第二部「 運命に抗い、交錯する想い」
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第七話「奪還の刃」
はるを救うため、一人先行したガイ。
一方、残る仲間たちは、ルークを連れてユリアシティへ戻るティアと別れ、外郭大地へ戻る方法を探していた。
アッシュの姿がまだ遠くに見える頃。
「これから、どうしましょう‥」
「徒歩での移動は大変ですし」
「やっぱりタルタロスは、ほしいですよね」
「しかし、人手不足です‥」
「やはり、アッシュにお願いしてみては‥」
「イオン様なら彼も協力するでしょう」
「それなら私が‥‥行きますわ!」
ナタリアは駆け出した。
ふとその様子を見て、ジェイドは思い出す。
「‥前もありましたね」
「ルークってば。先に言っちゃうから」
「優しいですよね。二人とも」
アニスとイオンは笑う。
(‥アッシュにとっては奪われた過去)
(しかし、ルークは過去がない‥‥)
(……まさか、こんな形で目にすることになるとは)
(運命とは、皮肉なものです。)
ジェイドは遠くを見据えた。
(……なんだって言うんだ)
ナタリアに呼び止められたアッシュは、足を止めた。
顔は背けたままだったが、イオンの姿を認めると静かに振り返る。
「‥イオンが協力してほしいと」
イオンが前に出て、静かに頭を下げる。
「はるさんを助けるため、私たちも外郭大地へ戻らなければなりません」
「そのためには、タルタロスを動かす操縦士が必要なんです」
「急なお願いになりますが、どうか力を貸していただけませんか」
しばらく沈黙した後。
「まあ……わかった」
アッシュが短く答えると、イオンはほっと胸をなで下ろした。
張り詰めていた空気が、ほんの少しだけ和らぐ。
アッシュを仲間に加えた一行は、ユリアシティに停泊するタルタロスへ向かった。
艦内へ足を踏み入れると、重々しい機関音が静かに響く。
誰もが焦る気持ちを押し殺しながら、それぞれの持ち場へ向かった。
操縦士たちが機関を起動し、タルタロスはゆっくりと進み始める。
アクゼリュス跡地には、崩壊によって発生した大量のセルパーティクル(光の粒子)が漂っている。その浮力を利用して、タルタロスに取り付けた機械で地上まで押し上げるというのだ。
途方もない計画だった。
それでも仲間たちは、その可能性に賭けるしかなかった。
ーーータルタロス艦内。
「本当に、地上へ行けるんですね」
「ああ。そうだ」
しばらくして、甲板には沈黙が流れる。
それぞれに、想いを巡らせていた。
はるやルークの無事を願う者。
アッシュやナタリアへの想い。
レプリカという現実に、複雑な想いを抱える者。
ーーそんな時だった。
重苦しい空気に耐えきれなくなったように、アニスがぽつりと口を開く。
それをきっかけに、ナタリアも会話へ加わった。
その様子に、アッシュが眉をひそめた。
「‥なんだ。この騒ぎは」
次第に会話は熱を帯び、甲板には仲間たちの声が響き始める。
アッシュは騒ぐ、一行をじっと見つめた。
「私だって!はるを助けるに決まってますわ!」
「本当だよー!」
「皆、結局はるを放ってはいけないんですよ。」
「そうです。僕も、皆さんも心配してますよ」
ジェイドは静かに口を開く。
「……推測は好きではありませんが」
「……今思えば、ヴァンははるに興味を示していたようにも見えます」
「どういうことだ‥?」
「戦えない彼女を、ヴァンはあえて狙った」
「今まで彼女が戦いを避けていたことも、偶然ではないのかもしれません」
「アクゼリュスでは、離れていたティアにも声が届いたそうです」
「あれは……ただの術では説明できない」
ナタリアは腕を組み、考え込む。
「落ち着いて考えてみると、はるは本当に不思議な力を持っていますわ」
「全てがセブンスフォニムなのかしら‥」
「僕にはわかりませんが、はるはすごいですよ」
イオンは頷く。
「大丈夫です!あのガイなら、既にはるのもとへ着いている頃でしょう。」
ナタリアがそう宣言する。
その言葉に、誰も否定しなかった。
ガイが一度決めたことを、途中で諦める男ではないことを全員が知っていた。
ジェイドが静かに笑う。
「彼なら止まりませんよ」
アッシュは腕を組み、窓の外へ視線を向ける。
流れていく景色を見つめながら、小さく口を開いた。
「あいつは、昔からそういう男だ」
「あれー。アッシュってば、ガイが好きなの」
「知らん」
アニスは口を膨らませる。
その一言に、張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。
――ガイ視点
風を切る音だけが耳に響く。
岩肌を蹴り、崩れかけた足場を飛び越えながら、ガイはひたすら前へ、走り続けていた。
「…… はる」
名を呼んでも返事はない。
胸の奥が締めつけられる。
(頼む……間に合ってくれ)
イオンから聞いた話では、ヴァンはダアトへ向かったらしい。
ならば、はるもそこにいるはずだ。
(あいつは戦えない)
(俺が行かなきゃ…)
ガイは剣の柄を強く握り締めた。
息は荒く、額から汗が流れ落ちる。
それでも足は止まらない。
止まれば、それだけ助けるのが遅くなる。
「待ってろ……」
「必ず迎えに行く」
その時だった。
遠くから金属の足音が響く。
ガイは足を止め、音のする方へ視線を向ける。
「……!」
オラクル兵士だ。
数人の兵士が話してる。
話し声が風に乗って、聞こえてきた。
「‥早く」
「先に行って‥」
「しかし」
どうやらダアトへ、帰還する途中らしい。
よく聞こえないが。
「急げ。七神将様を待たせるな」
「ああ、ヴァン様の命令だ」
(なんだ‥)
「七神将はるか」
「ああ、今はヴァン様の保護を受けていると」
(七神将……?)
