鳳長太郎誕生祭2020
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鳳長太郎くんへ
こんにちは、急なお手紙ごめんなさい。
伝えたいことがあって、こうして筆を執っています。
単刀直入に言います、これはラブレターです。私は鳳くんのことが好きです。鳳くんの恋人になりたいです。
ここから先は、私の全部の気持ちです。
読みづらいかもしれないけど、最後まで目を通してもらえると嬉しいです。
始まりは、六月に友達に連れられてテニス部の試合を見学した時のことでした。
私がテニスコートに着いたとき、あなたがちょうど、サーブを打とうとしているところでした。
一球入魂、と力強くまっすぐとした声が、応援席の端の端の方まで聞こえてきたのを覚えています。風を切る音と共に貴方の手のなかにあったはずのボールは、相手のコート上に転がっていました。
一瞬でした。
すごい。無意識に口からその言葉が漏れだしていました。
速いし、強い。
この人が友達が言ってた跡部さんって人なのかな、と思っていました。今からしてみると、とんだ勘違いですよね。
横に座っていた友達に尋ねてみると、違うよ。あの背の大きい子は私たちの同級生だって。知らない?鳳くん、と返されました。
おおとりくん、鳳くん。
聞いたことがない、知らない人でした。
パートナーであろう先輩と、真剣な顔で言葉を交わすあなたの顔が、脳裏に焼き付いては離れませんでした。
その日の夜、幼稚舎の卒業アルバムを見返してみたのだけれど、私とあなたは六年間、一度も同じクラスになったことが無いみたいなのです。
アルバムに写っていたあなたは、今よりうんと小さくて、すごく可愛かったです。(男の子って、可愛いとかって言われるのは嫌なのかな?もしそうだとしたらごめんね。)
幼稚舎のときのあなたとも、お話ししてみたかったな、なんて思ってしまいました。
初めて会話をしたのは、八月の林間学校のときでしたね。
班のみんなでお昼ご飯を作っているときに、私のミスで飯ごうが爆発して。平謝りしながら汚れたそれを洗うために一人川に向かったときに、あなたを見つけました。
魚を探しているわりには随分浅瀬にいるなと思い、不思議に思って声をかけてみたら、振り向いたあなたの左手には黒こげになった飯ごうが握られていて、すごくびっくりしました。
見られたのが恥ずかしかったのかどうなのか、私と目が合ったあなたは、はにかみながら爆発させちゃった、と呟いていましたね。
鳳くんでも、そんな失敗するんだ。
テニスコートで見た時のあなたと、背中を丸めて飯ごうを洗っている今のあなたの対比が何だかすごく面白くて、私のなかの鳳くん像が良い意味で壊れていったことを覚えています。
ここで名前は、とか、クラスはどことか、部活がどうしたとか、色んな話をしましたね。
クラスの男の子とはまた違う、鳳くんの優しい雰囲気に惹かれている私がいました。
その日を境にあなたと話す機会がぐっと増えて、とても嬉しかったです。
恋心を自覚したのは、十月のことでした。
運動会、修学旅行と立て続けに行事があって、どれもこれも、私にとっては大きな出来事ばかりでした。
徒競走では、一番を取っていましたね。颯爽とグラウンドを走るあなたの姿は、たまらないほど眩しくて、ずっとずっと見つめていました。
借り物競争では、尊敬する先輩というお題を引いて、我先にとやってきた部活の先輩に囲まれて嬉しいような困ったような顔をしていましたね。
クラスが違うから全然話せなかったけれども、実はずっとあなたのことを見ていました。
そして、好きという気持ちに気がつきました。
修学旅行の自由行動のとき、班がバラバラなのに、まさか行き先が同じになるなんて!思ってもみなかったので、すごくびっくりしました。
せっかくだから、と一人の子が一緒に行こうと行ってくれたお陰で、十人くらいの大所帯でハワイを巡りましたよね。
すごく嬉しくて、照れて、最初は全く喋れなかったのを覚えています。
歩いてる最中、鳳くんから話し掛けてもらえて、すごく安心しました。
