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(主人公視点)
---さて、どうだった?物語の一員になった気分は---
クソ神め。
個性の説明はちゃんとしてくれなきゃ困ります。
真っ白な空間。
相も変わらず、神はそこにいた。
---いいだろ。超チート個性じゃねぇか---
使うたびに自分を傷つける個性なんて、諸刃の剣じゃないか。
攻撃、防御、治癒、全てに使えるがために、反動が強すぎる。
あんなんじゃおちおち使えやしない。
---反動ね。それはお前が未熟で、相手が強かったからだ---
どうやらこの個性は、自分より格上に使えば使うほど反動で自分も傷つけるものらしい。
ということは脳無も死柄木も黒霧も、私より格上だったということか。
なんか悔しいな。
いや、そりゃそうだろとは思うんだけど。
ちなみに治癒は、怪我の程度が酷ければ酷いほど、反動も大きいらしい。
---しっかし面白いなー。あそこまで自分をぼろぼろにしながら、さらに救おうとするなんてな---
けたけたと神が笑う。
うるせー。必死だったんだよ。
だって相澤さんには笑ってほしいから。
あ、神。決めたわ。
---あ?---
私、みんなと関わってやる。
---……物語を、壊すのか?---
バカ野郎!そんな作者に失礼なことしないわ!
けどね、物語は物語の通りにいくのがセオリーよ。それが一番合理的。
崩れることも、違う道に逸れることも、誰かが欠けることも許されない。
---……---
だから物語をその通りに、みんなの成長を妨げない範囲で、見守っていくの。
あんたは私を調停者と言ったわね。
それ、間違ってるわよ。
私は解決には導かない。ただ見守るだけ。イレギュラーがあれば、取り除く。
そうね、差し詰め…オーケストラの指揮者かしら。
くつくつと神が笑う。
---精々楽しませてくれよ。音葉言---
「……ん」
ゆっくりと目を開けて、息を吐き出した。
酸素マスクのせいで呼吸がしづらい。
「言様…」
安堵したような、泣きそうな表情の白が私を覗き込んでいた。
それに笑いかけながら、手を伸ばす。
「白、ありがとね」
猫の姿になり、私の腕の中に納まった。
ああ、戻ってきた。
それから医者が私に気づいて、なにやらバタバタと診察をしだす。
さすがヒロアカの世界。
あんなに吐血していたのに、私は多少の体のだるさを残すだけですっかり元通りに。
ほぼ初対面のリカバリーガールにはしこたま怒られた。
ここだけの話、結構怖かった。
あれから丸1日、私は寝ていたらしい。
相澤さんは退院し、今日から復帰しているとのこと。
目元に傷は残ったけど、個性に影響はほぼないらしい。
夢中で原作と少し変更が生じてしまったけど、期末では二人に頑張ってもらうしかないよね。
体調に問題がなければ明日にでも退院できるらしい。
検査が終わり、私は溜息をつきながらベッドに体を沈めた。
「でもみんな無事でよかったよー」
白が顔を顰める。
いいじゃん、私も無事、生徒も先生も無事。オールオッケーよ。
「私は、言様がいなくなってしまうのではないかと…怖くなりました」
力なく呟く白を手招きで呼び、そのまま抱きしめた。
「うん、ごめんね。不安だったよね。大丈夫。白を置いて行ったりしないよ。」
私が助けた命だ。
それを置いて先にいなくなるなんて、無責任な真似できないよ。
そういうと、白は少し照れながら頷いた。
「目が覚めてよかった!」
やっと右手を上げながら根津さんが病室に入ってくる。
その後ろには相澤さんとオールマイトの姿もあった。
「すみません、ご迷惑をおかけしちゃいまして」
この病院のお金とか、全部根津さんが払ってくれてるって聞いた。
申し訳ねぇ。
「いやいや、君のお陰で生徒も教師も救われたんだ。このくらいのことはさせておくれ。ただ手放しで褒めることはできないよ。自己犠牲も、行き過ぎればお互いに苦しむだけだからね。」
ところで、と根津さんの声が若干低くなる。
さすがにもう黙っていられるとは、思っていなかった。
「君はなぜ、あの時あの場所に?」
私が知るはずのない敵による襲撃。
それを知っていたかのように、私はあそこに駆けつけていた。
意味深な言葉をオールマイトに残して。
「君は生徒を、相澤君を救ってくれた。敵側だと思ってはいないが、隠し事をしていてはお互いに不利なのでは?」
ハイスペック根津は怖い怖い。
もう全部わかっているんじゃないの?って思っちゃう。
「黙っていたことは謝罪します。私も、これが本当なのかどうか半信半疑でしたので」
私は、自分が未来を知っていることを話した。
未来の内容には触れないように。
そしてそれは確定事項ではなく、あくまでも可能性の未来だと。
「…それは未来予知のようなものかい?」
「いえ、サーナイトアイのそれとは違います。24時間のインターバルもありませんし、まずこれは個性ではありません」
オールマイトの肩が揺れる。
そうか、この時点ではまだまだ仲違い中だったなと思い出す。
「少なくともここから1年先までの可能性の未来を知っています。それと、今までの過去も、全て」
過去という言葉に、オールマイトと相澤さんの顔が歪む。
はい、知っています。あなた方の過去も。
「ですがその可能性について、私は貴方たちに話すことはできません」
話すつもりはない。
未来を知っても、良いことはない。
「それは、なぜだい?」
「ここで可能性の未来を話した場合、その先は未知の未来です。私の知らない未来。そんなもの、呼び込みたくありません。」
そして私はニッコリと笑った。
絶対に物語は歪ませない。