序盤 ガイと出会い、仲間たちと旅をする
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
第11話「帝都バチカル帰還、彼女が現代に帰るための方法は」
ルークを連れ、ガイたちは無事バチカルへ帰還した。
街に入ると、整った石畳と堂々とした建物が視界に広がる。王族の住む街らしく、衛兵たちの視線は厳しく、街の空気もどこか張り詰めていた。
「じゃあ、俺は屋敷に戻るよ」
ルークはそう言うと、少し肩をすくめてガイたちと別れた。
「ちゃんと休めよ」ガイが声をかけると、「わかってるって」とそっけなく返す。けれど、その表情の端にはほんの少し柔らかい色が見えた。
⸻
はるはガイに宿まで案内され、そこで一泊することになった。
部屋に入ると、長旅の疲れがどっと押し寄せる。荷物を置き、ふとポケットに手を入れると…そこにあったのは、現代から持ってきたスマホだった。
「そういえば…この世界に来てから、一度も使ってなかったな」
画面をつけると、充電はなぜか満タン。さらに、信号表示はしっかりと立っていて、ネットも繋がる状態になっていた。
「おかしい…電波塔なんてあるはずないのに」
不思議に思いながらも、はるは試しに検索を始める。
⸻
『異世界からの帰還方法』
キーワードを入力して調べると、いくつかの記事がヒットした。
その中に、やけに現実味を帯びた内容が書かれたブログを見つける。
現実から異世界へ行ったケースの記録。
帰還方法は二つ。
条件を満たし異世界から現実世界へ戻るか、
もしくは異世界に適応し、この世界の住人として生きること。
適応には時間がかかるが不可能ではない。
そして…条件を満たし異世界から脱出するための条件とは——
「……条件?」
はるは息を呑む。
思考がそこで止まり、心臓の鼓動が速くなる。
この“条件”を知ることが、元の世界に帰る鍵になるのかもしれない——。
「私の場合は…」
はるは画面を見つめながら考え込んでいた。
“条件”という言葉が頭から離れない。
——コンコン。
突然のノックに肩が跳ねる。
「俺だ、入っていいか?」
聞き慣れた低い声。ガイだ。
「どうぞ…」
ドアを開けて入ってきたガイは、夜風を纏っていて、少し髪が乱れていた。
手には湯気の立つカップを持っている。
「眠れないだろうと思って、温かいハーブティーを持ってきた」
そう言ってテーブルに置くと、彼は椅子を引き寄せ、はるの正面に腰を下ろす。
「…ありがと」
湯気の向こうで微笑むガイの顔は、普段より柔らかく見える。
「今日は色々あったからな。無理して笑うなよ」
そう言って、彼は自然にはるの頭に手を置き、そっと撫でる。
その手の温もりが、心の奥まで染み込んでいく。
「…ガイって、こういう時いつも優しいね」
思わず本音が漏れると、彼は少し照れくさそうに視線を逸らした。
「お前がそうやって笑えるなら、それでいいんだ」
ふとスマホの画面に視線を戻すと、さっきまで見ていた“条件”の記事が目に入る。
でも今は、それを追う気持ちよりも、目の前のガイの存在が大きく感じられた。
「…ありがとう、ガイ。おかげで少し眠れそう」
「そうか。じゃあ…おやすみ」
立ち上がったガイは、扉の前で振り返り、もう一度優しく笑った。
⸻
窓の外には、静かな夜のバチカルの街並み。
ハーブティーの香りに包まれながら、はるはベッドに身を沈めた。
“条件”は謎のまま——でも、今夜だけは温もりを感じながら目を閉じる。
そして、異世界での一日が静かに終わった。
12話「両国の和平を目指して、旅立つ」
朝の光が宿の窓から差し込み、通りでは市場の準備をする声が響いていた。
はるは荷物を整え、ロビーで皆と合流する。
「準備はできたか?」とガイが問いかける。
「はい。もう大丈夫です」
ルークとティアも揃い、自然と一行は出発の流れになる。
その時、バチカルからの伝令が駆け込んできた。
「至急のお知らせです! アクゼリュスから救援要請が!」
報告によれば、地下から溢れ出す障気で街の人々が倒れ、道も寸断されているとのこと。
場所はマルクト領だが、ここを救えば和平への道が開けるかもしれない――。
一行が情報を整理していると、ガイがはるの方を振り返った。
「はる。今回は危険が伴う。…バチカルに残るって選択肢もある」
胸がざわめく。
「…それでも、私は行きます。元の世界へ戻る手がかりがほしいし、私の力――音に関する知識も知りたいんです」
