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(主人公視点?)
「バラバラだった悪意が今一つの熱にあてられて、彼が所属したっつう組織“敵連合”に向け動き始めてる」
暗い地下の酒場で話し合う二人の男。
それに気づかれないように、気配を消して近づく。
まずは彼に信用してもらわないといけない。
闇ブローカー・義爛
「こんにちは。そのお話し、私も入ってもよろしいでしょうか?」
義爛の後ろで人型に変わり、ぽんっと手を叩く。
瞬間、驚きに体を震わせる義爛ともう一人の男。
二人からすれば、気配もなく急に背後に現れたように見えただろう。無理もない。
にっこりと笑って、そういえば表情は見えないのだと気づく。
保須の事件から二日後。
ステインの動画は拡散され、この小さなスナックで二人が話す場面がある。
私が狙ったのはそこ。
義爛が初めて出てくる、このシーン。
多分だけどこの二人に関して戦闘能力はそんなにない。
義爛の個性についても戦闘向きのものじゃないから。
「てめえ、何者だ。どこから入った」
義爛の拳銃がいつの間にかこちらに向いている。
普通なら警戒するそれも、残念。私は知っている。
「ああ、火をくれるんですか。ありがとうございます。」
彼と同じアメスピを胸元から一本出して、咥える。
それに目を見開いたのは義爛だ。
本物の拳銃ではなく、それは拳銃型のライターなのだから。
しゅぼっと軽い音を立てて煙草に火がつく。
うあー、久しぶりー。うおー、ニコチンー。
あ、白の体だけど。ごめんね。
「……何者だ」
再度問われたそれに、うーんと考える素振りをする。
私はいま白の体で動いている。
逆に白は私の体に。
とはいえ顔バレは避けたいので、黒いロングコートに白い笑顔仮面をつけている。
髪は変えられなかったから白いまんまだけど。
「そうですねえ、黒(へい)と呼んでいただければ」
某黒の契約者。
服と仮面もそのつもりで揃えたからね。
唸るぜ。オタク魂。
「それで、あんたは何が目的だ?」
すっかり警戒を解いた義爛。
うひょー、話が早い。
こっちに害意がないと分かったからかもしれないけど。
ふーと煙を吐き出す。
「何も」
義爛の顔が分かりやすく歪む。
生粋の商人である彼からしたらうさんくさいことこの上ないだろう。
商売はギブアンドテイクだ。
何かを求めれば対価が生じる。
「私は協力させてほしいんですよ。信頼していただけるように、貴方に一つだけ未来を授けます。」
うさんくさ。
怪しい宗教の勧誘みたいな物言いに、自分でも反吐が出る。
「あなたのおっしゃる通り、ヒーロー殺しに感化された悪意が一つになりはじめる。その上で義爛…あなたはブローカーとして戦力を紹介することになるでしょう」
正直なところ、依頼されたのかどうなのか判別ができなかった。
だが開闢行動隊としての人員を、義爛が紹介したのは間違いないのだ。
少なくとも、荼毘、渡我、トゥワイスについては。
まあ他のメンバーに関して死柄木が自分で集めたとは考えにくいから、それもまた義爛だろう。
「敵連合の死柄木弔、黒霧、そして…先生に」
“先生”
その言葉に義爛の表情が変わる。
おお。これもビンゴ。
間違いない。義爛は、オールフォーワンと繋がっていた。
もちろんブローカーとしてだろうけど。
「なぜ、その名を」
「まあまあ、そんなに殺気を出さないでください。別にどうこうしようというつもりはないんですから」
あくまでも、私の目的は義爛のブローカーとしての仕事内容だ。
彼が誰を紹介するつもりなのか。
それを見届けたいだけ。
「もし私の授けた未来が現実になった時、ぜひ連絡をください。後悔は、させませんよ。」
そう言って身を翻す。
連絡が来なければ、それはそれでいい。
結局私がすることは“保険”だからね。
「……おい、待て」
店を出ようとした瞬間、足を止める。
なにか?と振り返ると、むすっと少し不機嫌そうな義爛から何かが飛んでくる。
おっ。
四角い電子機器。
そっか。連絡くださいとか偉そうなこと言っておいて、連絡手段なかったわ。
「佐渡の名前で登録してある。1コールで切るから、折り返してこい」
義爛は仕事用に大量の携帯使い分けてるからね。
助かるわー。私の携帯は、公安に監視されてるし。
「かしこまりました。では、またお会いできることを楽しみにしております。」
恭しく礼をして、にっこりと笑った。
…あ、仮面つけてるから意味ないんだったわ。