序盤 ガイと出会い、仲間たちと旅をする
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第7話「秘めた力」
薄曇りの空の下、私とガイは街道をゆっくり進んでいた。
「この先は少し物騒だ。気をつけろよ。」
ガイの声には、軽さの奥に真剣さが混じっている。
「……ん?」
ふと、風の中にかすかな“音”を感じ取った。
耳を澄ますと、それは言葉でも音楽でもない、不思議な響き。
思わず立ち止まった私に、ガイが首を傾げる。
「どうした?」
「なんか、聞こえるんだ……説明しづらいけど。」
その瞬間、ガイの表情が少し変わった。
「…… はる、もしかして――」
彼は何か言いかけたが、その時、遠くから複数の叫び声が響いてきた。
「まずいな。あっちで魔物が出たみたいだ。」
ガイは小さく舌打ちし、私の手を引く。
「走るぞ!」
私たちは駆け足で声のする方へ向かった。
そこで目にしたのは、魔物に囲まれて苦戦している一行の影――
この出会いが、私の運命を大きく変えることになるなんて、まだ知る由もなかった。
第8話 「旅の仲間たちと再会」
街道沿いの小さな広場。
魔物に囲まれて動けなくなっていた私を、ガイが素早く庇ってくれた。
さらに後方から響く鋭い声――。
魔物の群れに囲まれたその場には、数人の冒険者――いや、それ以上の雰囲気を放つ人々がいた。
青い髪の小柄な少女が大きな鎌を軽々と振るい、褐色の肌の青年が剣で正面を切り開く。
後方では、凛とした表情の少年が落ち着いた声で指示を飛ばしていた。
「アニス、イオン様を頼む!」
「了解っ!」
振り返ると、桃色の髪の少女が巨大な人形を操り、魔物を次々と押し返していた。
その後ろには、小柄で端正な顔立ちの少年――イオン様が、静かに周囲を見渡している。
こちらへ歩み寄り、柔らかく微笑む。
「お怪我はありませんか?」
その声音に、不思議と胸が落ち着く。
ガイは私の隣に立ち、短く息を整えると笑みを浮かべた。
「こっちは問題なし。あとは――おっと、
皆も来たみたいだな。」
広場の入口から、ルーク、ティア、ジェイドが駆け込んでくる。
一斉に魔物へと向かっていくその姿に、頼もしさを感じた。
ガイは仲間たちを見渡し、 はるを紹介し名乗り合いが交わされた。
戦いが終わると、イオン様はじっと私を見つめ、こう言った。
「……あなた、セブンスフォニムの素養がありますね。」
突然の指摘に、私は目を瞬かせる。
「え……?」
「簡単に言えば、“特別な音”を感じ取れる力です。」
イオン様の瞳が、どこか探るように細められた。
そして彼は穏やかな笑みを浮かべる。
「ガイ無事だったな!」
長髪の青年が嬉しそうに声かける。
「おまえは?」
ルークが私に話しかけてきた。
なんと説明しようか。そう思っていると。
「彼女は俺の……親戚なんだ。訳あって、今は一緒に行動している。ーーー はるのことよろしく頼む」
ガイは仲間たちに一礼する。
私も頭を下げると、イオン様は優しく頷く。
「わかりました。よろしくお願いします。これからバチカル方面へ向かうのです。安全のため、ご一緒に行きませんか?」
「じゃ、これから一緒に行こうぜ。」
ガイの明るい声に、私は小さく頷き返す。
――こうして、私の物語は本格的に動き出したのだった。
9話「帝都バチカルへ、彼女の力とは」
イオン様とアニス、それにルーク、ティア、ジェイドと合流し、一行はバチカルへ向けて歩みを進めていた。
大人数での移動は初めてで、少し緊張していた私だったが、アニスが明るく話しかけてくれるおかげで空気は和やかだった。
「ねぇ、あんたさっきの戦い、杖握ってただけだったでしょ? 護身用ってやつ?」
「うん。攻撃はできないけど、近づかれたら…って思って。」
「そっか、じゃあ今度、人形の動きに合わせた避け方でも教えてあげる!」
アニスの元気な声に、自然と笑みがこぼれる。
