第一部「ガイと出会い、仲間たちと旅をする」
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第二十一話「師の言葉、俺の役目」ルーク視点
タルタロスの会議室。ジェイドやナタリア、それにはるたちがこれからの航路について話し合っているのを余目に、俺はヴァン先生に手招きされて、少し離れた通路へと足を運んだ。
久しぶりに間近で見るヴァン先生の背中は、やっぱり大きくて、頼もしかった。
公爵邸に軟禁されていた頃から、俺に剣を教えてくれた唯一の理解者。
誰も彼もが俺を腫れ物みたいに扱う中で、先生だけは俺を一人前の男として、扱ってくれた。
「……ルーク。今回の旅は災難だったな。体調は崩していないか?」
先生が振り返り、俺の肩にぽんと手を置く。その大きな手の温もりに、俺はへへっ、と鼻を擦った。
「平気だよ、先生! それより、本当に来てくれて嬉しいぜ。俺、先生がいない間、めちゃくちゃ頑張ったんだからな!」
「ああ、聞いている。よくぞナタリア様、イオン様を守ってくれた。さすがは私の自慢の弟子だ」
先生に褒められる。ただそれだけで、胸の奥が熱くなる。
「回想 ールーク ヴァンの支配ー」
ーーそうだ。あの日、ティアがヴァン先生を襲い、無我夢中で俺は先生を守った。
その時、超振動‥が起こって、外の世界に俺は飛ばされた。それからはじめて、海を見た。
他の奴らにとって、普通かも知れないが。
俺は興奮した。
ーーそんな屋敷から一歩も外に出ない、退屈な毎日は俺は嫌だった。
俺が屋敷に帰ると、師匠はバチカルの牢に囚われていた。
「先生、どうして‥」
「私がお前を誘拐した疑いがかけられ、この牢獄に囚われたのだ」
「そんな、師匠は何もしてない!」
「ルーク」
ヴァンはルークを悟すように言った。
「私なら大丈夫だ。だが、ルーク……。このまま無事にバチカルへ戻れたとしても、お前を待っているのは、またあの退屈な屋敷での軟禁生活だ」
「え……」
師匠の言葉に、俺は息を呑んだ。
せっかく外の世界に出て、色んな経験をして、やっと自由に動けるようになったのに。
またあの高い壁の向こうに閉じ込められるなんて、絶対に嫌だ。
「そんなの……御免だぜ。俺はもう、あそこには戻りたくない!」
「だろうな。だからこそ、提案がある。お前さえ良ければ、このまま私と共にダアトへ亡命しよう」
「ダアトへ、亡命……!?」
思いもよらない言葉に目を見開く俺に、先生はさらに声を潜め、真剣な眼差しを向けてきた。
「今の世界は、歪んだ預言(スコア)に縛られている。そして近いうち、オールドラントに満ちる『瘴気(しょうき)』によって、世界は未曾有の危機を迎えるだろう。……だがルーク、お前なら、その瘴気を中和できる。」
「俺が、瘴気を……? どうやって」
「超振動だ。お前には、世界で唯一、単独で超振動を引き起こす才能がある。だからこそ、その力を正しく使ってほしい。私と共に、世界を救うために」
ーー俺の、超振動の力。
バチカルで屋敷からマルクト帝国まで吹き飛ばしちまった、あの忌々しい、だけど特別な力。
それが世界を救う鍵になる? 先生は、俺を必要としてくれているんだ。
「お前が力を示せば、誰も二度とお前を軟禁などできん。名実ともに、キムラスカの英雄となるのだ。……やってくれるな、ルーク」
「あったり前だろ! 先生のためなら、俺、なんだってやるよ!」
嬉しかった。俺にしかできない役目がある。
師匠の役に立てる。
俺は激しく頷いた。
ーーそうだ。だから、俺は英雄になるんだ。
この超振動の力があれば、あの瘴気にまみれたアクゼリュスを、俺の超振動で中和できる。
ヴァン師匠がいれば、俺はなんだってできるーー。
「現在 ールークとヴァンの決意ー」
あれから、俺は親善大使としてアクゼリュスに向かうことになった。
先生は後から合流するといい、ようやく来てくれた。
「ルークようやくだな。‥お前は、もうすぐアクゼリュスを救った英雄になる」
「はい!」
師匠は満足そうに微笑むと、最後に俺の耳元で、まるで最終確認のようにつぶやいた。
「……よろしい。そうだ、私の指示通りに超振動を解放するんだ。いいな?」
「おう! 師匠の指示通りにやりゃいいんだろ? 任せとけって!」
「ああ、ルーク。私の声に耳を傾け‥」
「はい!」
「意識を集中するのだ」
「そう、合言葉は‥」
ーー気がつくと俺は、集中していたためか座り込んでいた。
師匠は。
「さすがだ」
と、褒めてくれた。
先にタルタロスの客室へと戻っていった。
俺はその背中を見送りながら、ぎゅっと拳を握りしめる。
ーー見てろよ、みんな。俺だって、やればできるところを見せてやる。師匠と一緒に、世界を救ってみせるんだ……!
