第一部「ガイと出会い、仲間たちと旅をする」
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第十九話「激闘!タルタロス!」
ガガガガッ!
と、激しい衝撃がタルタロスの巨体を揺らし、甲板に白い水しぶきが吹き上がる。
敵艦から放たれた魔弾が、船体のすぐ脇の海面を割ったのだ。
「チッ、しつこい連中だ! どこから湧いて出やがった!」
ルークが剣を構え、迫り来る敵の船影を睨みつける。
「皆さん、下がっていてください!」
イオンを守るようにアニスが操るトクナガが巨大化し、迫る敵をなぎ払った。
敵の猛攻が続く中、はるの耳に再び“あの音”が響いた。
それは、ザオ遺跡で聞いたシンクたちのものとは違う、より重く、冷徹に響くセブンスフォニムの旋律。
(この独特の響き……まさか、六神将の……!)
はるの脳裏に、これから起こる「未来」の光景がよぎる。この襲撃はただの足止めではない。
敵の狙いは、タルタロスの制御室だ――。
「はる! ぼさっとするな、上だ!」
ガイの鋭い声と同時に、頭上から鋭い風切り音が迫る。
はるが息を呑んだ瞬間、頭上から突き出された剣を、ガイが目にも留まらぬ速さで弾き返した。
火花が散り、新調したばかりの淡い水色の旅装に黒い煤がかすめる。
「大丈夫か!?」
「はい……! ありがとうございます、ガイさん」
「礼は後だ。ここは俺たちが食い止める。お前はジェイドの近くに――」
「いいえ、ガイ!」
はるは、目で合図を出した。その強い眼差しに、ガイは一瞬だけ目を見開く。
「……制御室です。敵の本当の狙いは、この船の動きを止めること。今、そっちに強い気配が向かっています!」
未来の予測と、耳で捉えたフォニムの違和感。
それを必死に訴えるはるの言葉に、ジェイドが眼鏡の奥の目を光らせた。
「なるほど。ただの力押しにしては、敵の兵の動きが奇妙だと思っていましたが……わかりました」
「ルーク、アニス! ここは任せましたよ!」
「へっ!? おい、ジェイド、どこ行くんだよ!」
ルークの叫び声を背に、ジェイド、ガイ、そしてはるは船内へと駆け出した。
薄暗い通路を走る中、はるの心臓は早鐘を打っていた。
ーーこれって確か、私と出会う前の話じゃないかーー。
私が加入したことで少し変わってる?でも、余計なことを言ったせいで、原作の流れを変えてしまったかもしれない。もしここで、タルタロスが完全に奪われたら、もっと最悪な結末になる……!
不安に押しつぶされそうになる心を、不意に温かい言葉が包み込んだ。
「走れるか、はる」
隣を並走するガイが、前を向いたまま、
「俺はお前の言葉を信じると言った。だから、怯えなくていいさ。」
「……ガイ」
「お熱いところ申し訳ありませんが、来ますよ。」
ジェイドの冷徹な声と同時に、制御室の扉が爆風で吹き飛んだ。
煙の向こうから現れたのは、不敵な笑みを浮かべた六神将の一人、ディストだった。
「おや、気づくのが早いですねぇ。ーー‥‥ですが、もう遅い!」
「このタルタロスの制御システムは、この私、薔薇のディスト様がいただく……。ぎゃああっ!?」
ディストが言い切る前に、ガイの電光石火の突きが彼の空飛ぶ椅子の駆動部を掠めた。
「おのれ、相変わらず話の通じない野蛮人め!」
「悪く思うな、こっちも急いでるんでね!」
「おや‥」
「ひっ!」
ガイがディストを引きつけ、ジェイドの高度な譜術が周囲の敵兵を圧倒していく中、ジェイドは声をかけようとすると、次第にディストの顔が引きつる。
「これはこれは‥。鼻垂れディストじゃないですか」
「何ですって!」
「大佐〜。死神ディストじゃないですか。」
アニスはわからないと言う顔していると、ジェイドは私と故郷が同じなんですよ、と言う。