飛行機に酔っちゃったの?と眉を八の字にしながら顔を覗き込んできたあなたは、 すごく、 これ、書くのが恥ずかしいのだけれど、 まるで王子様みたいで、もっと好きになってしまいました。
ダイビングするとき、私の手を握ってくれましたよね。海の中の世界はとても幻想的でした。色とりどりのサンゴや魚を見れてすごく感動したのですが、正直なところ、あなたの横顔にずっと見惚れていたふしがあります。
海の先を見つめるあなたの瞳は、綺麗でした。
綺麗で、綺麗すぎて、何故だか泣きたい気持ちになりました。何でなんだろうね。
極めつけは、十二月のスキー教室。
私はスキーコースだったのですが、スノーボードを担いでゲレンデに現れた鳳くんは、すごくかっこよかったです。でも、コースが違うから今日はお話しできないかもな、と少ししょげたことを覚えています。
鳳くん、テニスだけじゃなくて、ウィンタースポーツもできるんだって、驚いた記憶があります。
お昼、休憩所で、修学旅行で一緒だったメンバーで集まって食べたよね。
鳳くんを前にして私、顔が真っ赤になっていて、しかもそれを指摘されたのだけれど、寒かったからかな?と、無理な言い訳をした覚えがあります。
きっと、必死だったのでしょうね。
鳳くんから一口もらったうどん、すごく美味しかったな、と、今急に思い出しました。
そういえば。先月の合唱コンクールでは、ピアノを弾いていましたね。
鳳くんがピアノを弾けるなんて全然知らなかったから、あなたの姿を見たときはすごくびっくりしたことを覚えています。
私は音楽に詳しくないけど、あなたの演奏が一番素敵だなと思いました。
優しくて、正確無比で、そして何より、鳳くんのピアノを弾いてるときの顔が大好きです。わかるかな。あの時の鳳くん、すごく楽しそうな顔してたんだよ。
あなたが伴奏者特別賞を受賞したとき、自分のことのように嬉しく思いました。大きな花束を跡部さんから渡されたときの鳳くんの微笑みは、まるでヒマワリのようでした。
放課後、廊下を歩いているあなたの姿を見かけ、我慢ならずに声を掛けたのですが、覚えていますか?
おめでとう。素敵だったよと、伝えたときのあなたの笑顔はとても素敵でした。
そして何より、あの笑顔が私にだけ向けられたものというのが、たまらなく嬉しくて。その日の夜は全然眠れませんでした。
実は、その日の帰りにも一度、この手紙を下駄箱に入れようとしました。
でも、まだ、勇気が出ませんでした。
出そう、出さなきゃ、はやく伝えないとって、分かってはいるのだけれど、どうしても勇気が出なくて。
悩んでいる間もどんどん時間は過ぎ去っていって
気づけばもうこんな季節になっていました。
今日は鳳くんの誕生日ですね、おめでとう。
上手く伝えられないんだけど、すごく、鳳くんにぴったりの日だなあって思います。
きっと色んな人にたくさんお祝いされるのだと思います。
どうか鳳くんにとって素敵な一日になりますようにと、願わずにはいられません。
ごめんなさい。本当はもっと沢山伝えたいことがあるのに、いざ前にしてみると、自分の気持ちに見合う言葉が見つかりません。
とにかく、改めて、おめでとう。
最初にラブレターって書いているのに、私のことばかり書いてしまいました。変だよね、ごめんね。
鳳くんの好きなところは、数えきれないくらいたくさんあります。
優しいところ、かっこいいところ、笑顔が素敵なところ、背が高いところ、スポーツも音楽も得意なところ、努力家なところ、全部全部大好きです。
一番好きなところ、書こうと思ったのだけれど、選べませんでした。鳳くんを知れば知るほど、もっともっと好きになってしまうのです。毎日好きが溢れて、楽しくて、楽しいけど、すこしだけ辛いです。
私にとって、鳳くんは、 ごめんなさい、恥ずかしいので書けません。
いま、あなたはどこでこれを読んでいるのでしょうか。
もしこれを学園内で読んでくれていたら一つ、お願いがあります。
帰りのホームルームが終わったら、屋上に来てくれませんか?そして、そこでお返事を聞かせてもらえませんか?