ガイはしばらく黙って見つめ、それから微笑んだ。
「そうか。じゃあ、しっかり守らないとな」
……その中に。
——まただ。
微かに混じる、あの“音”。
耳を澄ますと、胸の奥がざわめくような、優しくも不安を誘う響き。
「どうした?疲れたか?」
「いえ…ちょっと、音が…」
思わず口にしかけて、慌てて言葉を濁す。
「無理はするなよ」
ガイは歩調を合わせ、その距離の近さに胸が高鳴った。
「……ガイは、不思議なことって信じますか?」
「この世界じゃ、不思議なんて日常だぞ。俺だって…君に会ったことが、そうだしな」
からかい半分のような、でも真っ直ぐな視線に、心が揺れる。
「……そんなふうに言われたら、余計に帰る方法を探すの迷っちゃいます」
「じゃあ、しばらくは俺がそばにいてやるよ」
その言葉が、不安を優しく包み込んだ。
13話「廃工場にて再会し、アクゼリュスへ向かう」
バチカルを出発して間もなく、乾いた風が吹き抜ける荒れ地に差し掛かる。
先頭を歩くガイが立ち止まり、後ろを振り返った。
「この先に廃工場がある。少し寄り道になるが、目的地への近道だ」
案内されるまま進むと、錆びついた鉄骨がむき出しになった巨大な建物が姿を現す。
入口付近で足音が響き、凛とした声が空気を切った。
「やっと来たわね」
現れたのは、気品ある立ち姿の女性――ナタリアだった。
ルークの名を呼び、その視線はまっすぐ彼を射抜く。
錆びた扉の前で待っていたのは、凛とした気配を放つ女性――ナタリアだった。
「……ナタリア?」
ルークが驚いた声を上げる。
「ルーク、私も旅に同行します」
真っ直ぐな眼差しで告げられた言葉に、ルークは眉をひそめた。
「はぁ? こんな危険な旅に、お前を連れて行けるわけ――」
ナタリアは一歩踏み込み、声を低くする。
「……あなたの秘密を、ここでばらされたくなければね」
場の空気が一瞬固まった。
ルークは睨みつけるが、反論の言葉が出てこない。
「……ちっ、わかったよ。好きにしろ」
横でやり取りを見ていたはるは、ガイと視線を交わす。
こうして、一行はナタリアを新たな仲間に加え、アクゼリュスへ向けて歩みを進めるのだった。
第14話 ふたつの紅い髪
廃工場を抜けた瞬間、空が暗くなり、ぽつりと冷たい雨が落ちてきた。
視界の先には、黒鉄の巨体――陸上潜水艦タルタロスが待ち構えていた。
胸の奥で、不意に“音”が響く。
——何か来る。
「気をつけて、みんな! 何か…殺気を感じる!」
はるの声に、全員が身構える。
そうだ、ここは…あの二人が初めて対峙する場所だ。
そして、彼らの目的は――イオン様。
「ルーク、前から来る!」
叫ぶと同時に、紅い髪の青年が剣を構え突進してきた。
ルークはイオンを庇うように前に出る。
「おい――やめろ!」
剣と剣がぶつかり火花が散った瞬間、はるは息を呑む。
男の顔は、ルークと瓜二つだった。
「お前は!」
紅髪の青年の眉間には険しい皺が寄っている。
「シンク! イオン様を離して!」
ルークの叫びに応えるように、別方向から緑髪の青年が姿を現す。
アニスの人形が跳びかかるが、彼は軽やかに距離を取った。
「させません!」
ジェイドの譜術が風を巻き起こす。
しかし、その術を鎌を構えた大柄な男が一閃で打ち消す。
「――目的は果たした。引き上げだ」
シンクの合図と共に、タルタロスは雨の中を一目散に去っていった。
残されたルークは、その場で立ち尽くしていた。
「俺と同じ……どういうことだ」
呟く声は雨にかき消される。
「ルーク! 大丈夫か?」
ガイが声をかけるが、返事はない。
ティアは険しい表情で小さく呟く。
「……イオン様、無事でいて。兄さんは何を考えて…」
「ひとまず、こちらは陸路をたどり、近くの町――ケセドニアを目指しましょう。道中、六神将の手がかりも見つかると思いますし」
ジェイドが冷静に提案する。
「地図で見ると、ケセドニアの前にオアシスって休憩できる場所があるし、そっちに寄ってから行こうぜ」
ガイがそう言えば、ジェイドも頷く。
⸻
一方ではるは、胸のざわつきが消えないままだった。
この世界で起きる出来事は、現実味を帯びてきた。
避けられない悲劇が、この先にある――。
それを知っているのは、私だけ。
すべて原作通りとはいかない。
でも、大筋は変わっていない。
イレギュラーは、私。
だとしたら、この先、未来を変えられるのは私しかいない…本当にそうだろうか。