(はるが……七神将?)
ガサッ
「!!」
しまった!
「誰だッ!」
(くそ……今は分が悪い)
岩陰へ飛び込み、兵士の追跡を振り切る。
「追え!」
兵士たちの怒号が響く。
足音が近づくが、ガイは息を殺して身を伏せる。
やがて兵士たちは周囲を警戒しながら、走り去っていった。
「……危なかった」
今ここで無駄な戦闘をすれば、はるの居場所を探す時間を失う。
それだけは避けなければならない。
ガイはゆっくりと身を起こし、遠くを見据えた。
巨大なオラクル騎士団本部が視界に入る。
「あそこか……」
警備は思った以上に厳重だ。
正面から突っ込めば、すぐ囲まれる。
(裏から入るしかない)
巡回する兵士の動きを観察し、物陰から物陰へと静かに移動する。
ようやく建物の裏手へ回り込んだ、その時だった。
「誰だ!」
鋭い声が響く。
物陰から現れた数人のオラクル兵が、一斉に剣を抜いた。
「侵入者だ!」
「くっ……!」
ガイも迷わず剣を抜く。
金属がぶつかる甲高い音が周囲に響いた。
兵士を次々となぎ払っていくガイ。
しかし、その戦いを見下ろす人影があった。
「……ほう」
低く重い声が響く。
「貴様か……我ら七神将の同志を奪い返しに来たというのは」
ガイは剣を構える。
ーー姿を見せたのは、黒獅子ラルゴであった。
「……誰が、あいつの同志だ」
「はるを返してもらう」
と短く返す。
ラルゴは不敵に笑って。
「ふん‥お前は知らなくていい」
「ならば、この俺を越えてみろ」
一騎打ちがはじまる。
次の瞬間、二人は同時に地を蹴った。
はるを救うため、一人先行したガイ。
一方、残る仲間たちは、ルークを連れてユリアシティへ戻るティアと別れ、外郭大地へ戻る方法を探していた。
アッシュの姿がまだ遠くに見える頃。
「これから、どうしましょう‥」
「徒歩での移動は大変ですし」
「やっぱりタルタロスは、ほしいですよね」
「しかし、人手不足です‥」
「やはり、アッシュにお願いしてみては‥」
「イオン様なら彼も協力するでしょう」
「それなら私が‥‥行きますわ!」
ナタリアは駆け出した。
ふとその様子を見て、ジェイドは思い出す。
「‥前もありましたね」
「ルークってば。先に言っちゃうから」
「優しいですよね。二人とも」
アニスとイオンは笑う。
(‥アッシュにとっては奪われた過去)
(しかし、ルークは過去がない‥‥)
(……まさか、こんな形で目にすることになるとは)
(運命とは、皮肉なものです。)
ジェイドは遠くを見据えた。
(……なんだって言うんだ)
ナタリアに呼び止められたアッシュは、足を止めた。
顔は背けたままだったが、イオンの姿を認めると静かに振り返る。
「‥イオンが協力してほしいと」
イオンが前に出て、静かに頭を下げる。
「はるさんを助けるため、私たちも外郭大地へ戻らなければなりません」
「そのためには、タルタロスを動かす操縦士が必要なんです」
「急なお願いになりますが、どうか力を貸していただけませんか」
しばらく沈黙した後。
「まあ……わかった」
アッシュが短く答えると、イオンはほっと胸をなで下ろした。
張り詰めていた空気が、ほんの少しだけ和らぐ。
アッシュを仲間に加えた一行は、ユリアシティに停泊するタルタロスへ向かった。
艦内へ足を踏み入れると、重々しい機関音が静かに響く。
誰もが焦る気持ちを押し殺しながら、それぞれの持ち場へ向かった。
操縦士たちが機関を起動し、タルタロスはゆっくりと進み始める。
アクゼリュス跡地には、崩壊によって発生した大量のセルパーティクル(光の粒子)が漂っている。その浮力を利用して、タルタロスに取り付けた機械で地上まで押し上げるというのだ。
途方もない計画だった。
それでも仲間たちは、その可能性に賭けるしかなかった。
ーーータルタロス艦内。
「本当に、地上へ行けるんですね」
「ああ。そうだ」
しばらくして、甲板には沈黙が流れる。
それぞれに、想いを巡らせていた。
はるやルークの無事を願う者。
アッシュやナタリアへの想い。
レプリカという現実に、複雑な想いを抱える者。
ーーそんな時だった。
重苦しい空気に耐えきれなくなったように、アニスがぽつりと口を開く。
それをきっかけに、ナタリアも会話へ加わった。
その様子に、アッシュが眉をひそめた。
「‥なんだ。この騒ぎは」
次第に会話は熱を帯び、甲板には仲間たちの声が響き始める。
