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天撃を超えた先に

突然、家の周辺を映した映像を壁に投影した梶本。中山の家にプロジェクターなど無い。

「あんたどうやってんだよ…」

どんどん声音が弱くなりつつも、思ったことを発する中山だったが、そこに映された見覚えのある姿を見て、大きく声をあげた。

「平田!あいつわざわざ来たのかよ!」

その声に平田は気づくはずも無い。室内で発された音は屋外には届かないのだから。

「知り合いか?」

「職場の後輩だ。」

「何故連れてきたのだ。」

「俺にも分からねぇよ、来いなんて一言を言ってねぇよ。」

平田が来た理由を聞く梶本だったが、中山も予測していなかったので答えられる訳もない。

「たまたま通りかかっただけかもしれないだろ、ここに来るとは限らねぇよ。」

中山がそう呟くが、平田は確実に中山の自宅に近づいていた。

「おいおい…こっち来てるじゃねぇか…」

平田の行動が読めない中山はただただ後手に回るしかない。そうすると、外から足音が聞こえ始めた。
カツン…カツン…とヒールが地面を蹴っている。そして、その音はジワジワと大きくなっている。
すると、呼び鈴が鳴った。

「なんで来たんだよ…」

ぼやく中山。

「せっかく来たのだから、一緒にこちら側に来て貰おうではないか。」

そう言いながら、玄関へ向かう梶本。

「待て!開けるんじゃない!!!」

中山の制止を無視し、玄関扉を開けた。

目の前に現れたのは、いつもの平田では無かった…
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