今、信頼できて、力になってくれるのは――ガイ。
だから私は、決めた。
この旅で、未来を変えるために全力を尽くすと。
ルークを連れ、ガイたちは無事バチカルへ帰還した。
街に入ると、整った石畳と堂々とした建物が視界に広がる。王族の住む街らしく、衛兵たちの視線は厳しく、街の空気もどこか張り詰めていた。
「じゃあ、俺は屋敷に戻るよ」
ルークはそう言うと、少し肩をすくめてガイたちと別れた。
「ちゃんと休めよ」ガイが声をかけると、「わかってるって」とそっけなく返す。けれど、その表情の端にはほんの少し柔らかい色が見えた。
⸻
はるはガイに宿まで案内され、そこで一泊することになった。
部屋に入ると、長旅の疲れがどっと押し寄せる。荷物を置き、ふとポケットに手を入れると…そこにあったのは、現代から持ってきたスマホだった。
「そういえば…この世界に来てから、一度も使ってなかったな」
画面をつけると、充電はなぜか満タン。さらに、信号表示はしっかりと立っていて、ネットも繋がる状態になっていた。
「おかしい…電波塔なんてあるはずないのに」
不思議に思いながらも、はるは試しに検索を始める。
⸻
『異世界からの帰還方法』
キーワードを入力して調べると、いくつかの記事がヒットした。
その中に、やけに現実味を帯びた内容が書かれたブログを見つける。
現実から異世界へ行ったケースの記録。
帰還方法は二つ。
条件を満たし異世界から現実世界へ戻るか、
もしくは異世界に適応し、この世界の住人として生きること。
適応には時間がかかるが不可能ではない。
そして…条件を満たし異世界から脱出するための条件とは——
「……条件?」
はるは息を呑む。
思考がそこで止まり、心臓の鼓動が速くなる。
この“条件”を知ることが、元の世界に帰る鍵になるのかもしれない——。
「私の場合は…」
はるは画面を見つめながら考え込んでいた。
“条件”という言葉が頭から離れない。
——コンコン。
突然のノックに肩が跳ねる。
「俺だ、入っていいか?」
聞き慣れた低い声。ガイだ。
「どうぞ…」
ドアを開けて入ってきたガイは、夜風を纏っていて、少し髪が乱れていた。
手には湯気の立つカップを持っている。
「眠れないだろうと思って、温かいハーブティーを持ってきた」
そう言ってテーブルに置くと、彼は椅子を引き寄せ、はるの正面に腰を下ろす。
「…ありがと」
湯気の向こうで微笑むガイの顔は、普段より柔らかく見える。
「今日は色々あったからな。無理して笑うなよ」
そう言って、彼は自然にはるの頭に手を置き、そっと撫でる。
その手の温もりが、心の奥まで染み込んでいく。
「…ガイって、こういう時いつも優しいね」
思わず本音が漏れると、彼は少し照れくさそうに視線を逸らした。
「お前がそうやって笑えるなら、それでいいんだ」
ふとスマホの画面に視線を戻すと、さっきまで見ていた“条件”の記事が目に入る。
でも今は、それを追う気持ちよりも、目の前のガイの存在が大きく感じられた。
「…ありがとう、ガイ。おかげで少し眠れそう」
「そうか。じゃあ…おやすみ」
立ち上がったガイは、扉の前で振り返り、もう一度優しく笑った。
⸻
窓の外には、静かな夜のバチカルの街並み。
ハーブティーの香りに包まれながら、はるはベッドに身を沈めた。
“条件”は謎のまま——でも、今夜だけは温もりを感じながら目を閉じる。
そして、異世界での一日が静かに終わった。
12話「両国の和平を目指して、旅立つ」
朝の光が宿の窓から差し込み、通りでは市場の準備をする声が響いていた。
はるは荷物を整え、ロビーで皆と合流する。
「準備はできたか?」とガイが問いかける。
「はい。もう大丈夫です」
ルークとティアも揃い、自然と一行は出発の流れになる。
その時、バチカルからの伝令が駆け込んできた。
「至急のお知らせです! アクゼリュスから救援要請が!」
報告によれば、地下から溢れ出す障気で街の人々が倒れ、道も寸断されているとのこと。
場所はマルクト領だが、ここを救えば和平への道が開けるかもしれない――。
一行が情報を整理していると、ガイがはるの方を振り返った。
「はる。今回は危険が伴う。…バチカルに残るって選択肢もある」
胸がざわめく。
「…それでも、私は行きます。元の世界へ戻る手がかりがほしいし、私の力――音に関する知識も知りたいんです」
ガイはしばらく黙って見つめ、それから微笑んだ。
「そうか。じゃあ、しっかり守らないとな」
