短編 連載『君が好きだと言えたらいいのに』
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『君が好きだと言えたらいいのに』
第一話 「はじめて会った日」
――ガイ視点
俺は昔から、異性と話すのが少し苦手だ。
恥ずかしいのもあるし、男ばかりの環境で育ったせいかもしれない。
理由は自分でもよくわからない。
たぶん、生まれつきの性格なんだろう。
そんな俺が、人生で初めて心から好きになった人がいる。
けれど、その時の俺はまだ知らなかった。
この出会いが、俺の日常を少しずつ変えていくことを。
そして――。
「君が好きだ。」
その一言が、こんなにも言えなくなるなんて。
あれは二か月前。
仕事で必要な資料を探すため、地元の図書館へ足を運んだ日のことだった。
自動ドアが静かに開く。
館内は涼しく、高い本棚がいくつも並んでいる。
ページをめくる音だけが、静かな空間に響いていた。
(思ったより広いな……。)
俺はメモを見ながら目的の本棚を探す。
「建築関係……建築関係……。」
見当たらない。
少し歩き回っていると、
「あの……。」
不意に、柔らかな声が聞こえた。
振り向く。
そこには、一人の女性が立っていた。
淡い色のカーディガンを羽織り、胸には図書館の名札。
どうやら職員らしい。
「何かお探しですか?」
「あ……いや、その……。」
しまった。
異性だ。
頭の中が真っ白になる。
「えっと……。」
言葉が出てこない。
女性は少し首を傾げたあと、ふっと優しく笑った。
「ゆっくりで大丈夫ですよ。」
その笑顔に、胸がどくんと鳴る。
(……綺麗な人だ。)
「建築史の資料を探していて……。」
ようやく言えた。
「建築史ですね。」
彼女はすぐに歩き出す。
「こちらです。」
俺も後をついていく。
本棚の前で足を止めると、一冊ずつ丁寧に確認しながら、
「このあたりにありますよ。」
そう言って、一冊の本を差し出した。
「これですか?」
「……そう、それだ。」
「よかった。」
嬉しそうに微笑む。
その笑顔を見た瞬間。
――時間が止まった気がした。
胸が苦しい。
なのに、嫌じゃない。
むしろ温かくて、心地いい。
(……なんだ、この気持ちは。)
「他にも必要でしたら、お気軽に声をかけてくださいね。」
「あ、ありがとう。」
情けないくらい短い返事しかできなかった。
彼女は小さく会釈をして、カウンターへ戻っていく。
俺はその背中を、しばらく見送っていた。
……
本を借りる手続きを終え、図書館を出る。
夕暮れの風が頬を撫でた。
なのに、頭の中にはさっきの笑顔しか浮かばない。
(……名前、聞けばよかった。)
いや。
そんな勇気、あるわけないだろ。
俺は苦笑しながら空を見上げる。
それでも。
また会えたらいい。
そんなことを思ったのは、生まれて初めてだった。
そして翌週。
仕事とは関係ないのに、俺はまた図書館へ向かっていた。
理由なんて、自分でもわかっていた。
――もう一度、彼女に会いたかったから。
第一話 「はじめて会った日」
――ガイ視点
俺は昔から、異性と話すのが少し苦手だ。
恥ずかしいのもあるし、男ばかりの環境で育ったせいかもしれない。
理由は自分でもよくわからない。
たぶん、生まれつきの性格なんだろう。
そんな俺が、人生で初めて心から好きになった人がいる。
けれど、その時の俺はまだ知らなかった。
この出会いが、俺の日常を少しずつ変えていくことを。
そして――。
「君が好きだ。」
その一言が、こんなにも言えなくなるなんて。
あれは二か月前。
仕事で必要な資料を探すため、地元の図書館へ足を運んだ日のことだった。
自動ドアが静かに開く。
館内は涼しく、高い本棚がいくつも並んでいる。
ページをめくる音だけが、静かな空間に響いていた。
(思ったより広いな……。)
俺はメモを見ながら目的の本棚を探す。
「建築関係……建築関係……。」
見当たらない。
少し歩き回っていると、
「あの……。」
不意に、柔らかな声が聞こえた。
振り向く。
そこには、一人の女性が立っていた。
淡い色のカーディガンを羽織り、胸には図書館の名札。
どうやら職員らしい。
「何かお探しですか?」
「あ……いや、その……。」
しまった。
異性だ。
頭の中が真っ白になる。
「えっと……。」
言葉が出てこない。
女性は少し首を傾げたあと、ふっと優しく笑った。
「ゆっくりで大丈夫ですよ。」
その笑顔に、胸がどくんと鳴る。
(……綺麗な人だ。)
「建築史の資料を探していて……。」
ようやく言えた。
「建築史ですね。」
彼女はすぐに歩き出す。
「こちらです。」
俺も後をついていく。
本棚の前で足を止めると、一冊ずつ丁寧に確認しながら、
「このあたりにありますよ。」
そう言って、一冊の本を差し出した。
「これですか?」
「……そう、それだ。」
「よかった。」
嬉しそうに微笑む。
その笑顔を見た瞬間。
――時間が止まった気がした。
胸が苦しい。
なのに、嫌じゃない。
むしろ温かくて、心地いい。
(……なんだ、この気持ちは。)
「他にも必要でしたら、お気軽に声をかけてくださいね。」
「あ、ありがとう。」
情けないくらい短い返事しかできなかった。
彼女は小さく会釈をして、カウンターへ戻っていく。
俺はその背中を、しばらく見送っていた。
……
本を借りる手続きを終え、図書館を出る。
夕暮れの風が頬を撫でた。
なのに、頭の中にはさっきの笑顔しか浮かばない。
(……名前、聞けばよかった。)
いや。
そんな勇気、あるわけないだろ。
俺は苦笑しながら空を見上げる。
それでも。
また会えたらいい。
そんなことを思ったのは、生まれて初めてだった。
そして翌週。
仕事とは関係ないのに、俺はまた図書館へ向かっていた。
理由なんて、自分でもわかっていた。
――もう一度、彼女に会いたかったから。
