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(主人公視点)
「何ごとだあ!?」
放課後、耳郎ちゃんと話していると教室の出口の方から声がした。
おおん?視線を向けると何やら見たことあるような…
「出れねーじゃん、何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ。ザコ」
やっぱ口悪いな!好きだぞ、そういうの!若いって素晴らしい。
そっかー、ここはかの有名な心操君初登場シーンじゃないっすか。
これは推しを見逃すわけにはいかん!
「うわ、凄い人」
「やっぱA組は一目置かれる存在なんだね」
耳郎ちゃんと話しながらも私の視線は真っすぐ入口に向いている。
ぐっ、大丈夫かしら。心臓持つかしら。
「意味ねぇからどけモブ共」
かっちゃーん!いいよお!若いよお!
頭もツンツン、態度もツンツン!可愛い!
頑張って表情には出さないようにしよう。
「どんなもんか見に来たが随分偉そうだな。ヒーロー科に在籍するやつは皆こんななのかい?」
きたぁぁぁぁぁぁぁあああ!
ライオンみたいな紫の髪、目の下の隈、普通科の制服!
我らが心操!!!
「言?」
耳郎ちゃんに心配されてしまった。
そりゃそうだ、呼吸荒いもん。
「なあに耳郎ちゃん」
必死に平静を装う。
たまんねー!心操!好きだぞ、心操!愛が!爆発する!尊い。
「調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー、宣戦布告しに来たつもり」
じゅる、たまんねえ。
しかし、青いなあ。なんかみんな青春って感じ。
中身30歳にはなかなかに眩しいものがある。
(私の高校生活ってどんなだったかなー)
ぼーっと心操を見つめながら遥か昔に思いを馳せる。
爆豪が群衆を押しのけて出ていこうとしている中、ふと心操と視線が被xった。
お?なんだその顔。
はっとした、驚きの表情は。
「……え」
ぐんぐんと教室の中に入ってくる。
あれ?こんな描写あったっけ?
誰に用事?耳郎ちゃん?
「ちょっと来て」
えええええ!?
心操に腕引っ張らてるんだけど!?
ちょっ、耳郎ちゃん!?頬染めないで!
廊下に出て、人気のないところまで連れていかれる。
本当になんだろうか?
まだ心操と面識ないはずなんだけど。
「あんた、ヒーロー科だったんだな」
心操の言葉にきょとんと首を傾げる。
この口ぶりからするに、面識がある感じなんだけど…
私の反応を見た心操が、溜息をついた。
「はあ、その様子だと覚えてないみたいだな」
うーん、全く覚えてない。
というか人違いでは?
推しに会ってるのに忘れるとか、ありえないもん!!
「……俺の個性は“洗脳”」
突然だな。いや知ってるけど。
なんでここで見ず知らずの私にそれ話すの?
体育祭前までの心操にとって、自分の個性はあまり好きじゃないものだと思うんだけど。
わざわざ人に言いふらしたりする性格でもないし。
心操の瞳が曇る。
ああ、ダメだ。ここで知らんぷりなんてできない。
「そうなんだ」
そういって、私は手を伸ばして心操の頭をぽんぽんと撫でた。
うわ、意外と髪やわらか!
「ヒーロー向きの良い個性だね」
(心操視点)
あの時と一緒だ。
同じように頭を撫でられ、同じ言葉を言う彼女に、やっぱり嫌な気はしなかった。
「……変な奴。みんな、敵向きって言うんだぞ」
自分でも素直じゃないと思う。
けど、ひねくれた言葉しか出てこなかった。
考える素振りをしながら、彼女は困ったように微笑む。
「そんなこと言ったら私の個性だって敵向きだよ」
そういって彼女は自分の個性が“言霊”であると教えてくれた。
俺と似た個性。
死ねと言えば、殺せる個性だ。
「どんな個性だって敵向きになるよ。オールマイトだって大量殺人犯になり得るもの」
けらけらと笑う彼女。
こいつ、大人しそうな顔して爆弾発言するな…
オールマイトファンが聞いたら発狂するぞ。
「……お前は自分の個性が嫌になったり、しないのか」
俺は敵向きだといわれる個性が嫌だった。
悪いことに使うなと言われて、ちゃんと言い返せない俺自身も。
こんな世の中だ。そう思うのは仕方ない。
だから誰も俺の個性をヒーロー向きだなんて言ってくれなった。
彼女以外は。
「ならないよ。これは私の力で、使うのは私だもの。誰になんと言われようと、私はこれを悪いことには使わない。」
真っすぐ、揺らぐことのない瞳で、彼女が太陽のように微笑んだ。
それが俺には眩しすぎて、目を細めた。
だから、と彼女は言葉を続ける。
「その力も、君が使う限り、立派なヒーロー向きの個性さ!大丈夫!君は立派なヒーローになれるもの!」
…バカかよ。
ヒーロー科が、普通科のやつに何言ってんだ。
「……変な、やつ」
そういうと、彼女はえへへと照れたように頬をかく。
褒めてねーよ。
「俺はC組、心操人使」
「私はA組、音葉言!よろしくね、人使!」
いきなり名前呼び捨てかよ。
はっと鼻で笑う。
「よろしく、言」
やっぱり、嫌な気はしなかった。