FINAL EXAMS(現在更新中)
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(主人公視点)
「あ、人使!!」
お昼休み。
ジローちゃんと食堂に来たけど、少し前で揺れる紫の頭に駆け寄る。
一週間ぶりだ!
なんだかテンション高くなって思わず抱き着いてしまった。
「ちょっ、言!?」
後ろからジローちゃんの慌てる声が聞こえる。
あ、ダメだったかな。こんな公衆の面前で破廉恥だったかしら。
離れようとした瞬間、ぐいっと逆に抱きしめられる。
おおう。珍しい。
「おかえり、言…無事で良かった」
人使の声がちょっと震えてる。
心配、しててくれたんだな。
ぎゅっと人使の背中に腕を回す。
「うん、心配かけてごめんね。ありがとう。」
「というか何でメールの返事よこさないんだよ」
離れてやっと見えた人使の顔は、随分とお怒りでした。
あー、とわざとらしく視線を逸らす。
「そのー、いろいろ、忙しくて」
忘れてたなんて、口が裂けても言えない。
じとっと睨まれてる。謝りとおすしかない!
何度も謝るとようやく許してくれた。
ふいー。ちょっとねちっこいところとか、相澤さんみたいだ。
「ちょっとお二人さん、お熱いのも結構だけどここ食堂だからね」
後ろからジローちゃんに肩を叩かれる。
お熱いて。別にそういうんじゃないよと説明しても、ジローちゃんにはいはいと流された。
むむ。
「てか心操、だっけ?こんなとこ見られたら、ファンクラブ怖いんじゃない?」
「それは大丈夫。俺C組だし」
「いや先輩とかさ」
「問題ない。むしろこれで虫除けできるなら安いもんだよ」
はあん?ジローちゃんと人使が仲良く話してるのはとても嬉しいけど、内容が一個も分からない。
「えっと、ファンクラブ?先輩?あ?」
思わず柄悪くなっちゃう。
え、待って。なんで二人とも可哀そうな子見るみたいな目するの!?
「え、まじで言、知らないの?」
だから何が!?
溜息をつく二人。わたわたする私。
なんだこの図は。
「音葉言ちゃん?」
二人がなにやら話してる間に、不意に横からかかった声に振り向くと、3年生らしき先輩が数人いました。
「はい?」
「あの、俺達ちょっと君に話があるんだけど一緒に飯食わない?」
おおう。誰だね君たちは。
全くもって見たことないモブ(酷)に腕をひかれる。
人使達が気づいた瞬間には、すでに人ごみの中へ。
なんだいなんだい。
「あのー、先輩ですよね?ご飯は友達と食べる予定なので、お話しだけお聞きします。」
今日は可愛いジローちゃんと食べる予定なのよ!
モブに用はない!!(酷)
「たまにはいいじゃん。それにさ、あんなトーナメントにも出ない弱個性の子と普通科の敵向き個性のやつなんかと君じゃ、釣り合わないよ」
その言葉に思わず先輩の腕を振りほどく。
ああん?今、聞き捨てならねえこと言ったな?
弱個性?敵向き個性?
「先輩、ヒーロー志望ですか?そういうことあんまり言わない方がいいと思いますけど。」
「音葉ちゃんのことを心配してるんだよ。君は雄英の女神様なんだから」
だから実も言ってたけど、雄英の女神ってなんなのよ。
下卑た笑いをする先輩方に、言’s堪忍袋の緒が切れました。
みんなしてわけわかんないこと言って、終いにゃ友達バカにされて、申し訳ないが私はそこまで大人じゃない。(中身30歳)
「先輩方、私の個性ご存じですか?」
「言葉で治癒してくれるんだろ?まじ女神じゃん」
ひえー、その程度の知識かい!
