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(主人公視点)
次の日は雨だった。
あれからインゲニウムの容体は安定したとのことで、白には帰ってきてもらった。
長時間かつ長距離での視界ジャック、意思疎通を高い頻度で行っていたお陰か、私と白のシンクロ率みたいなものが上がったらしい。
病院に行ったみたいに白の体の中に入ることもできるし、なんならちょっと白の体で動けるようになった。
これがなかなか面白い。なんてったって白は人にも猫にもなれるから、異形系の個性を体感できるのだ。
そして私の言霊の個性についても成長していた。
昨日、荼毘に使った時に咳も吐血もかなり少なったこと。
さすがに荼毘が私より格下だとは思わない。
あくまでも仮説だけど、私の個性が使えば使うだけ強化されていくと考えると、先日オールフォーワンに使ったことで荼毘レベルに低リスクで発動できるようになったんじゃないかな。
これに関しては仮説だし、やっぱり強い言葉(例えば死ねとか)にはそれ相応の反動が返ってくるんじゃないかなって思ってる。
それにオールマイトやオールフォーワンとかだとまだまだ反動大きいと思うし。
白のこと、私の個性のこと。
これは関しては相澤さんにも話していない。
USJ、体育祭を経て、私への“敵なんじゃ?”という疑惑の目はかなり薄くなったけど、それでも監視されていることには変わりない。
これからが分からないなら、自分の手札はなるべく明かしたくなかった。
そんなことを目の前の光景をぼーっと見ながら考えていた。
「この名に恥じない行いを…万物ヒーロー・クリエティ」
「焦凍」
「漆黒ヒーロー・ツクヨミ」
「モギタテヒーロー・グレープジュース!」
「……」(ふれあいヒーロー・アニマ)
「爆殺王」
「そういうのはやめた方がいいわね」
あんたどこの敵だよ、と生暖かい視線を送る。
それに気づいた爆豪に思いっきり睨まれた。こわ。
そう、みんな大好きヒーロー名発表の時間だ。
私の手元にあるフリップは真っ白。
うーん、どうしようかなぁ。
個性は言霊…私の役割は…
「音葉さんは決まった?」
ミッドナイトに呼ばれ、フリップを持って前に出る。
自分の役割を、忘れないためにも。
「言の葉ヒーロー・ワークター」
ワードコンダクター、略してワークター。
言葉の指揮者。
「職場体験は1週間。肝心の職場だが、指名のあったものは個別のリストを渡すからその中から自分で選択しろ。指名のなかったものは、予めこちらからオファーした全国の受け入れ可の事務所40件、この中から選んでもらう」
ちなみに指名数発表の際に、私の名前はなかった。
体育祭に出てないからそりゃそーだって感じ。
というか私って職場体験行けるの?
リストがみんなに配られる中、前の席の百ちゃんが手をびしっと上げる。
当然リストを受け取ろうとして手を差し出していた私は、ん?と首を傾げる。
「先生!言さんのリストが足りませんわ!」
百ちゃんをちらりと見た相澤さんの視線が、そのまま後ろの席の私へ向けられる。
ん?んん?
「…音葉はちょっと職員室に来い」
え、急な呼び出し。
まあ大方、職場体験は行かせられないってことだろうな。
トリップにありがちありがち。
ステイン周りを見られないのは残念だけど、こればっかりはどうにもならないと思うしね。
「お前の指名リストだ」
「……へあ?」
ぽんと目の前に置かれる紙束。
なかなかの厚さなんですけど…って
「え、指名?私に??」
訳が分からない。
なぜ体育祭に出てもいない私に、こんなに指名が来てるの?
ぺらぺらとリストをめくっていく。
「うひょう」
変な声出た。
トップランカーヒーローほとんどから指名が来てる。
ベストジーニスト、エッジショット、ファットガム、なんだったらホークスまで来てる。
そして極めつけは枠外に記された文字。
---エンデヴァー事務所---
目ん玉飛び出るかと思ったよ。
てかなんで枠外?
「体育祭でのリカバリーガールの元での活動を聞きつけたらしくてな。それで会場に来ていたヒーローから指名が入ったわけだ。トップランカーはあまり来ていなかったが、大方サイドキックから聞いたんだろう。」
それに、と相澤さんの視線が一気に厳しくなる。
「お前、エンデヴァーと睨みあってたらしいな」
「いやだなぁ、話してただけですよ」
少なくとも私としては睨んでるつもりなかったんだけどなあ。
あっちはどうだったかわかんないけど。
相澤さん、溜息つくと幸せ逃げますよ?
「お前の職場体験だが校長と公安と話し合った結果、こちらが指定する事務所にいってもらうことになった」
「……げっ」
そう言って指さした先の文字を見て、蛙が潰れたみたいな声が出る。
だから枠外か。別にエンデヴァーが指名してきたわけじゃないんだ。
いや、関わっておきたい人だけどさ。これからのことも考えて。
けどなー、絶対睨まれるじゃん。
「ここにした理由をお聞きしても?」
「……もしまたお前が敵に狙われたとしても、ナンバーツーの傍であれば問題ないと判断したからだ」
はい。こうしてめでたくエンデヴァー事務所への職場体験が決まりました。
保須への遠征もな!!