胸を高鳴らせる俺は、まだ何も知らなかった。
師匠のあの優しい瞳の奥で、どれほど冷酷な計画が動いているのかを。
そして、自分がこれから向かう場所が、引き返せない地獄の入り口だということも――。
タルタロスの会議室。ジェイドやナタリア、それにはるたちがこれからの航路について話し合っているのを余目に、俺はヴァン先生に手招きされて、少し離れた通路へと足を運んだ。
久しぶりに間近で見るヴァン先生の背中は、やっぱり大きくて、頼もしかった。
公爵邸に軟禁されていた頃から、俺に剣を教えてくれた唯一の理解者。
誰も彼もが俺を腫れ物みたいに扱う中で、先生だけは俺を一人前の男として、扱ってくれた。
「……ルーク。今回の旅は災難だったな。体調は崩していないか?」
先生が振り返り、俺の肩にぽんと手を置く。その大きな手の温もりに、俺はへへっ、と鼻を擦った。
「平気だよ、先生! それより、本当に来てくれて嬉しいぜ。俺、先生がいない間、めちゃくちゃ頑張ったんだからな!」
「ああ、聞いている。よくぞナタリア様、イオン様を守ってくれた。さすがは私の自慢の弟子だ」
先生に褒められる。ただそれだけで、胸の奥が熱くなる。
「回想 ールーク ヴァンの支配ー」
ーーそうだ。あの日、ティアがヴァン先生を襲い、無我夢中で俺は先生を守った。
その時、超振動‥が起こって、外の世界に俺は飛ばされた。それからはじめて、海を見た。
他の奴らにとって、普通かも知れないが。
俺は興奮した。
ーーそんな屋敷から一歩も外に出ない、退屈な毎日は俺は嫌だった。
俺が屋敷に帰ると、師匠はバチカルの牢に囚われていた。
「先生、どうして‥」
「私がお前を誘拐した疑いがかけられ、この牢獄に囚われたのだ」
「そんな、師匠は何もしてない!」
「ルーク」
ヴァンはルークを悟すように言った。
「私なら大丈夫だ。だが、ルーク……。このまま無事にバチカルへ戻れたとしても、お前を待っているのは、またあの退屈な屋敷での軟禁生活だ」
「え……」
師匠の言葉に、俺は息を呑んだ。
せっかく外の世界に出て、色んな経験をして、やっと自由に動けるようになったのに。
またあの高い壁の向こうに閉じ込められるなんて、絶対に嫌だ。
「そんなの……御免だぜ。俺はもう、あそこには戻りたくない!」
「だろうな。だからこそ、提案がある。お前さえ良ければ、このまま私と共にダアトへ亡命しよう」
「ダアトへ、亡命……!?」
思いもよらない言葉に目を見開く俺に、先生はさらに声を潜め、真剣な眼差しを向けてきた。
「今の世界は、歪んだ預言(スコア)に縛られている。そして近いうち、オールドラントに満ちる『瘴気(しょうき)』によって、世界は未曾有の危機を迎えるだろう。……だがルーク、お前なら、その瘴気を中和できる。」
「俺が、瘴気を……? どうやって」
「超振動だ。お前には、世界で唯一、単独で超振動を引き起こす才能がある。だからこそ、その力を正しく使ってほしい。私と共に、世界を救うために」
ーー俺の、超振動の力。
バチカルで屋敷からマルクト帝国まで吹き飛ばしちまった、あの忌々しい、だけど特別な力。
それが世界を救う鍵になる? 先生は、俺を必要としてくれているんだ。
「お前が力を示せば、誰も二度とお前を軟禁などできん。名実ともに、キムラスカの英雄となるのだ。……やってくれるな、ルーク」
「あったり前だろ! 先生のためなら、俺、なんだってやるよ!」
嬉しかった。俺にしかできない役目がある。
師匠の役に立てる。
俺は激しく頷いた。
ーーそうだ。だから、俺は英雄になるんだ。
この超振動の力があれば、あの瘴気にまみれたアクゼリュスを、俺の超振動で中和できる。
ヴァン師匠がいれば、俺はなんだってできるーー。
「現在 ールークとヴァンの決意ー」
あれから、俺は親善大使としてアクゼリュスに向かうことになった。
先生は後から合流するといい、ようやく来てくれた。
「ルークようやくだな。‥お前は、もうすぐアクゼリュスを救った英雄になる」
「はい!」
師匠は満足そうに微笑むと、最後に俺の耳元で、まるで最終確認のようにつぶやいた。
「……よろしい。そうだ、私の指示通りに超振動を解放するんだ。いいな?」
「おう! 師匠の指示通りにやりゃいいんだろ? 任せとけって!」
「ああ、ルーク。私の声に耳を傾け‥」
「はい!」
「意識を集中するのだ」
「そう、合言葉は‥」
ーー気がつくと俺は、集中していたためか座り込んでいた。
師匠は。
「さすがだ」
と、褒めてくれた。
先にタルタロスの客室へと戻っていった。
俺はその背中を見送りながら、ぎゅっと拳を握りしめる。
ーー見てろよ、みんな。俺だって、やればできるところを見せてやる。師匠と一緒に、世界を救ってみせるんだ……!
胸を高鳴らせる俺は、まだ何も知らなかった。
師匠のあの優しい瞳の奥で、どれほど冷酷な計画が動いているのかを。
そして、自分がこれから向かう場所が、引き返せない地獄の入り口だということも――。