その間、ルークは剣、はるは杖を構えてディストの音機関ロボットのスイッチを叩くと煙を上げた。
「もう、なんなんです!小賢しい真似を……! 」
「ーー‥ああ、壊れたじゃないですかっ!どうしてくれるんですか!!」
「仕方ない、撤退です!さらばです!ジェイド!」
形勢不利と見たディストは、捨て台詞を残して、空に飛ぶ椅子を新たに呼び姿を消した。
船体を揺らしていた激しい砲撃の音が、徐々に遠ざかっていく。
「……ふぅ、なんとかなったみたいですね」
ジェイドが乱れた前髪を払いながら、コントロールパネルを確認する。
「船体の損傷は軽微。はるさんの機転のおかげで、制御システムも無事です。素晴らしい判断でしたよ」
「私なんて、必死だっただけで……」
あの息つく暇がない‥。そんな戦いの空気だったが。
ディストが去り、ようやく緊張が解け、はるはその場にへたり込みそうになった。
「それにしても‥」
ジェイドは何かを言いたげに私の目を見て、私に聞こえるくらいの小さな声で言った。
「ーー‥‥貴女は、どんな秘密をお持ちですか。また何を知っているんですか」
「!?」
ーー肩が震えた。
確かに必死だったとは言え、ジェイドから見ると違和感を感じるのだろうか。
ーーえ、えっと私、どこまで隠し通すことができる。このジェイド大佐相手に。
気づくと、背中はいやな汗をかいていた。
それを、知ってか知らずか。
ティアがそっと声をかけた。床にへたり込んでいた私の肩を抱いて、支えてくれる。
「はる、もう無理しすぎよ」
「そうだ」
ガイの顔には、はるの心からの安堵と、同時に探るようにジェイドに向けて、笑いかけたと言うが、笑っていなかった。
「あんた‥なんだ。はるが必死に頑張っているんだ」
「おや‥」
ジェイドは薄い笑みを浮かべた。
「ガイ。私は何か、気に触るようなことをしましたか」
とんでもないと言うように、ジェイドは否定しながらもさらに、再び笑みを浮かべる。
「俺はどうでもいいさ。ただ彼女は‥」
「親戚‥でしたかね」
「おいおい勘弁してくれ、ーー俺を怒らせたいのか」
ガイの低く、地這うような声が制御室に響く。
いつもは苦笑いで受け流すはずのガイが、完全に右手を剣の柄にかけたまま、ジェイドを鋭く睨みつけていた。
ジェイドは、はるからガイへと視線を移し、ふっといつもの、貼り付けたような薄い笑みを浮かべた。
「おや、怖いですね。……冗談ですよ、ガイ。彼女が怯えているようでしたから、少しからかっただけです。」
「冗談に聞こえなかったから、言ってるんだ。」
「ーー‥‥それは失礼。ですが、はるさん」
ジェイドの眼鏡の奥の、すべてを見透かすような真紅の瞳が、再びはるを捉える。
「ー!」
「――おい! はる! 無事かよ!」
そこへ。
遅れてルークとアニスが息を切らせて制御室に飛び込んできた。
そのためか、少し場の雰囲気が変わった。
「ーーまあ、そうですね。貴女の『勘』には、今後も期待させてもらいましょう」
ジェイドはそれ以上追及せず、すっと背を向けてタルタロスの操作に戻った。
だが、はるの冷や汗は引かない。
ーールーク、いいところに来た。本当に助かった。しかし、大佐は絶対に諦めていない。
私の知る「未来」に、完全に目をつけられてしまったのだろうか。
ーーそんな心配をよそに、ルークの瞳は輝いていた。
「おい、ヴァン師匠がこっちに来て、俺たちと合流するって聞いたんだ!‥もしかして、もうすぐ来るかもしれねー!」
めちゃくちゃ笑っている。やはりヴァンはルークにとって特別な人、師匠のようで嬉しいようだ。
ーー目の前のことに必死になる一方で、私はヴァン存在を脅威だと思いつつ、
あの悲劇は繰り返したくないと思いを巡らせていた。
ガガガガッ!
