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(主人公視点)
「未来を知ってるから公安は君を監視下に置きたい」
ずびずびと鼻をすすりながら頷く。
サーナイトアイと違って私の知る未来は個人の限定的なものじゃない。
この世界の、全体的な未来だ。
だから公安も軽視できない。
「それで雄英は君を保護してる、と」
ん?なんで緑谷が保護のこと知ってるの?
不思議そうに首を傾げると、オールマイトから聞いたって。
おい。それって話してもいいことだったんか?
「今のところ微々たる違いはあるものの、おおまかな流れは私が知っているものと同じなんだよね。でも未来について、私は話すことはできない。」
それは最初に決めたこと。
物語を歪めない。歪ませたくない。
彼等のためにも。
「親父が言ってた体育祭ってのは、その関係か?」
「うん、体育祭で私のことを狙った敵とちょっとひと悶着ありまして」
ちょっとどころじゃないし、なんならその後もずっと付きまとわれてますけど。
あいつ、ストーカーかよ。
「それをあいつ、その程度で貧弱っつったのか。悪いな音葉、今度殴っとく」
「いやいや、大丈夫だよ。焦凍君がそばにいたお陰で、昨日一昨日は眠れたし」
職場体験初日、2日目と焦凍は私の部屋に来て、そばにいてくれた。
不思議と、夢を見ずに寝られたんだよね。
ぎゅっと手を握られて、そうかと微笑まれた。
…くそっ!イケメンめ!
結構私も限界だったからあれだけど、今思えば男女が一晩同じ部屋ってやばくない?
しかもこの王子様と。
「え?そば?え?眠れた?…////」
緑谷の顔が真っ赤になり、ボンッと頭が爆発している。
おおう。これは何か良からぬ想像をされている気が。
「あ、違うんだよ。夢見が悪くて眠れなくて、焦凍君が手を握って傍にいてくれたの」
また真っ赤になる緑谷。
うーん、これは何言ってもダメだな。
よし、諦めよう!
「焦凍」
「……へあ?」
唐突に自分の名前を呟いた焦凍。
なんだい、なんだい。変な声出ちゃったよ。
「君付けはなんか嫌だ。焦凍って呼んでくれ」
…ぐぅぅううう…心臓が…
なにそのちょっと拗ねた感じ…
この子、まじで天然だな。天然タラシ王子。
「うん、焦凍。私のことも、名前で呼んで?」
「ああ、言」
爆・散!
心臓押さえたら、どうした、医者呼ぶかって心配された。
うん、今日も素敵に天然だ!
「おっおっ音葉さん!僕のことも、名前で呼んでくれる?」
急な緑谷カットイン!
あれ、君そういうキャラだっけ?
「うん、出久!」
真っ赤な顔でにっこり微笑まれる。
可愛い!可愛いから許す!(何を)
「それでは秘密を共有仲間として、僕もぜひ!!」
「わかった、天哉!」
まさか飯田まで。
結構意外だったけど、それでも嬉しい。
一線引かなきゃと思ってはいるけど、ちょっとは、良いよね。
「言ちゃん、僕達にできることがあったら何でも言ってね。もう君一人じゃないから」
また涙が出そうになって、それでも私はにっこりと笑って頷いた。
そう言ってくれて、私の背中から荷物をちょっとだけ降ろしてくれた3人。
物語の登場人物としてじゃない。
生きている、人間として、友人として、より大好きになった。
「言様、勝手なことをして申し訳ありませんでした」
病院の屋上。
青く広がる空を見上げる私に、白はそういった。
「なんで謝るの?私、感謝してるんだよ。白のお陰で、少しだけ肩が軽くなったの」
天哉に感謝されて思った。
私のしていることは間違ってないと。
だから、突き進める。
「決めたんだ。私、全力でこの世界を守るの」
見守るんじゃない。
小さい頃からできなかった、全力。
自分の持てる全ての知識と、経験と、力をもってして。
「当たり前だけど、物語じゃないんだよね。みんな生きた人間なんだ」
登場人物。
そうじゃない。生きた、人間。
どこか夢の中だったこれまでとは違う。
インゲニウムが負傷して、3人が怪我をして、自分が刺されて、初めて実感できた。
「ねえ白、私が何をするっていっても、協力してくれる?」
出久達には話せない。話しちゃいけない。
私がこれからすることは、悪を助長することになる。
「私は貴方の使い魔です。全て、貴方の仰せのままに」
「…ありがとう、白。この世界に来た時からずっと貴方がいてくれたから、私は一人じゃなかった」
白にぎゅっと抱き着く。
私より大きい彼は、この世界にきてからずっと変わらない。
揺れて、無茶をする私の傍に、ずっといてくれる。
「白がいるから潰れなかった。ここまで歩いてこれたし、ここからも歩いて行けるんだよ」
きっと一人なら、最初の頃で潰れていた。
未来を知っているということは、思っている以上に重圧なんだ。
心身的に、削られていく。
白の大きな手が私の頭を撫でる。
どこか懐かしい感触と匂いに、目を閉じた。
「私こそ、何度も貴方に救けられているんですよ。このくらい、恩返しにすらなりません」
白のこと、何度もなんて救けてないのに。
そう言ってくれる彼に、どうしても甘えてしまう。
ここからは白がいなければできなかったこと。
私は、敵側に手を出す。