短編 連載『君が好きだと言えたらいいのに』
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『君が好きだと言えたらいいのに』
最終話「君が好きだ」
――ガイ視点
今日は、約束の日だった。
胸ポケットには、あの日はるがくれた栞。
『私も主人公のように想いを届けたくて。
ーーあなたが図書館へ来てくれてありがとう。 はる。』
その言葉を何度も思い返しながら、図書館へ向かう。
(今日こそ……。)
逃げない。
もう、自分の気持ちに嘘はつかない。
⸻
自動ドアが開く。
「こんにちは、ガイさん。」
いつもの笑顔。
その笑顔を見るだけで、やっぱり緊張してしまう。
「こんにちは、はる。」
はるは少し照れたように笑った。
「今日は返却ですか?」
「ああ……いや。」
「え?」
「今日は、本を借りに来たんじゃない。」
はるは不思議そうに首を傾げる。
「少しだけ……話せるか?」
その真剣な表情に何かを感じたのか、はるは静かに頷いた。
「閉館したら、少しだけ。」
⸻
午後六時。
利用者が帰り、館内は静けさを取り戻していた。
二人は図書館近くの小さな公園へ向かう。
夕焼けは少しずつ藍色へ変わり始めていた。
ベンチの前で立ち止まる。
心臓がうるさい。
(好きだ。)
何度も練習したはずなのに。
はるを前にすると、全部飛んでしまう。
「ガイさん?」
優しい声。
その声が、最後の一歩をくれた。
「はる。」
「はい。」
「俺……。」
拳を握る。
逃げるな。
「君に会うために、図書館へ通ってた。」
はるの目が大きくなる。
「最初は資料を借りるためだった。」
「でも、気づいたら。」
「君の笑顔を見るのが楽しみになって。」
「君と話す時間が好きになって。」
「君が誰かと笑ってるだけで苦しくなって。」
「君が笑ってくれるだけで幸せだった。」
言葉は止まらなかった。
「俺は……。」
大きく息を吸う。
「はる。」
「君が好きだ。」
静かな公園に、その言葉だけが響く。
「付き合ってほしい。」
沈黙。
数秒なのに、とても長く感じた。
(やっぱり……。)
断られても仕方ない。
そう思った、その時だった。
「……遅いです。」
「え?」
はるは少し涙ぐみながら笑っていた。
「私。」
「ずっと声を掛けたかった。」
「嬉しい。」
胸が熱くなる。
「私も。」
はるは一歩近づいてきた。
「ガイさんが好きです。」
「初めて会った日から、少しずつ。」
「優しくて、不器用で。」
「でも誰よりも真っ直ぐなところが。」
「大好きです。」
その瞬間。
張りつめていたものが、全部ほどけた。
「……よかった。」
それしか言えなかった。
はるはくすっと笑う。
「ふふっ。」
「ガイさんらしい。」
二人で顔を見合わせる。
自然と笑顔になっていた。
⸻
帰り道。
今日はいつもの駅までの道が、少し違って見えた。
「ガイさん。」
「ん?」
「これからは。」
はるが照れくさそうに笑う。
「恋人として、一緒に帰れますね。」
「……ああ。」
ガイは少しだけ勇気を出して、そっとはるの手に触れた。
「!」
驚いたはるだったが、すぐに微笑み返し、その手を優しく握り返す。
指先から伝わる温もりが、胸の奥まで広がっていく。
もう、「好きだ」と言えずに後悔することはない。
これからは何度でも伝えよう。
朝も。
昼も。
夜も。
「はる。」
「はい。」
「好きだ。」
少し照れながら笑うはる。
「……私も、大好きです。」
夕暮れの街を並んで歩く二人の影は、いつまでも寄り添っていた。
最終話「君が好きだ」
――ガイ視点
今日は、約束の日だった。
胸ポケットには、あの日はるがくれた栞。
『私も主人公のように想いを届けたくて。
ーーあなたが図書館へ来てくれてありがとう。 はる。』
その言葉を何度も思い返しながら、図書館へ向かう。
(今日こそ……。)
逃げない。
もう、自分の気持ちに嘘はつかない。
⸻
自動ドアが開く。
「こんにちは、ガイさん。」
いつもの笑顔。
その笑顔を見るだけで、やっぱり緊張してしまう。
「こんにちは、はる。」
はるは少し照れたように笑った。
「今日は返却ですか?」
「ああ……いや。」
「え?」
「今日は、本を借りに来たんじゃない。」
はるは不思議そうに首を傾げる。
「少しだけ……話せるか?」
その真剣な表情に何かを感じたのか、はるは静かに頷いた。
「閉館したら、少しだけ。」
⸻
午後六時。
利用者が帰り、館内は静けさを取り戻していた。
二人は図書館近くの小さな公園へ向かう。
夕焼けは少しずつ藍色へ変わり始めていた。
ベンチの前で立ち止まる。
心臓がうるさい。
(好きだ。)
何度も練習したはずなのに。
はるを前にすると、全部飛んでしまう。
「ガイさん?」
優しい声。
その声が、最後の一歩をくれた。
「はる。」
「はい。」
「俺……。」
拳を握る。
逃げるな。
「君に会うために、図書館へ通ってた。」
はるの目が大きくなる。
「最初は資料を借りるためだった。」
「でも、気づいたら。」
「君の笑顔を見るのが楽しみになって。」
「君と話す時間が好きになって。」
「君が誰かと笑ってるだけで苦しくなって。」
「君が笑ってくれるだけで幸せだった。」
言葉は止まらなかった。
「俺は……。」
大きく息を吸う。
「はる。」
「君が好きだ。」
静かな公園に、その言葉だけが響く。
「付き合ってほしい。」
沈黙。
数秒なのに、とても長く感じた。
(やっぱり……。)
断られても仕方ない。
そう思った、その時だった。
「……遅いです。」
「え?」
はるは少し涙ぐみながら笑っていた。
「私。」
「ずっと声を掛けたかった。」
「嬉しい。」
胸が熱くなる。
「私も。」
はるは一歩近づいてきた。
「ガイさんが好きです。」
「初めて会った日から、少しずつ。」
「優しくて、不器用で。」
「でも誰よりも真っ直ぐなところが。」
「大好きです。」
その瞬間。
張りつめていたものが、全部ほどけた。
「……よかった。」
それしか言えなかった。
はるはくすっと笑う。
「ふふっ。」
「ガイさんらしい。」
二人で顔を見合わせる。
自然と笑顔になっていた。
⸻
帰り道。
今日はいつもの駅までの道が、少し違って見えた。
「ガイさん。」
「ん?」
「これからは。」
はるが照れくさそうに笑う。
「恋人として、一緒に帰れますね。」
「……ああ。」
ガイは少しだけ勇気を出して、そっとはるの手に触れた。
「!」
驚いたはるだったが、すぐに微笑み返し、その手を優しく握り返す。
指先から伝わる温もりが、胸の奥まで広がっていく。
もう、「好きだ」と言えずに後悔することはない。
これからは何度でも伝えよう。
朝も。
昼も。
夜も。
「はる。」
「はい。」
「好きだ。」
少し照れながら笑うはる。
「……私も、大好きです。」
夕暮れの街を並んで歩く二人の影は、いつまでも寄り添っていた。
