短編 ガイ夢小説
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プロローグ
「ここは?」
「まさか‥」
「ーー迷いましたね」
バチカルへ向かう旅の途中で、一行は道に迷っていた。
「よし!待ってろ!」
「ガイ!」
「待って!」
ガイはそう言うと、一人で駆け出した。
危険かもしれない。
そう思った私は、慌ててその後を追いかけた。
道がある場所は次第に消えて。
道なき道を歩く。
「あれ?」
「迷っちゃった‥」
そうーー気づいた時には、元の道に引き返せなくなってしまった。
まさかルークたちとはぐれてしまい。
二人だけで一夜を過ごすことになるなんて。
ーー思いもしなかった。
「優しい時間」旅の途中
「この辺りで休むか」
「そうですね」
仕方がなく2人で野宿することに。
簡単な食事を終えると、魔物が襲ってこないか。
ガイは見張りをするといい、離れた位置で待機することになった。
キッ
チチ
遠くで鳥が鳴いている。
午前零時を過ぎた頃、私は目を覚ました。
重たい瞼を開けると、ガイの様子がない。
心配して探しに行くと。
小屋の物陰に隠れるようにいた。
「 はる……か」
「どうした?」
普段と変わらないように笑う。
けれど、その笑顔は少しだけ引きつっていた。
額にはうっすら汗が滲み、呼吸もどこか浅い。
熱があるのか。
それとも。
お腹を壊したのか?
体温、脈拍を測って。
いやだめだ。
彼は女性恐怖症だ。
しかし、彼の頬は赤い。
「どうしたんですか」
「具合が悪い?」
「いや。虫に刺されただけさ」
「どんな虫?毒の可能性は?」
ガイは右腕の袖をまくると、傷口を確認する。
右前腕の内側に2センチ程、赤く腫れている。
「さあ?」
「傷口を洗えば、大丈夫だろう」
「えっ?赤くなって、腫れているじゃない」
「しかも、毒だったら」
「これくらいなら」
ガイはそう言うと傷口布で固定しようとしている。
いや。
やっぱり。
だめだって。
気がつくと、ガイの方へ歩き出す。
「はる」
名前を呼ばれ、足が止まる。
だが、その苦しそうな呼吸を聞いてしまえば、引き返すことなんてできなかった。
「じっとしていてください」
「いや、大丈夫だ」
「全然、大丈夫そうじゃありません」
私はしゃがみ込み、少し距離を空けたままガイの腕を見る。
赤く腫れた傷口は、さっきより熱を帯びているように見えた。
「こんなに腫れてる……」
「毒虫ってほどじゃないさ」
「でも、何の虫か分からないですよね?」
ガイは困ったように笑う。
「心配性だな」
「心配しますよ」
思わず声が強くなる。
「ガイは、いつも自分のことを後回しにするんだから」
その言葉に、ガイは少しだけ目を見開いた。
夜風が静かに吹き抜ける。
「……悪い」
珍しく素直な謝罪だった。
私は腰のポーチから、旅の途中で買っておいた消毒用の水と薬草を取り出す。
「消毒しますね」
そう言って手を伸ばしかけると、ガイの肩がぴくりと震えた。
女性恐怖症。
そのことを思い出し、私は慌てて手を引っ込める。
「ごめんなさい‥‥っ」
「いや‥」
ガイは苦笑しながら首を振る。
「お前が悪いわけじゃない」
ほんの少し息を整えると、自分で腕を差し出した。
「薬だけ渡してくれ。自分でやる」
「……はい」
私は薬草を渡し、ガイが傷口に当てるのを見守る。
布で軽く固定すると、少しだけ苦しそうだった表情が和らいだ。
「ありがとう」
「まだ油断はできません」
私は真剣な表情で言う。
「もし熱が出たり、腫れが広がったら、すぐ教えてください」
「分かった」
そう返事をするガイだったが、どこか照れくさそうだった。
私はほっと息をつき、小さく笑う。
「今日は見張り、交代しましょう」
「え?」
「ガイは少し休んでください。私も戦えますから」
「‥頼もしくなったな」
優しく細められたその瞳に、胸が少しだけ温かくなる。
静かな夜。
焚き火の火だけが、二人を優しく照らしている。
言葉は少なくても、不思議と心地よかった。
この夜が、二人の距離をほんの少しだけ近づけたことを、まだ私たちは知らなかった。
