第二部「 運命に抗い、交錯する想い」
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第五話「囚われたはる」
――薄暗い部屋。
ゆっくりと瞼を開く。
「……ここは……?」
見慣れない石造りの天井。
身体を起こそうとすると、頭に鈍い痛みが走った。
「っ……」
そうだ。
私は――。
「ガイ……!」
勢いよく起き上がる。
しかし、そこは宿ではなかった。
窓はなく、重厚な扉が一つ。
知らない部屋だった。
(攫われた……?)
その瞬間――。
ギィ……
扉が開いた。
入ってきたのはオラクルの軍服姿の女性。
リグレットだった。
「目を覚ましたようね」
続いて、小柄な少年が腕を組みながら入ってくる。
「よう」
シンク。
さらに奥から、小さな少女が顔を覗かせた。
アリエッタだった。
はるは思わず後退る。
「あなた達……六神将……」
リグレットは静かに頷く。
「安心しなさい」
「命を奪うつもりはない」
「……どういうことですか」
はるは震えながら答えた。
リグレットは表情を変えない。
「理由を説明する義務はない」
「あなたはヴァン様の命令で保護している。それだけ覚えておきなさい」
「ただ従ってもらうだけよ」
シンクが鼻で笑う。
「逃げようなんて思うなよ」
「見張りは俺だからな」
「……」
沈黙が流れる。
その空気を破ったのはアリエッタだった。
「……服」
小さな手で畳まれた服を差し出す。
「汚れてる。これに着替えて」
渡されたのはオラクルの服装のようで肩が見えるデザイン。アニスやティアに近い感じの服だった。
「え……?」
「アリエッタが選んだの」
少し照れたように俯く。
シンクが呆れたように肩を竦めた。
「世話焼きだな」
「……」
敵のはずなのに。
その優しさに戸惑う。
(どうして……)
リグレットが部屋を出る前に振り返る。
「食事は後で運ぶ」
「無駄な抵抗はしないこと」
重い扉が閉まった。
部屋には、はるとアリエッタだけが残る。
「……怖い?」
突然、聞かれた。
「……うん。」
「ガイ達が心配」
アリエッタは少し考え、小さく呟く。
「……きっと迎えに来る」
「……え?」
「……」
それ以上は何も言わなかった。
ーーその頃。
廊下では。
「おい」
低い声が響く。
紅い髪の青年。
アッシュだった。
「何だ、この騒ぎは」
シンクが振り返る。
「ああ」
「ヴァン様に頼まれたんだよ。女を連れてこいってね」
アッシュは眉をひそめる。
「女?」
「そんな話は聞いてねぇ」
リグレットが静かに答える。
「あなたが知らなくても問題ない」
「ヴァン様の命令だ」
アッシュの表情が険しくなる。
「……俺に隠してるってことか」
リグレットは何も答えない。
重い沈黙だけが流れた。
「これですか。調べるようにとは」
ディストが現れはるのスマホを興味深く、手にした。
「閣下によれば、この道具には微弱なセブンスフォニム反応があるとか」
「こちらの技術に応用できれば面白いですねぇ。なるほど‥ただの板にしては妙ですね。分解して中を‥」
「壊すな」
「彼女の私物だ。ヴァン様の許可なく、傷一つ付けるな」
「なんですって!全く、注文が多いですね」
「ちっ‥さっさと行く」
アッシュはその場を後にした。
「せっかちですね。ーそれで彼女をどうすると」
「彼女はヴァン様が特別に目を掛けている存在」
「いずれ、七人目の『七神将』として迎え入れるお考えだ」
リグレットは微笑んだ。
――夜。ユリアシティ。
ガイは荷物をまとめていた。
(もし、彼女に何かあったら‥)
(俺は‥)
「‥行くのですか。ガイ」
「!!」
「今夜、出るつもりですか」
ジェイドは眼鏡を直す。
「‥待ってられねぇんだ。あいつは一人で不安なはずなんだ」
「悪いな‥‥。先に行かせてもらう」
ガイはジェイドに向き合って言う。
「惚れた弱みですか」
「からかうな。いや‥」
ガイは頭をかく。
「俺自身もよく分からない‥。ただ、いやなんだ。彼女が、‥ はるがいなくなるのは」
「おやそれは重症ですね」
「まあ止めはしませんよ。はるには仮がありますからね」
「私からもお願いします」
その頃――。
再び、はるの部屋。
夜の静寂の中。
ゆっくりと扉が開く。
コツ……
コツ……
聞き慣れた足音。
姿を現した男を見て、はるは息を呑んだ。
「……ヴァン」
穏やかな笑みを浮かべた男は静かに近づく。
「目が覚めたようだね、はる」
「君には、私の願いを叶えてもらう」
その優しい声音とは裏腹に、部屋の空気は張り詰めていく。
はるは無意識に一歩、後ずさった。
(この人が……)
(全部の黒幕――)
――薄暗い部屋。
ゆっくりと瞼を開く。
「……ここは……?」
見慣れない石造りの天井。
身体を起こそうとすると、頭に鈍い痛みが走った。
「っ……」
そうだ。
私は――。
「ガイ……!」
勢いよく起き上がる。
しかし、そこは宿ではなかった。
窓はなく、重厚な扉が一つ。
知らない部屋だった。
(攫われた……?)