きっと部活もあるだろうから、無理にとは言いません。
でも、もし来てくれるのなら、すごく、すごく嬉しいです。
伝えたいことを全部書いたら、こんなにたくさんの量になってしまいました。
ここまで読んでくれてありがとう。
屋上で待ってます。
岬詩織より
こんにちは、急なお手紙ごめんなさい。
伝えたいことがあって、こうして筆を執っています。
単刀直入に言います、これはラブレターです。私は鳳くんのことが好きです。鳳くんの恋人になりたいです。
ここから先は、私の全部の気持ちです。
読みづらいかもしれないけど、最後まで目を通してもらえると嬉しいです。
始まりは、六月に友達に連れられてテニス部の試合を見学した時のことでした。
私がテニスコートに着いたとき、あなたがちょうど、サーブを打とうとしているところでした。
一球入魂、と力強くまっすぐとした声が、応援席の端の端の方まで聞こえてきたのを覚えています。風を切る音と共に貴方の手のなかにあったはずのボールは、相手のコート上に転がっていました。
一瞬でした。
すごい。無意識に口からその言葉が漏れだしていました。
速いし、強い。
この人が友達が言ってた跡部さんって人なのかな、と思っていました。今からしてみると、とんだ勘違いですよね。
横に座っていた友達に尋ねてみると、違うよ。あの背の大きい子は私たちの同級生だって。知らない?鳳くん、と返されました。
おおとりくん、鳳くん。
聞いたことがない、知らない人でした。
パートナーであろう先輩と、真剣な顔で言葉を交わすあなたの顔が、脳裏に焼き付いては離れませんでした。
その日の夜、幼稚舎の卒業アルバムを見返してみたのだけれど、私とあなたは六年間、一度も同じクラスになったことが無いみたいなのです。
アルバムに写っていたあなたは、今よりうんと小さくて、すごく可愛かったです。(男の子って、可愛いとかって言われるのは嫌なのかな?もしそうだとしたらごめんね。)
幼稚舎のときのあなたとも、お話ししてみたかったな、なんて思ってしまいました。
初めて会話をしたのは、八月の林間学校のときでしたね。
班のみんなでお昼ご飯を作っているときに、私のミスで飯ごうが爆発して。平謝りしながら汚れたそれを洗うために一人川に向かったときに、あなたを見つけました。
魚を探しているわりには随分浅瀬にいるなと思い、不思議に思って声をかけてみたら、振り向いたあなたの左手には黒こげになった飯ごうが握られていて、すごくびっくりしました。
見られたのが恥ずかしかったのかどうなのか、私と目が合ったあなたは、はにかみながら爆発させちゃった、と呟いていましたね。
鳳くんでも、そんな失敗するんだ。
テニスコートで見た時のあなたと、背中を丸めて飯ごうを洗っている今のあなたの対比が何だかすごく面白くて、私のなかの鳳くん像が良い意味で壊れていったことを覚えています。
ここで名前は、とか、クラスはどことか、部活がどうしたとか、色んな話をしましたね。
クラスの男の子とはまた違う、鳳くんの優しい雰囲気に惹かれている私がいました。
その日を境にあなたと話す機会がぐっと増えて、とても嬉しかったです。
恋心を自覚したのは、十月のことでした。
運動会、修学旅行と立て続けに行事があって、どれもこれも、私にとっては大きな出来事ばかりでした。
徒競走では、一番を取っていましたね。颯爽とグラウンドを走るあなたの姿は、たまらないほど眩しくて、ずっとずっと見つめていました。
借り物競争では、尊敬する先輩というお題を引いて、我先にとやってきた部活の先輩に囲まれて嬉しいような困ったような顔をしていましたね。
クラスが違うから全然話せなかったけれども、実はずっとあなたのことを見ていました。
そして、好きという気持ちに気がつきました。
修学旅行の自由行動のとき、班がバラバラなのに、まさか行き先が同じになるなんて!思ってもみなかったので、すごくびっくりしました。
せっかくだから、と一人の子が一緒に行こうと行ってくれたお陰で、十人くらいの大所帯でハワイを巡りましたよね。
すごく嬉しくて、照れて、最初は全く喋れなかったのを覚えています。
歩いてる最中、鳳くんから話し掛けてもらえて、すごく安心しました。
飛行機に酔っちゃったの?と眉を八の字にしながら顔を覗き込んできたあなたは、 すごく、 これ、書くのが恥ずかしいのだけれど、 まるで王子様みたいで、もっと好きになってしまいました。