超一部限定的じゃん。
にっっこりと先輩方に笑いかける。
なに顔赤くしとんじゃい。
『跪け』
小さな声。
先輩方の耳にだけ届くように呟いた言葉。
瞬間、膝をついて跪いた先輩方の表情ががらりと変わる。
「私の個性は“言霊”です。言葉にするだけで、相手を従わせることができる。」
私達を取り巻く外野から人使とジローちゃんが出てくるのが見えた。
けど、ごめん。許せん、こいつら。
二人を貶した先輩の膝に足を乗せ、頬杖を突きながら見下す。
にいっと口角だけ吊り上げて、冷たく笑う。
「ねえ先輩、まさに敵向きだと思いませんか?」
どこからか息を飲む音が聞こえた。
さてどうしてやろうかと唇を舐めた瞬間。
「やあ音葉さん!そのくらいにしてやってほしいんだよね!」
足を掴んで床に降ろされる。
それに、と金髪の彼は続けた。
「女の子が足を持ち上げるもんじゃないよ!パンツ見えちゃうからね!」
嫌味のない笑顔。
冷え切っていた心が、解きほぐされていく。
「通形、先輩」
通形ミリオ。その人だった。
ちなみにやっぱりというか、その隣には天喰先輩もいる。
「ちなみに彼等はヒーロー科じゃないよ。普通科3年ね」
あ、ヒーロー志望じゃなかった。
思えばそうか。3年にもなって、こんな程度の低いこと言わないか。
「天喰先輩もこんにちは!体育祭以来ですね」
「あ、うん…音葉さんは、その、職場体験…大変だった、みたいだね」
いきなり声をかけられたことで体をびくりと震わせながら、視線を彷徨わせている。
…くそ、可愛い…
「そう!職場体験!サーが会えないの残念がってたよ!」
「……ファットも、会いたかったって言ってた」
ファットガムはあったけど、あれ!?サーナイトアイも指名来てたの!?
エンデヴァーのところに決まっちゃってリスト最後まで見なかったんだよね。
サー…会いたかった…
「すみません。サーナイトアイにも、ファットガムにも、こちらこそお会いしたかったですとお伝えください!」
いつの間にか普通科の先輩方はいなくなってた。
逃げ足早いな!!くそ!
一発殴ってやればよかった…いや、それは問題か?
「おい、何やってる」
うひい!
私達を取り囲む人ごみの中から、不機嫌そうな顔が出てくる。
「あ…相澤、先生」
ぜっったい怒られる!!
やだ!個性使ったこと!怒られる!!
「相澤先生!ちょっと音葉さんと話してただけなんだよね!」
「……この人だかりはなんだ」
「みんな雄英の女神が見たいだけなんだよね!」
「雄英の、女神?」
そう!それなんすよ、相澤さん!
「あ、通形先輩、疑問だったんですけど雄英の女神ってなんです?体育祭も終わったのに、そんな名前で呼ばれる覚えないんですけど」
えっと通形先輩が珍しく驚きの表情を浮かべる。
天喰先輩も。
うん?
「あれ、音葉さん…ファンクラブについて知らないの?」
ジローちゃんと人使も話してたけど、ファンクラブとは?
通形先輩が教えてくれた。
1年と3年に私のファンクラブがあると。
ちなみに1年のまとめ役は人使のクラスのC組らしい。
…なにそれ。怖い。なぜ私。
「……くだらん」
相澤さんの視線が痛い。
やめて。中身30歳なのに子供にちやほやされやがってとか思われてそう。
中身30歳なのに。30歳…ぐう辛…
「そういうことだからお前はまず知らない人についていくなよ」
人をかき分けて人使とジローちゃんが合流する。
別に私がついて行ったわけじゃないんですけど…
「だって、あの先輩達…二人のこと悪く言うんだもん。だからつい、個性で」
人使は敵向き個性じゃないし、ジローちゃんは弱個性じゃないもん。強個性だもん。
そういって頬を膨らませると、二人とも苦笑して頭を撫でてくれた。
うひん。優しい。
「うんうん!これにて一件落着ってね!」
「おい、音葉、お前個性使ったのか」
閉めを遮るように相澤さんのお言葉。
…あ、折角通形先輩が庇ってくれたのに、私自分からげろった?
「…」
「……」
「………えへ☆」
「あとから反省文10枚」
ぐう…厳しい。