道は広いが、所々で木々が生い茂り、視界が悪くなる場所も多い。
そんな中、イオン様は時折立ち止まり、耳を澄ませていた。
「……この辺り、魔物の気配が濃いですね。」
その言葉に、ルークが剣の柄を握り直す。
私はふと、またあの不思議な音を耳にした。
耳の奥に響く、柔らかくも不安を誘う旋律。
——魔物が近いとき、こういう音がするのだろうか。
ガイが横目で私を見て、小さく声をかける。
「また聞こえたのか?」
「…うん。でも、あんまり嫌な感じじゃない。」
「油断はするなよ」
短いやり取りに、彼の優しさと警戒心が滲んでいた。
昼下がり、石畳の道を歩く私たち一行。
ガイの隣を歩きながら、私は小さく深呼吸をした。杖の感触がまだ少し手に馴染まない。
「力を入れすぎるな。手首を固めると疲れるぞ」
ガイの声は優しい。けれど、その視線は周囲を警戒していた。
――その時、耳の奥に低い響きが流れ込んできた。
(…まただ。あの音)
微かだけど、重く低く、空気の底を揺らすような音色。経験から、それが“魔物の存在”と重なっていると分かる。
これが本当にセブンスフォニムの力なんだ。
「ガイ…あっちから、何か来る」
私が指さすと、彼はすぐ剣に手をかけた。
「はる…お前、何かを感じ取ってるんだな」
仲間たち――ルーク、ティア、ジェイドも足を止め、視線を交わす。
「音で察知できる…興味深いですね」ジェイドが小さく笑い、メガネを押し上げた。
ティアは真剣な目で私を見つめる。
「あなたは、無意識のうちに力を使っている。……危険が来る前に知らせてくれるのは助かるわ。でも、無理はしないで」
「よくやった!」
ガイの声が背後から聞こえる。次の瞬間、ルークの剣が魔物の動きを止め、ティアの詠唱が光を放った。
戦いが終わると、ジェイドが私を見て小さく頷く。
「ただの旅人ーーーにしては、予想以上の反応速度ですね。やはり、あの“音”が鍵になっているようだ」
私は息を整えながら、胸の中で決意を固めた。
――この力、もっと役立てられるようにしなきゃ。
やがて、遠くに白い城壁と尖塔が見え始める。
それが帝都バチカルだと気づき、胸が高鳴る。
しかし同時に、この場所で何が待っているのか…その予感が、心の奥に小さな波紋を広げていった。
第10話「バチカル到着と新たな仲間」
城門の前には長い列ができていた。
商人や旅人が検問を受けており、その合間を縫って衛兵たちが厳しい目を光らせている。
私たちの一行も列に並び、順番を待った。
「バチカルは王族の住む街ですからね。警備も厳しい。」
ジェイドが淡々と説明する。
ルークは少し落ち着かない様子で辺りを見回していた。
列が進み、城門をくぐると、そこには壮麗な街並みが広がっていた。
白い石造りの建物が整然と並び、中央には王城がそびえ立つ。
思わず息を呑む私に、ガイが小さく笑う。
「どうだ、なかなかの景色だろ?」
その時、前方から澄んだ声が響いた。
「ルーク!」
金色の髪を高く結い上げた女性が馬を降り、こちらへ駆け寄ってくる。
その声には安堵と少しの怒りが混じっていた。
「心配しましたよ!」
「うるせーな…」とルークがぼやくが、その耳はわずかに赤い。
「でも…ありがとよ。」と、少し照れくさそうに視線をそらす。
ナタリアはそんな彼を見て、口元を柔らかく緩めた。
しばらくして、一行が揃ったことに改めて目を向けたナタリアは、
「ルークを連れ帰ってくださって、本当に感謝します」と皆へ礼を述べる。
「あら……あなたは?」
ナタリアの視線が私に向き、一瞬、柔らかな微笑みが浮かぶ。
「ガイ、そちらは?」
ガイが口を開く前に、私は小さく息を整えた。
「あの…失礼しました。私は、 はるといいます。
道に迷って困っているところを、皆様に助けてもらい、それから一緒に行動しています。」
ナタリアは頷き、穏やかな声で言った。
「そうですか。大変でしたね。これからは安心してください。」
