RESTART~USJ
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(主人公視点)
『消えろ』
USJの天井部の一部を消して、静かに中に入り込む。
ちょうど広場で相澤さんが戦っている。
生徒は既に飛ばされた後なのか、入口付近には数名の姿しかない。
水難ゾーンで大きな水しぶきが上がる。
あれは、緑谷だ。
良かった。物語通りに進んでるみたい。
白に跨ったまま、成り行きを見守る。
高い位置にいるせいか、誰にも見つかってない。
大丈夫。大丈夫。
もうすぐオールマイトが駆けつけてくれる。
死柄木が相澤さんに駆け出す。
肘が崩れる。
それを振りほどいて、距離を取る。
他の敵をいなす。
脳無が動く。
「ッッッッッ」
思わず息を呑んだ。
分かっていたはずだ。彼がここで傷つくのは。
ひしゃげる腕、苦痛に歪む相澤さんの顔。
思わず白の体に突っ伏した。
分かってるけど、辛い。見ていられない。
もうちょっと、もう少し…
黒霧が死柄木のところに来る。
もう少し
死柄木の手が梅雨ちゃんに伸びる。
相澤さんが個性を消す。
脳無が相澤さんの頭を地面に叩きつける。
もう少し
再度梅雨ちゃんに伸びる死柄木の手。
緑谷が動く。
脳無がその拳を受ける。
物語通りのはずだったのに。
受けた脳無の手に、相澤さんの頭があった。
「なん、で」
この場面、もう相澤さんはいないはずだ。
今にも握りつぶさんばかりに、ぎちぎちと音がする。
「だめ、やめて…それは知らない」
白を叩いて、そこに向かわせる。
死んじゃう、相澤さんがっっ
『とまれぇぇぇぇえええええ!!!!!!!』
喉が焼けるように痛い。
けど構うもんか!!
脳無も死柄木も、その場の全員の動きが止まる。
地面に降りて、脳無に近づく。
目だけが、こちらをぎょろりと見た。
怖い。けどここで止まれない。
『離せ』
その手から相澤さんが離され、崩れ落ちる。
それと同時に掴んでいた緑谷の腕も離された。
今にも梅雨ちゃんに触れそうな死柄木を睨む。
『ぶっとべ!!!!!』
途端、脳無と死柄木の体が黒霧の方へと吹っ飛んだ。
「ぐっっっ」
喉が痛い…口から止めどなく流れ出す赤いそれに、顔が歪む。
それすら構わず、相澤さんに駆け寄った。
意識はない、怪我も酷い。
顔の傷はダメだ…このままだと彼の個性が。
なにも考えられてなかった。
ただ彼を救いたい一心だった。
『治って…戻って…元、通りに』
更に口から血があふれ出す。
私なんてどうでもいい。
イレギュラーの私なんて。
「言様!!!」
白の制止を振り切る。
少しずつ治っていく怪我が見えるからだ。
私なら、治せるっっ!!
「おいおい、誰だよあんた。なんだ、その力」
対してダメージも入ってなさそうな死柄木が向こうで起き上がる。
脳無も、全く無傷だった。
「死柄木弔、あの少女です。昨日お話しした」
「ああ?お前の名前を知ってたやつか?へえ、気になるな」
頭に血が上る。
痛いはずなのに、痛みは何も感じない。
ただ相澤さんをここまで傷つけたこいつらに腹が立っていた。
「緑谷君、蛙吸さん、峰田君…相澤さんをお願い。大丈夫。私が守るから。」
にっこりと笑いかける。
物語とか、イレギュラーとか、必要だとか、何も考えられなかった。
頭の中が真っ赤に染まる。
「私の大好きな人を傷つけたお前らを、絶対に許さないっっっ!」
声がかすれる。
白に相澤さんと他3人を連れて行くように命令して、私は死柄木に向き直った。
もうオールマイトがくる。
それまで、持ちこたえられればいい!
『止まれ!!』
こちらにこようとしている脳無の体が止まる。
でも完全には止まらない。少しずつ、じりじりと距離を詰められる。
『近づくな!!!』
言った瞬間、さっきまでの比にならない血が、口から流れでた。
「あ…」
思わず膝をついて口の中のものを吐き出す。
全部、真っ赤だった。
「脳無、捕まえろ」
首を掴まれて、体を持ち上げられる。
もう動かない。声も出せない。
意識も、朦朧とする。
「なあ、なんで黒霧の名前を知ってた?お前、何者なの?」
子供みたいに無邪気な目が、私を覗き込む。
最後の虚勢で、ぎっと睨み返した。
「うる、さい…ころすなら、ころせよ…しがらき、とむら」
「へえ、俺のことも知ってるんだ」
あーあ、折角トリップしたのに何にも良いことなかったな。
また、死ぬのかな…
---バアン!!!!---
「もう大丈夫!私が来た!」
遅いよ、オールマイト。
そこで私の意識は途切れた。