ダイビングするとき、私の手を握ってくれましたよね。海の中の世界はとても幻想的でした。色とりどりのサンゴや魚を見れてすごく感動したのですが、正直なところ、あなたの横顔にずっと見惚れていたふしがあります。
海の先を見つめるあなたの瞳は、綺麗でした。
綺麗で、綺麗すぎて、何故だか泣きたい気持ちになりました。何でなんだろうね。
極めつけは、十二月のスキー教室。
私はスキーコースだったのですが、スノーボードを担いでゲレンデに現れた鳳くんは、すごくかっこよかったです。でも、コースが違うから今日はお話しできないかもな、と少ししょげたことを覚えています。
鳳くん、テニスだけじゃなくて、ウィンタースポーツもできるんだって、驚いた記憶があります。
お昼、休憩所で、修学旅行で一緒だったメンバーで集まって食べたよね。
鳳くんを前にして私、顔が真っ赤になっていて、しかもそれを指摘されたのだけれど、寒かったからかな?と、無理な言い訳をした覚えがあります。
きっと、必死だったのでしょうね。
鳳くんから一口もらったうどん、すごく美味しかったな、と、今急に思い出しました。
そういえば。先月の合唱コンクールでは、ピアノを弾いていましたね。
鳳くんがピアノを弾けるなんて全然知らなかったから、あなたの姿を見たときはすごくびっくりしたことを覚えています。
私は音楽に詳しくないけど、あなたの演奏が一番素敵だなと思いました。
優しくて、正確無比で、そして何より、鳳くんのピアノを弾いてるときの顔が大好きです。わかるかな。あの時の鳳くん、すごく楽しそうな顔してたんだよ。
あなたが伴奏者特別賞を受賞したとき、自分のことのように嬉しく思いました。大きな花束を跡部さんから渡されたときの鳳くんの微笑みは、まるでヒマワリのようでした。
放課後、廊下を歩いているあなたの姿を見かけ、我慢ならずに声を掛けたのですが、覚えていますか?
おめでとう。素敵だったよと、伝えたときのあなたの笑顔はとても素敵でした。
そして何より、あの笑顔が私にだけ向けられたものというのが、たまらなく嬉しくて。その日の夜は全然眠れませんでした。
実は、その日の帰りにも一度、この手紙を下駄箱に入れようとしました。
でも、まだ、勇気が出ませんでした。
出そう、出さなきゃ、はやく伝えないとって、分かってはいるのだけれど、どうしても勇気が出なくて。
悩んでいる間もどんどん時間は過ぎ去っていって
気づけばもうこんな季節になっていました。
今日は鳳くんの誕生日ですね、おめでとう。
上手く伝えられないんだけど、すごく、鳳くんにぴったりの日だなあって思います。
きっと色んな人にたくさんお祝いされるのだと思います。
どうか鳳くんにとって素敵な一日になりますようにと、願わずにはいられません。
ごめんなさい。本当はもっと沢山伝えたいことがあるのに、いざ前にしてみると、自分の気持ちに見合う言葉が見つかりません。
とにかく、改めて、おめでとう。
最初にラブレターって書いているのに、私のことばかり書いてしまいました。変だよね、ごめんね。
鳳くんの好きなところは、数えきれないくらいたくさんあります。
優しいところ、かっこいいところ、笑顔が素敵なところ、背が高いところ、スポーツも音楽も得意なところ、努力家なところ、全部全部大好きです。
一番好きなところ、書こうと思ったのだけれど、選べませんでした。鳳くんを知れば知るほど、もっともっと好きになってしまうのです。毎日好きが溢れて、楽しくて、楽しいけど、すこしだけ辛いです。
私にとって、鳳くんは、 ごめんなさい、恥ずかしいので書けません。
いま、あなたはどこでこれを読んでいるのでしょうか。
もしこれを学園内で読んでくれていたら一つ、お願いがあります。
帰りのホームルームが終わったら、屋上に来てくれませんか?そして、そこでお返事を聞かせてもらえませんか?
きっと部活もあるだろうから、無理にとは言いません。
でも、もし来てくれるのなら、すごく、すごく嬉しいです。
伝えたいことを全部書いたら、こんなにたくさんの量になってしまいました。
ここまで読んでくれてありがとう。
屋上で待ってます。
岬詩織より
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