僕が「救けて」と言えるまで
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次の日。
僕は昨日より早く家を出る。
今日こそ無事に教室にたどり着いてみせるんだ!
「お、おはよ!昨日大丈夫だったか?」
靴をかえながらガッツポーズをしていると、誰かに声をかけられた。
振り返るとそこにいたのは赤いつんつん髪の人。
あ、昨日心配してくれた人だ。
えーっと、名前知らないや。
「昨日はありがとう。えーっと」
「俺切島!切島鋭児郎!よろしくな」
「僕は神呪礼だよ。よろしくね、切島君」
切島君。うん覚えた。
そこからどうやら僕は逆方向に行こうとしていたようで、慌てた切島君が教室まで連れてってくれた。
うーん、やっぱり広すぎだよ。この学校。
教室に入ると既に何人かの姿がある。
昨日は保健室からほぼ直帰しちゃったから、クラスメイトとは話さなかったんだよね。
「俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ。初日から遅刻とは感心しないぞ!それにネクタイはちゃんとつけたまえ!!」
え、初対面の人の怒られた…
ロボットみたいな手の動きをした男の子が、僕の前に立つ。
身長おっきーなー。
そして僕は今日も変わらずネクタイがつけられなくて、早々に諦めていた。
「ごめんね、昨日は道に迷っちゃって…ネクタイは…結べなくて…」
飯田君は練習したまえ!と言いながら、こうやるんだ!と教えつつネクタイを結んでくれた。
え、優しい…。好き。
そして気を付けたまえ!と言いながら自分の席に戻っていった。
真面目だ。真面目ないい子だ。眼鏡だし。
僕の席は窓際の一番後ろ。
ぴょこんと一つだけ席が飛び出てる。
なんか特別感あって、僕好きだなー。
前の席は女の子だった。
八百万さんっていうんだって。
何人かと挨拶をしているうちに先生が来て、授業が始まった。
午前中は必修科目の勉強。
座学が基本みたい。
お昼は大食堂でご飯を食べる。
「おい、どけ邪魔だ。クソモブが」
メニュー見ながら悩んでると、どんっと肩を押される。
振り替えるとツンツン頭の人がいた。
あ、入試の時の…
「ごめんごめん、僕邪魔だったよね」
にへらと笑ってあの日と同じように横にどけると、やっぱり舌打ちをされた。
うーん、あの人いっつも怒ってない?
「…前もいったはずだぞ、その気持ち悪い笑い方やめろって」
ぎろりと睨まれる。
自分の顔が歪むのが分かる。
「そんなこと言われても、僕は普通に笑ってるだけだよ」
「けっ、そうやって自分に嘘ついて生きて楽しいかよ」
心臓をえぐり取られたみたいだった。
嘘なんか、ついてない。
「君に、何が分かるんだよ…」
「ああ!?」
僕はさらに突っかかってくる彼を無視して、反対側に走った。
うるさい、うるさい、うるさい。
お前なんかに、僕の何が分かるんだよ。