と、激しい衝撃がタルタロスの巨体を揺らし、甲板に白い水しぶきが吹き上がる。
敵艦から放たれた魔弾が、船体のすぐ脇の海面を割ったのだ。
「チッ、しつこい連中だ! どこから湧いて出やがった!」
ルークが剣を構え、迫り来る敵の船影を睨みつける。
「皆さん、下がっていてください!」
イオンを守るようにアニスが操るトクナガが巨大化し、迫る敵をなぎ払った。
敵の猛攻が続く中、はるの耳に再び“あの音”が響いた。
それは、ザオ遺跡で聞いたシンクたちのものとは違う、より重く、冷徹に響くセブンスフォニムの旋律。
(この独特の響き……まさか、六神将の……!)
はるの脳裏に、これから起こる「未来」の光景がよぎる。この襲撃はただの足止めではない。
敵の狙いは、タルタロスの制御室だ――。
「はる! ぼさっとするな、上だ!」
ガイの鋭い声と同時に、頭上から鋭い風切り音が迫る。
はるが息を呑んだ瞬間、頭上から突き出された剣を、ガイが目にも留まらぬ速さで弾き返した。
火花が散り、新調したばかりの淡い水色の旅装に黒い煤がかすめる。
「大丈夫か!?」
「はい……! ありがとうございます、ガイさん」
「礼は後だ。ここは俺たちが食い止める。お前はジェイドの近くに――」
「いいえ、ガイ!」
はるは、目で合図を出した。その強い眼差しに、ガイは一瞬だけ目を見開く。
「……制御室です。敵の本当の狙いは、この船の動きを止めること。今、そっちに強い気配が向かっています!」
未来の予測と、耳で捉えたフォニムの違和感。
それを必死に訴えるはるの言葉に、ジェイドが眼鏡の奥の目を光らせた。
「なるほど。ただの力押しにしては、敵の兵の動きが奇妙だと思っていましたが……わかりました」
「ルーク、アニス! ここは任せましたよ!」
「へっ!? おい、ジェイド、どこ行くんだよ!」
ルークの叫び声を背に、ジェイド、ガイ、そしてはるは船内へと駆け出した。
薄暗い通路を走る中、はるの心臓は早鐘を打っていた。
ーーこれって確か、私と出会う前の話じゃないかーー。
私が加入したことで少し変わってる?でも、余計なことを言ったせいで、原作の流れを変えてしまったかもしれない。もしここで、タルタロスが完全に奪われたら、もっと最悪な結末になる……!
不安に押しつぶされそうになる心を、不意に温かい言葉が包み込んだ。
「走れるか、はる」
隣を並走するガイが、前を向いたまま、
「俺はお前の言葉を信じると言った。だから、怯えなくていいさ。」
「……ガイ」
「お熱いところ申し訳ありませんが、来ますよ。」
ジェイドの冷徹な声と同時に、制御室の扉が爆風で吹き飛んだ。
煙の向こうから現れたのは、不敵な笑みを浮かべた六神将の一人、ディストだった。
「おや、気づくのが早いですねぇ。ーー‥‥ですが、もう遅い!」
「このタルタロスの制御システムは、この私、薔薇のディスト様がいただく……。ぎゃああっ!?」
ディストが言い切る前に、ガイの電光石火の突きが彼の空飛ぶ椅子の駆動部を掠めた。
「おのれ、相変わらず話の通じない野蛮人め!」
「悪く思うな、こっちも急いでるんでね!」
「おや‥」
「ひっ!」
ガイがディストを引きつけ、ジェイドの高度な譜術が周囲の敵兵を圧倒していく中、ジェイドは声をかけようとすると、次第にディストの顔が引きつる。
「これはこれは‥。鼻垂れディストじゃないですか」
「何ですって!」
「大佐〜。死神ディストじゃないですか。」
アニスはわからないと言う顔していると、ジェイドは私と故郷が同じなんですよ、と言う。
その間、ルークは剣、はるは杖を構えてディストの音機関ロボットのスイッチを叩くと煙を上げた。
