短編 連載『つなぎ姿の向こう側』
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プロローグ
夏の終わり。
私は自動車整備工場に事務兼サポートとして入社した。
車の知識なんてほとんどない。
工具の名前もわからない。
毎日失敗ばかり。
「す、すみません!」
「大丈夫ですよ」
その声に振り向いた瞬間、時間が止まった。
青いロマンチェイサーのつなぎを着た青年。
袖を肘までまくり、工具を片手に笑う姿。
年下なのに、どこか頼れる空気。
「俺、ガイ・セシルです。」
笑顔が眩しかった。
(……かっこいい。)
その日から、私は彼を見るたび胸が苦しくなる。
だけど。
物語が動いたのは、ある日の夕方だった。
第一話「不意打ち」
「お疲れさまでしたー!」
整備士たちが次々と更衣室へ向かう。
私は事務所を片付けている途中だった。
「あれ、伝票忘れた……」
更衣室の入口近くにある棚。
そこへ向かい、何も考えずドアを少し開けた。
ガチャ──
「……え?」
視界に入ったのは。
まさに『ロマンチェイサー』のつなぎの上半身を脱ぎ、腰まで下ろした状態のガイだった。
汗をかいた肌、引き締まったしなやかな背筋と胸筋。そして――ボクサーパンツ姿が見えるほどの無防備な着替えの真っ最中だったのだ。
「……!」
「……あっ」
一瞬、目が合う。
数秒。
世界が止まる。
「ご、ごごごごめんなさい!!」
私は真っ赤になって勢いよくドアを閉めた。
(何、やってるの私ーーー!!)
その場にしゃがみ込みそうになる。
一方、更衣室では。
「……参ったな」
ガイは耳まで赤くして苦笑した。
「よりによって、あの人に見られるなんて」
普段は冷静な彼も、珍しく動揺していた。
実は彼も、入社初日からはるが気になっていた。
年上なのに一生懸命で、失敗しても諦めず頑張る姿。
気づけば自然と目で追っていた。
だからこそ。
「……これから、顔合わせづらいな」
照れ笑いを浮かべながら頭をかく。
そして翌朝。
気まずい空気になると思っていた二人だったが――
「お、おはようございます……」
「おはよう」
ぎこちなく目が合った瞬間。
二人とも同時に目をそらしてしまった。
その様子を見ていた整備士のルークが、ニヤリと笑う。
「なんだお前ら。昨日何かあったのか?」
「「な、何でもありません!」」
声がぴったり重なり、工場中に笑いが響いた。
こうして。
“見てしまった”ことから始まる、少し不器用な恋が動き始めるのだった。
夏の終わり。
私は自動車整備工場に事務兼サポートとして入社した。
車の知識なんてほとんどない。
工具の名前もわからない。
毎日失敗ばかり。
「す、すみません!」
「大丈夫ですよ」
その声に振り向いた瞬間、時間が止まった。
青いロマンチェイサーのつなぎを着た青年。
袖を肘までまくり、工具を片手に笑う姿。
年下なのに、どこか頼れる空気。
「俺、ガイ・セシルです。」
笑顔が眩しかった。
(……かっこいい。)
その日から、私は彼を見るたび胸が苦しくなる。
だけど。
物語が動いたのは、ある日の夕方だった。
第一話「不意打ち」
「お疲れさまでしたー!」
整備士たちが次々と更衣室へ向かう。
私は事務所を片付けている途中だった。
「あれ、伝票忘れた……」
更衣室の入口近くにある棚。
そこへ向かい、何も考えずドアを少し開けた。
ガチャ──
「……え?」
視界に入ったのは。
まさに『ロマンチェイサー』のつなぎの上半身を脱ぎ、腰まで下ろした状態のガイだった。
汗をかいた肌、引き締まったしなやかな背筋と胸筋。そして――ボクサーパンツ姿が見えるほどの無防備な着替えの真っ最中だったのだ。
「……!」
「……あっ」
一瞬、目が合う。
数秒。
世界が止まる。
「ご、ごごごごめんなさい!!」
私は真っ赤になって勢いよくドアを閉めた。
(何、やってるの私ーーー!!)
その場にしゃがみ込みそうになる。
一方、更衣室では。
「……参ったな」
ガイは耳まで赤くして苦笑した。
「よりによって、あの人に見られるなんて」
普段は冷静な彼も、珍しく動揺していた。
実は彼も、入社初日からはるが気になっていた。
年上なのに一生懸命で、失敗しても諦めず頑張る姿。
気づけば自然と目で追っていた。
だからこそ。
「……これから、顔合わせづらいな」
照れ笑いを浮かべながら頭をかく。
そして翌朝。
気まずい空気になると思っていた二人だったが――
「お、おはようございます……」
「おはよう」
ぎこちなく目が合った瞬間。
二人とも同時に目をそらしてしまった。
その様子を見ていた整備士のルークが、ニヤリと笑う。
「なんだお前ら。昨日何かあったのか?」
「「な、何でもありません!」」
声がぴったり重なり、工場中に笑いが響いた。
こうして。
“見てしまった”ことから始まる、少し不器用な恋が動き始めるのだった。
