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(主人公視点)
思いのほか根津さんはあっさり納得してくれた。
ハイスペック故なのかもしれないけれど。
「音葉少女、申し訳なかった。君の言葉をもっと真剣に汲み取っていれば、私はもっと早く駆けつけられたのに」
オールマイトには謝られた。
けどそんなの仕方ないのだ。
なんの裏付けもない、ましてや戯言のようなわけの分からない言葉を信じろという方が無理だ。
相澤さんは難しい顔(包帯で見えないから雰囲気)でずっとこちらを睨んでいた。
なんだろか?
個性についても正直に話した。
元々のサーチのような個性は未来を知っているがためのものであり、そんな個性はないこと。
本当の個性は“言霊”だと思われること。
「自分より格上の相手への使用、治癒に関しては怪我の程度が重いほど反動は大きくなるみたいです」
格上の定義が曖昧だ。
どこに線引きをしたもんか。
「ということは、君はまだ個性をうまく使えていないということだね」
頷く。
そりゃ最近発言したからね。一朝一夕で身につくものでもないだろう。
ぽむっと可愛い音を立てて、根津さんが手を打った。
「うん、やっぱり君には雄英に通ってもらうことにしよう」
ぽむぽむぽむぽむちーん!
「ええ!?いいんですか!!」
ご褒美!ご褒美以外の何物でもない!
きた!トリップ特典!
「君は個性の扱い方を学べる。僕達は君を手放したくない。一石二鳥だと思わないかい?」
ぶんぶんと首が取れるんじゃないかというレベルで振る。
なんてこった。ここにきて雄英に通えるなんて!
いま初めてトリップしてよかったと思ってる…
「ちなみにすでに公安を通じて君の戸籍は作ってもらったよ。」
おお、仕事が早い。
諸々の書類が手渡される。
中には雄英の学生証もあって、思わずじーんときちゃう。
書類の中には私の戸籍謄本もあった。
おお、こっちの世界にきた初日に取られた間抜けな写真。
えーっと名前は“音葉言“、年齢15歳、雄英高校ヒーロー科1年、両親不明、身元保証人…
「え!?」
そこに書いてある名前に驚愕する。
まじで?え、本気?
思わず当人を見つめた。
「なんだ、文句でもあるのか」
「いえいえいえいえ!滅相もございません!!」
身元保証人“相澤消太”
「しっかしあのイレイザーが身元保証人を引き受けるなんてなー!」
退院した私と相澤さんは(相澤さんが腕を使えないこともあって)、プレゼントマイクの車で家に向かっていた。
校内の仮眠室か一人暮らしを希望したのだけど、なにかと不便だろう(監視したいというのもあるかもしれないけど)という根津さんの声を受け、私は相澤家の居候になった。
ちょっと心臓飛び出そうなんだけど。
「うるせぇ、黙れ」
至極不機嫌そうな相澤さんと、またまたーとからかうプレゼントマイク。
「でも何より音葉ちゃんが目覚めてくれて良かったぜ」
家について相澤さんが先にすたすたと入っていくのを追おうとすると、彼にそう呼び止められた。
「今更だが、あいつを救けてくれてサンキューな。あんなんだが、あいつも感謝してるはずだぜ」
プレゼントマイクにとって、イレイザーヘッドは…相澤消太は高校時代からの親友だ。
「プレゼントマイクにとって、相澤さんは大切な人ですもんね」
にっこり笑うと、なんでもお見通しだなって言う。
「俺のことはマイクって呼んでくれ。みんなそう呼ぶからな」
「ひざしさんって呼んじゃ、ダメですか?」
マイクさんを見上げる。
20センチ以上差があると、自然と上目使いになった。
何を隠そう、私はプレゼントマイクこと山田ひざしも大好きだ!(もちろん相澤さんが一番だが)
「もちろん、オフの時なら大歓迎だぜ」
そういってマイクさんはお茶目にウインクした。
うーん、ただただかっこいい。
相澤さんの部屋は予想通りというかなんというか、何にもなかった。
最低限度の家具のみ。
キッチンはあまり使われた様子はない。
生活感がないわりに広い。さすが現役ヒーロー。
アングラ系といっても、二足の草鞋はなかなかに稼ぎがいいらしい。
「相澤さん」
奥へ消えていこうとする相澤さんを呼び止めて、私は正座する。
きょとんとした雰囲気を感じる。
しかしこれは社会人としての礼儀だ。
手をついて、頭を下げる。
「素性の分からない私の身元保証人になっていただき、さらには部屋まで貸していただき本当にありがとうございます。このお礼は、いつか必ずさせていただきますので」
言い終わるかどうかのタイミングで相澤さんが、リビングの椅子に座る。
そして視線で正面に座るように促された。
おずおずと立ち上がり、相澤さんの正面に座る。
「個性をうまく扱えず、さらには素性の分からないお前を監視するのに俺が一番適任だっただけだ。合理的に考えた結果だよ」
出た、合理的。
それにな、と言葉が続いた。
「俺もお前に借りがある。俺の怪我を治したのは、お前らしいな」
誰かから聞いたんだろう。
大方マイクさんかな?
「まあ、そうですね。私も必死だったのであまり覚えていませんが」
嘘。超はっきり覚えてる。
「これで貸し借りなしだ。……救けてくれてありがとな」
最後の言葉は聞こえないくらい小さかった。
ぐぅぅぅううう…心臓が痛い…
思わず胸を押さえたら変なものを見るような目をされた。
酷い。あなたのせいなのに。
---にゃーお---
足元にすりつく白い姿に、はっとする。
いや、すっかり忘れとった。
「あのー、相澤さん…ここって猫は」
聞こうとして固まる。
相澤さんの猫を見る目が、なんていうか…怖い。
え、こわ。なんでそんな凝視してるの。
「…それは、お前の猫か」
「あ、白ですよ、これ」
言った瞬間、白が人型になる。
そうか、みんなの前で猫になることなかったから知らないのか。
「もしご迷惑なようなら消えるように言っておきますが…」
数秒白を凝視して、相澤さんはぽつりと言った。
「猫の姿なら、良い」
さすが猫好き!