……その中に。
——まただ。
微かに混じる、あの“音”。
耳を澄ますと、胸の奥がざわめくような、優しくも不安を誘う響き。
「どうした?疲れたか?」
「いえ…ちょっと、音が…」
思わず口にしかけて、慌てて言葉を濁す。
「無理はするなよ」
ガイは歩調を合わせ、その距離の近さに胸が高鳴った。
「……ガイは、不思議なことって信じますか?」
「この世界じゃ、不思議なんて日常だぞ。俺だって…君に会ったことが、そうだしな」
からかい半分のような、でも真っ直ぐな視線に、心が揺れる。
「……そんなふうに言われたら、余計に帰る方法を探すの迷っちゃいます」
「じゃあ、しばらくは俺がそばにいてやるよ」
その言葉が、不安を優しく包み込んだ。
13話「廃工場にて再会し、アクゼリュスへ向かう」
バチカルを出発して間もなく、乾いた風が吹き抜ける荒れ地に差し掛かる。
先頭を歩くガイが立ち止まり、後ろを振り返った。
「この先に廃工場がある。少し寄り道になるが、目的地への近道だ」
案内されるまま進むと、錆びついた鉄骨がむき出しになった巨大な建物が姿を現す。
入口付近で足音が響き、凛とした声が空気を切った。
「やっと来たわね」
現れたのは、気品ある立ち姿の女性――ナタリアだった。
ルークの名を呼び、その視線はまっすぐ彼を射抜く。
錆びた扉の前で待っていたのは、凛とした気配を放つ女性――ナタリアだった。
「……ナタリア?」
ルークが驚いた声を上げる。
「ルーク、私も旅に同行します」
真っ直ぐな眼差しで告げられた言葉に、ルークは眉をひそめた。
「はぁ? こんな危険な旅に、お前を連れて行けるわけ――」
ナタリアは一歩踏み込み、声を低くする。
「……あなたの秘密を、ここでばらされたくなければね」
場の空気が一瞬固まった。
ルークは睨みつけるが、反論の言葉が出てこない。
「……ちっ、わかったよ。好きにしろ」
横でやり取りを見ていたはるは、ガイと視線を交わす。
こうして、一行はナタリアを新たな仲間に加え、アクゼリュスへ向けて歩みを進めるのだった。
第14話 ふたつの紅い髪
廃工場を抜けた瞬間、空が暗くなり、ぽつりと冷たい雨が落ちてきた。
視界の先には、黒鉄の巨体――陸上潜水艦タルタロスが待ち構えていた。
胸の奥で、不意に“音”が響く。
——何か来る。
「気をつけて、みんな! 何か…殺気を感じる!」
はるの声に、全員が身構える。
そうだ、ここは…あの二人が初めて対峙する場所だ。
そして、彼らの目的は――イオン様。
「ルーク、前から来る!」
叫ぶと同時に、紅い髪の青年が剣を構え突進してきた。
ルークはイオンを庇うように前に出る。
「おい――やめろ!」
剣と剣がぶつかり火花が散った瞬間、はるは息を呑む。
男の顔は、ルークと瓜二つだった。
「お前は!」
紅髪の青年の眉間には険しい皺が寄っている。
「シンク! イオン様を離して!」
ルークの叫びに応えるように、別方向から緑髪の青年が姿を現す。
アニスの人形が跳びかかるが、彼は軽やかに距離を取った。
「させません!」
ジェイドの譜術が風を巻き起こす。
しかし、その術を鎌を構えた大柄な男が一閃で打ち消す。
「――目的は果たした。引き上げだ」
シンクの合図と共に、タルタロスは雨の中を一目散に去っていった。
残されたルークは、その場で立ち尽くしていた。
「俺と同じ……どういうことだ」
呟く声は雨にかき消される。
「ルーク! 大丈夫か?」
ガイが声をかけるが、返事はない。
ティアは険しい表情で小さく呟く。
「……イオン様、無事でいて。兄さんは何を考えて…」
「ひとまず、こちらは陸路をたどり、近くの町――ケセドニアを目指しましょう。道中、六神将の手がかりも見つかると思いますし」
ジェイドが冷静に提案する。
「地図で見ると、ケセドニアの前にオアシスって休憩できる場所があるし、そっちに寄ってから行こうぜ」
ガイがそう言えば、ジェイドも頷く。
⸻
一方ではるは、胸のざわつきが消えないままだった。
この世界で起きる出来事は、現実味を帯びてきた。
避けられない悲劇が、この先にある――。
それを知っているのは、私だけ。
すべて原作通りとはいかない。
でも、大筋は変わっていない。
イレギュラーは、私。
だとしたら、この先、未来を変えられるのは私しかいない…本当にそうだろうか。
今、信頼できて、力になってくれるのは――ガイ。
だから私は、決めた。
この旅で、未来を変えるために全力を尽くすと。