「もう、なんなんです!小賢しい真似を……! 」
「ーー‥ああ、壊れたじゃないですかっ!どうしてくれるんですか!!」
「仕方ない、撤退です!さらばです!ジェイド!」
形勢不利と見たディストは、捨て台詞を残して、空に飛ぶ椅子を新たに呼び姿を消した。
船体を揺らしていた激しい砲撃の音が、徐々に遠ざかっていく。
「……ふぅ、なんとかなったみたいですね」
ジェイドが乱れた前髪を払いながら、コントロールパネルを確認する。
「船体の損傷は軽微。はるさんの機転のおかげで、制御システムも無事です。素晴らしい判断でしたよ」
「私なんて、必死だっただけで……」
あの息つく暇がない‥。そんな戦いの空気だったが。
ディストが去り、ようやく緊張が解け、はるはその場にへたり込みそうになった。
「それにしても‥」
ジェイドは何かを言いたげに私の目を見て、私に聞こえるくらいの小さな声で言った。
「ーー‥‥貴女は、どんな秘密をお持ちですか。また何を知っているんですか」
「!?」
ーー肩が震えた。
確かに必死だったとは言え、ジェイドから見ると違和感を感じるのだろうか。
ーーえ、えっと私、どこまで隠し通すことができる。このジェイド大佐相手に。
気づくと、背中はいやな汗をかいていた。
それを、知ってか知らずか。
ティアがそっと声をかけた。床にへたり込んでいた私の肩を抱いて、支えてくれる。
「はる、もう無理しすぎよ」
「そうだ」
ガイの顔には、はるの心からの安堵と、同時に探るようにジェイドに向けて、笑いかけたと言うが、笑っていなかった。
「あんた‥なんだ。はるが必死に頑張っているんだ」
「おや‥」
ジェイドは薄い笑みを浮かべた。
「ガイ。私は何か、気に触るようなことをしましたか」
とんでもないと言うように、ジェイドは否定しながらもさらに、再び笑みを浮かべる。
「俺はどうでもいいさ。ただ彼女は‥」
「親戚‥でしたかね」
「おいおい勘弁してくれ、ーー俺を怒らせたいのか」
ガイの低く、地這うような声が制御室に響く。
いつもは苦笑いで受け流すはずのガイが、完全に右手を剣の柄にかけたまま、ジェイドを鋭く睨みつけていた。
ジェイドは、はるからガイへと視線を移し、ふっといつもの、貼り付けたような薄い笑みを浮かべた。
「おや、怖いですね。……冗談ですよ、ガイ。彼女が怯えているようでしたから、少しからかっただけです。」
「冗談に聞こえなかったから、言ってるんだ。」
「ーー‥‥それは失礼。ですが、はるさん」
ジェイドの眼鏡の奥の、すべてを見透かすような真紅の瞳が、再びはるを捉える。
「ー!」
「――おい! はる! 無事かよ!」
そこへ。
遅れてルークとアニスが息を切らせて制御室に飛び込んできた。
そのためか、少し場の雰囲気が変わった。
「ーーまあ、そうですね。貴女の『勘』には、今後も期待させてもらいましょう」
ジェイドはそれ以上追及せず、すっと背を向けてタルタロスの操作に戻った。
だが、はるの冷や汗は引かない。
ーールーク、いいところに来た。本当に助かった。しかし、大佐は絶対に諦めていない。
私の知る「未来」に、完全に目をつけられてしまったのだろうか。
ーーそんな心配をよそに、ルークの瞳は輝いていた。
「おい、ヴァン師匠がこっちに来て、俺たちと合流するって聞いたんだ!‥もしかして、もうすぐ来るかもしれねー!」
めちゃくちゃ笑っている。やはりヴァンはルークにとって特別な人、師匠のようで嬉しいようだ。
ーー目の前のことに必死になる一方で、私はヴァン存在を脅威だと思いつつ、
あの悲劇は繰り返したくないと思いを巡らせていた。
