序盤 ガイと出会い、仲間たちと旅をする
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第15話 「砂漠のオアシス」
雨が上がり、湿った風を背に一行は砂地へと足を踏み入れた。
陽が高くなるにつれ、乾いた熱が体にまとわりつく。
「そろそろ日差しも強くなってきたな。はる、きつくないか?」
隣を歩くガイが気遣うように声をかける。
「大丈夫です。でも…砂漠って思ったより歩きづらいですね」
靴に入り込む砂を気にしていると、ガイが笑って「ほら」と手を差し出し、軽く支えてくれる。
その温もりに、胸が不思議と落ち着く。
やがて視界の先に緑と水面が現れた。
「着いたぞ。ここがオアシスだ」
涼しい木陰に腰を下ろすと、冷たい水が喉を潤す。
はるはその瞬間――また、あの“音”を感じた。
風に紛れるような、胸の奥を震わせる響き。
「また…」
小さく呟いたのを、ガイが聞き逃さなかった。
「何か気になることでも?」
「……いえ。ただ、聞き慣れない音が」
はっきり言えずに言葉を濁すと、彼は少しだけ眉を寄せた。
「無理に話さなくてもいい。でも、困ったときはちゃんと言えよ」
その穏やかな声に、はるは小さく頷いた。
その時、近くで休んでいた旅商人たちの会話が耳に入った。
「そういえば、この先で“六神将”の連中を見たって話があったな」
「へぇ、あの遺跡のあたりか?」
聞き慣れた名前に、ジェイドの表情が引き締まる。
「ザオ遺跡…となると、放ってはおけませんね」
「遺跡か…また面倒な連中じゃなきゃいいけどな」ガイが肩をすくめる。
はるは、胸の奥がざわつくのを感じた。
未来の出来事を知っている自分には、この先に何が待っているのか、予感があったからだ。
短い休息を終え、一行は砂漠を抜けてザオ遺跡を目指すことになった。
ガイは先頭から少し遅れて、はるの横を歩き続けてくれた。
「……ガイ」
「ん?」
「もし、この先が‥分かっていたら」
不意の問いに、ガイは一瞬だけ目を見開き、そして柔らかく笑った。
「信じるさ。俺は、君の言葉ならな」
砂漠の熱よりも、胸の奥が熱くなる。
第16話 奪還の刃
ザオ遺跡の奥は、ひんやりとした空気と、古びた石壁の匂いに包まれていた。
足音が反響し、静けさがかえって緊張を高める。
——音がする。
はるの耳に、またあのセブンスフォニムの微かな響きが届く。
その先に、敵の気配がある。
「この先だ…」
はるが小さく告げると、ジェイドが頷き、全員が武器を構える。
そして広間へ踏み込んだ瞬間、視界に飛び込んできたのは、縄で縛られたイオンと、その傍らに立つシンクの姿だった。
「導師は返してもらうぞ!」ルークが叫び、まっすぐにシンクへ駆ける。
「やれやれ…相変わらず単純だね」シンクは短剣で受け止め、鋭く蹴り返す。
その背後では、ラルゴが巨大な鎌を構え、ジェイドの譜術を力任せに切り裂いた。
「お前たちの相手は俺だ」低く唸るような声が響く。
戦いが広間全体で激しく交錯する中、はるは一瞬、別のことを考えていた。
——先回りして未来を変えたい。
そうすれば、この先の悲劇を避けられるかもしれない。
けれど、自分にそんな戦術的な立ち回りができるのか。
持っている力は、敵の位置を感じ取る耳と、セブンスフォニムをわずかに扱える程度…
それだけで何ができる?
