ハジジュ -短編集-
「なぁジューゴ。お前、最後に風呂入ったのいつだ?」
ウノの問い掛けにジューゴは肩を揺らした。
「え、あ、きのう、はいったぜ?」
物凄く片言で声を発し、そして嘘丸出しなくらいジューゴの目は全力で左右に泳いでいた。
その仕草だけでウノはすぐに察し、眉間に皺を寄せてジューゴの肩を掴んだ。
【猫は濡れると体温が奪われるらしいので、とりあえずハジメを湯たんぽ代わりとしてジューゴが引っ付く話】
「いーやーだー!」
あの会話から何十分経ったのだろうか。
ジューゴを大浴場へ連れて行こうと腕を掴み、引っ張り続けているウノは何度目かのやり取りに、ついに堪忍袋の緒が切れた。
「いい加減にしろ!お前、衛生的にも健康的にも良くないの、わかってんだろ!」
「水嫌だ!なんでみんな普通に入れんだよ!」
「むしろなんでお前は嫌いなんだ!」
「体温が奪われるから嫌なんだよ!」
「お湯で体温奪われるわけないだろ!アホか!」
「水ならまだわかるけどよ!」と、ウノはツッコミながら何故このタイミングで、ロックが五舎へ行ってるのかを恨んだ。
ロックが居れば、あっさり連れて行くことも出来て、風呂へ投下することも出来て、あとはジューゴが不機嫌になってるのを、なだめるだけの簡単な作業ができる。
だが、今この場に居ない相手を考えても意味が無いと、ウノはどうしたらいいものかと考えていると、廊下から激しい音が近づいてくるのが聞こえた。
「うるせぇぞ!テメェら!」
バンッ!と荒立たしくドアを開けたハジメに、ウノはロックよりも力強く確実に連れて行ってもらえる存在が現れたことに、ガッツポーズをとった。
「ハジメ、ナイスタイミング!ジューゴを大浴場に連れていくの手伝ってくれ!」
「あぁっ!?なんで俺がそんな面倒臭い事しなきゃいけねーんだよ!」
「お前、俺らの担当だろ!囚人の面倒くらいやれよ!」
「別に俺が迷惑なる訳じゃねーから断る」
キッパリそう言うハジメに、ウノはイラっとした。
こうなったら徹底的に巻き込ませてやると考えたウノは、もしジューゴがこのままお風呂に入らなかった場合を想像し、そのままハジメに伝えようと語り始める。
「……こいつがこのまま臭くなっていったとするだろ?そしたらどうなる?お前の管理不足って判断されるんだぞ?」
ウノの言葉に、最初は拒否っていたハジメは納得してしまう。
確かに、このまま放置したとして、もし変な病気や環境面として他の囚人が病気にかかった場合、責任を負わされるのは主任であるハジメへと降り注ぐ。
「ちっ」
色々と考えた結果、ウノの話を飲むのは癪に障るが、ハジメはジューゴを大浴場へ連れて行くことを決める。
「おい、大浴場に行くぞ15番」
「俺は!絶対にっ!風呂入らないからなっ!!」
力強く拒絶の声を出し、髪の毛を逆立てながらフーッ!フーッ!と威嚇するジューゴ。
そんな姿を眺めていたハジメは、溜息を吐き捨てながら後頭部に手を置く。
(まるで猫だな)
そう思いながら、ハジメは後頭部から手を離し、ジューゴの首根っこあたりの服を掴んで持ち上げる。
「おら行くぞ」
「いやぁぁぁぁぁぁ!嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ズルズルと雑に引き摺られていき、泣き叫びながら暴れるジューゴを、ウノは手を振りながら見送った。
「隅々まで綺麗になってこいよ~」
他人事の様に声を掛けているウノに、ジューゴは心に決めた。
部屋に戻った時、ウノの顔を殴るという事を。
◇◇◇
「おら、さっさと脱げ」
「やだっ!」
大浴場へ着いたまではよかったが、いまだに服を脱ごうとしないジューゴに、ハジメは苛立っていた。
このまま時間を押すと、やる仕事がどんどん後回しになり最悪残業フラグが立つ。
今日中に提出しなくてはならない書類などもあり、ハジメはさっさと脱がせようと決め、ジューゴの肩を掴んだ。
「無理矢理脱がす」
「ぎゃーっ!変態!」
ジューゴの服に手を掛け、脱がそうとするハジメにジューゴは悲鳴を上げる。
このまま相手の思うがままに脱がされてたまるか。と、そう思ったジューゴは目を瞑って声を張り上げた。
「わかった!脱ぐから!脱ぐから手を離せよ!」
「だったらさっさと脱げ」
ハジメは掴んでいた手を離し、後ろに下がってジューゴから離れる。
離れたハジメにジューゴはキッと睨みついた。
「いいか!絶対に見るなよ!というか、後ろ向け後ろ!」
「野郎の裸見てなんの得があんだよ」
反応がまるで女子だ。と、ハジメはそう思いながら大きく息を吐いて後ろへと向いた。
(早く脱いでさっさと終わらせよう)
ジューゴは服に手を掛け、するすると衣服を脱ぎ捨てた後にすぐさまタオルを腰に巻いた。