その言葉に胸の奥が温かくなるのを感じた。
バチカルの街並みが、少しだけ優しく見えた。
薄曇りの空の下、私とガイは街道をゆっくり進んでいた。
「この先は少し物騒だ。気をつけろよ。」
ガイの声には、軽さの奥に真剣さが混じっている。
「……ん?」
ふと、風の中にかすかな“音”を感じ取った。
耳を澄ますと、それは言葉でも音楽でもない、不思議な響き。
思わず立ち止まった私に、ガイが首を傾げる。
「どうした?」
「なんか、聞こえるんだ……説明しづらいけど。」
その瞬間、ガイの表情が少し変わった。
「…… はる、もしかして――」
彼は何か言いかけたが、その時、遠くから複数の叫び声が響いてきた。
「まずいな。あっちで魔物が出たみたいだ。」
ガイは小さく舌打ちし、私の手を引く。
「走るぞ!」
私たちは駆け足で声のする方へ向かった。
そこで目にしたのは、魔物に囲まれて苦戦している一行の影――
この出会いが、私の運命を大きく変えることになるなんて、まだ知る由もなかった。
第8話 「旅の仲間たちと再会」
街道沿いの小さな広場。
魔物に囲まれて動けなくなっていた私を、ガイが素早く庇ってくれた。
さらに後方から響く鋭い声――。
魔物の群れに囲まれたその場には、数人の冒険者――いや、それ以上の雰囲気を放つ人々がいた。
青い髪の小柄な少女が大きな鎌を軽々と振るい、褐色の肌の青年が剣で正面を切り開く。
後方では、凛とした表情の少年が落ち着いた声で指示を飛ばしていた。
「アニス、イオン様を頼む!」
「了解っ!」
振り返ると、桃色の髪の少女が巨大な人形を操り、魔物を次々と押し返していた。
その後ろには、小柄で端正な顔立ちの少年――イオン様が、静かに周囲を見渡している。
こちらへ歩み寄り、柔らかく微笑む。
「お怪我はありませんか?」
その声音に、不思議と胸が落ち着く。
ガイは私の隣に立ち、短く息を整えると笑みを浮かべた。
「こっちは問題なし。あとは――おっと、
皆も来たみたいだな。」
広場の入口から、ルーク、ティア、ジェイドが駆け込んでくる。
一斉に魔物へと向かっていくその姿に、頼もしさを感じた。
ガイは仲間たちを見渡し、 はるを紹介し名乗り合いが交わされた。
戦いが終わると、イオン様はじっと私を見つめ、こう言った。
「……あなた、セブンスフォニムの素養がありますね。」
突然の指摘に、私は目を瞬かせる。
「え……?」
「簡単に言えば、“特別な音”を感じ取れる力です。」
イオン様の瞳が、どこか探るように細められた。
そして彼は穏やかな笑みを浮かべる。
「ガイ無事だったな!」
長髪の青年が嬉しそうに声かける。
「おまえは?」
ルークが私に話しかけてきた。
なんと説明しようか。そう思っていると。
「彼女は俺の……親戚なんだ。訳あって、今は一緒に行動している。ーーー はるのことよろしく頼む」
ガイは仲間たちに一礼する。
私も頭を下げると、イオン様は優しく頷く。
「わかりました。よろしくお願いします。これからバチカル方面へ向かうのです。安全のため、ご一緒に行きませんか?」
「じゃ、これから一緒に行こうぜ。」
ガイの明るい声に、私は小さく頷き返す。
――こうして、私の物語は本格的に動き出したのだった。
9話「帝都バチカルへ、彼女の力とは」
イオン様とアニス、それにルーク、ティア、ジェイドと合流し、一行はバチカルへ向けて歩みを進めていた。
大人数での移動は初めてで、少し緊張していた私だったが、アニスが明るく話しかけてくれるおかげで空気は和やかだった。
「ねぇ、あんたさっきの戦い、杖握ってただけだったでしょ? 護身用ってやつ?」
「うん。攻撃はできないけど、近づかれたら…って思って。」
「そっか、じゃあ今度、人形の動きに合わせた避け方でも教えてあげる!」
アニスの元気な声に、自然と笑みがこぼれる。
道は広いが、所々で木々が生い茂り、視界が悪くなる場所も多い。