胸の奥で、答えのない問いが渦を巻く。
「はる!」
ガイの声で我に返ると、目の前に迫るシンクの刃が視界をかすめた。
とっさに身を引き、ガイが間に割って入る。
「集中しろ!今は目の前だ」
「…はい!」
ルークが渾身の一撃でシンクを弾き飛ばし、その隙にアニスがイオンを抱き寄せる。
「確保!」
ラルゴが悔しげに唸るが、シンクは冷静に撤退を指示した。
「今日はここまでだ。導師はまた迎えに来る」
二人の姿が闇に消え、ようやく緊張が解ける。
はるは肩で息をしながら、心の奥に小さな決意を刻んでいた。
——未来を変えるのは難しいかもしれない。
でも、何もしないよりはいい。
17話「夜の砂漠地帯での野営」
ザオ遺跡での激しい戦闘を終え、イオンを無事に奪還した一行は、ケセドニアへ向かう途中の砂漠の外れで野営することにした。
焚き火の炎が揺れ、夜の冷たい風が砂をかすかに舞い上げる。
アニスが、はるとガイを交互に見てにやりと笑う。
「ねぇねぇ、やっぱり二人っていい感じだよね~。あれ、もしかしてそういう仲?」
「えっ!? それは…えっと?」
はるは慌てて否定するが、顔は熱くなるばかり。
アニスは「ふ~ん?」と意味深に笑っている。
「仲がいいのでしょう。いいじゃないですか。」
イオンは、にこやかに微笑んで言う。
「まあ、皆さん若いことで。」
ジェイドはやれやれと言う。
「……悪いな、あいつらの癖なんだ」
横でガイが軽く肩をすくめる。
「いえ、気にしてません…」
そう言ったものの、鼓動の速さまではごまかせなかった。
第18話 ケセドニアで新たな装い
砂漠を抜けた先に、砂色の城壁に囲まれた街――ケセドニアが見えてきた。
旅の埃をまとった一行は、街門をくぐるとそれぞれ自由行動を取ることにした。
「はる、その服…砂漠越えでだいぶ傷んでるな」
ガイが目を細めて言う。
「え、あ…まぁ、ちょっと砂まみれで…」
「せっかくだし、新しいのを仕立てよう。動きやすくて、お前らしいやつ」
そう言って、彼は当然のように手を差し伸べ、仕立て屋へと導いた。
試着室で袖を通したのは、白を基調に淡い水色と茶の差し色が入った爽やかな旅装。
軽やかな生地は動きを妨げず、それでいて可愛らしいデザインだった。
「どうだ?」カーテンを開けた瞬間、ガイの視線が一瞬止まる。
「……似合ってる。やっぱり、これにして正解だな」
照れくさそうに笑うその顔に、胸が熱くなる。
「代金は俺が出す」
「え、そんな…」
「いいって。これは俺からの…まぁ、旅の応援ってことで」
その柔らかな声色に、心臓がさらに早鐘を打った。
買い物を終え、一行は港に向かった。
そこには巨大な陸上潜水艦――タルタロスが待機していた。
ケセドニアの港からマルクト領へと渡るための船だ。
しかし、出航して間もなく、甲板に緊張が走る。
「接近する船影、敵艦です!」
甲板員の声と同時に、砲撃の衝撃が船体を揺らした。
「全員、迎撃準備!」ジェイドの声が響く。
ガイは剣を構え、はるの前に立つ。
「下がってろ、ここは危ない」
けれどはるも杖を握りしめ、決して目を逸らさなかった。
未来を変えるための旅、その決意を胸に――戦いの幕が切って落とされた。
雨が上がり、湿った風を背に一行は砂地へと足を踏み入れた。
陽が高くなるにつれ、乾いた熱が体にまとわりつく。
「そろそろ日差しも強くなってきたな。はる、きつくないか?」
隣を歩くガイが気遣うように声をかける。
「大丈夫です。でも…砂漠って思ったより歩きづらいですね」
靴に入り込む砂を気にしていると、ガイが笑って「ほら」と手を差し出し、軽く支えてくれる。
その温もりに、胸が不思議と落ち着く。
やがて視界の先に緑と水面が現れた。
「着いたぞ。ここがオアシスだ」
涼しい木陰に腰を下ろすと、冷たい水が喉を潤す。
はるはその瞬間――また、あの“音”を感じた。
風に紛れるような、胸の奥を震わせる響き。
「また…」
小さく呟いたのを、ガイが聞き逃さなかった。
「何か気になることでも?」
「……いえ。ただ、聞き慣れない音が」
はっきり言えずに言葉を濁すと、彼は少しだけ眉を寄せた。
「無理に話さなくてもいい。でも、困ったときはちゃんと言えよ」
その穏やかな声に、はるは小さく頷いた。
その時、近くで休んでいた旅商人たちの会話が耳に入った。
「そういえば、この先で“六神将”の連中を見たって話があったな」
「へぇ、あの遺跡のあたりか?」
聞き慣れた名前に、ジェイドの表情が引き締まる。
「ザオ遺跡…となると、放ってはおけませんね」
「遺跡か…また面倒な連中じゃなきゃいいけどな」ガイが肩をすくめる。
はるは、胸の奥がざわつくのを感じた。
未来の出来事を知っている自分には、この先に何が待っているのか、予感があったからだ。
短い休息を終え、一行は砂漠を抜けてザオ遺跡を目指すことになった。
ガイは先頭から少し遅れて、はるの横を歩き続けてくれた。
「……ガイ」
「ん?」
「もし、この先が‥分かっていたら」
不意の問いに、ガイは一瞬だけ目を見開き、そして柔らかく笑った。
「信じるさ。俺は、君の言葉ならな」
砂漠の熱よりも、胸の奥が熱くなる。
第16話 奪還の刃
ザオ遺跡の奥は、ひんやりとした空気と、古びた石壁の匂いに包まれていた。
足音が反響し、静けさがかえって緊張を高める。
——音がする。
はるの耳に、またあのセブンスフォニムの微かな響きが届く。
その先に、敵の気配がある。
「この先だ…」
はるが小さく告げると、ジェイドが頷き、全員が武器を構える。
そして広間へ踏み込んだ瞬間、視界に飛び込んできたのは、縄で縛られたイオンと、その傍らに立つシンクの姿だった。
「導師は返してもらうぞ!」ルークが叫び、まっすぐにシンクへ駆ける。
「やれやれ…相変わらず単純だね」シンクは短剣で受け止め、鋭く蹴り返す。
その背後では、ラルゴが巨大な鎌を構え、ジェイドの譜術を力任せに切り裂いた。
「お前たちの相手は俺だ」低く唸るような声が響く。
戦いが広間全体で激しく交錯する中、はるは一瞬、別のことを考えていた。
——先回りして未来を変えたい。
そうすれば、この先の悲劇を避けられるかもしれない。
けれど、自分にそんな戦術的な立ち回りができるのか。
持っている力は、敵の位置を感じ取る耳と、セブンスフォニムをわずかに扱える程度…
それだけで何ができる?
