「なんだ、今のは…」

影が通り抜けた違和感を感じながら、元は部屋だった暗闇に足を踏み込む。

「え…なんでいるんすか…」

目の前には遺体として発見されたはずの梶本が立っていた。

「混沌からは二度と抜け出せない」

突然発せられた言葉に呆然とする中山。

「何がどうなったらこうなってるんですか…」

「今朝、遺体で発見されたんじゃ無いんですか！？」

状況を飲み込めてない頭をフル回転させて言葉を絞り出す。

「確かに今朝遺体で発見された」

事実を淡々と吐き出す梶本に、中山は嫌な寒気を感じ始めていた。

「なら、今ここにいるのは何が目的ですか？」

冷静であることを見せるように静かに聞くが、言葉の震えまでは隠せなかった。

「遂にここにも天撃が撃たれた」

「いずれ全ての生物が死ぬ」

梶本の言葉に衝撃を受けながら、中山は聞き慣れ無い単語に引っかかる。

「天撃って何ですか…」

「神が粛清を始める狼煙…という表現が近いだろう」

その頃、中山からの連絡が一切無いことを不審に思った平田が中山の自宅に向かっていた。
異変に気づく事も、既に巻き込まれている事も知らずに…