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(主人公視点)
次の日、私は雄英の一室で編入試験を受けていた。
一応形だけだということだったけど、さすが名門校。
30歳にして中学の問題を解くとは思わなかったけど、なかなか難しかった。
老いって怖いし、雄英偏差値高すぎ。
すげえな、これ上鳴とかどうやって合格したん。(失礼)
採点結果が出るまで教室で待機になった。
気持ちのいい風が窓から入ってくる。
(うーん、眠い。)
頭がかくかくする。
終わったらミッドナイトさんが起こしてくれるよ…ね。
(心操視点)
昼休み。
愛想笑いにも疲れ、使われていない教室で休もうとあてもなく歩いていた。
(どいつもこいつも敵向き敵向きって…うるせぇんだよ)
天下の雄英でも言われることは同じ。
挙句普通科だからヒーロー科にはかなわないと決めつけてるやつばっかりだ。
(くそ……ん?)
ふと、風の音が聞こえてくる。
(使ってない教室なのに、なんで窓開いているんだ?)
気になって扉を開ける。
息が詰まった。
女の子がいた。
机に突っ伏して、寝ているんだろうか。
(制服じゃないし、外部の人間?)
雄英の制服を着ていないし、思いっきり私服だ。
起こすのも申し訳ない気がしたが、気になって中に足を進める。
無意識のうちに彼女の前の席に座ってしまった。
綺麗な黒髪は、きっちりと三つ編みになっている。
風がひと際大きく吹いた。
「ん……」
風の音で目覚めたのか、寝ぼけ眼で女の子が少しだけ顔を上げる。
のろのろと視線を巡らせ、俺を見つけた。
目が離せなかった。
「あ、しんそーくんだー」
舌足らずな、呂律の回ってない言葉。
まだ半分以上夢の世界なんだと思う。
そんな彼女が、俺の名前を口にした。
こんな子、知り合いにいたかな。
そう考えるよりも前に、彼女の無防備な笑顔に見入ってしまった。
長いまつ毛も、柔らかそうなピンクの唇も、白く透き通った肌も、その全てから目が離せなかった。
「大丈夫、だよ」
猫のように目を細めて、彼女の手が俺の頭をぽんぽんと撫でる。
初対面なのに、不思議と嫌じゃなかった。
彼女の言葉が、心に染み込んでいく。
「しんそーはヒーローになれるよ。りっぱなヒーローむきの個性だもん」
そういうと彼女はまたにへらと笑い、むにゃむにゃと夢の世界へ旅立っていった。
初対面のお前に何が分かるんだよ。
俺の個性も知らないくせに。
そう言いたかった。バカかよって言いたかった。
けど、言葉にならなかった。
「なんなんだよ……あんた」
気持ちよさそうに眠る彼女の傍で、ただただその顔を見つめていた。
(主人公視点)
結果、筆記試験はなんなくクリアした。
……うそ。数学はちょっと危なかった。
しかし無事に明日から編入の運びとなりました。
ミッドナイトさんから結果を受け取る時に“青春っていいわね!”って言われたけど、何かあったんだろうか?
「相澤さん、夜ご飯何か作りましょうか?」
ソファーで仕事をしている彼に声をかける。
やだ、新婚みたい。
「……お前料理なんかできるのか」
昨日の時点で冷蔵庫にゼリー飲料しか入っていないのは把握していたので、ミッドナイトさんに付き合ってもらってスーパーで買い物をしてきた。
相澤さんの疑惑の目に苦笑する。
「お忘れでしょうけど、私、中身は相澤さんと同い年ですからね」
ちゃちゃっと包丁を取り出して魚を捌く。
うん、新鮮で良いアジだね。
半分はアジフライにして、残り半分はなめろうにしようかな。
手際よく下準備をし、揚げ油を用意しながら味噌汁も作っていく。
気になったのか相澤さんがのぞきに来た。
「……手際良いな」
「あはは、誉め言葉ありがとうございます」
軽く味付けをしたなめろうを相澤さんに渡すと、その場で食べてくれる。
「…美味い」
お、良かったー。
食の相性は悪くないみたい。
一緒に暮らす上で、そこってかなり大事だと思うんだよね。
「元の世界でも、自炊してたのか?」
手を止めずに考える。
私の場合自炊というか…
「私ね、料理人だったんですよ」
だから毎日自炊をしていたと言えば、していたのだ。
相澤さんが納得したように頷く。
「だからこんなに美味いのか」
わー、推しから美味いって言われると、また格別に嬉しいな!!
「相澤さんにそう言ってもらえると、やってきてよかったって思います」
元の世界に、あまりいい思い出はない。
包丁にも、料理にも、和食にも、あの家にも。
「…音葉?」
やめやめ!ここに元の世界は関係ないもん!
料理作って、相澤さんが美味しいって言ってくれるならそれでいいじゃない!
「ささ!食べましょう!」
さすがにゼリー飲料だけじゃ持たないからね!!