胸の奥で、答えのない問いが渦を巻く。
「はる!」
ガイの声で我に返ると、目の前に迫るシンクの刃が視界をかすめた。
とっさに身を引き、ガイが間に割って入る。
「集中しろ!今は目の前だ」
「…はい!」
ルークが渾身の一撃でシンクを弾き飛ばし、その隙にアニスがイオンを抱き寄せる。
「確保!」
ラルゴが悔しげに唸るが、シンクは冷静に撤退を指示した。
「今日はここまでだ。導師はまた迎えに来る」
二人の姿が闇に消え、ようやく緊張が解ける。
はるは肩で息をしながら、心の奥に小さな決意を刻んでいた。
——未来を変えるのは難しいかもしれない。
でも、何もしないよりはいい。
17話「夜の砂漠地帯での野営」
ザオ遺跡での激しい戦闘を終え、イオンを無事に奪還した一行は、ケセドニアへ向かう途中の砂漠の外れで野営することにした。
焚き火の炎が揺れ、夜の冷たい風が砂をかすかに舞い上げる。
アニスが、はるとガイを交互に見てにやりと笑う。
「ねぇねぇ、やっぱり二人っていい感じだよね~。あれ、もしかしてそういう仲?」
「えっ!? それは…えっと?」
はるは慌てて否定するが、顔は熱くなるばかり。
アニスは「ふ~ん?」と意味深に笑っている。
「仲がいいのでしょう。いいじゃないですか。」
イオンは、にこやかに微笑んで言う。
「まあ、皆さん若いことで。」
ジェイドはやれやれと言う。
「……悪いな、あいつらの癖なんだ」
横でガイが軽く肩をすくめる。
「いえ、気にしてません…」
そう言ったものの、鼓動の速さまではごまかせなかった。
第18話 ケセドニアで新たな装い
砂漠を抜けた先に、砂色の城壁に囲まれた街――ケセドニアが見えてきた。
旅の埃をまとった一行は、街門をくぐるとそれぞれ自由行動を取ることにした。
「はる、その服…砂漠越えでだいぶ傷んでるな」
ガイが目を細めて言う。
「え、あ…まぁ、ちょっと砂まみれで…」
「せっかくだし、新しいのを仕立てよう。動きやすくて、お前らしいやつ」
そう言って、彼は当然のように手を差し伸べ、仕立て屋へと導いた。
試着室で袖を通したのは、白を基調に淡い水色と茶の差し色が入った爽やかな旅装。
軽やかな生地は動きを妨げず、それでいて可愛らしいデザインだった。
「どうだ?」カーテンを開けた瞬間、ガイの視線が一瞬止まる。
「……似合ってる。やっぱり、これにして正解だな」
照れくさそうに笑うその顔に、胸が熱くなる。
「代金は俺が出す」
「え、そんな…」
「いいって。これは俺からの…まぁ、旅の応援ってことで」
その柔らかな声色に、心臓がさらに早鐘を打った。
買い物を終え、一行は港に向かった。
そこには巨大な陸上潜水艦――タルタロスが待機していた。
ケセドニアの港からマルクト領へと渡るための船だ。
しかし、出航して間もなく、甲板に緊張が走る。
「接近する船影、敵艦です!」
甲板員の声と同時に、砲撃の衝撃が船体を揺らした。
「全員、迎撃準備!」ジェイドの声が響く。
ガイは剣を構え、はるの前に立つ。
「下がってろ、ここは危ない」
けれどはるも杖を握りしめ、決して目を逸らさなかった。
未来を変えるための旅、その決意を胸に――戦いの幕が切って落とされた。
