あぁこれはこのまま抱かれるのだろうなという熱いキスをされても、そこで終わってしまうだのだ。
正直、私は今回のイタリア旅行で関係性を進める覚悟をして来た。下着も寝巻きも、あーでもないこーでもないと友達やビアンキさんに相談していつもより大人っぽいものに新調したのに、彼は余裕な素振りのままだ。そんなに私には性的魅力がないのだろうか、それとも婚前交渉はダメ派?などと思いあぐねる。このままだと私からディーノさんを襲ってしまいそうだ。
「夢子、明日の夜なんだけど、付き合いのあるファミリーのパーティーがあるんだ。ついてきてくれるか?」
「もちろん。でも流石にパーティードレスなんて持ってきてないよ…?」
「心配すんな。実はもう用意してある」
そう言って彼が寝室のクローゼットから取り出したのは綺麗に包装された大きな化粧箱。
「今開けてしまっても?」
「あぁ、いいぜ」
丁寧に包まれた化粧箱のリボンを解く。
「前に街で見つけてな、時が来たらずっとお前に渡したいと思っていたんだ」
箱を開けると、そこには彼の愛車と同じ鮮やかな血の色をした、胸の開いたカクテルドレスが入っていた。
「すごい素敵。でも私に似合うかな…」
「俺が見立てたんだ、似合うに決まってる」
カクテルドレスなんて生まれて初めてで、私には派手すぎないかと心配しているとお前はマフィアのボスの横に立つ女なんだ。これでも大人しめのを選んだつもりなんだぜ?と彼は言い、私の唇にキスを落とす。
「靴は流石にフィッティングしないとだから明日一緒に買いに行こうな」
「ねえ、ディーノさん。今試着してみてもいい?」
「嫌、ダメだ」
間髪入れずに彼が言う。
「今見ちまったら多分…俺、夢子のこと襲っちまうから」
そういえばビアンキさんが前に「男が女にドレスを贈るのはただ一つ。そのドレスを脱がしたいからよ。もちろん、それも淫らにね」なんて言っていた(その時ハルちゃんは何を想像したのか鼻血を出していた)(ツナがそんなことする訳ないのに)。
その事を思い出し、ハッとしてディーノさんの方を見ると、言ってしまったと言う顔をしながら、手で顔を覆いながらもその手の間から私を見ていた。
「…ふふ、ははっ」
「おい、なんで笑ってんだよ。俺は真剣なんだぜ」
「いや、あの…ディーノさんが可愛いなって思って…」
そう、つまりは、きっとそういう事なのだ。
「…私はいつだって準備ができてたのにな」
「え?なんか言ったか?」
「ううん、なんでもない。…ディーノさん、大好きです」
「あぁ、俺も大好きだぜ」
多分本当は、こんな予告めいた事は言うつもりなかったのだろう。でも私は、肝心なところで格好がつかないこの人が好き。
「明日が楽しみだな」
明日の夜には私は、きっともっと幸せな女になっている。
だけども今日はこのプラトニックな甘い関係に、全身で溺れたい。そう思うのだった。
人生でも1番長い公的な長期休みであろう大学の夏休みを使って、初めての海外旅行に出た。
イタリアに降り立った私を待っていたのは、真夏のひまわりのようなブロンドヘアの、イタリアの夏の太陽(は外に出ていないから実際はまだちゃんと拝んだことはないけれど)のような笑顔の恋人だった。
「ディーノさん!」
「あぁ、会いたかった。やっとイタリアに来てくれたな、嬉しいぜ」
扱い慣れないキャリーケースを引きながら駆け寄る私を抱き止め、ディーノさんは挨拶代わりのキスを私の頬と額に落とす。アプローチされてる頃からスキンシップは多かったが、文化の違いからかこれは未だに照れくさくて慣れない。時差ボケはないか?腹は減ってないか?痛いところはないか?と私の身を案じてくれている。私の身体はずっと抱きしめられたままだ。
「毒蠍、悪かったな。夢子に同行してもらって」
「良いわよ。ちょうど実家にも用事があったし」
「おかげで安心してして待ってられた。ホント助かったぜ」
「跳ね馬はともかく、妹のような夢子の愛の為だもの。道中おしゃべりできて楽しかったわ」
「うん、私もビアンキさんと一緒で心強かったし楽しかったです」
「えぇ。今度またハル達も呼んで集まりましょうね」
ビアンキさんはそう言って私の頭を軽く撫で、じゃあ と言って踵を返す。
途中まで送って行くぜ、というディーノさんに対し、二人の愛を邪魔する気はないわと後ろ手を振りながらビアンキさんは駅のある方向へと向かって行く。
「よし、じゃあ俺たちも移動すっか」
車を待たせてあるんだ、とディーノさんは私のキャリーケースを後ろで控えていた部下の人に託し、彼は私の手を取って歩き出す。私たちはイタリアと日本の遠距離恋愛である上に元々彼が多忙であること(それでもディーノさんはかなりの頻度で来日してたけど)、私の大学の試験もあってしばらく会えていなかった。彼の方針で毎日のように連絡は取り合ってはいたけれど、彼と会うのは数ヶ月ぶりだ。しっかりと握られた手のひらに直接伝わる彼の体温に嬉しくなる。
「移動中は眠れたか?」
「うん、ぐっすり。ディーノさんがいい席用意してくれたおかげだよ」
「あぁ、愛おしい彼女の初めての渡航だからな。窮屈な思いはさせられねーよ」
「ふふっ、ありがとう」