少しタオルの下から見える黒い短い尻尾の先を眺めながら、ジューゴは少し小走りで大浴場のドアを開ける。
そう、ジューゴは猫である。
これまで大浴場に入る際、ウノ達にも見られない様に素早く入り、烏の行水の様に素早く洗って出ていった。
それは人にはない、この尻尾と耳を見られない様にする為でもあり、水を浴びるのが怖かったからでもある。
「さっさと終わらせよう」
溜息をつきながら、ジューゴはシャワーの蛇口に手を掛けてひねった。
水の温度設定が冷水状態にしているを気がつかないまま。
「みぎゃああああああ!」
降り注ぐ冷たい水にジューゴは悲鳴を上げる。
全身が濡れ、一気に体温が落ちていくのに大パニックになり、ジューゴはすぐにシャワーから離れようと立ち上がった。
「おい、今度はどんなドジをしたんだお前は……っ!」
大浴場に入って来たハジメに、ジューゴはすぐさま抱き着いた。
ガタガタと全身を震わせ、でも腕の力はがっちりとハジメをホールドし、相手の服がずぶ濡れになろうがお構いなしであった。
「寒い!寒い!寒い!寒い!ざぶいいいいいいいいい!!!」
涙目になりながら叫ぶジューゴに、ハジメは出しっぱなしでるシャワーの水を見て何となく察した。
「テメェ、水のまま被ったのかよ」
「無理!ざぶい!ハジメ!もう出る!!!」
どんだけ風呂嫌いなのだろうか。と、ハジメは溜息つきながらひっついているジューゴを引き剥がそうと、首についている枷を掴んで持ち上げる。
べりっと引き剥がされた同時に、ジューゴの腰に巻いていたタオルが床へと落ちていく。
そして、タオルが外れた事でひょっこりと黒くて短い尻尾が現れたのを見たハジメは、少しだけ目を見開いた。
「はっ?尻尾?」
「にゃああああああああっ!」
「いってええええええ!」
いきなり尻尾を掴まれた事で、ジューゴは条件反射に右手を振り上げて鋭い爪でハジメの顔面をひっかくのであった。
続くかもしれない!!!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
久しぶりにナンバカを書いたのとハジジュを書いたことで、ちょっとキャラ崩壊しておりました申し訳ないです…。
そして、口に合っていればいいのですが(;^ω^)
2020:4/7
ウノの問い掛けにジューゴは肩を揺らした。
「え、あ、きのう、はいったぜ?」
物凄く片言で声を発し、そして嘘丸出しなくらいジューゴの目は全力で左右に泳いでいた。
その仕草だけでウノはすぐに察し、眉間に皺を寄せてジューゴの肩を掴んだ。
【猫は濡れると体温が奪われるらしいので、とりあえずハジメを湯たんぽ代わりとしてジューゴが引っ付く話】
「いーやーだー!」
あの会話から何十分経ったのだろうか。
ジューゴを大浴場へ連れて行こうと腕を掴み、引っ張り続けているウノは何度目かのやり取りに、ついに堪忍袋の緒が切れた。
「いい加減にしろ!お前、衛生的にも健康的にも良くないの、わかってんだろ!」
「水嫌だ!なんでみんな普通に入れんだよ!」
「むしろなんでお前は嫌いなんだ!」
「体温が奪われるから嫌なんだよ!」
「お湯で体温奪われるわけないだろ!アホか!」
「水ならまだわかるけどよ!」と、ウノはツッコミながら何故このタイミングで、ロックが五舎へ行ってるのかを恨んだ。
ロックが居れば、あっさり連れて行くことも出来て、風呂へ投下することも出来て、あとはジューゴが不機嫌になってるのを、なだめるだけの簡単な作業ができる。
だが、今この場に居ない相手を考えても意味が無いと、ウノはどうしたらいいものかと考えていると、廊下から激しい音が近づいてくるのが聞こえた。
「うるせぇぞ!テメェら!」
バンッ!と荒立たしくドアを開けたハジメに、ウノはロックよりも力強く確実に連れて行ってもらえる存在が現れたことに、ガッツポーズをとった。
「ハジメ、ナイスタイミング!ジューゴを大浴場に連れていくの手伝ってくれ!」
「あぁっ!?なんで俺がそんな面倒臭い事しなきゃいけねーんだよ!」
「お前、俺らの担当だろ!囚人の面倒くらいやれよ!」
「別に俺が迷惑なる訳じゃねーから断る」
キッパリそう言うハジメに、ウノはイラっとした。
こうなったら徹底的に巻き込ませてやると考えたウノは、もしジューゴがこのままお風呂に入らなかった場合を想像し、そのままハジメに伝えようと語り始める。
「……こいつがこのまま臭くなっていったとするだろ?そしたらどうなる?お前の管理不足って判断されるんだぞ?」
ウノの言葉に、最初は拒否っていたハジメは納得してしまう。