その瞬間――。
ギィ……
扉が開いた。
入ってきたのはオラクルの軍服姿の女性。
リグレットだった。
「目を覚ましたようね」
続いて、小柄な少年が腕を組みながら入ってくる。
「よう」
シンク。
さらに奥から、小さな少女が顔を覗かせた。
アリエッタだった。
はるは思わず後退る。
「あなた達……六神将……」
リグレットは静かに頷く。
「安心しなさい」
「命を奪うつもりはない」
「……どういうことですか」
はるは震えながら答えた。
リグレットは表情を変えない。
「理由を説明する義務はない」
「あなたはヴァン様の命令で保護している。それだけ覚えておきなさい」
「ただ従ってもらうだけよ」
シンクが鼻で笑う。
「逃げようなんて思うなよ」
「見張りは俺だからな」
「……」
沈黙が流れる。
その空気を破ったのはアリエッタだった。
「……服」
小さな手で畳まれた服を差し出す。
「汚れてる。これに着替えて」
渡されたのはオラクルの服装のようで肩が見えるデザイン。アニスやティアに近い感じの服だった。
「え……?」
「アリエッタが選んだの」
少し照れたように俯く。
シンクが呆れたように肩を竦めた。
「世話焼きだな」
「……」
敵のはずなのに。
その優しさに戸惑う。
(どうして……)
リグレットが部屋を出る前に振り返る。
「食事は後で運ぶ」
「無駄な抵抗はしないこと」
重い扉が閉まった。
部屋には、はるとアリエッタだけが残る。
「……怖い?」
突然、聞かれた。
「……うん。」
「ガイ達が心配」
アリエッタは少し考え、小さく呟く。
「……きっと迎えに来る」
「……え?」
「……」
それ以上は何も言わなかった。
ーーその頃。
廊下では。
「おい」
低い声が響く。
紅い髪の青年。
アッシュだった。
「何だ、この騒ぎは」
シンクが振り返る。
「ああ」
「ヴァン様に頼まれたんだよ。女を連れてこいってね」
アッシュは眉をひそめる。
「女?」
「そんな話は聞いてねぇ」
リグレットが静かに答える。
「あなたが知らなくても問題ない」
「ヴァン様の命令だ」
アッシュの表情が険しくなる。
「……俺に隠してるってことか」
リグレットは何も答えない。
重い沈黙だけが流れた。
「これですか。調べるようにとは」
ディストが現れはるのスマホを興味深く、手にした。
「閣下によれば、この道具には微弱なセブンスフォニム反応があるとか」
「こちらの技術に応用できれば面白いですねぇ。なるほど‥ただの板にしては妙ですね。分解して中を‥」
「壊すな」
「彼女の私物だ。ヴァン様の許可なく、傷一つ付けるな」
「なんですって!全く、注文が多いですね」
「ちっ‥さっさと行く」
アッシュはその場を後にした。
「せっかちですね。ーそれで彼女をどうすると」
「彼女はヴァン様が特別に目を掛けている存在」
「いずれ、七人目の『七神将』として迎え入れるお考えだ」
リグレットは微笑んだ。
――夜。ユリアシティ。
ガイは荷物をまとめていた。
(もし、彼女に何かあったら‥)
(俺は‥)
「‥行くのですか。ガイ」
「!!」
「今夜、出るつもりですか」
ジェイドは眼鏡を直す。
「‥待ってられねぇんだ。あいつは一人で不安なはずなんだ」
「悪いな‥‥。先に行かせてもらう」
ガイはジェイドに向き合って言う。
「惚れた弱みですか」
「からかうな。いや‥」
ガイは頭をかく。
「俺自身もよく分からない‥。ただ、いやなんだ。彼女が、‥ はるがいなくなるのは」
「おやそれは重症ですね」
「まあ止めはしませんよ。はるには仮がありますからね」
「私からもお願いします」
その頃――。
再び、はるの部屋。
夜の静寂の中。
ゆっくりと扉が開く。
コツ……
コツ……
聞き慣れた足音。
姿を現した男を見て、はるは息を呑んだ。
「……ヴァン」
穏やかな笑みを浮かべた男は静かに近づく。
「目が覚めたようだね、はる」
「君には、私の願いを叶えてもらう」
その優しい声音とは裏腹に、部屋の空気は張り詰めていく。
はるは無意識に一歩、後ずさった。
(この人が……)
(全部の黒幕――)