「邸までは大体車で2時間くらいだと思う。途中、連れて行きてぇトラットリアがあるんだ。そこで今日は夕食にして、あとゆっくりしよう」
車の後部座席に乗り込んだ後も隣に座ったディーノさんは握った手を離してくれない。眠かったら着くまで寝てくれて構わないからな!と言いつつも、いかにこの日も待っていたかだとか、これから行くトラットリアのジェラートがとにかく絶品だとか、明日はあそこに行こうと思ってる…ディーノさんのおしゃべりは止まらない。チラリと前の方を見るとバックミラー越しに困り顔の、でも嬉しそうな顔をした運転中のロマーリオさんと目が合った。
「ボス、嬢ちゃんは長旅だったんだぞ。弾丸おしゃべりも程々にしろよ」
「あぁそうだった。ごめんな、夢子。今日から数週間、毎日ずっと一緒にいられると思ったら嬉しくてな」
「ううん、私も嬉しくて舞い上っちゃってるから…」
「あっ、そうだ。一応ゲストルームは用意させてるけどさ、夢子、俺と同じ部屋でいいよな?」
「え、あぁ、うん…大丈夫、です…」
「ハハッ可愛いな。夜が楽しみだぜ」
「おいおい、車内でイチャつくのも程々にしてくれよボス」
「うるせーな、数ヶ月振りの逢瀬なんだ。これくらいいいだろ」
そう言ってディーノさんは私を抱き寄せて軽いキスをした。人前でのキスはやはり照れ臭いけど、再会の嬉しさが勝って口元が思わず緩んでしまうのだった。
***
それから数日が経った。
キャバッローネ邸に着いてからの私たちは、ドライブがてらディーノさんが守るキャバッローネの領地を案内してもらったり、観光や買い物に出かけた。そして、夜は大好きな恋人の体温を感じながら眠りにつく。そんな毎日を送っていた。好きな人と朝から晩まで一緒にいられるというのはこんなにも幸せなものなのかと思い知った。
だけど一つ問題がある。
ディーノさんが、一向に私を抱く素振りを見せないのだ。
今までの私たちの関係は遠距離恋愛であることもあってかプラトニックなものだった。
私がイタリアに来てからの数日、確実にスキンシップは増えている。距離はいつも以上に近いし、しょっちゅうキスをされるし、夜は腕枕か抱きしめられながら眠る。ベッドの中で、あぁこれはこのまま抱かれるのだろうなという熱いキスをされても、そこで終わってしまうだのだ。
正直、私は今回のイタリア旅行で関係性を進める覚悟をして来た。下着も寝巻きも、あーでもないこーでもないと友達やビアンキさんに相談していつもより大人っぽいものに新調したのに、彼は余裕な素振りのままだ。そんなに私には性的魅力がないのだろうか、それとも婚前交渉はダメ派?などと思いあぐねる。このままだと私からディーノさんを襲ってしまいそうだ。
「夢子、明日の夜なんだけど、付き合いのあるファミリーのパーティーがあるんだ。ついてきてくれるか?」
「もちろん。でも流石にパーティードレスなんて持ってきてないよ…?」
「心配すんな。実はもう用意してある」
そう言って彼が寝室のクローゼットから取り出したのは綺麗に包装された大きな化粧箱。
「今開けてしまっても?」
「あぁ、いいぜ」
丁寧に包まれた化粧箱のリボンを解く。
「前に街で見つけてな、時が来たらずっとお前に渡したいと思っていたんだ」
箱を開けると、そこには彼の愛車と同じ鮮やかな血の色をした、胸の開いたカクテルドレスが入っていた。
「すごい素敵。でも私に似合うかな…」
「俺が見立てたんだ、似合うに決まってる」
カクテルドレスなんて生まれて初めてで、私には派手すぎないかと心配しているとお前はマフィアのボスの横に立つ女なんだ。これでも大人しめのを選んだつもりなんだぜ?と彼は言い、私の唇にキスを落とす。
「靴は流石にフィッティングしないとだから明日一緒に買いに行こうな」
「ねえ、ディーノさん。今試着してみてもいい?」
「嫌、ダメだ」
間髪入れずに彼が言う。
「今見ちまったら多分…俺、夢子のこと襲っちまうから」
そういえばビアンキさんが前に「男が女にドレスを贈るのはただ一つ。そのドレスを脱がしたいからよ。もちろん、それも淫らにね」なんて言っていた(その時ハルちゃんは何を想像したのか鼻血を出していた)(ツナがそんなことする訳ないのに)。
その事を思い出し、ハッとしてディーノさんの方を見ると、言ってしまったと言う顔をしながら、手で顔を覆いながらもその手の間から私を見ていた。
「…ふふ、ははっ」
「おい、なんで笑ってんだよ。俺は真剣なんだぜ」
「いや、あの…ディーノさんが可愛いなって思って…」
そう、つまりは、きっとそういう事なのだ。
「…私はいつだって準備ができてたのにな」
「え?なんか言ったか?」
「ううん、なんでもない。…ディーノさん、大好きです」
「あぁ、俺も大好きだぜ」
多分本当は、こんな予告めいた事は言うつもりなかったのだろう。でも私は、肝心なところで格好がつかないこの人が好き。
「明日が楽しみだな」
明日の夜には私は、きっともっと幸せな女になっている。
だけども今日はこのプラトニックな甘い関係に、全身で溺れたい。そう思うのだった。
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