確かに、このまま放置したとして、もし変な病気や環境面として他の囚人が病気にかかった場合、責任を負わされるのは主任であるハジメへと降り注ぐ。
「ちっ」
色々と考えた結果、ウノの話を飲むのは癪に障るが、ハジメはジューゴを大浴場へ連れて行くことを決める。
「おい、大浴場に行くぞ15番」
「俺は!絶対にっ!風呂入らないからなっ!!」
力強く拒絶の声を出し、髪の毛を逆立てながらフーッ!フーッ!と威嚇するジューゴ。
そんな姿を眺めていたハジメは、溜息を吐き捨てながら後頭部に手を置く。
(まるで猫だな)
そう思いながら、ハジメは後頭部から手を離し、ジューゴの首根っこあたりの服を掴んで持ち上げる。
「おら行くぞ」
「いやぁぁぁぁぁぁ!嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ズルズルと雑に引き摺られていき、泣き叫びながら暴れるジューゴを、ウノは手を振りながら見送った。
「隅々まで綺麗になってこいよ~」
他人事の様に声を掛けているウノに、ジューゴは心に決めた。
部屋に戻った時、ウノの顔を殴るという事を。
◇◇◇
「おら、さっさと脱げ」
「やだっ!」
大浴場へ着いたまではよかったが、いまだに服を脱ごうとしないジューゴに、ハジメは苛立っていた。
このまま時間を押すと、やる仕事がどんどん後回しになり最悪残業フラグが立つ。
今日中に提出しなくてはならない書類などもあり、ハジメはさっさと脱がせようと決め、ジューゴの肩を掴んだ。
「無理矢理脱がす」
「ぎゃーっ!変態!」
ジューゴの服に手を掛け、脱がそうとするハジメにジューゴは悲鳴を上げる。
このまま相手の思うがままに脱がされてたまるか。と、そう思ったジューゴは目を瞑って声を張り上げた。
「わかった!脱ぐから!脱ぐから手を離せよ!」
「だったらさっさと脱げ」
ハジメは掴んでいた手を離し、後ろに下がってジューゴから離れる。
離れたハジメにジューゴはキッと睨みついた。
「いいか!絶対に見るなよ!というか、後ろ向け後ろ!」
「野郎の裸見てなんの得があんだよ」
反応がまるで女子だ。と、ハジメはそう思いながら大きく息を吐いて後ろへと向いた。
(早く脱いでさっさと終わらせよう)
ジューゴは服に手を掛け、するすると衣服を脱ぎ捨てた後にすぐさまタオルを腰に巻いた。
少しタオルの下から見える黒い短い尻尾の先を眺めながら、ジューゴは少し小走りで大浴場のドアを開ける。
そう、ジューゴは猫である。
これまで大浴場に入る際、ウノ達にも見られない様に素早く入り、烏の行水の様に素早く洗って出ていった。
それは人にはない、この尻尾と耳を見られない様にする為でもあり、水を浴びるのが怖かったからでもある。
「さっさと終わらせよう」
溜息をつきながら、ジューゴはシャワーの蛇口に手を掛けてひねった。
水の温度設定が冷水状態にしているを気がつかないまま。
「みぎゃああああああ!」
降り注ぐ冷たい水にジューゴは悲鳴を上げる。
全身が濡れ、一気に体温が落ちていくのに大パニックになり、ジューゴはすぐにシャワーから離れようと立ち上がった。
「おい、今度はどんなドジをしたんだお前は……っ!」
大浴場に入って来たハジメに、ジューゴはすぐさま抱き着いた。
ガタガタと全身を震わせ、でも腕の力はがっちりとハジメをホールドし、相手の服がずぶ濡れになろうがお構いなしであった。
「寒い!寒い!寒い!寒い!ざぶいいいいいいいいい!!!」
涙目になりながら叫ぶジューゴに、ハジメは出しっぱなしでるシャワーの水を見て何となく察した。
「テメェ、水のまま被ったのかよ」
「無理!ざぶい!ハジメ!もう出る!!!」
どんだけ風呂嫌いなのだろうか。と、ハジメは溜息つきながらひっついているジューゴを引き剥がそうと、首についている枷を掴んで持ち上げる。
べりっと引き剥がされた同時に、ジューゴの腰に巻いていたタオルが床へと落ちていく。
そして、タオルが外れた事でひょっこりと黒くて短い尻尾が現れたのを見たハジメは、少しだけ目を見開いた。
「はっ?尻尾?」
「にゃああああああああっ!」
「いってええええええ!」
いきなり尻尾を掴まれた事で、ジューゴは条件反射に右手を振り上げて鋭い爪でハジメの顔面をひっかくのであった。
続くかもしれない!!!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
久しぶりにナンバカを書いたのとハジジュを書いたことで、ちょっとキャラ崩壊しておりました申し訳ないです…。
そして、口に合っていればいいのですが(;^ω^)
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