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(主人公視点)
あれから体育祭までの2週間。
特にやることもなかった私は、筋トレをしまくった。
まああって困るもんでもないし、腕力もやっぱり元に比べて弱くなったしね。
腕や足の長さも違くてリーチの感覚も狂ってる。
何回かはマイクに組手に付き合ってもらった。
さすがに初回の時みたいに油断してくれなくて、なかなか組み伏せられなかったけど。
「あ」
「……ああん?」
朝早く。学校に行く前にランニングをしていると、たまたま爆豪と鉢合わせた。
黒いタンクトップ一枚で走る彼は、息は乱れていないもののじんわりと汗をかいている。
…えろい。
「早いね、爆豪君」
「……」
無言で睨まれた。
おおう。超塩対応なんだけど。
そのまま走り去ろうとする後ろ姿をなんとなく追う。
「……」
「………」
黙々と走る爆豪。
そしてそのあとを黙々と追う私。
うーん、なんかシュール。
てかどんどんスピード上がってない?
「……てめえ!ついてくんじゃねぇえよ!クソ女!!!」
ええええ!?今更!?
10分以上一緒に走って、今更!?
肩で息をする爆豪。
さすがに早くて、疲れた…
「走るの早いね、爆豪君」
「おめえがついてくるから、わざと早くしたんだ!!」
ええなんで!
というかよくその状態で叫べるね!?
「……お前、息切れてねえか」
多少乱れてはいるものの、肩を上下させるほどでもなかった。
伊達にこの一週間走りこんでないよ!
元の世界で、稽古の一環で走りまくってたからね。
「うん、まだ大丈夫かな」
心配してくれてありがとうって言ったら、また睨まれた。
そんなキャラじゃないってわかってるけどさ!
ニッコリ笑い返したら、舌打ちされた。
かわぃぃぃいいいい。(壊)
「お前、名前は」
「え?音葉言だよ?同じクラスの…」
まさか人として認識されてなかったんだろうか。
確かに最初に挨拶しようとした時は、「モブが黙れ」って言われて終わったけども。
「同じクラスなことくらい知ってるわ!」
うーん本当に可愛いな、こいつ。
勝手に癒される。
「……おい、音葉。俺のトレーニングに付き合わせてやる」
「……え?」
ちょっと待て!爆豪と言えば、人のこと名前で呼ぶとかなかったよね!?
丸顔とか黒目とかクソ髪とか呼んでなかったっけ!?
なんで!なんで私の名前呼ぶの!?
「ああん?何顔赤くしてんだよ」
「え、だっだって…」
お前がいきなり名前で呼ぶからだよ!!
思わず照れちゃったじゃないか!
30の大人をからかって楽しいかッッッ(爆豪は言の実年齢知りません)
「けっ、いいか、俺のトップスピードについてこられたのはお前だけだ。むかつくが、認めてやる」
なーんて嬉しいお言葉いただきました。
鍛えてて良かったあ!
「おい、音葉。行くぞ」
「あ、待って!今行く!」
それから体育祭までの朝夕、爆豪のスパルタすぎるトレーニングに付き合わされましたとさ。
緑「かかかかかっちゃんが、女の子をちゃんと名字で呼んでる!?」
上「爆豪って音葉といつの間に仲良くなったん?」
峰「くそ!ずりいぞ…俺だって女子といちゃいちゃ」
耳「違うって、言、最近爆豪のトレーニングに付き合ってるらしいよ」
切「え、あの爆豪のスパルタトレーニング一緒にやってんの?」
「「「音葉(言)って…何者…」」」
(爆豪視点)
「おらあ!」
「甘い甘い!爆豪は大振りすぎんの!」
最近、筋トレや走り込みは終わった後は音葉との組手に時間を費やす。
俺ほどじゃねえが、女のくせになかなか強い。
つかこいつ、クソ髪やしょうゆ顔よりか強いんじゃねぇのか?
「くそが!」
だいたいいつも引き分けで終わる。
くそが!なんでこいつに勝てねえんだ!
こいつとの組手は、クソほどやりにくい。
「疲れたー!スパルタすぎる…」
大の字で寝そべる音葉。
すらりと伸びる白い脚に、思わず視線を逸らした。
こいつ、女のくせに無防備すぎんだろ。
「けっ、お前が体力ねえだけだろ」
そういうと音葉はへらりと笑った。
「言ちゃーん、今日もご飯食べてくー?」
俺の家でトレーニングをしているせいか、いつの間にかばばあとも仲良くなりやがって昨日は晩飯も食っていきやがった。
親は大丈夫なのかとばばあが聞いたら、なんでも帰りが遅いらしい。
「わあ光己さん!ありがとうございます。けど今日は父が早く帰ってくるので大丈夫です。」
音葉の言葉にあらそう?と言いながらばばあは出ていく。
帰り際になんかタッパー渡してやがった。
家で食べて、だとよ。けっ、仲良くしてんじゃねぇよ。
自分の部屋から、帰っていく背中を見る。
まず初対面から変な奴だった。
俺が睨んで怯えなかった女はいない。
だけどいあいつは、にこにこと笑顔で名乗ってきやがった。
“鈍感女”その時はそう思ったんだ。
俺が睨んでることすら気づかねぇのかよって。
次に会ったのは、朝のトレーニング途中。
なんでか知らねえが後ろついてきやがって、振り切ってやろうと思ってトップスピードまで上げても変わらずついてきた。
誰もついてきたことのない、俺のトップスピードに。
更には肩を上下する俺に対して、あいつは呼吸が少し乱れてるくらいだった。
ぜってえにぶっ潰してやる。
そう思ってトレーニングも組手もしたのに、あの女は全部俺についてきやがった。
「あの女…明日の体育祭で完膚なきまでにぶっ潰してやるからな」
すたすたと歩く音葉の目の前に、ふと車が止まる。
運転席のやつと笑いながら話した後、車に乗り込んだ。
「あれは…」
あのトサカみたいな金髪は間違いねえ。
「プレゼントマイク?」
先生が迎えに来るとか、あいつなんなんだよ。