アッシュは騒ぐ、一行をじっと見つめた。
「私だって!はるを助けるに決まってますわ!」
「本当だよー!」
「皆、結局はるを放ってはいけないんですよ。」
「そうです。僕も、皆さんも心配してますよ」
ジェイドは静かに口を開く。
「……推測は好きではありませんが」
「……今思えば、ヴァンははるに興味を示していたようにも見えます」
「どういうことだ‥?」
「戦えない彼女を、ヴァンはあえて狙った」
「今まで彼女が戦いを避けていたことも、偶然ではないのかもしれません」
「アクゼリュスでは、離れていたティアにも声が届いたそうです」
「あれは……ただの術では説明できない」
ナタリアは腕を組み、考え込む。
「落ち着いて考えてみると、はるは本当に不思議な力を持っていますわ」
「全てがセブンスフォニムなのかしら‥」
「僕にはわかりませんが、はるはすごいですよ」
イオンは頷く。
「大丈夫です!あのガイなら、既にはるのもとへ着いている頃でしょう。」
ナタリアがそう宣言する。
その言葉に、誰も否定しなかった。
ガイが一度決めたことを、途中で諦める男ではないことを全員が知っていた。
ジェイドが静かに笑う。
「彼なら止まりませんよ」
アッシュは腕を組み、窓の外へ視線を向ける。
流れていく景色を見つめながら、小さく口を開いた。
「あいつは、昔からそういう男だ」
「あれー。アッシュってば、ガイが好きなの」
「知らん」
アニスは口を膨らませる。
その一言に、張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。
――ガイ視点
風を切る音だけが耳に響く。
岩肌を蹴り、崩れかけた足場を飛び越えながら、ガイはひたすら前へ、走り続けていた。
「…… はる」
名を呼んでも返事はない。
胸の奥が締めつけられる。
(頼む……間に合ってくれ)
イオンから聞いた話では、ヴァンはダアトへ向かったらしい。
ならば、はるもそこにいるはずだ。
(あいつは戦えない)
(俺が行かなきゃ…)
ガイは剣の柄を強く握り締めた。
息は荒く、額から汗が流れ落ちる。
それでも足は止まらない。
止まれば、それだけ助けるのが遅くなる。
「待ってろ……」
「必ず迎えに行く」
その時だった。
遠くから金属の足音が響く。
ガイは足を止め、音のする方へ視線を向ける。
「……!」
オラクル兵士だ。
数人の兵士が話してる。
話し声が風に乗って、聞こえてきた。
「‥早く」
「先に行って‥」
「しかし」
どうやらダアトへ、帰還する途中らしい。
よく聞こえないが。
「急げ。七神将様を待たせるな」
「ああ、ヴァン様の命令だ」
(なんだ‥)
「七神将はるか」
「ああ、今はヴァン様の保護を受けていると」
(七神将……?)
(はるが……七神将?)
ガサッ
「!!」
しまった!
「誰だッ!」
(くそ……今は分が悪い)
岩陰へ飛び込み、兵士の追跡を振り切る。
「追え!」
兵士たちの怒号が響く。
足音が近づくが、ガイは息を殺して身を伏せる。
やがて兵士たちは周囲を警戒しながら、走り去っていった。
「……危なかった」
今ここで無駄な戦闘をすれば、はるの居場所を探す時間を失う。
それだけは避けなければならない。
ガイはゆっくりと身を起こし、遠くを見据えた。
巨大なオラクル騎士団本部が視界に入る。
「あそこか……」
警備は思った以上に厳重だ。
正面から突っ込めば、すぐ囲まれる。
(裏から入るしかない)
巡回する兵士の動きを観察し、物陰から物陰へと静かに移動する。
ようやく建物の裏手へ回り込んだ、その時だった。
「誰だ!」
鋭い声が響く。
物陰から現れた数人のオラクル兵が、一斉に剣を抜いた。
「侵入者だ!」
「くっ……!」
ガイも迷わず剣を抜く。
金属がぶつかる甲高い音が周囲に響いた。
兵士を次々となぎ払っていくガイ。
しかし、その戦いを見下ろす人影があった。
「……ほう」
低く重い声が響く。
「貴様か……我ら七神将の同志を奪い返しに来たというのは」
ガイは剣を構える。
ーー姿を見せたのは、黒獅子ラルゴであった。
「……誰が、あいつの同志だ」
「はるを返してもらう」
と短く返す。
ラルゴは不敵に笑って。
「ふん‥お前は知らなくていい」
「ならば、この俺を越えてみろ」
一騎打ちがはじまる。
次の瞬間、二人は同時に地を蹴った。