そんな中、イオン様は時折立ち止まり、耳を澄ませていた。
「……この辺り、魔物の気配が濃いですね。」
その言葉に、ルークが剣の柄を握り直す。
私はふと、またあの不思議な音を耳にした。
耳の奥に響く、柔らかくも不安を誘う旋律。
——魔物が近いとき、こういう音がするのだろうか。
ガイが横目で私を見て、小さく声をかける。
「また聞こえたのか?」
「…うん。でも、あんまり嫌な感じじゃない。」
「油断はするなよ」
短いやり取りに、彼の優しさと警戒心が滲んでいた。
昼下がり、石畳の道を歩く私たち一行。
ガイの隣を歩きながら、私は小さく深呼吸をした。杖の感触がまだ少し手に馴染まない。
「力を入れすぎるな。手首を固めると疲れるぞ」
ガイの声は優しい。けれど、その視線は周囲を警戒していた。
――その時、耳の奥に低い響きが流れ込んできた。
(…まただ。あの音)
微かだけど、重く低く、空気の底を揺らすような音色。経験から、それが“魔物の存在”と重なっていると分かる。
これが本当にセブンスフォニムの力なんだ。
「ガイ…あっちから、何か来る」
私が指さすと、彼はすぐ剣に手をかけた。
「はる…お前、何かを感じ取ってるんだな」
仲間たち――ルーク、ティア、ジェイドも足を止め、視線を交わす。
「音で察知できる…興味深いですね」ジェイドが小さく笑い、メガネを押し上げた。
ティアは真剣な目で私を見つめる。
「あなたは、無意識のうちに力を使っている。……危険が来る前に知らせてくれるのは助かるわ。でも、無理はしないで」
「よくやった!」
ガイの声が背後から聞こえる。次の瞬間、ルークの剣が魔物の動きを止め、ティアの詠唱が光を放った。
戦いが終わると、ジェイドが私を見て小さく頷く。
「ただの旅人ーーーにしては、予想以上の反応速度ですね。やはり、あの“音”が鍵になっているようだ」
私は息を整えながら、胸の中で決意を固めた。
――この力、もっと役立てられるようにしなきゃ。
やがて、遠くに白い城壁と尖塔が見え始める。
それが帝都バチカルだと気づき、胸が高鳴る。
しかし同時に、この場所で何が待っているのか…その予感が、心の奥に小さな波紋を広げていった。
第10話「バチカル到着と新たな仲間」
城門の前には長い列ができていた。
商人や旅人が検問を受けており、その合間を縫って衛兵たちが厳しい目を光らせている。
私たちの一行も列に並び、順番を待った。
「バチカルは王族の住む街ですからね。警備も厳しい。」
ジェイドが淡々と説明する。
ルークは少し落ち着かない様子で辺りを見回していた。
列が進み、城門をくぐると、そこには壮麗な街並みが広がっていた。
白い石造りの建物が整然と並び、中央には王城がそびえ立つ。
思わず息を呑む私に、ガイが小さく笑う。
「どうだ、なかなかの景色だろ?」
その時、前方から澄んだ声が響いた。
「ルーク!」
金色の髪を高く結い上げた女性が馬を降り、こちらへ駆け寄ってくる。
その声には安堵と少しの怒りが混じっていた。
「心配しましたよ!」
「うるせーな…」とルークがぼやくが、その耳はわずかに赤い。
「でも…ありがとよ。」と、少し照れくさそうに視線をそらす。
ナタリアはそんな彼を見て、口元を柔らかく緩めた。
しばらくして、一行が揃ったことに改めて目を向けたナタリアは、
「ルークを連れ帰ってくださって、本当に感謝します」と皆へ礼を述べる。
「あら……あなたは?」
ナタリアの視線が私に向き、一瞬、柔らかな微笑みが浮かぶ。
「ガイ、そちらは?」
ガイが口を開く前に、私は小さく息を整えた。
「あの…失礼しました。私は、 はるといいます。
道に迷って困っているところを、皆様に助けてもらい、それから一緒に行動しています。」
ナタリアは頷き、穏やかな声で言った。
「そうですか。大変でしたね。これからは安心してください。」
その言葉に胸の奥が温かくなるのを感じた。
バチカルの街並みが、少しだけ優しく見えた。