「ここは?」
「まさか‥」
「ーー迷いましたね」
バチカルへ向かう旅の途中で、一行は道に迷っていた。
「よし!待ってろ!」
「ガイ!」
「待って!」
ガイはそう言うと、一人で駆け出した。
危険かもしれない。
そう思った私は、慌ててその後を追いかけた。
道がある場所は次第に消えて。
道なき道を歩く。
「あれ?」
「迷っちゃった‥」
そうーー気づいた時には、元の道に引き返せなくなってしまった。
まさかルークたちとはぐれてしまい。
二人だけで一夜を過ごすことになるなんて。
ーー思いもしなかった。
「優しい時間」旅の途中
「この辺りで休むか」
「そうですね」
仕方がなく2人で野宿することに。
簡単な食事を終えると、魔物が襲ってこないか。
ガイは見張りをするといい、離れた位置で待機することになった。
キッ
チチ
遠くで鳥が鳴いている。
午前零時を過ぎた頃、私は目を覚ました。
重たい瞼を開けると、ガイの様子がない。
心配して探しに行くと。
小屋の物陰に隠れるようにいた。
「 はる……か」
「どうした?」
普段と変わらないように笑う。
けれど、その笑顔は少しだけ引きつっていた。
額にはうっすら汗が滲み、呼吸もどこか浅い。
熱があるのか。
それとも。
お腹を壊したのか?
体温、脈拍を測って。
いやだめだ。
彼は女性恐怖症だ。
しかし、彼の頬は赤い。
「どうしたんですか」
「具合が悪い?」
「いや。虫に刺されただけさ」
「どんな虫?毒の可能性は?」
ガイは右腕の袖をまくると、傷口を確認する。
右前腕の内側に2センチ程、赤く腫れている。
「さあ?」
「傷口を洗えば、大丈夫だろう」
「えっ?赤くなって、腫れているじゃない」
「しかも、毒だったら」
「これくらいなら」
ガイはそう言うと傷口布で固定しようとしている。
いや。
やっぱり。
だめだって。
気がつくと、ガイの方へ歩き出す。
「はる」
名前を呼ばれ、足が止まる。
だが、その苦しそうな呼吸を聞いてしまえば、引き返すことなんてできなかった。
「じっとしていてください」
「いや、大丈夫だ」
「全然、大丈夫そうじゃありません」
私はしゃがみ込み、少し距離を空けたままガイの腕を見る。
赤く腫れた傷口は、さっきより熱を帯びているように見えた。
「こんなに腫れてる……」
「毒虫ってほどじゃないさ」
「でも、何の虫か分からないですよね?」
ガイは困ったように笑う。
「心配性だな」
「心配しますよ」
思わず声が強くなる。
「ガイは、いつも自分のことを後回しにするんだから」
その言葉に、ガイは少しだけ目を見開いた。
夜風が静かに吹き抜ける。
「……悪い」
珍しく素直な謝罪だった。
私は腰のポーチから、旅の途中で買っておいた消毒用の水と薬草を取り出す。
「消毒しますね」
そう言って手を伸ばしかけると、ガイの肩がぴくりと震えた。
女性恐怖症。
そのことを思い出し、私は慌てて手を引っ込める。
「ごめんなさい‥‥っ」
「いや‥」
ガイは苦笑しながら首を振る。
「お前が悪いわけじゃない」
ほんの少し息を整えると、自分で腕を差し出した。
「薬だけ渡してくれ。自分でやる」
「……はい」
私は薬草を渡し、ガイが傷口に当てるのを見守る。
布で軽く固定すると、少しだけ苦しそうだった表情が和らいだ。
「ありがとう」
「まだ油断はできません」
私は真剣な表情で言う。
「もし熱が出たり、腫れが広がったら、すぐ教えてください」
「分かった」
そう返事をするガイだったが、どこか照れくさそうだった。
私はほっと息をつき、小さく笑う。
「今日は見張り、交代しましょう」
「え?」
「ガイは少し休んでください。私も戦えますから」
「‥頼もしくなったな」
優しく細められたその瞳に、胸が少しだけ温かくなる。
静かな夜。
焚き火の火だけが、二人を優しく照らしている。
言葉は少なくても、不思議と心地よかった。
この夜が、二人の距離をほんの少しだけ近づけたことを、まだ私たちは知らなかった。
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